いじめから始める異世界生活
「痛い。」
身体だけじゃなく、心もそう叫んでいる。だが、これはいつものことだ。今日も独り耐え、家族の元に辿り着いた。
「おかえり、タツヤ!」
「ただいま。」
家では笑顔が引き攣ることはない。
「今日は学校楽しかった?」
「…うん。」
「何かあったの?」
「うん、実は…」
僕は母親に全てを打ち明けた。そう、僕は昔からいじめられていたのだ。
「頑張ってたんだね。辛かったわね。こっちにおいで。」
「母さん…」
僕は母の胸の中で泣きじゃくった。こんなに泣いたのはいつ以来だろうか。数時間涙を流し、僕は泣き疲れて寝てしまった。
*「…ヤさん。タツヤさん。」
ふと女の子の声が聞こえてきた。
*「あなたの力を貸してほしいです。」
「なんだよ、どうなってんだこれ…」
*「あなたは3人目の転生者として選ばれました。」
「て、転生?なんの話だ?」
*「それでは、この世界のこと頼みましたよ!」
「おい、質問に答えろって!」
返答がない。夢だったのかな?僕は恐る恐る目を開けた。
「おーい!こいつやっと目を覚ましたぞ!」
「我が城下町の中心部で呑気に寝やがって!」
僕の周りが騒がしい。これは本当に転生したのか…。
「まさかな。」
「貴様、何を笑っている!」
「おい、こいつぁ最弱のズーシュ族じゃねぇか?」
最弱?ズーシュ族?なんのことだかさっぱりだ。
「とりあえず、こいつ連れて行こうぜ」
「ああ、そうだな。」
「おい、何をすんだよ!」
「最弱族は牢獄へ直行だぁー!」
僕は牢獄へ連れて行かれた。
牢獄の中は薄暗く、あまりにも不気味だった。
「新入りか。」
「ガキが入ってきやがったか。」
そんな言葉が飛び交った。なんだこいつら。
「お世話になります。」
「うぇーい!」
「こいつら、意外と良いやつだな。」
end