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伝説の剣

いきなりやってきた騎士団に、イナリ村の村長は慌てた。


「こ、これは騎士の皆様がた、このような村に何の御用でしょうか」

「こんなしけた村なんぞ、用はねえ」


ふんっとそっぽをエドウィンを抑えて、年長の副隊長が告げる。


「いきなり済まんな。この村で一泊したい。高貴なお方を護送しているので、どこか休める所に案内してくれんか?」


そういわれて、村長は困ってしまう。


「こ、この村には宿屋もなく、私の家も皆様をお泊めするほどの広さはありませんので……」

「確かにな。無理を言ってすまない。我々はともかく、王女だけはまともな所でお休みいただきたいのだが」


その時、エドウィンが丘の上にある建物を指さした。


「あそこに豪華な家があるじゃねえか」


大きな木が横に二本、縦に二本組み合わさって門のようになっている。その時に、立派な建物があった。


「あれは鳥居といいます。あそこはジンジャという神聖な場所で、よほどの事がないかぎり立ち入ってはいけない事になっています」

「ああん?んだゴラァ」


エドウィンが剣をならして威嚇するので、慌てて副隊長゛割って入った。


「けっして荒らしたりはしない。一日泊まるだけだ。なんとか提供してもらえないだろうか。王女と侍女しか立ち入らせぬから」


そういわれて、村長はしぶしぶ頷いた。


「やむをえません。こちらへ」


王女一行は、聖域ジンジャ内に案内されるのだった。


「変わった建物ですね」


セレニティは、瓦葺の屋根を見て驚いている。


「勇者マサヨシ様の故郷の建物を再現したといわれております」


村長の説明に、セレニティは目を輝かせた。


「え?この村は勇者様に所縁があるのですか?」

「そ、その、冒険の旅を終えた勇者様一行がこの村に立ち寄りまして、ある宝物をささげたと言われています」

「宝物?」


それを聞いて、エドウィンが食いつく。


「それはなんだ?見せろ」

「……仕方ありません。ご案内します」


村長は彼らを神殿の中に招き入れた。




神殿の中に入ると大きな岩を奉った祭壇があり、刀身から真っ赤な炎を噴き出させている剣がその岩に突き刺さっている。柄には赤く輝く玉がついていた。


「これはなんだ?すごい炎の魔力を感じる」

「勇者に従った戦士、エルウィン・マーカス様の使った『業火の剣』です。その剣は新たな使い手を待っているとも、邪悪な魔物を封じているともいわれています」


村長の説明に、エドウィンの闘志が燃え上がった。


「ご先祖様の剣か。なら、俺も挑戦してみよう」


前にでたので、副隊長は慌てて止めた。


「エドウィン様。おやめください、任務には関係ありません。余計なことをすると、トラブルの元になります」

「うるさいぞ!最近巷で噂のアイツだって、勇者の直系だっていうだけで二代目勇者としてもてはやされているじゃないか。だったら俺が二代目戦士になって、どこがおかしい」


そう言い捨てると、剣の柄に手をかける。


「ぐっ。さすがに手ごわいな……あちっ」


柄の玉からは拒否するように炎が燃え上がる。


「なんだてめえ。俺に逆らうんじゃねえ」


柄の玉に手をかけて、必死に制御する。なんとか力づくで炎の魔力を抑え込むことができた。


ゆっくりと剣が引き抜かれていく。


「ははは、これは俺のものだ!」


燃え盛る剣を振り上げて、エドウィンは悦に入る。その時、剣が刺さっていた岩が静かに割れていった。


「ま、まさか魔物の復活?」


村長は恐れおののくが、割れた岩からは何もでてこない。


「ほら見ろ。伝説なんてそんなものさ」


それを見て、エドウィンは笑うのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言]  どう考えてもフラグとしか思えませんね。  あーあ、しーらない。
[気になる点] 勇者マサヨシ一行の英雄譚がキナ臭さを帯びてきた 世界に平和をもたらしたというが いざ後世になると本来まともに生活できないほど自然環境の劣悪な土地に 自分の子孫に遺したオーブの制御に人…
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