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勇者の戦い

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「王子、大丈夫ですかな」


ドレレンツにいたわりの声をかけられて、クーデルは立ち上がる。


「ああ、魔法の使い過ぎで魔力切れを起こしただけだ。ボクは心配ないよ。それより……」


黄金像にされた騎士たちを痛ましそうに指さす。


「ボクがふがいないせいで、彼らを犠牲にしてしまった」

「え?待って!どういうこと?なんでナバラジャが死んだのに元に戻ってないの?」


エレキテルの言葉に、全員に緊張が走る。一斉にナバラジャのほうを見るが、なぜか床に落ちたはずの首がなかった。


「愚かな人間たちめ……よくも美しいワラワの身体を!」


そんな声が聞こえてくる。


「どこにいる!」

「ワラワはここじゃ!」


全員がそっちを見て唖然となる。ヴィィの金属でできた体の中央に、ナバラジャの頭が埋め込まれていた。


「これでワラワは一生醜い土の精霊と同化して生きねばならなくなった。恨むぞ。人間どもよ」


ヴィィの巨大な一つ目の瞼をもっていたグレムリンが動き出し、ゆっくりと開いていく。


「あぶない!」


瞼が全開されると同時に、ドレレンツが走り出してヴィィの目の前に立ちはだかる。


「師匠!」

「勇者殿!お嬢様を頼みます!」


ドレレンツの身体は黄金色に染まっていった。


「ええい。邪魔をしおって。じゃが所詮は一時しのぎよ。この『黄金光』には誰も逆らえぬ。再チャージの間、ミストレージどもと遊んでいるがよい」


再び床に魔法陣が描かれ、ミストレージたちが召喚される。


「くっ!聖風曲!」


クーデルが笛を鳴らそうとするが、風は巻き起こらなかった。


「くそっ!魔力切れか」

「任せて。広域雷魔法『ピリレイン』」

「グラビティショット!」


ホリーが『雷神のナイフ』を床に突き立てて、魔法陣から出てくるミストレージを倒していった。エレキテルもハンマーを床に叩きつけて牽制している。


そうしている間に、ヴィィの瞼が再び持ち上がってくる。


「兄上、お願い。雑魚は私たちが引き受ける」

「やっぱりボスを倒すのは勇者の役目だからね」

「お、俺が?」


振り向いた先には、信頼しきった目を向けてくるホリーとエレキテルがいた。


「兄上は勇者。私は信じている」

「がんばれ!勇者様!」

「……ええい!やってやる」


ライトは覚悟を決めて、ヴィィと向き直った。



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