ナバラジャとヴィィ
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「この鉱山に、階段なんてあったかな?」
鉱山の東方向にきたクーデルは、明らかに人工的に作られた階段を見て首をかしげる。
中に入ってみると、少し入ったところに兵士が倒れていた。
「おい!しっかりしろ。何があった」
抱えおこされた兵士は、王子に訴える。
「ど、奴隷どもの反乱です。奴らはこの奥に入って行きました」
それを聞いて、クーデルは顔をしかめた。
「何を考えているんだろう。この上罪を重ねるつもりか?」
「殿下、いかがなさいますか?」
騎士に聞かれて、クーデルは決断する。
「行くぞ!奴らを連れ戻すんだ」
『獅子の冠』はダンジョンに入って行く。
最深部に就くと、黄金でできた神殿のような場所があり、ひからびたミイラのような人間が倒れているのが目に入った。よく見ると見覚えがある。元冒険者ギルドのマスターである。
「お、おい!大丈夫か?」
ゆすっても何の反応もない。完全に息の根を止められていた。
「いったい、何があったんだ……」
警戒しながら次の場所に向かう。大きな船着き場のような場所では、一人の美少女がヨシュアにキスしていた。
「も、もうやめてくれぇ!」
ヨシュアはジタバタともがくが、掴まれた頭は離れない。
彼はみるみるうちに精気を失い、ミイラのようになって崩れ落ちた。
「ほう。美形じゃの。よくぞ参られた」
騎士たちは、その美少女の美しさに息をのむ。しかし、クーデルの厳しい声に我に返った。
「全員、警戒せよ!こいつは魔物だ!」
その言葉にハッとなる騎士たち。
「ほう。ワラワの美しさに魅せられなんだか」
「お前からは魔物の匂いがする。何者だ!」
その言葉に美少女は笑い、声高く名乗る。
「我は六魔鬼の一人、闇金のナバラジャ。封印を解き、目覚めさせてくれたことに感謝しよう」
ナバラジャはそういって不気味な笑い声をあげた。
「ナバラジャか……父上から聞いた事がある。若さと富に執着し、自ら魔王に魂を売って魔族となった希代の魔女」
「ほう。知っておったか。そういえばセイントの面影があるのう。ふふ、ならワラワが世界最高の召喚士であることは知っておるか?」
その言葉と同時に、床に魔法陣が描かれ、多くのミストレージが現れた。
「かかれ!」
「くっ!聖風曲」
とっさに王子は笛をふき、自分と騎士隊の周囲を風で包む。ミストレージたちは風に阻まれて、近寄れなかった。
「どうだ!」
「なかなかやるの。じゃが、その技はセイントが使っておったもの。ワラワはすでに破るすべを編み出しておる」
ナバラジャは余裕たっぷりに笑うと、新たな魔法陣を描く。
「来るがいい。大地の化身、ヴィィよ」
魔法陣から現れたのは、のっぺりとした人型の巨人だった。曖昧な手足に丸い頭、そこには閉じられた巨大な一つの瞼があり、両端を小さな小鬼が持っている。
「さあ、目を開けるがいい」
ナバラジャの命令で、グレムリンがゆっくりと瞼を持ちあげた。
「い、いけない!あの目を見るな!」
クーデルの警告もむなしく、ヴィィの目と騎士たちの視線が合った瞬間、その体が金色に輝いていく。
一瞬で騎士たちは黄金像になっていった。
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