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ダンジョン発見

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冒険者のミーティングは、クーデル王子の挨拶から始まった。


「第一王子にしてオラムス金山のオーナー、クーデル・セントバーナードだ。みんな。よく集まってもらった。国を代表して感謝しよう」


王子はゆっくりと頭を下げると、作戦の説明をし始めた。


「皆もしっているように、この鉱山の岩石は漆黒石だ。ランプやたいまつなどのオレンジ色の光を吸収してしまう性質がある。そのせいで、入口近辺しか採鉱できなかった」


それを聞いて、労働者たちが頷く。


「しかし、新たに『電球』というものが発明された。エレキテル」


王子によばれ、エレキテルが前に進み出る。


彼女がガラス玉に魔石をセットすると、白い光があふれ出た。


「おお……明るい」

「これなら、採掘作業がはかどる」


労働者たちから歓声が上がった。


「これは一気に採掘可能範囲を広げるチャンスだ。みんな頑張ってくれ」

「おう!」


集まった男たちの士気が上がった。


「冒険者たちはパーティを組んで先行し、鉱山に出るゴーストモンスターのミストレージたちを駆逐して電球をセットしてくれ。報酬ははずもう」

「よし!みんな行くぞ!」


冒険者たちは電球を受け取ると、鉱山に入って行った。


ライトたちも入ろうとしたら、王子に止められる。


「すまない。ライト君たちは入口で待機して電球のための雷の魔石を作ってくれないか?光の魔術師の人手が足りないし、電球の調整もしてほしいんだ」

「本当に?よかった」

「えー?ボクたちも冒険したいのに」

「つまんない」


それを聞いてライトはほっとしたが、エレキテルとホリーは膨れた。


「あはは。ここは僕たちのチームに任せてくれ。何回も入って内部構造にも詳しいからね」


そういって、王子は自分のパーティと共に鉱山に入って行った。


王子の騎士団「獅子の冠」は、順調に探索を進めていった。


奥に進んでいくと、黒い霧をまとった幽霊のようなモンスター、ミストレージが襲い掛かってくる。


「聖風曲」


王子が笛を吹くと、風にのって聖なる旋律が響き渡る。その音波にあてられたミストレージは、あっという間に形を崩して拡散した。


「今だ!核になる魔石を砕け」


護衛の騎士たちは魔石を砕き、魔物に止めをさす。


「よし。あらかた片付いたな。電球を設置しろ」


王子の指揮により、天井に電球がつけられていく。白い光に照らされたモンスターは、慌てて奥へと逃げ出していった。


「西方面はこれで済んだな。次は東方面に行こうか」


すぐに反対方面に向かおうとする王子に、部下の騎士は慌ててとめた。


「クーデル王子、ご自重ください。この鉱山にゴーストモンスターが出るのは、地下で未知のダンジョンとつながっているからだという噂があります。一度戻って体力を回復させてからでは?」


「あはは……そんな訳ないだろう。ここは人の手によって掘られた鉱山だぞ。気にし過ぎだよ」


部下の懸念を、クーデルは笑うのだった。




反対側の坑道では、奴隷たちが暗い中、入口から鏡を利用して取り入れられたわずかな光を頼りに地面を掘っていた。


「くそっ……いつまでこんなこと続けないといけないんだ」


重いつるはしを振り下ろしながら、ヨシュアはぼやく。


「いたっ!わたくしは魔術師で、こんな肉体労働は向いてないのに……」



けがをしたエレルが泣きごとをもらす。


「救護班!さっさとけがをなおさんか!」

「は、はい!」


監督している兵士の命令でマーリンが駆け寄り、杖を振るう。

息を整える間もなく、次の声があがる。


「いてっ!」

「何をしておる。休むな。さっさと治療せんか!」

「は、はい」


マーリンは休む間もなく現場を飛び回って、奴隷たちを治していた。


「貴様ら、けがの心配はせず、ガンガン掘るがいいぞ。ここにいくらでもこき使える治療師がいるからな」

「……もういや!」


便利な道具扱いされて、マーリンは叫び声をあげる。


その現場にはルドマンや冒険者、元ギルドマスターもいて、過酷な労働を強制されていた。


「くそっ!」


腹立ちまぎれに壁につるはしを振るったルドマンは、手元に伝わった手ごたえに違和感を感じる。

固い岩壁だったはずだったが、何の反動もなかった。


「なんだ?」


もう一度つるはしを振るうと、壁が崩れて空洞が現れる。そこは下へと続く階段だった。



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