王との謁見
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セントバーナード王国の王宮
ライトとホリーは、使者によって連れてこられていた。
「グローリー王国の城に勝るとも劣らない立派な城だなぁ」
「勤めている騎士や貴族も、いろいろな人種の人がいる」
ホリーが指摘する通り、騎士や官僚にはエルフやドワーフ、獣人族などが多い。人間族だけで構成されているグローリー王国とは明確な違いが見て取れた。
正装をしたライトとホリーは、謁見の間に進む。貴族たちに見守られながら、玉座の間に膝をついた。
「面を上げい。シャイン家の一族よ」
ライトが顔をあげると、優しそうな中年の美形が玉座に座っていた。
しばらく王はライトとホリーの顔を見つめると、ふっと微笑んだ。
「懐かしい。勇者マサヨシと聖女ヒミコの面影がある」
「はっ……?」
首をかしげるライトに、セイント王はやさしく告げる。
「余は若い頃、マサヨシの仲間として魔王と戦った。彼とその妻ヒミコを兄姉のように慕っておっての。その子孫に会えて嬉しいぞ」
「もったいないお言葉でございます」
ライトは深く頭を下げた。
「グローリー王国を追放されたようじゃな。もともとあのような人間族しか認めぬ偏狭な国、勇者という異世界から来た異分子を受け入れる器ではなかったのじゃ」
王は不快そうに吐き捨てると、ライトを見つめる。
「どうじゃ?この国を新たな故郷として、我が王国に仕えぬか?」
「ありがたいお言葉でございます。報いるに、わが忠誠心のすべてをささげさせていただきます」
「うむ。そなたにセントバーナード王国男爵の地位を与える」
王は満足そうにうなずくと、侍従長に合図する。しばらくすると、男爵位を示す勲章が運び込まれた。
その時、難しい顔をしていた犬耳の軍務大臣が異議を唱える。
「お待ちください。確かに勇者の一族は尊ぶべき存在で、亡命を受け入れるのに否はありませぬが、いきなり男爵位とは……功績もあげずに栄達させると、いらぬ国内の嫉妬を買う恐れがあります。彼らはまだ若者。騎士位から始めさせて、経験を積ませるべきでは……?」
その軍務大臣の口調からは、ライトたちを心配する様子が伝わってきた。
王はうんうんと頷くと、優しい口調で告げる。
「軍務大臣の言い分ももっともじゃ。じゃが、彼らには充分な功績があるのだ。卿らの知らぬところでな」
「功績とおっしゃいますと……?」
「それについては、私が説明させてもらおう」
ヒラガ公爵が進み出て、大きな包みを玉座の前に置く。包みをとくと、まばゆい光があふれ出た。
「こ、これは?」
「彼らと我が娘エレキテルは『漆黒の穴』のダンジョンを制覇し、最深奥に封じられていた六魔鬼の一人『闇羽のドラグル』の復活を阻んだ。このオーブは、そやつが創っていたものだ」
謁見の間に、光のオーブの聖光が広がる。
「どうじゃ?充分な功績であろう」
「は、ははっ」
軍務大臣も納得して、退いた。
「さて、二代目勇者ライトよ」
「は、はいっ」
いきなり二代目勇者扱いされて、ライトはヒヤッとなる。
「この『光のオーブ』は我が王国が買い取ろう。財務大臣、いくらになる」
「は、ははっ。ええと……国宝以上の宝で、無限の魔力を集めるオーブは、正直値がつけられません。ですが、王国の財務規模の許容できる範囲から提案しますと……100億マリスを10年分割ならなんとか」
財務大臣は汗を拭きふき答える。
「なんと……少ないの」
「い、いや、充分でございます」
ライトは焦って申し出る。だいたい一般人の年収が金貨30枚-30万マリスぐらいである。100億マリスなど、一生かかっても使い切れるわけがなかった。
「そうか。済まんの。まあおいおい、他の形で返していくとしよう。ご苦労であった」
こうして、ライトたちは新たな男爵家の地位が与えられ、セントバーナード王国に受け入れられたのだった。
「さて、この『光のオーブ』の使い道であるが……」
王がつぶやくと、貴族たちからいろいろな意見が飛び交った。
「オラムス金鉱を照らす光源にしては?あそこのダンジョンは特に暗くて、ランプやたいまつの光をよせつけぬ。実体がない危険なモンスターが暴れているし」
「いや、やはり王都の夜を照らす光源にすべきだろう」
「海上都市メルキドに運び、海を照らす灯台に使えば?うまくしたら、危険なモンスターであるリバイアサンの跋扈を押さえることができるかもしれぬ」
いろいろ最もな意見がでるが、王は片手をあげて遮る。
「それについては、ダンジョン攻略のもう一人の功労者の意見を採用したい」
謁見の間が開き、ドレスを着た茶髪の美少女が入ってくる。
彼女はライトたちの隣にくると、跪いた。
「久しいの、エレキテル・ヒラガ公女よ。ますます美しくなったな」
「もったいないお言葉でございます」
エレキテルはおすまし顔で頷いた。
「この度のダンジョン攻略、先祖の勇名に恥じぬ働きじゃ。今後も勇者に協力して、我が国に尽くすがいい。それで、何か光のオーブの使い道があるようじゃが、直言を許そう」
「はっ。ではさっそく」
エレキテルは持ってきたカバンから電球を取り出すと、魔力を蓄積する魔石をそのそばにおいた。
「この魔石を、銅のコードで光のオーブに接続します」
細い銅線が接続されると、光が伝わって魔石に移っていく。
「光のオーブを使えば、無限にこの光の魔石を製造できます。これを魔道具を動かすエネルギー源にできます」
魔石がセットされると、ガラス球が輝きだした。
それを見ていた貴族たちの顔色が変わっていく。
「待てよ?光のオーブを増やせるのか?」
「これがあれば、すべての都市に光をもたらせる」
貴族たちの顔に、将来への希望が広がっていく。
「すばらしい」
「文字通り、我が国の未来に明るい希望をもたらす光だ!」
貴族たちの称賛を受けて、エレキテルは照れ臭そうな表情を浮かべた。
「この技術を『魔電学』と名付け、魔法学園に研究室をつくる。ライトとホリー、そしてエレキテルには春になったらそこに通ってもらい、次世代の貴族たちと交流を深めながら我が国の発展に寄与してもらいたい」
王の裁可が降りる。こうして、エレキテルに光のオーブが託されるのだった。
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