雷で動く魔道具
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エレキテルの話を聞いて、ドレレンツは激怒する。
「その『魔滅の刃』とやら、許しがたし。冒険者としての風上にもおけぬ。仲間を見捨ててその装備品を奪い、非を指摘されたら遺族まで抹殺しようとするとは」
あまりに怒っているので、エレキテルたちもちょっと引いてしまった。
「まあ、奴らにはお仕置きもしたし、放置していても」
「いや、許せません。連れて帰って裁きを受けさせます」
ドレレンツが顎をしゃくると、10人ほどの騎士が進み出た。
「奴らを見つけて連れ帰れ」
「はっ」
騎士たちが奥に進んでいく。
「お嬢様を危険にさらした罪は贖ってもらいます」
「あーあ。かわいそうに」
エレキテルはヨシュアたちにちょっと同情してしまうのだった。
ドワーフたちに護衛され、ライトたちは地上に戻る。
「おお、よくぞ無事に戻った。心配したぞ」
地上にでるなり、待ち構えていた公爵に、エレキテルは抱き着かれた。
「お父様。ごめん。勝手なことをしちやって」
「いや、無事ならそれでいい」
ひとしきり再会を喜びあった後、公爵はライトたちに向き直る。
「娘が世話になったようじゃな。心から礼を言おう」
「いえ。私もエレキテルには助けられましたし」
はにかむライトに、公爵はますます好意的な目を向けた。
「いろいろと話を聞きたい。我が家の客人として歓迎しよう」
こうして、ライトたちはヒラガ家に招かれるのだった。
次の日
食事と休養を取って体力を回復させたライトとホリーは、公爵が開いた晩餐会に招かれる。
「ライト・シャイン殿。ホリー・シャイン殿。娘が世話になった。あらためて礼を言おう」
「いえ……大したことはしていません」
ライトが照れながら言う。
「お父様。ライト君はすごいんだよ。勇者が使っていた光の攻撃魔法を復活させたんだから」
お嬢様らしくドレスをまとったエレキテルが、そういってライトを褒めた。
「勇者の光魔法とな?」
「いや、まあ、たまたまなんですが……」
ライトは指先に光魔法を込めて放つ。離れたところにあった燭台のろうそくに、ポッと火がついた。
「なるほど。たしかにシャイン家は勇者の直系じゃ。その子孫に二代目勇者が現れても何の不思議もないな」
公爵は暖かい目でライトをみつめる。
「それに、ホリーちゃんがいたら、ボクの研究もはかどると思う」
「研究とは……お前が言っていた雷を動力とする魔道具か?」
それを聞いて、公爵はちょっと顔をしかめる。
「何度も言っているように、そんな魔道具は存在しない。いい加減に……」
「ちょっと待って。いいから見てよ」
エレキテルはリュックからダンジョンで手に入れたモノをホリーに手渡す。それはガラスの丸い球にほそい金属の線が入っている魔道具だった。
「ホリーちゃん。それに『ピリピリ』を通してみて」
「わかった。やってみる」
ホリーが雷の魔力を通すと、ガラス球がまばゆく輝き始めた。
「こ、これは?」
「どう?これが『電球』だよ」
エレキテルは自慢そうに、薄い胸を張る。
「……たしかにこんな魔道具は見たことがない。エレキテル、すまなかった」
雷で動く魔道具の現物を見せられ、公爵は素直に謝った。
ライトとホリーを見ながら、公爵は心の中で唸っていた。
(ライト君といいホリー嬢といい、国家レベルで保護すべき人材だ。それがなぜ、護衛もつけずに冒険者などしていたのだ)
疑問におもった公爵は、詳しい事情を聞いてみた。
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