表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/6

その子誰の子でしょうか?

誤字、脱字等がありましたら報告していだけると幸いです。

 「おはようマリーさん」


 「おはようございますヒロユキさん」


 誰かに朝から挨拶をしてもらえるって幸せだよね。特に愛する人からならそれだけで幸せな気分になれる。これぞ新婚生活の醍醐味だ。


 しかしこれがマリーさんと二人なら最高なんだけどね。残念ながらうちにはもう一人居るんですよね。


 「ヒロユキさま〜」


 早速お呼びですか......


 「何でしょうか姫様?」


 「私に衣装を着せて下さいませんか?」


 「は?」


 「姫様、私はメイドではございません。衣装ならご自分でお召しになられて下さい。」


 「私に自分で着ろとおっしゃるのですか?これが釣った魚には餌をやらないというやつなのですね。」


 釣ってもないし、寧ろ近くの川にリリースしてやろうか。


 「マリーさん、何とか言ってあげて下さい。」


 「お召し物位は自分で着ないといけませんよ?」


 やーい、やーい怒られてやんの。


 「お母様はうるさい!」


 反抗期かよ。


 しかしこの第二夫人もとい居候は働かないし文句ばかり言って部屋から出てこないし完全にに引きこもりじゃないかよ。

 

 駄目だこいつ早くどうにかしないと。


 仕方ない外に連れ出すか。


 「姫様、お散歩でも如何でしょうか?」


 「私は歩きたくないので馬に乗せていただけるなら」


 そろそろ切れそうだがマリーさんの申し訳なさそうな顔に免じて今回は耐える事にする。


 「分かりました。姫様、馬を用意いたしました。」

 

 僕は裏に繋いでる馬を取りに行き再び姫様に声をかけるとそれはもう豪奢なドレスに身を包んだ姫様があらわれた。


 今から馬に乗るんですよね?


 そんな事はお構いなしとばかりに手を差し出して来たのでそのまま馬に乗せる。


 落馬とか不慮の事故って怖いね。


 一瞬黒い感情が湧き上がるも何とか抑える。


 後ろに乗せている姫様はすれ違う人全員に笑顔で声を掛けては幸せをアピールすると同時に僕の事を褒め称えている。


 外ヅラ良過ぎるんじゃないですかね。


 そう、このお姫様は家ではなにもしない穀潰しニートなんだけど、一歩外に出たら国民に愛されるお姫様なのだ。


 今も勇者様が夜寝かせてくれないなどと在りもしない話を吹聴している。

 更にたちが悪いのがお腹を摩りながらだ。


 周りから見れば魔王を倒した勇者と相思相愛で幸せ一杯なお姫様にしか見えないのだ。


 僕が否定しようものなら悲しそうな視線を浮かべこちらをチラチラと見ている。


 まるで僕が悪いみたいにしかみえない。

 

 おかしいよね絶対。


 国民の殆どが姫様の味方なのだ。


 デジタルビデオカメラがあったら録画して大放映会をしてみたいものだ。


 そのまま馬に乗り丘をめざす。


 丘の上で馬を止め僕は姫様に手を差し出して降ろし丘の上から姫様と景色を眺めながら会話をする。



 「景色が綺麗ですね。姫様。まるで貴女の様です。」


 「嫌ですわ勇者様、そんな本当の事をおっしゃられましても」


 「なにをおっしゃいます姫様、僕は貴女の様なお美しい妻を迎えてこの上なく幸せなんです。」


 「まぁ、勇者ったら、お上手ですこと。」


 「愛しております姫様。この身尽きるまで。」


 「私も愛しております。勇者ヒロユキ様。」


多分周りから見たらこの様な会話をしている様に見えるんだろうな。まぁ実際の所は


 「姫様、お願いですから働くなりせめて家事の一つでもしていただけませんか?」


 「その様な物はわたしは致しません。」


 「僕の家は今は公爵でも伯爵でもないのです。普通に市井の者と同じなのですよ?」


 「メイドを雇う甲斐性もないのですか?ヒロユキは?」


 「お給金の問題ではありません。僕は静かに幸せに暮らしたのです。」


 「ならヒロユキが働きお母様が家事をする。それで良いではありませんか?」


 「は? マリーさんはいまでも十分してくれているではありませんか。」


 「足りないから不満が起こるのです。」


 こいつもうここに置いて帰ってもいいよなそろそろ。誰か拾ってるくれないだろうか。


 話は平行線にしかならないし日も暮れて来たのでお家に帰る事にする。


 「日も暮れて来ますしそろそろ戻りましょうか。」


 「私のお腹の子供に差し支えたら国の一大事ですからね。急いで帰りましょう。」


 誰の子供なんでしょうか......


 帰りも姫様はお腹を摩りながら市井の民に微笑みを向けている。


 その内ストレスで髪の毛がなくなりそうだ。

 

 そんな事を考えながら僕は帰路についたのだった。

 


 

姫様「ヒロユキ、ご飯」

姫様「ヒロユキ、湯浴み」

姫様「ヒロユキ、枕になりなさい。」


ヒロユキ「マリーさん......」

マリー「ヒロユキさん」なでなで

ヒロユキ「計画通り」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ