顔がタイプだったようです。
早くも新婚生活に邪魔者が入りましたがこれから先三人の生活はどうなるのでしょうか。
無事に結婚式も終わり今日から二人の生活が始まる筈だったんだけど、何故か三人......
しかし、しれっと混ざって来た王女様は一体どういうつもりだったんだろうね。
僕は年上好みだから王女様は範囲外なんだけどな......
「マリーさん、何故王女様も結婚式に混じっていたんですか?」
「私も全く聞いて居なかったんです。付き添いをお願いしたのですが、気付いたらそのまま......」
一体どうなってるんだ?
やはり本人に聞くしかないか。
「王女様、何故結婚式にしれっと混じってたんですか?」
「神様がそうしなさいと仰られたからです。勇者様」
「あの......そこに僕の意思は?」
神様が仰ったからと言われても僕の拒否権は
「神様は絶対なのです。勇者様」
何言ってんだこいつ。
いい加減意味が分からなくて頭にきた。
「いや、神様が魔王と結婚しなさいと言ったら王女様は結婚されるのですか?」
「勿論するわけがありません。」
「は?」
今さっき自分が言ったことを否定してるんだけど。
「神様が勇者様と結婚しなさいと仰るまで神託をやり直しました。」
ガチャじゃないんだからさ......
以前出るまで回したら爆死にはならないんだよと言っていた友人の言が頭を過った。
「ちなみに何回神託をやり直されたんですか?」
「72時間程徹夜でやりました。」
何この執念、少し怖いんだけど......
「王女様、僕はマリーさんを愛してるのであって王女様はタイプではないのですよ。」
「問題ありません。数十年経てば私もお母様と同じ年齢になります。」
随分気の長い話ですね。しかし何故そこまで僕に拘るのだろうか王女様なら選びたい放題でしょうに。
「王女様が僕に拘る理由ってなんですか?」
「顔がタイプだったんです。」
結局顔かよ......
しかし僕はイケメンというわけではないんだけどね。どうがんばっても中の中位の筈なんですが。
「隣国の王子様は超イケメンではないですか?僕の数百倍はイケメンですよ。」
「確かにそうですね。」
肯定しやがったよ......そこは嘘でもですねぇ
泣いてないからな。
「なら隣国の王子様で良いではないですか?」
「あの方は私には釣り合わないのです。勇者様位で丁度良いのです。」
これは酷い、僕泣いていいよね?
「マリーさん、王女様が余りに酷いんです。」
僕はマリーさんに泣き付いたフリをしてここぞとばかりに甘える。
それを黙って頭を撫でてくれるマリーさん。
正に聖母様である。
『これはありだな。』
これですよ、これ、この包容力こそが僕が求めて居たものなんですよ。
若い女子にはそれが分からんのですよ。
「しかし王女様、先程も言いましたが僕はマリーさんしか愛せません。」
「構いません。二番で良いので」
「いや、そういう訳には.....」
「では一.五番で」
その発想はなかったな。
しかし一.五ってなんだよ。
「王女様はどうあっても諦めないのですね。」
「当たり前です勇者様。」
どうやら決意は固いらしい。仕方ないから数十年熟成させるしかないようだ。
こうして念願だったマリーさんとの甘い甘い二人きりの新婚生活は破壊されたのだった。
だがぼくはまだ諦めないからな。
そう魔王を斬り伏せた聖剣に誓ったのだった。
このお話はイケメン成分13%でお送り致しました。