第3話 商業の街アートリオン
上演時間:20分~25分
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―利用規約―
・ツイキャス、ニコニコ、リスポンなどで上演する際は、作者に断わりの必要はございませんが、連絡やツイッタ―通知を出していただけますと、録画や上演枠に顔を出させて頂きます。
・上演する際はこの台本のタイトルとURL、作者(協力は不要)、配役表をコメント欄にのせていただきますようお願いいたします。また、mojibanなど補助ツールの使用は可能としますが、台本のURLの代わりにするのはやめてください。
・過度のアドリブ(世界観の改変)、性転換は一切しないようにお願いします。また、適度なアドリブや読みにくい個所の語尾改変は、世界観の変わらない程度ならOKといたします。
・無断転載はしないでください。もし、発見や連絡があった場合、作者が確認したのち法的処置を行いますのでよろしくお願いします。
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ラーク・ウィッシャー:15歳。第一次グランハルト帝国戦争を戦い抜いたクラッチ・ウィッシャーの息子。職業は魔法剣士。剣の技術に秀でているが、魔法に関してはてんでダメ。下級魔法でも最弱の威力しか出せない。グランハルト帝国の皆が持っている力、「グラン」を持っているが、うまく自分の力を理解していない。熱い性格で常にポジティブな考えを持っている。
ミカエル:15歳(人間年齢)。天使年齢が3000歳。ラークの夢の中に現れた天使。容姿はかなりの美女。彼女の歌う歌には癒しの効果があり、支援要因として主人公パーティーを支える。ガベルからは『出来損ないの天使』と言われている。なにかわけがありそうだが……
ジョージ・ブライアン:性別おかま。40歳。ラークとともに第一次グランハルト帝国戦争で戦った英雄。第一次グランハルト帝国戦争時の年齢は30歳。職業は二丁拳銃がメインウェポンのガンナー。スナイパーライフルも巧みにこなすことから、グランハルト帝国戦争時は王城からクラッチたちの通信を頼りにガベルと戦った。現在では『なんでも屋じょーじ』を経営している。グランハルト帝国の皆が持っている力、「グラン」を持っている。
アンジェ・クレイトル:12歳の関西弁をしゃべる少女。初登場シーンは???表記。商業の街アートリオンの出身。職業は魔術師だが、詠唱に関してはかなりのオリジナル。だが、自分の出したい魔法晶術が出せてしまうことから、アートリオンの中では変わり者と言われている。商業の街アートリオンでクレイトル市場を経営しているクレイトル一家の看板娘。グランハルト帝国の出身ではないため、『グラン』は使えないが、『覚醒』を備えている。だが、覚醒するためには条件があるらしく、その条件を満たしていないため、発動したことはない。
クルーラ・クレイトル:40歳。関西弁で話す。商業の街アートリオンにて、クレイトル市場を経営している。職業は行商人。特殊職業であり、彼の話に背くものは行動不能となる。基本的に温厚だが、気に食わないことが起こると、彼の持っている能力で自ら制裁を下す。アートリオン市場会の会長も務めている。
チンピラ:ブイブイ言わせてください。
少年:アンジェの幼馴染。15歳。関西弁。
≪メイン≫
ラーク(不問):
ミカエル(♀):
ジョージ(♂):
アンジェ、???(♀):
クルーラ、チンピラ、少年(♂):
ラークM「業魔神ガベルを倒すため、パーティーを探す旅に出ることになった俺たちは、グランハルト帝国にあるジョージの店、『なんでも屋じょーじ』で買い物をしていた」
ジョージ「さぁ、ゆっくりみていってちょうだい!」
ラーク「すげぇぇ!本当に何でもある!!」
ミカエル「銃に、剣に杖、魔典や防具まで何でもありますね」
ラーク「おぉ!これって父さんが使っていた剣のモデルじゃん!!俺はこれに……」
ジョージ「待ちなさい。それはあなたには使えないわ」
ラーク「え?なんで?」
ジョージ「あなたの職業じゃ扱えない剣なのよ。それにレプリカよりも、オリジナルを使うほうがいい時もあるの。だから、これを使いなさい」
ラーク「これは……軽い……」
ジョージ「斬れ味はそこそこ、魔法攻撃の威力は少し強めぐらいなの。この刀は使い方によっては最強の武器になるわ。ただ、この刀を使っているとクラッチと同じ職にはなれない」
ラーク「使い方によっては……?それよりも、父さんと同じ職業にはなれないって……」
ジョージ「先に言うわね?あなたにはクラッチと同じ職業に就くのは無理よ」
ラーク「!?」
ミカエル「どういうことです?」
ジョージ「クラッチは、魔法晶術を魔術師並みに使えるから、あの職業になれたわけで、あなたみたいなポンコツ魔法じゃ、クラッチと同じ職業にはなる条件が満たされないのよ。」
ラーク「ポンコツって……まだ魔法を見せていないじゃないか!」
ジョージ「そんなの、魔法以外の動きでわかるわよ。あなたがさっき、街中での戦いで放った攻撃、どう見ても力業よ。剣にまとっている炎が弱弱しい。そんなのじゃ魔法攻撃なんてできないでしょう?」
ラーク「ぐ……」
ジョージ「だから、足りない分の力を補填できるように、その剣の束の部分には、グランソウルを増幅させる、『グランハルト結晶』を埋め込んでいるわ。だからさっきより威力は強いはずよ」
ラーク「そうか……ちょっと試してみるか……はぁぁぁ……」
ジョージ「ちょっと!!店を燃やすつもり!?はぁぁ……あ、ミカエルのほうは準備が終わったのね」
ミカエル「はい。おかげさまで装備は揃いました」
ジョージ「うん、完璧よ。それじゃぁ、これも渡しておこうかしら」
ミカエル「これは?」
ジョージ「地図よ。この地図に行きたい場所を念じると、そこまでナビゲートしてくれるの」
ミカエル「……すごいですね」
ジョージ「そうよ~!……っと、さて、そろそろ行きましょうか」
ミカエル「はい」
ラーク「うん、わかった!」
―間―
ラーク「ここが、エクスティア街道……」
ジョージ「そうよ。この道が商業の街アートリオンへの最短経路よ」
ミカエル「地図にもちゃんと表示されていますね」
ラーク「どれくらい歩くの?」
ミカエル「え~と……ラーク」
ラーク「ん?」
ミカエル「顏が近いわ」
ラーク「ん……あ!ごめん!!」
ジョージ「まったく……」
???「あ?なにざけたことぬかしとんねん!!返せ!」
ラーク「ん?なんだ?」
ジョージ「少し騒がしいわね……」
ミカエル「行ってみましょうか?」
ジョージ「まぁ、時間的には余裕があるけれども……どうするの?ラーク隊長?」
ラーク「う……その呼ばれ方なれないなぁ……とにかく行こう!」
―間―
チンピラ「返せやと?この茸は俺らが見つけたもんやないか!!俺らのもんやろが!」
???「何ぬかしとんねん!ウチが先に獲ったもんやから、ウチの……」
チンピラ「じゃかぁしゃい!!調子のっとんちゃうで!いてこますぞ、このクソガキィ!!」
???「調子乗っとんのどっちやっちゅうねん!!ウチを誰やと思っとんねん!!」
チンピラ「知るか!ボケ!てめぇみてぇな小便臭ぇクソガキなんざぁ!おい、お前ら!出てこいや!!」
ー間ー
???「ちょ!あんたらそれは卑怯ちゃうの!!女の子1人に大の大人が3人がかりって……」
チンピラ「うるせぇ!!ごちゃごちゃ抜かしよってからに!!お前ら!やっちまえ!」
???「……ッ!!そっちがその気なら!!」
チンピラ「てめぇみてぇなチビになにができ……ってこれは……魔法陣!?お……おい……待てよ……」
???「カッチコッチ!どっかぁぁん!」
チンピラ「おま……ちょっ……それは……」
???「ストーン・ボム!!」
チンピラ「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
―間―
ラーク「なに……今の……」
ジョージ「詠唱破棄ってやつかしら。私も初めて見たわ」
ラーク「詠唱破棄?詠唱って魔法を使う上で必要なんじゃ……」
ミカエル「正直な話、そこまで必要じゃないの。頭の中で使いたい術式を構成していれば、言葉なんてなんでもいい」
ラーク「へぇ……」
ミカエル「ただ、ラークが使うと失敗するからちゃんと詠唱を覚えることを勧めるわ」
ラーク「なんでだよ!!」
ミカエル「詠唱破棄って思いのほか頭を使うのよ?詠唱するのは、術式を整えるための方法の一つ。術式一つ間違えるだけで、自殺魔法になることもあるのだから」
ラーク「…………」
???「なぁ、誰なん?自分ら?」
ラーク「ん?俺たちのことか?」
???「あんたら以外に誰がおんねん……堪忍したってぇなぁ」
ジョージ「私たちは旅の者よ。あなたこそ、その身なりを見る限り商人ね。商人なら、自分の名前をきちっと名乗りなさい」
アンジェ「あぁ、せやな!うちの名前はアンジェや!よろしく!ゴリラのおっちゃん!」
ジョージ「ご……ゴリラ……それにおっちゃんって……私はオネェさんよ!まったく……ん?」
ラーク・ミカエル「(笑いをこらえている。ラークは微妙に吹き出している)」
ジョージ「こほん……それで?アンジェはここで何をしていたのかしら?」
アンジェ「んぁ?ウチか?ウチはな、この先の森にあるレアな茸を手に入れに行っとったんやけど、あいつらが邪魔してきよってなぁ……おしおきしててん!まぁ、どさくさに紛れて、奪われてもうたけどな!」
ミカエル「おしおき?」
アンジェ「ほら、よく言うやろ?『やられたらやり返せ!!倍返しや!!』」
ミカエル「……あまり言わないわね」
ラーク「あぁ……」
ジョージ「それよりもアンジェ……私たちアートリオンに行きたいのだけど……」
アンジェ「あぁ……そんならこの道1本やん!ウチつれてったるで!」
ラーク「本当か!助かるぜ!」
アンジェ「ほなこっちやで!」
―間―
少年「アンジェ!!どこ行っとたん?」
アンジェ「ん?言っとったやろ?森にハルト茸取りにいっとたんや!」
少年「そんな危ないの……俺が行ったのに!」
アンジェ「アホか!あんた、その折れた腕で何ができんねん!」
少年「でも……あ、それよりハルト茸は?」
アンジェ「あかんかった……チンピラに奪われてもうた……」
少年「そうなんだね……」
ジョージ「なに?ハルト茸が欲しいの?」
アンジェ「せやねん……けどな?さっきのチンピラにパクられてしもうてなぁ……うちのハルト茸が無うなってしもうたんや……」
ジョージ「仕方ないわね……ほら……」
少年「これは……ハルト茸!?しかもめっちゃ大きいやん!?」
ジョージ「覚えておきなさい。ハルト茸は、渓谷に生えると言われているけれども、条件さえそろえば、栽培もできるのよ。これは私お手製のハルト茸よ」
少年「ありがとうございます!ほら、アンジェも」
アンジェ「あ……ありがとう……え~と……」
ジョージ「ジョージよ……こっちはラーク。そしてミカエルよ」
ミカエル「よろしく……」
ラーク「よろしくな!」
アンジェ「うん!よろしく頼むで!……せや、あのな……よかったらウチにけぇへん?」
ラーク「え?いいのか?」
アンジェ「えぇよ!ウチかて何かお礼したいねん!」
ジョージ「わかったわ……それじゃぁ、お言葉に甘えましょうか……」
アンジェ「やった!こっちやで!」
ラーク「(小声で)ちょっとジョージ」
ジョージ「(小声で)なによ?」
ラーク「(小声で)ここに来た目的って何か忘れてない?」
ジョージ「(小声で)馬鹿言うんじゃないわよ……今調べに行っても情報がないでしょ?情報収集よ……」
ラーク「(小声で)あぁ……」
アンジェ「はよきぃなぁ!何しとんねん自分ら!!」
ジョージ「わかっているわよ!待っていて頂戴!さぁ、行くわよ!」
ラーク「う……うん……」
―間―
アンジェ「ただいまぁ!帰ったで~!!」
クルーラ「アンジェ!!帰ったで~やないわ!何しとったんや!」
アンジェ「言うたやん!森にハルト茸とりに行くって!」
クルーラ「にしても時間がかかりすぎやろ……どれだけ心配したと思ってんのや!」
ジョージ「まぁまぁ、それぐらいにしてあげてくださいな」
クルーラ「ん?ゴリラ?」
ラーク・ミカエル「(爆笑)」
ジョージ「なんでやねん!!ってあなたたちも笑ってないの!」
ラーク「(笑いながら)だって!ゴリラって……」
ミカエル「(笑いながら)確かに似ています」
ジョージ「っもう……この街の人間なら私の名前を知らない人はいないはずだけど?ましてや、あなたなら……ね?」
クルーラ「いやぁ、もちろんやで!『なんでも屋じょーじ』のジョージ!久しぶりやなぁ!」
ジョージ「久しぶりね……クルーラ」
ミカエル「ジョージ……この方は?」
クルーラ「そういや、自己紹介がまだやったな!ワシの名前はクルーラ・クレイトル!このクレイトル市場を取りまとめとるもんや!」
ラーク「え!?この広い市場を?」
クルーラ「せや!この広い市場を一人で仕切っとる。職業は行商人……ま、代わりもんの能力やわ」
アンジェ「ウチはアンジェ・クルーラ!職業は魔術師や!」
ミカエル「あの、アンジェさん……あなた、詠唱破棄していたみたいですが……」
アンジェ「あぁ、うちのことはアンジェでえぇで!ミカエルちゃん!んま、詠唱破棄に関して言うんなら、ただめんどくさいから読んでへんだけや!術式はこの職業をものにするためにすべて入っとるからな!」
ミカエル「そうなのですね」
クルーラ「んなことより、なんでジョージたちがここに来たんや?この時期は、あんさんの店も忙しいやろ?」
ジョージ「実は……」
―間―
クルーラ「なるほどな……業魔ガベルの出現ね……そのために騎士団長が自分の息子に、パーティー探しの旅をさせとるっちゅうわけやな?」
ラーク「そうなんです」
アンジェ「……なぁ、父ちゃん!ウチ、そのたびについて行ったらあかんかいな?」
クルーラ「あかんことはないけど、店はどないすんねん。お前を見に来る客だっておるんやで?」
アンジェ「んなもん、ウチはあのおっさんらとベッドで寝とるわけやないんやし、おらんくても大丈夫やろ」
ミカエル「そういう問題なのですか?」
アンジェ「そんなもんや!ほな、準備しよか!」
クルーラ「あんさんら、よかったら、滞在期間の間、うちに泊まってってくれへんか?そのほうが宿代浮いてえぇやろ?」
ジョージ「助かるわ。でも宿代というわけじゃないけど、食費として300ルビー受け取ってくれるかしら?」
クルーラ「アホか!どれだけの宴会するつもりやねん。んなもん……」
ジョージ「これからあなたに聞く情報料よ」
クルーラ「……なんやて?」
ジョージ「パンドラボックスの情報が載ってある文献が、この街にあるはずなのよ」
クルーラ「……あぁ……それやったらアートリオン中央図書館の禁書のフロアやな」
ラーク「それは俺達でもはいれるんですか?」
クルーラ「ワシの名前を使えば入れるで~。『クルーラさんの弟子です!何かあればクルーラさんに言いつけますよ~』って言うてな」
ラーク「脅しじゃないですか!?」
クルーラ「せやで。あ、あと少年にええこと教えたろ。」
ラーク「ええこと?」
クルーラ「せや。あのなぁ、少年。世の中なぁ、そんなにきれいな話ばかりやないんや。特に商人の世界はなぁ」
アンジェ「ウチはしてへんけど、物を買うてもらうために体を売る商人もおるんやで?男女問わず」
ジョージ「あら?男も売るの?珍しいわね」
クルーラ「むしろそっちのほうが多かったんや。20歳にも満たない肌のきれいな男がおる店は、息子に貴族の女を抱かせて、商品を買わせとった。100ルビーっちゅう、金額の上限はあるんやけど、よう行われとったよって、そんな商売しとる人間の店がかなり繁盛しとったわ。悪しき風習やでほんま……今はワシが規制しておさまったんやが、そう言う歴史もあるんやで」
ミカエル「それと図書館がどういう関係が?」
クルーラ「禁書というのはそういう性描写の激しいもんもあるってことやし、この街やグランハルト帝国を含めた『五大国』の知られたくない歴史、まぁ、ドレイ制度や差別、殺戮の歴史も書いとる。あんさんらにそれらの歴史を受け入れる覚悟はあるか?」
ラーク・ミカエル・アンジェ「!?」
クルーラ「それらの歴史を受け入れる覚悟がなけりゃぁ、パンドラボックスなんて見つからんわ」
ジョージ「もちろん、私にはあるわよ。けど、幼き戦士たちには、少し刺激が強いかしら?」
―間―
ミカエル「……少し考えさせてください」
ラーク「俺も……」
アンジェ「……ウチもやわ。自分の国ならえぇけど、他の国のんは怖い……」
クルーラ「よっしゃ!えぇで!晩飯まで時間はかかる!その間ゆっくりかんがえんさい!」
ジョージM「さぁ、彼らはどのような決断をするのかしら。とりあえずは様子見かしらね……」