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シークレットと道具屋さん

いつもAWOを読んでいただきましてありがとうございます!

おかげさまでブクマ1000件越えいたしました!

これからも頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。

 シークレットクエストなるものをクリアしたとアナウンスが流れてきたが、目の前のメロノアと話しているので、一度クエストに関しては端に置いておく。

メロノアの店では季節ごとにレターセットを更新しているらしく、私のものも季節に合わせて送ってくれることになった。主にメロノアからはイニジアでのお得情報やお祭り情報、指針を送ってくれることになったので、私は各町の街並みや特産品、風土などの情報を届けることになった。

それにあたり特殊インクである『歌うインク』も定期的に貰うことになった。歌うインクは開封前に歌を聞かせることで、手紙に認めた内容を歌い上げてくれるというインクだ。

吟遊詩人として歌を作詞した際は、そのインクを使って聞かせて欲しいとのことだった。

そろそろ、次のお店に行くためメロノアとは別れ、店を後にした。


「次はどこに行こうかパンジー。」

「では、このまま観光案内をしつつ、次に近い道具屋へ行きましょう。とっておきの穴場がありますので、そこで旅行用品を一揃えすれば良いかと思います。」

「道具屋ということは旅行用品とかが買えるってことよね?すぐに行きましょう!」

「はい!ではこちらです。」


 道具屋に向けて歩いて行く道中、シークレットクエストについて教わっていた。通常クエストはギルドや住人を通して受注するものだが、シークレットクエストは特定の条件を満たした時にのみ、受注が可能になる。 また、受注していなくても特定の条件を満たし、クリア条件を満たすだけでも先ほどのように、クエストクリアをすることができる。 シークレットクエストではスキルを教えてもらえることもあるので、見つけたら率先して受けると良いと教えてもらった。

パンジーと話しながら道具屋まで向かってる間に本屋さんに人形のお店、宝飾店、木工細工のお店などを発見し、どうやらこの通りは職人の直営店が多い場所らしい。町の規則で職人の家には防音の結界なるものが施され、外に音が漏れ出ないようにしているらしい。

パンジー曰く鍛冶が必要な防具や武器の店以外は、ここで大体が揃うらしい。

なぜ武器と防具が違う所にあるかといえば、鍛治仕事は普通の細工よりも高温の炎に金属など、大火事になりやすい要素がたくさんありすぎること、競合が多いので店をまとめた結果、分かれるに至ったらしい。

 ウィンドウをパンジーときゃいきゃい言いながら眺め、メインストリートをまた外れると、どんどん細い裏道へ入って行き、ついには行き止まりになった。


「パンジー行き止まりよ?」

「下の方をよく見てください。」

「下?……なにあれ?小さな扉?」

「あの扉のドアノブに触って見てください。」

「わかったわ。」


 一見なにもない行き止まりの壁の、中央から少し左にずれた所に20cmくらいの小さな扉があった。パンジーに促されノブに触ると、空間が突如ぐにゃりと歪んだように見え、元に戻った時には壁に所狭しといろんな道具が置いてある、不思議な空間にいた。

棚には地球儀や、今の自分ではなにに使うかわからないような道具まで、いろいろなものが置いてあった。きょろきょろと見回していると、プラチナブロンドのワンレングスに、特徴的な長い耳、そして切れ長の瞳に高い鼻、薄い唇が涼やかな超絶美形がいた。これが俗にいうエルフなのだろう。不思議な構造をしたモノクルをかけていて、いろんな緑を使用した、特徴的な服を着た暫定エルフが口火を切った。


「ようこそ『入口のない道具屋』へ。久方ぶりに見る新顔だ。ゆっくりと見て回るといい。」

「あ、ありがとうございます!」


 あまりにも美声すぎて、ついどもってしまったが挨拶を返し、店内を見て回ることにした。アラサー彼氏なしの私にかっこいいバリトンボイスのお兄さんは卑怯だと思う。

 旅行といえば旅行鞄だけど、このゲームに交通機関は馬車だけで、基本は徒歩だとパンジーから聞いたので、あまり大きな旅行鞄は買えないことがわかった。 ストレージなるものがあるので、実は今まで買ってきたものを手持ちしていないのだが、やはり旅行するときはある程度の荷物はバッグに詰めて持ち歩きたい。雰囲気も出るし、ロマンも感じる。

 バッグが大量に掛けられたラックを発見し、まずはバッグを物色することにした。パンジーからバッグの装飾でもいいので、青がきちんと使われているものを選ぶように言われ、ちょっと気になっていたキャメル色のバッグを戻した。これから一目惚れしても持てない装備などがあるんだろうなと思うと、少し残念な気持ちが出る。

 しかし、オオルリの種族以上に良いものは出ないだろうなと思うし、持てない分は現実で持てばいいと思い直したので物色を再開する。


「マスター、このウエストポーチはいかがでしょう?」

「あら?可愛いわね。」


 パンジーが見つけたウエストポーチは、全体的に帆布のような素材でできていて、色合いは銀灰色で光の当たり具合で白銀にも見える。ベルト部分がスカーフを巻いたように見る形状で作られ、留め具はココナッツバックル。エスニックロープベルト風の飾りが、2色のブルーで入っていた。

試しに腰で巻いてみると、自身の装備にエスニック感が出てとっても素敵な気がしてきた。ふと吟遊詩人なら楽器を持って移動した方が良いのではと思ったが、いきなり楽器を取り出すのは店に迷惑がかかると思い、バリトンエルフ-名前を知らないので仮称だ-に許可を取ることにした。


「すみません。」

「なんだ?」

「私は吟遊詩人なんですが、楽器を出しても良いでしょうか?持った時に邪魔にならないか確認したいんです。」

「かまわない。好きにしろ。」

「ありがとうございます!」


 許可も取れたので琵琶を取り出し、パンジーから琵琶の背負い方を教わりながらかける。色味が琵琶と似ているので、統一感が出てしっくりくる。鏡にバリトンエルフが映り込み後ろを振り返ると、思った以上に近くにいたので驚いた。


「その琵琶はアールクルドゥワから買ったものか。」

「は、はいそうです。先ほど購入しました。」

「ふむ…同じ種族か。ならそのポーチはあつらえ向きだろう。」

「なんでですか?」

「そのポーチは浮遊石の粉を、混ぜ込んで織られた布を使用している。」

「そうなんですか?!」

「そうだ、浮遊石を混ぜ込むと軽量化の効果を得られるからな。浮遊石は鳥人族など飛ぶ種族にとって大切な鉱石だ。手に入れるためにはそれなりのツテが必要でな、協力してもらったのだ。」

「そうだったんですね。じゃあバッグはこれにします!アールさんにはお世話になりっぱなしだなぁ。パンジーいいの見つけてくれてありがとうね。」

「いえ!当然のことをしたまでです、マスター。」

「ほぅ、守護妖精か。珍しいな。」

「いろいろなことを教えてくれる、大切な相棒です。」

「マスター…!!」


 嘘偽りない言葉を述べると、パンジーはだいぶ感動したようだった。バリトンエルフ曰く、守護妖精付きは吉報を届けてくれるとして、大体どこに行っても歓迎される存在なのだそうだ。 思わぬところで世界観の裏話を聞き、引き続き旅行グッズ選びを再開した。

 大きなものはストレージに入れる予定だが、まずは小物を選んでしまおうとパンジーと一緒に物色する。 時折バリトンエルフからアドバイスももらい、一通りの小物は揃えた。揃えたものはこんな感じだ。


【旅グッズ一覧】

・採取用ナイフ

・簡易料理用包丁

・まな板(小)

・コンパクトクッカー

・ケトル

・ホーローのカップ

・ランタン

・火打ち石

・結界石

・ロープ

・シュラフ

・折りたたみテーブル(小)

・水筒


 チャッカマンのような便利アイテムはだいぶお値段が張るのと、雰囲気出すなら火打ち石かなと思い、火打ち石にした。バリトンエルフ曰く『火魔石』という、火の魔力が宿った石が内包されているらしい。

『結界石』は旅の必需品で、あるのとないのとでは安全面が段違いらしい。結界石があれば魔物が近づかなくなるらしく、一人旅の時は野営での安全面がランクによりけりだがきちんと確保できるらしい。出費としては少々痛いが、背に腹は変えられない。

 最後は一番の大物のテントだが、テント道具一式と必要なものがまとめられた、セット品があったのでそれを選んだ。テントは一人用なので、そんなに大きくないサイズを選び、バリトンエルフに会計をお願いした。


「全部で8,000Fだ。」

「え?!」

「8,000だ。」

「いやいや、10,000くらいはするはずですよね?!きちんとお支払いします!」

「いい、アールクルドゥワやメロノアから物を買えたんだろう。あの二人は相手が王侯貴族であろうと、自分が気に入ったものにしか売らん。その二人の店で物を買えたのであれば問題ない。先行投資というやつだ、今後もこの店を使え、次はまけてやらん。」

「え〜……まぁ正直にいえば、おまけしてもらえると大変助かるので、お言葉に甘えます。」


 実のところ私の最初の所持金は20,000Fだった。そこへ先ほどメロノアと文通を約束した際に2,000F追加され22,000Fに、しかしメロノアのところで7,000F使っているので、少々予算オーバーだったのは否めないのだ。後悔はしていないが。 支払いを終えた後、バリトンエルフの名前を聞いていないことを思い出した。


「すみません、今更かもしれないんですが、店主さんのお名前を伺っていませんでした。私はララバイと言います。お名前を伺っても良いですか?」

「ん?あぁ…言ってなかったか。ニギルヘムベスタ=ニーナルフェルムという。長い名前だニギルヘムベスタと言えばいい。」

「わかりました、ニギルヘムベスタですね。これからよろしくお願いします。」

「あぁ、よろしく頼む。」


そして店を出ると先ほどの路地ではなく、階段の両サイドにたくさんの店が構えられた、賑やかなバザーだった。

今週リアルが忙しめなので、更新が遅くなるかもしれません。

また、それに伴いお返事も遅くなるかと思います。

ご了承ください。

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