表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

ようやくキャラクターネームと称号ゲット

切りどころがわからなかった作者です。

今回は長めです。

 うっかり忘れていたキャラクターネーム決め。正直最初になかなか決定できなかったせいで、もうなんでもいいかなって気分になっている。これもアメトリンに決めてもらうっていうのはどうだろうか?アメトリンに頼りすぎか…?


「アメトリンに適当に名前をつけてもらうってダメなの?」

「ふぇ?!自分で決めた方が良いですよ〜!」

「正直もう面倒臭いし、当初の予定としては今日設定だけして、本格的にやるのは明日の予定だったのよね。」

「えぇ〜…今までのお客様は喜び勇んでゲームの世界に飛び込んでいたのですが…」

「いい?アメトリン。30になって夜更かしすると、後々小じわとか肌の衰えに直結するの。ついた隈は一生消えないわ。若さと心身の健康を保つためには、早寝早起き適度な運動が必須よ。設定を始めた時は21時だったわ。あと1時間半で私は寝る時間なのよ。」

「威圧感がすごいです!わかりましたです。名前に何か希望はありますか?」

「そうね…。瑠璃色に関わる名前か、職業に関係する名前がいいかな。」

「わかりましたです!少々お待ちくださいです!…CN検索…重複確認…セキュリティ抵触確認……確認終了しましたー!こちらがリストです!」


【アメトリン プレゼンツお名前リスト】

天藍テンラン…ラピスラズリの別名

須弥シュミ…仏教で瑠璃が産出される山の名前

・ララバイ…子守唄を意味する言葉

・ミュゼット…フランスの地方の民族音楽や概念に使われる言葉

・ホーミー…アルタイ山脈周辺民族の間に伝わる喉歌と呼ばれる歌唱法


 表示されたリストはどれも響きが可愛かった。ミュゼットとかちょっとお嬢様の名前っぽくて、名前負けしないか不安になる。天藍はすこし中国っぽい響きがある…悩ましいわね。決められない時は『神様の言う通り』と相場が決まってるわよね!か・み・さ・ま・の…お・り!決まったわ!


「アメトリン決まったわ!ララバイにするわ。」

「わかりましたです!以後変更は不可能になりますです。よろしいですか?」

「問題ないわ。」

「では、反映するです!」


---システムコネクト

----キャラクターネーム設定完了

-----適応します。3、2、1、

------完了しました。

ゲーム内初の称号を獲得しました。

ステータスに称号が追加されます。

初めての称号獲得者に記念称号を贈呈します。

ワールドアナウンスはしますか?


 今まで通り反映するだけかと思ったら、いつもとアナウンスが違っていた。なにやら称号なるものを獲得したらしいが、正直称号とは何のことだろうである。お世辞にもアメトリンに負んぶに抱っこ状態だったので、表彰されるようなことは何もしていない。


「アメトリン。このアナウンスは何?目の前にワールドアナウンス?っていうのするかってでたんだけど。」

「おめでとうございます!ララバイ様は今回ゲーム内で初の称号を獲得されましたです!ゲーム内にいるすべてのプレイヤーの皆様に、称号獲得者がでたことは伝えさせていただきましたが、ララバイ様が称号を獲得したことまでは伝えておりません。こちらのYesを押すと、自動的にララバイ様が称号を獲得したことが周知されますです!」

「Noで。」

「ではNoの箇所をタップしてくださいです!」

「ほい!っと。」

「初めての称号ですので、ついでに説明させていただきますです!【称号】とはゲーム内で一定の行動や条件を満たしたり、評価を得ることで取得することができるです!称号には記念称号と行動称号、評価称号、特殊称号の4種類あるです!今回ララバイ様が獲得した称号は記念称号と特殊称号になりますです!」


 さらに細かい称号の説明を読むとこんな感じだった。

記念称号…初めて成し遂げた人に概ね渡される称号で、取得時にFフランの支給がある

行動称号…一定の行動を継続的に行ったことでつく称号、場合によってはスキルを獲得できる

評価称号…一定の評価を得たことでつく称号、取得時にFフランの支給とアイテムまたはスキルを獲得できる

特殊称号…厳しい条件をクリアしたことでつく称号、取得時にFフランの支給と何かしらの別途報酬がある


「ちなみに称号の確認は『ステータス』と言っていただけると、ステータス確認画面がポップアップするです!そこに称号欄があるのでご確認くださいです!称号の詳細はタップすると見れますです!」

「なるほど、『ステータス』。」


名前:ララバイ

種族:鳥人族 モデル オオルリ

LV:1

メインJOB:吟遊詩人 <バード>

サブJOB:生産者

【ステータス】

STR:15

VIT:10

AGI:45

DEX:35

INT:25

CHA:45

LUK:50

STp:0

【スキル】

メインジョブスキル

作詞 / 作曲 / 演奏 / 調律 / 歌唱 / 伝承

サブジョブスキル

木工 / 細工 / 料理 / 伐採

通常スキル

白魔法 / 黒魔法 / 生活魔法 / 従魔術 / 裁縫 / 採取 / 売買 / 錬金術 / 精霊術 / 言語

SKp:0

【称号】

アメトリンが庇護する者 NEW!

称号初取得者 NEW!


 ステータス欄には確かに称号という項目があった。称号の隣にはNEWの文字が虹色に光っている。順番に見ようとアメトリンが庇護する者という称号をタップして見た。


【アメトリンが庇護する者】

サポートAI アメトリンに自身のキャラクリエイトを8割以上手伝って貰い、なおかつ名付けまでしてもらって手に入れることができる称号。他サポートAIにも同様の称号が用意されているが、そんな人間はでないだろうと考えられ、ゲーム内において破格の待遇となる報酬が用意された称号。下級冒険者ランクの場合、住人からの待遇がアップする。

報酬:50,000Fアメトリンのポケットマネー, 守護妖精の付与


【称号初取得者】

初めて称号を取得したプレイヤーに送られる記念称号。効果は特にないただの記念。

報酬:10,000F


【アメトリンが庇護する者】効果がやばくないだろうか?特に住人からの待遇がアップってところとか、破格の待遇とか書いてあって不穏な予感しかない。ネットあるあるで叩かれたりしないんだろうか…。特に報酬のアメトリンのポケットマネーとか守護妖精の付与が気になる。AIとはいえ幼女のポケットマネーを貰うって、30代的にはアウトでしょう。


「アメトリン、称号のところにあるアメトリンのポケットマネーは返すわよ。」

「はわわわ〜!なぜですか?私からの餞別なのです!」

「さすがに大人が子供のお金もらうのはちょっとね。だから返すわよ。」

「う〜ん…いいです?」

「いらないわ。」


うーんうーんと悩んでいるアメトリン。小さい腕で腕組みしながら考えるアメトリンは、どこからともなく出したカバンをガサゴソと漁りだし、何かを見つけたのかパッと表情を明るくした。


「では違うのにしますです!…お菓子代が帰ってきたです!ボソッ」

「(お菓子代を犠牲にしてた?!)別に何もいらないわよ?」

「それはダメなのです!きちんと報酬50,000F相当のものを渡すのです!Komm schon! Trommel rollen!」

「次は何語?」

「ドイツ語です!」


ダラララララララララダン!!


「スキル『書記』と『読書』、『楽曲購入権』と『図書館入場権』です!」

「だいぶ大盤振る舞いじゃない?大丈夫?」

「大丈夫なのです!内訳として『楽曲購入権』が35,000F、『図書館入場権』は10,000F、『書記』と『読書』は各2,500Fで合計50,000Fなのです!スキルは控えスキルという形で表示されますです!読書したり何か書いたりしたいときは、通常スキルの中にあるものと一時的に入れ替えてくださいです!吟遊詩人には様々な曲が用意されているです。スキルアップとともに自動で歌えるようになる曲は、購入の範囲外ですが、登録のあるオリジナル作成された曲や、クエストに必要な曲、地域限定の曲などは一定のランク、もしくはレベルにならないと買えない『楽曲購入権』が必要なのです!図書館の利用も同じで、信頼できる身分であることや、書物の内容をメモするのには『図書館入場権』が必要になるのです!なので、今回は一番グレードの高いものをご用意したです!ただし、楽曲購入時は楽曲のレベルに合わせて別途購入費が必要ですし、図書館も貸出料や、汚した際の修繕・弁償費は必要になりますので、お気をつけくださいです。」

「…実は吟遊詩人って本来なら結構お金かかる職業だったりする?」

「はいです!詳しくは言えませんが、あらゆるジョブの汎用性の高さや勝手の良さなど、総合評価の高いものがゲームバランスを取るためにも、費用がかかるなどのハンデを設定されていますです!」

「なるほどね。だいぶ優遇してくれたみたいでありがとう。」

「えへへ〜、ララバイ様の設定は私がほとんど考えたので、私の子供といっても過言ではないのです!ママは〜子供に優しくするものなのです〜♪」


 クルクル回りながら話すアメトリンに、子供はないな〜と思いつつも、あまりにも嬉しそうなので流石にいうのを控えた私。それにしても、だいぶ優遇してもらったなぁ。これは何かお礼を考えねばなるまい。なんて考えているとアメトリンにほっぺをつんつんされた。


「ララバイ様!まだ終わってないのです!守護妖精の付与をしていないのです!」

「何だか本当にもらいすぎな気がするんだけど…。」

「大丈夫なのです!最終的に見たら誤差のようなものなのです!」

「誤差かぁ。」

「誤差なのです〜♪では守護妖精を贈呈しますです〜!Έλα! Κύλινδρος τυμπάνου!」

「どこ?!」

「ギリシャです!」


ダラララララララララダン!!


「この子ですー!」

「宝石?…綺麗ね。」

「守護妖精はまだどんな形なのかは決まってないのです!なので宝石の中に封印されているのです!」


 アメトリンに差し出された宝石は紫と黄色に輝く綺麗な宝石だった。日が落ち切ってすぐの夕焼けみたいな色味は、とっても落ち着く色合いだ。花に例えるなら三色スミレに似ていて、どんな守護妖精になるのか楽しみになった。いろいろ考えているとアメトリンから説明を受ける。


「この宝石は現実にも存在していて、私と同じアメトリンというです!現実の宝石でここまで色の濃いものはほとんどなくて、あったとしたらだいぶ高いお値段になるです!ゲームだからできる色合いなのです!」

「なんか急に俗物的な話が出てきたわね…。」

「宝石を両手で包んで、心の中で守護妖精に出てくるように語りかけるです!」


アメトリンに言われた通り、祈るようなポーズで包み込み、心の中で語りかける。そうすると手の中から紫と黄色の光の粒子が溢れて、手の中から髪の毛を揺らす程度の風が吹き出すという、摩訶不思議な現象が起きた。ゆっくりと手を開くと、手のひら大の光の玉がどんどん形を変えてゆく。光が収まり現れたのは三色スミレのような配色の妖精だった。

 容姿はプラチナブロンドの髪をサイド、襟足を刈り上げて、丸みを作ったツーブロックのハンサム系ショートカット。肌の色は焦げ茶色にも見える小麦肌で、瞳の色はアメジストのような紫色。上がレモン色のワンショルダーで下は3色の紫を重ねたミニスカートで、全体的に大正時代に流行ったモガを連想させるスタイルだった。白いレースグローブはパールでも練り込んだように光り輝いているし、足元はオープントゥの白いハイヒールパンプスで、高さは10cmくらいあるように見える。背中には三色スミレカラーのアゲハチョウのような形の羽が、一対紫と黄色の光の粒を撒き散らしながら生えていた。

羽を何度か羽ばたかせてから、ふわりと宙に浮いて1回転し、宝塚の男役のように一礼した。


「初めまして、マスター。私はあなたの守護妖精、これから降り立つオーシードの世界であなたの生活がより豊かになるよう、アドバイスをしていく所存です。私に名前をくださいませんか?」

「名前?」

「そうです。私はあなただけの守護妖精、あなたのものであるという証に、名をいただきたいのです。」

「(なんだか言葉だけ聞いていると危ない響きが)じゃあパンジーはどうかな?綺麗な紫と黄色、白の花の名前なの。」

「ありがとうございます!今日から私はパンジーです。誠心誠意、マスターをお支えします。」

「これからよろしくね。」

「よろしくお願いいたします!」

「おめでとうございますです!ララバイ様!パンジーも良かったですね!素敵なお名前です!私の眷属ですし良きに計らえなのです。これにて各種設定は終了になります!チュートリアルというものがございまして、そちらはゲームの世界、オーシードに降り立ってから始まるのです!今回はあらかじめ設定のみとお伺いしておりましたので、次回ログイン時は最初の街『イニジア』より開始しますです!ララバイ様の旅路が良いものになるのをお祈りしているです!」

「いろいろありがとう、アメトリン。」

「終了する場合は『メニュー』と言っていただき、下部にあるログアウトボタンを押してくださいです!」

「わかったわ。」

「パンジーは一度ログアウトすると、宝石の中で休眠しますです!次回ログインした際は宝石に触れてパンジーの名前を呼んでいただければすぐに会えるです!」

「よろしくお願いします。マスター。」

「わかったわ。またね、パンジー、アメトリン。」

「おやすみなさい、マスター。」

「おやすみなさいです、ララバイ様。楽しいオーシードライフを送ってくださいです!」


----------ログアウト


 ふと、光源のない暗闇の中に立ったような感覚がした後、明るい場所に引っ張り上げるような、新しい感覚に従い目を開けた。目元を覆うギアを外し、深く深呼吸をする。時刻はまだ22:00をさしていて、たった1時間程度のことが、3時間にも4時間にも感じられていた。蛍光色バリバリ幼女が出てきたときは、大丈夫かと一瞬思ってしまったが、パンジーという強力な助っ人もできて、これからのゲームがとっても楽しみになってきた。いつかアメトリンにまた会えたら、綺麗だった場所のスクショなどを見せてあげたいなと思いながら、戸締りと電気を消して眠りについた。


ゲーム内では初称号の話で騒ついているとも知らずに。

次回は初称号の裏側で起きた掲示板会を挟んで本編へ進みます。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ