アバター選びは不安がいっぱい
早速ブクマをいただきました!ありがとうございます!見切り発車で始めていますし、社会人なものでまとまった時間が少ないのですが、ゆっくりと面白いと思っていただけるような文章を考えていこうと思っていますので、これからもよろしくお願いします。
〔おはようございます!Another World Onlineへようこそ!これよりお客様のキャラクター設定と、チュートリアルを担当するアメトリンです。よろしくお願いいたします。〕
「よ、よろしく…?」
VRへダイブして最初に見たのは超至近距離にいた、アメトリンという少女だった。幼稚園に入ったばかりくらいの子が達者に喋り、大げさな身振り手振りで話しかけてくるのは、身近に子供のいない独身アラサーにはちょっとキツイ。現実には絶対いない蛍光オレンジの髪に蛍光グリーンの瞳をしたハレーション幼女ことアメトリンは少し距離を取って、話を進め始めた。
〔では、初めにキャラクターネームを決めましょー!お客様のお名前はいかがいたしますか?〕
「ルリはどう?」
〔残念です!そちらはすでに使われております!他の候補をお教えください。〕
「ラピスは?」
〔ダメです!〕
「…ラズリ」
〔使われてますねー〕
「ラピスラズリ…」
〔アウトですー〕
「オオルリ!」
〔いけま、あ!今別サーバーで登録されちゃいましたぁ。〕
「もー!!何が行けるわけ?!」
〔う~ん…もしよければ他のキャラクター設定を行なって、職業に合わせたお名前を付けますか?〕
「え?そんなのできるの?」
〔前例はありませんが可能ではありますので、問題ないです!〕
「じゃ、そうして。なんかどっと疲れちゃった。」
〔はわわわ!ゲームする前に疲れちゃダメですよう!では、種族選択を行いますー!はいどーん!!〕
「うわ!ビックリしたぁ。」
名前が決まらず、先に他の設定を考えることになり、アメトリンのどーんという掛け声とともに、50cmほどしか離れていないところに大量の人型が現れた。特に目の前に現れた人型は、虹色に発光しているマネキンといった感じで若干怖い。5,6歩離れたところで改めて見ると、奥から普通の人間、耳の長いエルフ、小さいドワーフ、ケモミミと尻尾が生えた獣人、ロボットみたいな機構人形、そして虹色発光体といったところだ。
それぞれ人型の上に説明が書かれており、ちょいちょいディスった内容が書かれている。
人族…ノーマルな人間族。すべての能力が平均的であり、初心者にも優しく、できない職業が最も少ない種族だが、ただの器用貧乏で、特徴がないので原住民にも特徴的な顔が少ないのが特徴。
エルフ族…魔力との親和性が高く自然の力を借りた魔法が得意。弓による狩りが得意な種族と呼ばれているが、単純にSTRが脆弱で重たい武器が持てないだけである。美形は多いがコミュ障で若干ヒステリックママなところがある。
ドワーフ族…力強く、手先が器用で、鍛冶や細工などの生産が得意。女性は合法ロリ、男性は髭面しかいない。種族通して共通項は寸胴体型で体重が重い。可憐な合法ロリも機構人形かドワーフじゃなければ抱き上げられない。
獣人族…動物の特徴を持った種族で、ケモミミ+尻尾のライトな獣人から全身毛むくじゃらで二足歩行するヘビーな獣人まで設定ができる。選べる種族は犬、猫、兎、熊の4種。ケモナーにはたまらないが基本脳筋で魔法は苦手。言葉はいらない、肉体言語で会話だ!
機構人形族…全身機械でできた種族で、武器を自身の体にカスタマイズして成長する。男のロマンが詰まった種族だが、大器晩成型で最初は満足な装備もないため、貧弱of貧弱。脳みそカスタマイズしないと、魔法発動やアーツ発動など思考回路が早くならないためすぐにやられる。
ランダム…上位種族や、ランダム限定種族などがある。ネタ種族なども存在していて何になるかは運任せ!これぞ、ロマンの権化!ランダムは3回まで試せますが、3回目を引いたら問答無用で3回目の種族に決定します!!
と、言ったところだ。ランダムへの情熱がすごい伝わってくる。運営はランダムで楽しみたいんだろうか?特にこだわりもないし、ランダムにしてみよう。そうと決まればアメトリンに声を掛ける。
「アメトリン、ランダムで決めるわ。」
「わぁ~!!良いんですか?パパ達がとぉ~っても喜びます~!!」
「(パパって呼ばせてるんだ…引くわぁ)ちなみにランダムのデメリットはあるの?」
「そうですねぇ、一番のデメリットは何になるかわからないところです。あとはピンからキリまであるので、3回目のランダムでネタ種族が出てしまった場合は変更できませんので、限りなくリスクを軽減したいのであれば、2回目までに使いたいアバターが出なければ、初期選択の中からお選びいただくのをお勧めします。」
「わかったわ。じゃあ1回目のランダムを選択するわ。」
「わかりました!ではHEY!drum roll!!」
「発音いいわね。」
ダラララララララララダン!!
「1回目でましたー!魔法幼女です!」
「待って。」
「はい?」
「魔法…幼女?」
「幼女です!」
「……。」
「………。」
私の耳はおかしくなってしまったんだろうか?幼女と聞こえた。
幼女とはおおむね満1歳から小学校3年生(満8歳~9歳くらい)までを指す言葉である。
つまりこのアバターは強制的に合法ロリに変えてしまうアバターということだ。イエスロリータノータッチの精神は持ち合わせていない。犯罪の匂いしかしない、つまり、これは…
「倫理ーーーー!!!!」
「はわわわ~!」
「倫理委員会を呼びなさい!何を考えているの運営は!」
「あわわわわ!今!今えらいパパに連絡をしたので、落ち着いてください!」
「はぁーはぁー犯罪よ!」
『誠に申し訳ございません。』
「……誰?」
『私は運営法務部の安土と申します。この度はアバター部門の担当者が、未承認アバターを組み込んでいたことが原因となります。現在、魔法幼女アバターは削除、該当職員は厳重処罰の上、お客様には初回のランダム選択をなかったことにし、再度お引きいただけるようにいたしました。今後、このようなことが起こらないよう、社内の統制強化などを行ってまいりますので、何卒ご容赦いただけますと幸いです。』
「…わかりました。」
『ありがとうございます。この度はご迷惑をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。引き続き当ゲームをお楽しみください。失礼いたします。』
安土と名乗った運営は要件を伝え、すぐに消え去った。消える際のエフェクトがリボンのように解けて空間に消えるのがかっこよかった。自分もできるようになるんだろうか、などと考えていたら、アメトリンが仕切りなおすように声をあげた。
「それではお客様!仕切り直してランダム初回選択を開始します!Andiamo! rullo di tamburi!」
「え、なんて?」
「イタリア語でHey!drum roll!です!」
ダラララララララララダン!!
「でました〜!吸血鬼です!」
「好みじゃないわ、却下。」
「え、なかなか強い種族ですよ?最強も夢じゃないですよ?」
「最強とかいまいち解らないし、興味ないわ。次。」
「えぇ〜、では2回目行きます!E hele mai! Ka pepa pahu!」
「次は何語?」
「ハワイです!」
ダラララララララララダン!!
「でました〜!Sレア種族!鳥人族 モデル:オオルリでーす!!」
「このアバターの特徴は?」
「はい〜、鳥人族は飛行のできるアバターとしてレア種族として設定されています!なかでもオオルリは、現実でも2つの称号を持つ鳥として有名なのでSレアとさせていただいています。特徴としてはアバターは必ず光の当たり加減で濃度が変わる美しい青い髪と瞳、体の各所に羽が生えます。こちらの羽具合はお客様で調節が可能です!また、最も癒し系の鳴き声として有名な鳥をモチーフにしているので、種族スキルとして《癒しの声》を取得できます!また、常に癒しの波動を出しているので、住人達からの好感度が上がりやすいです!しかし、デメリットとして青い服しか身につけられなくなること、メインジョブが吟遊詩人に固定されてしまいます。なので、万が一音楽などをされたことがない方への救済措置として、本来であれば一人一種類の楽器しか選べませんが、複数の楽器を選び持つことが可能です。また、青系統の服は暫く手に入らない可能性が大変高いので、第3エリアまで適応する成長する装備が支給されます!」
「良いわね、吟遊詩人で旅人…ロマンある響きだわ!」
「あ、すべての飛行可能アバターに共通して言えることですが、飛行は訓練しないと飛べるようにはなりません。鳥がいきなり飛べないのと同じ、人間にはそもそも飛ぶ器官なんてないので、きちんと練習することを勧めます!最初は地上30cmくらいのところで浮遊すると、落下ダメージが少ないです!」
「わかったわ。私の種族はこのオオルリよ!」
「わかりましたー!ではアバターを適用します!」
---システムコネクト
----アバター融合完了
-----精神感応完了
------適応します。3、2、1、
-------完了しました。
眩い光に包まれて、どこからか聞こえる電子音声のカウントダウンが終わると、目の前にあったアバターは消えていた。代わりに大きな姿見が宙に浮かび、先ほどのオオルリのアバターと顔の作り以外が一緒になった私がいた。服装は襟部分が羽をモチーフにしたタートルネックで、みぞおち部分から羽を広げたようにがっつり開き、ヘソ出しルック。黒のスパッツの上に3色の青い布を重ねた巻きスカートを、エスニックな文様が編み込まれた太めのベルトで止めている。ベルト飾りに金と青く光る丸い石に、青い羽がついているのがついているのがとっても可愛い。アメトリンに羽の量の調節を促されたので、腕のあたりに小さめの羽を少量と、腹回りには白い羽が生えていて、こちらもへそ周りに少量生やした。腰回りには少し大きめの羽を多めに生やして、足はふくらはぎに多めに生やした。
「アバターの最終調整は終わりましたか?」
「終わったわ。」
「では次は!ジョブ選択とスキル選択に移りまーす!」
1話書くのに2〜3日かかっておりますので、次回は木曜日ごろになりそうです