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窮鼠の反逆  作者: 赤馬 ひのみ
5/5

5話 夜

 イミさんとナナセさんの2人とメインゲーム会場に到着すると、既に全員が集まっていた。


 それぞれのネームプレートが置いてある机へと歩を進めた。


 私がいそいそと机に着くと、アナウンスが流れた。


「皆さまお集まりですね、それでは手元を見てください」


 アナウンスに従って、全員が自分の手元を見た。


 手元には【複製】と書かれていた。


 周りを見ると、私以外の全員が首を傾げたり、顎に手を当てていた。


「皆さま、やはり状況がよく理解できていないという表情ですね。手元に何か書かれていたでしょう?書かれていたものが、あなたの能力です。どんな能力があるかは、このメインゲーム会場の壁に貼ってあります」


「質問、能力は被ったりする?

 テルさんが顎に手を当ててそう言った。


「能力が被ることは基本ございません、ただ、複製能力が対象を決定した場合はその対象の能力がコピーされますね」


「なるほどね」

 テルさんは合点がいったようなトーンでそう言った。


「ほかに何か質問は?」

 ゲームマスターがそう言うと、エリスさんが口を開いた。


「質問よ、手元に能力が表示された時、誰かが自分の能力を見た可能性はあるの?」


「それは絶対にないです、何故なら、個人だけが認識できるように施しているからです」


「へぇ、そうなのね」

 エリスさんがそう言うと、次にカロンさんが口を開いた。


「…質問だ、禁止事項はあるのか?」


「ええ、それはこれから説明致します」


「では、ほかに質問のある方もいないようなので、ルールの説明をしますね」


「このゲームのルール、まぁ、人狼ゲームのようなものです。先ほどあなた方に配った能力を使い、夜のターンに殺人鬼の能力を持った方が、1人を殺害します。昼のターンには犯人、つまり殺人鬼を見つけ出す為、1人を投票で処刑します。ちなみに、殺人鬼は夜にのみ能力を使いますが、他の能力は特に記載がない限りいつでも能力を使えます。それと、禁止事項ですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()くらいですね、この点を踏まえて質問はありますか?」


 ゲームマスターがそう言うと、真っ先にテルさんが口を開いた。


「質問、投票が同数になった場合どうするの?」


「投票が同数になった場合は何人であっても、追加で30分時間を取り、その同数票を獲得した方々で決選投票を行います。もちろん、票を獲得した方々は票を入れることはできませんし、同数票を獲得した何人か以外に投票することもできません」


「んー、つまり、AどBがいるどすて、2人ども10票獲得すてら、そえでその2人の中がら処刑者ば決める為さ決選投票ば行うんだよね?AどBは投票するごどが出来ねで、そのAどB以外さ投票するごども出来ねって解釈で合ってら?」


「ええ、そういう解釈で合ってます」

 

 ゲームマスターがそう言うと、テルさんは納得したように少し口角を上げた。


「…質問だ、殺人鬼は人を殺せるだけか?」

 カロンさんが頭を掻きながらそう言った。


「まぁ、正確に言えば人を殺せる力プラス、もう1つ力があります、まぁこの際ですから()()()()()()()、力の説明をしておきます。質問も伺いたいですからね」


 私が担当の間に…?さっきの「0日目のアナウンス」みたいに、1日ごとに違う人が担当してるのかな?1日ごとにゲームマスターが変わるっていうのはあんまり考えられないけど…。この人は説明担当って感じかな。


「まずは殺人鬼を見つけていく冤罪者たちから紹介しますね。力 複製、この力は対象を選んで、対象を確定させた時にその対象の能力を知ることが出来ます。そして、対象の能力をコピーし、勝利条件もそのコピーした能力に応じて変えることが出来ます、何か質問はありますか?」


 複製…私の力だ…。色々質問したいことはあるけど、質問しすぎたら疑われそうだなぁ。


 私が胸中で葛藤していると、テルさんが口を開いた。


「質問、選んで確定させるって喋ってだばって、何回でも選べで好ぎな時さ確定出来るの?」


「ええ、何回でも対象を変えることが出来て、好きな時に確定できますよ」

 テルさんはモッズコートのポケットからメモ帳とシャーペンを取り出して、スラスラとメモ帳に書き綴った。


「他に質問は?」

 ゲームマスターがそう促したが、1人も言葉を発さなかった。


「では、次の力ですね」


「力 賽子(さいころ)、この力は死亡すると使用出来ます。処刑された場合は生存者からランダムで道連れにし、殺害された場合は殺人鬼を道連れにします、何か質問は?」


 テルさんはメモ帳にメモをし終えて、顎に手を当てている。


「無いようですね」


「力 平民、なんの能力もないですが、無罪人を守る使命があります。これに関しては質問がないと思うので、次の力を説明します」


「力 救急、この力は誰かが怪我した時に使えます。誰かが怪我をすれば殺人鬼でも無罪人でも怪我を治せますよ、何か質問はありますか?」


 そうゲームマスターが言ったが、誰も何も言わなかった。


「いなさそうですね…」

 少し落ち込んだようなトーンでそう言った。


「じゃあ、次ですね」


「力 暗闇、この力は夜の時間に使えます、夜の時間に対象を決めることが出来て、その対象の部屋を真っ暗にすることが出来ます。その真っ暗になった部屋の主は力を使えません、あと、力は1回しか使えませんよ」


「質問、殺人鬼が1人すかいね時に殺人鬼にその力ば使ったっきゃ、殺害は起ごねの?」


「ええ、その場合だと、殺害は起こりません」


 少し間が空き、ゲームマスターが話し始めた。


「力 医療、この力は何時でも使えます。夜の時間に死亡した人を復活させることができますが、生存者に力を使った場合は医療ミスで力を使われた生存者が死亡します。これもシンプルなので特に質問はないでしょうから次に移動しますね」


「力 指紋、この力は人の指紋を判別することが出来ます。犯人探しにとても役立つ強い力なので、冤罪者たちからしたら重宝したい力でしょう。次に移動します」


「力 解剖、この力は人体を解剖することが出来ます。かと言って本当に解剖するわけではありませんよ、死亡推定時刻が分かるので便利な力です。時間がないのでもうどんどん言っていきますね」


「力 裁縫、この力は縫う事が出来ます。ただそれだけです。では…」

 ゲームマスターが次の説明をしようとした時、テルさんが待った、と声を上げた。


「縫う事出来るって、具体的さ何ば?物でねやづも縫うごどは出来る?」


「物ではないモノも縫う事は出来ますね。物体ではないものも、ちなみに縫うといっても針や糸を使用しなくても OKです」


「力 号笛、この力は殺害される時に使えます。殺害される時、一度だけアナウンスから部屋番号を伝えることが出来ます」


「力 暴徒、この力は夜の時間に使えます。夜に、力を使うと団員を増やすことが出来ます。団員が自分を含めない2人以上であれば、投票権を移動することが出来ますが、一度力を使うと団員は散り散りになってしまい、前に団員にした元団員を再び団員にすることは出来ません」


「次、裏切り者を紹介しますね。力 内応、この力の持ち主は殺人鬼を知ることが出来ますが、殺人鬼の名前を言ってはダメです。言った場合、ペナルティとして死亡します。裏切り者は殺人鬼ではないですが、殺人鬼の味方です」


「力 記憶、この力の持ち主は人の記憶を操作することが出来ますが、その記憶の操作は同じ人に2度出来ません。記憶の操作の範囲は12時間前までで、12時間後には記憶が戻ります。この力も裏切り者の力です」


 テルさんが何かを言おうとした瞬間、酷いハウリング音が鳴り響き、全員が耳を庇うように耳を塞いだ。


「ご………さい……また…会え……と………で」

 ごめんなさい、また会える時まで、と言ったのだろう。酷いノイズとハウリングだった。


 ゴーーン、ゴーーン

 どこからか大時計が鳴るような音が聞こえてきた、

 

「今日担当となった者です、どうぞよろしく」

 丁寧な口調で男性ような低い声の人がそう言った。


「これから夜のターンとなります。殺人鬼が冤罪者を殺害する時間ということです」


「ここからは自由行動、皆さま存分に夜の恐怖をお楽しみください」


 全員がぽかんと口を開いてスピーカーを見つめている。


 突然すぎて何が何だかわからない。


 思考が回らない。


 呆然と今起きている状況に各々が直面し始めた。

投稿に間が空いてしまってごめんなさい。

これからリアルの都合で投稿が遅れることがあります。ごめんなさい。

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