嘘つき天使と正直天使
看護師として患者に寄り添い看護をするのは変わらない。しかし配属科によって、大きく変わる仕事内容。同期の小児科ナースの子と職員食堂でご飯を食べながら近況報告とか相談だったり女子トークだったりをします。
「午前中に、採血やさぁ針処置が続いたんだよ。その度にさぁ大暴れなのはいつもの事なんだけど。後輩看護師と組んで処置に当たったんだけど……」
「うんうん、それでどうなの?」
「声かけながらするじゃん、その言葉がさぁ[すぐ終わるよ][痛いのちょっとだよ]って声かけながらするんだけど、実際は暴れるから押さえつけて安全が確認されたらしか針処置なんてできないじゃん。その間ずっと[嫌だ!][やらない][痛い]ってずっと言われ続けるんだよ。でもしないといけない事だから心を鬼にしてもしないといけなくて。終わってから言われるのが『嘘つき』『すぐ終わらなかったもん。痛いのもちょっとだけじゃなかったもん』と言われるんだよ」
それはキツイなぁ。
「処置より抑えられてるだけで怖くなっちゃうんだよね。でもしないといけない処置や検査。子供とはいえ言われる言葉に私達が慣れるまで心折れそうだね」
そう言うと、小児科同期の子は、私の病棟が気になるらしく聞いてきた。
「よつ葉の病棟って……」
「NICUだよ」
「ちなみに採血って?」
「スピッツではしないよ。採り過ぎちゃうもん」
「おぉ!そうだよね。暴れる?」
「ひとりでするよ。右足をしっかり持って消毒して光で透かして血管探して、処置針チックンして数滴とって圧かけて止血してその後保護テープ貼ってお終い。こんな感じかな。だから声掛けも始める前に[今から少しだけチックンさせてね]だし、針刺すときは[ちょっと痛いよ][終わったよぉ〜]って全て正直に話すよ」
「まぁ、病棟あるあるだよね。それぞれの持ち場の悩み事。ウチら嘘つき!ってしょっちゅう言われてるもん」
「小児科の子達は、お喋りできるもんね。NICUの子は喋らないからね。嘘つきなんて言われたことないし、処置を正直に話すしね」
配属先によって処置も様々。必要な知識や手技の向上、色々求められる事が違いますが看護するということに違いはありません。患者を思い行動する。小児科だろうとNICUだろうと元気に退院してもらう事を願って職務に当たっています。




