目に見えないウイルスと真実
コロナの感染拡大が止まりません。
病院内は感染拡大防止に伴い、今出来る最大の対策をして業務にあたっています。
休憩時間は食事も早々に、残りの時間で雑務にあたる。
そうしないと定時に上がれないため毎日がこんな感じで過ぎていく訳です。
自分が感染するかも知れない恐怖を抱えつつも、看護師であるという使命で業務と向き合う。
この状態が数ヶ月続き更に終わりが見えない。
そんな中、待合室のテレビから流れるのはコロナ関連の討論番組。
テーブルを囲み理想論を語っていないで現場を肌で体験したらどうですか?そんな甘いこと言っていられる余裕は無いんですよ。と思います。
伝えるのは、微笑ましいものもありますが、それにより二次被害に繋がるケースもあるのです。
事例をご紹介します。
とある日の全国区放送のニュース番組を観ている待合室の人々の中で起きた出来事です。
[注意①]
先日の活動報告の内容ですが、よつ葉が伝えたかったことを誤解された方がいたため、削除した内容を改めて慎重に言葉を選び理解してもらえるよう書き換えた上で、作品の更新・改稿という形を取りました。
ご理解、ご了承いただけると幸いです──
ある宝石店の店主が、コロナの最前線で働く看護師へ感謝の気持ちを込めて、天使をモチーフにしたペンダントトップを贈ったという内容のニュース。
ここだけを切り取ると微笑ましいものですが、それを伝えているアナウンサーはまるで、看護師全員にプレゼントしたような語り口調。
その時テレビに流れている映像は、東京の大きな病院の看護師数人が、宝石店の店主からペンダントトップを受け取っている贈呈式の模様でした。
もちろん受け取ったのは、その病院の看護師だけであって、その他の病院の看護師なんかに贈られるはずもないのですが、たまたま通りかかった看護師が、テレビを観ていた方から……
「お前ら宝石もらってちやほやされてんだな!」
と言われたそうです。
放送するなら、正しく国民に伝えて欲しいと思いました。看護師全員に贈られたかのように言うのではなく、◯◯病院の看護師◯名に贈られましたと明白に放送されていれば、地方の病院で働く看護師への暴言は無かったと思うからです。
ただでさえ、疲弊しているところに、事実無根の事で暴言を浴びせられることはなかったと思います。
そして、先日の活動報告で勘違いされたのは、宝石店の店主が行ったことを、私が非難していると思われたことです。(ここで勘違いされたので、説明を追加させていただきます)
このようなことは、なかなか出来る事では無いので感謝の気持ちはあります。
私が言いたかったのは、テレビ放送をするのならアナウンサーの方は正確に事実を伝えて欲しい。
ただそれだけだったのです。
また別の日ですが、コロナ感染者を受け入れていない病院が、コロナ感染者を受け入れたら良いんじゃないかという発言を耳にしました。
ウチの病院は、感染指定病院ではない第三次救急病院です。
なので、コロナ感染者以外の緊急患者がほぼ搬送されてきます。
救急病棟やICUは常に満床状態で、少しでも回復したら一般病棟へ転科させベッドを確保しているような現状です。
そのため一般病棟もほぼ満床状態で、スタッフ一同ギリギリの医療体制でなんとか頑張っている状況なのです。
現役看護師が言いたいのはコロナ感染者だけが患者ではないということ。
この時期、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、脳動脈破裂など運ばれてくる患者が増える時期。
どれだけ重篤であってもコロナ感染者と搬送が被れば、軽症でもコロナ感染者が優先されるのです。
全ての病院をコロナ受け付け病院にすると本来なら助かる命も助けられないのです。
それを理解してもらえていないと、コロナ感染者を受け付けていないと楽をしている病院とか、それでも医療人か!と仰る方もいらっしゃいます。
更には病院の最寄駅のホームで電車に乗ろうと思ったら、車内に乗っていた人が……。
「コロナばら撒くから看護師は乗ってくるなよ」
と大声で言っていました。
ほぼ病院関係者だと思うけど無視して乗車。こんな事が日常茶飯事で起こっているのです。
偏見の目で見られる看護師──
精神面、体力面共にギリギリのところで踏ん張って看護師という職業に誇りを持って患者さんと向き合っています。
ですので、どうかあたたかい目で見守ってください。
ひとりひとりが、感染対策をしっかり行い、コロナ感染しないように心掛けてください。
自分がもらわないように、そして、大切な誰かにうつしてしまわないように。
どうかお願いします。




