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異世界イルストラシオン  作者: 黒糖猫
3/10

№2 異世界first contact

投稿が遅れてしまい、申し訳御座いませんでした。

誤字または、文章の誤りが有るかもしれませんので、ご了承ください。

イタタタ…

僕は腰を摩りながら呟く。

何故ならロキリ君に、二度・・も落とされて、腰を打ってしまったからだ。

そう、二度・・もだ!

お陰で、腰がズキズキする様な痛みに襲われている。

ヴゥ…何で僕がこんな目に…



ちなみに僕は今、草原のど真ん中に居る。

何故、そこに居るかって?

落ちた先が、ココだったからだよ!

でも、まぁー。

良く良く考えてみれば、落ちた先が森じゃなくて良かったと思う。

もし仮に、森で落とされたとする。

そうなった暁には、森に住まう、狂暴な獣や魔獣の餌になるのがオチだ。

考えただけでも恐ろしい!

辞めだ!辞め!

今考えるべき事を、考えるんだ。



取り敢えず、そろそろアレの確認してみますか。

そう、異世界モノの十八番!

ステータスチェック!

 異世界から来た主人公は、大抵ある程度のスキルとかを、所有しているものだ。

 そう言えば、中には一般では会得できない特別なスキルを、入手していたりする事もある。

 コレぞ正に、ハイファンタジー主人公の特権!

 一体どんなスキルを持っているのか、何だかワクワクして来た。

 では早速、確認してみよう!

 僕は胸を躍らせながら、思いっきり大声で叫んだ。




「ステータス・オープン!!」




 ………

 ………………

 ………………………あれ?

 可笑しいな………何も起こらない?

 然も何故か、上空を飛んでいる鳥が、アホーアホーと小馬鹿にされた様な鳴き声で鳴いている。

 ………ちょっと、そこの鳥!

 気に障る鳴き声で鳴くのを、止めてもらえませんかね………

 流石の僕も、頭にくるから………ソレ!

 そんな事より!

 コレは、かなり不味い状況なのでは…?

 まさか………そんな事ってあるのか?

 考えたくない…

 でも、考えてしまう!

 僕はステータス画面が出るまで、ありとあらゆる言葉で試みるも、一切の反応しなかった。

 その後、息を切らし、叫び疲れた僕は、ふとある仮説を浮かばせる。

 それは余りにも、信じ難いモノだが、かなり可能性が高い。

 しかし、されが事実だとしたら………

 僕が今、置かれている状況が一変する。

 正直、それを信じたくない。

 だって、そうだろ!

 まさか…

 まさか!

 ………ステータスが無い………



 ガーーーーーーーン!!



 ………え?

 ちょっと待って!

 えっ、噓でしょ!

 それってつまり、スキルも何も無いまま、異世界に送り込まれたの僕!?

 まぁ、正確には”落とされた”だけども。

 そんな事は、どうでも良い!

 今問題視するべきは、これからどうするかだ!

 何これ?

 なんかの罰ゲームとかなにかか?

 流石に、それは無いでしょう!

 ロキリ君の馬鹿野郎!

 人でなしー!

 他所の世界から来たやつに、一からやれってか!

 マジで冗談じゃない!

 右も左も分からない世界ばしょに落とされて(然も手ぶらで…)

 例えるなら”プレイした事が無いゲームの中盤戦に、初期レベルのアバターで戦え”って言っているに等しい。

 世の中には、ちゃんとした順序ってもんがあるんだ。

 そんな無理難題を押し付けられても困る!



 僕は下唇を噛み締めながら、orzの体制になり、血の涙を流す思いで泣いた。




「………もう、帰りたい………」





                              ◇◇◇





 僕は異世界に来て早々、ホームシックになっていた。

 いやいや、この今の状況を受け入れろって言う方が無理でしょ…

 だってさ、保険スキルも無い。手ぶらのまま、この世界に放り込まれたんだから。

 流石に、僕も現実逃避するさ。

 はぁ~…

 深く溜息をつく。

 溜息をつくと幸せが逃げるって聞くけど、この状況じゃー溜息もつく。

 これじゃ、近くの街に着く処か…飢死するかも知れない。

 いやマジ、冗談抜きで…かなりヤバイですよコレ。

 僕はボーとしながら、空を眺めた。

 はぁ~………いい風だな~。

 アハハ、アハハハハハ…(苦笑)



 そんな感じで、僕は大きな石に腰を掛け、そよ風に吹かれながら黄昏ていた時、とある青年が声を掛けて来た。

 それは一人の冒険者・・・だった。




「おい坊主、そんな所で何している?」


「………ほぇ?」




 声を掛けて来た冒険者は、外見は熱血って感じの細マッチョだが、その割には、爽やかな顔付き。

 歳は多分、十代後半ぐらいかな?

 背丈は、僕の頭一個分高い。

 服装からして、いかにも冒険者って感じの動きやすい服を着ており、手元には立派な赤い槍を持っていた。

 髪型は赤茶色のボサボサヘアで、前髪は2:1に分けられ、その内の右側を、2本の銀色のヘアピンを付けている。

 ハッキリ言おう…これは、なかなか日本人受けする美男イケメンだ。




「おい!聞えているのか?」


「あ、すみません…」


「何だ、その辛気臭い面は? おとこならシャキッとしろ」


「あっ、はい…そうですよね………」


「…何だか、訳ありの様だが。どらぁ、一丁聞いてやるから話してみな…」




 それからと言うと、話し掛けて来た青年にいろいろと話してみた。

 勿論、僕が異世界人だとか、ロキリ君の事とかは、伏せておいた。

 だって、普通に話したって誰も信じないと思うからだ。

 なので、今僕が置かれている状況を、設定した話をする。

 それも、なるべく真実から離れない程度に…

 そうで無いと、信用性に欠けるからだ。

 ちなみに、僕が考えた設定とは”とある事情で故郷を旅立ってみた物の、道中にトラブルが多々続き、その際に手荷物を全てを無くしてしまい、途方に空けぐれていた”と言う事になっている。

 それを話したところ、その青年は「そうか、それは大変だったな…」と、同情された。

 見た目はチャラ男に見えるが、人の話を真剣に聞いてくれる良い人だった。

 お陰様で、少し気持ちが軽くなった気がする。

 本当の事を言えない分、何だか騙しているみたいで気が引けるが、仕方が無い事だと割り切るしか無い。

 そんな事を考えている内に、青年が「よしっ!」と言いながら立ち上がって、僕に提案を持ち掛けて来た。




「なぁ、この先に町があるんだが。良かったら一緒に行かないか?」


「………え、良いの?」


「ああ、勿論だ! 実は俺、丁度この先の街に用があってな。それに”旅は道連れ”って言うしな! これも何かの縁ってやつだ」




「ついでだし、一緒に行こう。まぁ~、一人で居るのも飽きて、話し相手が欲しかった所だったんだ」なんて事も言っていたが、構わなかった。

 何故なら、そんな青年の軽い馴れ合いとは裏腹に、僕は彼の親切心に感銘を受けた。

 何て良い人なんだ!

 本当”何処かの誰かさん”とは、大違いだな。

 されがなのかは、敢えて言わないでおこう。

 で無いと、後が怖いからな…

 とまぁ…そんな感じで僕は、何とか異世界での最初の一歩を、踏み出す事が出来て良かったよ本当。




「そう言えば、自己紹介がまだだったな。俺の名は、ヴァース…俺の事は呼び捨てで構わない、宜しくな!」


「僕は、描真カイマ。此方こそ、宜しくお願いします。」




 そう言うと、お互い体を向けて手を差し出し、握手を交わす。

 こうして僕は、冒険者ヴァースの御好意で、近くの町まで同行させてもらえる事になった。





                            

◇◇◇





 ヴァースとの出会いから丸数日が経った。旅路の際、僕が”田舎出身の世間知らずだ”といった言ったら、ヴァースは丁寧に色んな事を教えてくれた。

 先ずは、ヴァースの事について話す。

 ヴァースは冒険者で、ちょっと名の知れた槍使い〈赤槍せきそうのヴァース〉と呼ばれている。

 異名とか合って、カッコイイ!

 冒険者のランクには、上から順に”S・A・B・C・D・E・F”があり、ヴァースはBランク冒険者で、かなりの手練れだそうだ。



 そんなヴァースが何故、近くの街に用があるのか?と言うと…

 その街の近くには大きな丘があり、そこの頂上に”謎の剣”が突き刺さっている。

 話によれば、その剣は普通の物に比べて、異様なまでの、膨大な量な魔力を宿している。

 然も!その剣には自我が有るのか?所有者と認めない者は、何人たりとも剣を抜く事は出来無い。

 もし、強引に抜こうとすれば、拒絶反応を起こし、数メートルまで吹き飛ばされる。

 (実際に、それで谷に落ち掛けた人もいたそうだ…)

 そして、そんな凄い剣が在るとか言う噂が広まり、その剣欲しさに多くの者が集う。

 そんな感じで、街の方は大賑わい。今じゃ、街興しに一役買っていると言う事だ。

 剣士や金持ち貴族、後にはヴァースと同じ冒険者が、主に訪れている。

 


 それなら何故、剣を使わないヴァースが訪れるのかと言うと。

 ヴァース曰く「そんな凄い剣に認められたやつが、どれ程の強者つわものか、この目で確かめたい!そして願わくば、闘ってみてぇー!」だそうだ。

 一体、何所ぞのバトルマニア何ですか…

 そんな事を思いながら、歩き続ける。

 一時はどうなるのかと思ったが。

 今じゃ、もうそんな心配事は無い。完全に落ち着きを取り戻した。

 旅路に一緒に居てくれる人が、居るのと居ないのとは随分勝手が違う。こんなにも心が落ち着くとは思わなかった。

 その点に関しては、偶々近くを通り掛かったのが、ヴァースみたいな良い人で本当に良かった。

 目的地が近付くにつれて、ワクワクしたがら胸を躍らせる。





                          

◇◇◇





 その後、一行は目的地である街”ルーネス”に到着していた。

 到着前、ヴァースから「街についたら、これからどうするんだ?お前、一門も無いんだろう?」と聞かれ際、僕はギクっとした。

 そう、僕的には「何とか町に着きたい」と言う一心の元、その先の事は、全く考えてい無かったのだ。

 そんな感じで、僕が問いに困り果てている姿を見てヴァースは、やっぱりかと言わんばかりに溜息をついた。

 いや本当に、面目ない………

 まさか、自分が此処まで鈍感で、計画性が無かったとは思わなかった…

 然も、同行を初めて早数日間。

 例えば、旅に慣れてい無い僕を気遣ってペースを合わせてくれたり、食事も与えてくれたり、寝る際には毛布を貸してもらった。

 見ず知らずの相手に、此処まで親切にして貰えるなんて、本当に何て良い人なんだろう…

 前の世界でも、此処まで親切にしてくれたのは生まれて初めての事だった。

 僕は思わず、少し涙目になりながら思う。

 そんな時、ヴァースが「よし…」と呟くと、僕の方を向き話しを持ち掛けて来た。

 如何やら、何か閃いた様子だった。




「なぁ、少し提案があるんだが…」


「…提案?」


「あぁ、描真…お前さ、冒険者になる気は無いか?」




 詳しく聞いてみると、これから先の事を考えると…やはり稼ぎながら旅をするなら、冒険者ギルドか商売ギルドに登録の申請するが良いとの事。

 そうすれば、ギルドカードも発行され、入国をする際にカードを提示すれば、税金が免除され、お金を払わずに済む。

 旅をして行く者に取っては、常識だとも言っていた。

 正にギルドカードは、旅路に欠かせない必須アイテムなのだ。

 更にギルドに所属すれば、ギルド内に提示されている依頼クエストを達成すると、しっかり報酬が貰える一石二鳥。



 しかし冒険者か…

 折角ヴァースから勧めてくれたが…正直に言うと、こんな非力な僕に務まるのだろうか?

 自慢じゃないが…体育の評価は、そんなに良くない。はっきり言って苦手だ。

 しかし、この世界には魔法と言う物が有る。

 もし僕に魔法の才能が有れば、前衛で戦えなくても、後衛で味方を支援するのも、有りかも知れない。

 そうと決まれば、先ずはステータス鑑定が出来る、教会へ行こうではないか。

 旅の道中、いろいろと話を聞いた際に、ステータスについて質問してみたところ。

 ステータスは、教会運営の一環で、其処で鑑定をして貰えないと、ステータス自体は表示されない。

 だからか…道理で、何度も「ステータス!」と叫んだところで、一向に出て来ない訳だ。



 ちなみに鑑定に用いられるのは、鑑定する為の魔道具がある。数は少ない為、使用を許されているのは精々、大きな街や都市に在る教会のみだそうだ。

 そして、鑑定スキルと言う物は存在し無い。夢物語に登場する、伝説の賢者様が使えたと言うレベルの物だった。

 異世界モノでは、定番だったが…確かに考えてみると、これも立派な特殊チートの部類に入る。



 そして、僕が一番聞きたかった事が一つ有る。

 何故こんな僕に、そんな話を持ち掛けたかと言うと…




「何故って…そりゃあ、お前の事が気に入ったからだ」


「…え?」


「なんて言うか、その…実は俺。他の冒険者とは、どうも気が合わなくてなぁ。特に妙にプライドが高い奴は尚更。無駄に力を自慢したがるわ…見下したがる奴らが多いから、俺みたいな実力で這い上がった若僧は目の敵にされやすい。お陰でこっちは良い迷惑だ! 俺がギルドに顔を見せると、真っ先にガンを飛ばすわ、いきなり出て来たと思えば”目障りだ!”何だと、いちゃもん付けられるわで大変でさー。そのせいで何度、ギルド内で問題を起こした事か…中でも一番酷かったのは、其処のギルマスに、こっ酷く怒られた挙句の果てにボコボコされた。被害者で有った俺も含めてだぜ!なぁ、酷い話だろ?」




 そんな事言われてもな………

 僕は、そう思いながらも、アハハ…と苦笑いをしながら頷く。

 うん…ナマラ混沌カオスだねぇ!

 僕には想像も付かない事だ…




「だから、俺は別に…一人で居るのが好きで、ソロをして居る訳じゃない。確かに一人で居る方が、気が楽かもしれない…だが、俺もそこまで馬鹿じゃない。冒険者に成て、それなりに長いが…流石に俺も、一人で熟すのも限界が有る。ここいらで、ちゃんとしたパーティーを組もうと考えていたんだ」


「そうだったんですね…」




 彼は彼なりに、これからの事や、色んな事をしっかり考えているんだなー。

 凄いな~…僕なんかとは大違いだ。

 



「そんな時、お前と出会った…」


「………えぇ、僕ですか?」


「あぁ!まぁ…最初の頃は、困り果てていたお前に、手を差し伸べたのは、俺の身勝手な好意による物だが…」

「数日と言う短い間だったが、お前と一緒に旅をしてみて『仲間ってこんな感じなんだろうな』って思えたんだ」


「いや、そんな大袈裟な…」


「大袈裟なんかじゃ無い!」


「!?」


「旅の間さ、俺…結構、笑っていただろ?」


「?………うん」


「実は俺、あんなに笑ったのは、数年ぶりなんだ…」


「!」


「なぁ、驚いただろ? 正直…自分でも驚いているんだ。実際、周りからは”無愛想”とか、言われていたしな」




 何て…そう言うと、少し高笑いをしているが………

 正直に言うと、一緒に旅をして来た僕に言わせれば、信じ難い事だった。

 確かに言われてみれば、出会った当時は、少しクールな雰囲気が会った気がするが………

 しかし、それよりも笑っている印象の方が、僕の中では強い。

 だからこそ、僕にとっては衝撃的で有った。




「だからこそ俺は、お前と…カイマと一緒に、これからも旅をしたいんだ…」


「………ヴァース」


「単刀直入に言う!カイマ…俺と一緒にパーティーを組んでくれ! 冒険者をやって行く中で、必要最小限の知識や戦い方も教える! 無論、強制は求めていない。嫌なら…はっきり断っても構わない! だから…どうか、考えてみほしい!」



 そう言うと真剣な眼差しで、僕を見詰めて来る。その圧倒される様な視線に、思わず息を吞む。

 冗談なんかじゃ無い。アレは…意思を貫こうとする本気の目だ。

 それに対して僕は、しっかりと答えなければならない。

 その後、数十秒の沈黙が続いた。

 そして僕の返答は………


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