人生論的な話題を述べます
棚の前でいつも悩む。
私が買い物で悩むのはこの場合だけだ。高値が美味は当然だ。だが、小便となり、流れていくモノにそれ程の大金は使えない。安価で、美味い逸品を私は勘を働かせて選ぶ。
ネットなどで得た知識を呼び起こし選ぶ場合もある。もし、鏡があれば自分の真剣な顔を見る事になるだろう。これほど真剣になれる事も情けない。
大本命はやはりワインだ。
高額なフランスワインは人間を虜にする。特に、ブルゴーニュ産のピノノワールは最高だ。他の葡萄種であるカベルネやメルローも悪くは無いが、若干、私の好みから外れる。私は断然ピノ派だ。
が、私は貧乏である。
わずかな小遣いをピノ様に使う勇気が無い。一本5000円以上クラスのピノ様は感性を破壊する程のパワーを持っているのだが、私には現実を破壊するだけのパワーは無い。
現実的に私はランクを下げるしかない。
1000円クラスのワインはまあ、普通である。同クラスの日本酒よりは若干良いような気がする、と、あるサイトに記載していたらしい、と知人が吹聴していると噂で聞いた。
以来、私は千円台のワインを選び、専ら白を取る。その中でも甲州を選ぶ事が多い。甲州は日本産ワインの代表格だ。
ところで、甲州をはじめ、白ワインは、キンキンに冷やして飲むと美味いと思う。数本で『ビールなんか、ションベンだぜ』的な気分になれる。
さらに飲み続けると、妄想の世界へといざなわれ、尽きぬ官能と美を満喫させてくれる。だが、人間の欲望と快楽の追及には限界が無い。これは向上心の一環だ。
実は向上とは一方通行で無いのだ。
ローマに至るには多数の道が有るように、己が最高の状態に至るにも多数の方法がある。高級ワインを選ぶ事や、日本酒で無く葡萄酒を選ぶ事もそれぞれ一本の道である。ここで、私は此処に更なる道を提示したい。
ウイスキーを飲む事。
これもとても良い。すでに賛同者も多いだろう。
チャールズ・Bは作品の中で云っている。
『ウイスキーを覚えさせやがって』
この一文からはウイスキーを否定している感があるが、彼の作品に魅せられた人間には理解できる。
『彼はウイスキーを絶賛している!』
C・ブコウスキー酒と女と薬物と淫行と皮肉と病気と犯罪と正義と悪と世界と人間に陶酔した。そして、死んだ。酒と泪と男と女を愛したEIGOも死んだ。
共に偉大な先駆的思想家だった、とウイスキー酔いの頭で思った事が有ります。