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読んでもらえば、ありがたい。  作者: アカイロトウマス
2/24

DQが最初だと思う

「盗賊キンダダを知っているか?」


 老人に尋ねられた時、僕は肉を齧っている処だった。慌てて飲み込もうとしたが、それが裏目に出た。


 「キンダダって、キンダダ団頭目かい?」


 横ビールを飲んでいたユースケが代わりに答えてくれた。


 「そうじゃ」


 老人は断りも無く、僕達のテーブルに着く。ルシアはちょっと迷惑そうにそっぽを向く。


 「キンダダを捕えてはくれぬか?」


 老人はせっかちだ。物事には順序がある事くらい子供だってわかる。


 「いいぜ。でも難題だね、高いぜ」


 順序を無視する奴は老人、子供だけでは無かったようだ。我がパーティ切り込み隊長、武闘家トンタも手順を無視した。


 「トンタ、勝手に決めちゃ駄目よ」


 パルソナがトンタを戒める。


 「へーいへい、悪うござんした」


 トンタが反論しないのは保身の為だ。パルソナの攻撃魔法は『はぐれ大樽』でも回避不可能な素早さと破壊力がある。


 「で、トウマスはどう思う?」


 肉がなかなか飲み込めずに、ルシアに答えるのにも少し手間取った。


 「まず、理由を聞こうよ」


 そうね、当然だ、と頷くメンバーと、いいや、面倒だ。うっちやれ、と横を向くメンバーで二分される。

このパーティの不安な点だ。


 「で、早く、お話し」


 パルソナが毒針を老人の喉に当てる。パルソナは毒針の扱いも上手で急所を必ず、貫く。


 「キンダダは悪い奴です」


 パルソナの脅しが効きすぎの様だ。機転の利くユースケが和やかにしようと老人の分のビールを注文する。


 「まあ、これでも飲んで。そう固くならずに」


 ポンポンと老人の肩をたたくユースケはフレンドリーな戦士だ。


 「ありがとうございます。ごくごく、ふー」


 見事な飲みっぷりで、皆見とれてしまった。


 「爺しゃん、飲めるねー。見直ちた。話なんか、後だ。飲もうぜ」


 ルシアの呂律の回らない。


 「いつの間に、酔ったんだ?」


 トンタも気が付かないほどの早業注文で、ルシアは上機嫌だ。足をばたつかせると、足元に隠されていた酒瓶がゴロゴロと転がりだす。


 「おーい。ビール、焼酎、ウイスキー、なんでも全部持ってきて!」


 ルシアの叫びに店内がどよめく。


 「やばいんじゃない?」


 凸凹チームとはいえ、いくつかの修羅場をくぐった仲間だ。特に、僕とユースケとトンタはフロントの立場だ。その為か、思考回路が似ているのだろう。だから、この場合も同じことを考えていた。

 

「ここらが、潮時かな」


 「そうだ」「まちがいない」


 「じゃあ、止めなきゃ」


 「そうだ」「まちがいない」


 「で、誰が止めるの?僕?」


 「そうだ」「間違いない?」


パーティの代表者なんて厄介事の対応要員でしかないと思う。死んだ仲間を蘇らせたり、毒の池で痛い思いをしながら鏡を探す、そんな事ばかりさせられる。


「ちょっと、ルシア。飲み過ぎなんじゃない…」


「ヤッカましー!!!」


近距離で飛んでくるトゲトゲの呪文を避けるのが精一杯だった。装備も解いていた事もあり、周囲を考える余裕が無かった。ふにゃらと朱に染まったルシアが倒れた後、見渡すと死屍遜存の現状だ。


「やばすぎでしょ」


今回は誰もが無条件で頷く。一糸乱れぬ意思疎通などは、このパーティではとても珍しい事だ。


「キンダダを…」


「喧しい!シャラップ!」


ユースケとトンタが爺さんを蹴とばす。

酒場での情報収集はトラブルが多いです。

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