■ 想像と映像
The Soulful Piano Of Junior Mance
を 聴きながら
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……いつだったかな。忘れたけれど、幼いころに読んだ小説。タイトルは思い出せないのだけれど、その小説、主人公が、野垂れ死にするお話だったの。その小説の中で、主人公は狂気じみた演技をする、(まさにとりつかれたような)舞台俳優さんなのだけれど、私生活はめちゃめちゃで。
最後のページで、彼は、お酒におぼれながら、幻影をみるの。……幸せな幻影だと思うでしょう?……それが、そうでもないんだな。
彼は、幻影の世界でさえ、悪夢の世界に生きていたから。まさに悪夢に溺れるようにそのまま冷たい灰色の雪に埋もれて野垂れ死んでいくの。
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……なんだか、ひどく心に残っているのは、何故なのかな……挿絵なんて全くない、本当にかざりっけのない文章の中に、映像を見たから
ひどくかなしく思えた モノクロの、世界。
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実際にないのに、実際にあるようで、全くつかめないのに、まるで目の前のスクリーンで映し出されているみたいに それはリアルでひどく生々しかったから
想像と映像の世界は似ている って そんな風にその時思ったこと 覚えているよ
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なんだろう、何かに きっと私は引き付けられたんだろう いったい なにに引き付けられたのかな あの時 私は