潔癖症の末路
ABCという三人の友人がいた。
Aは英吉と言う名前から、Bは馬場という名字から、Cも千葉という名字から付けたあだ名だった。
三人は仲が良かった。幼い頃からの友人で一緒に寝泊まりもよくしたものだった。
ある日、Aが入院したと聞いたBが、事情を知っているCにAの話を聞きに来た。
「Cよ、Aが入院したんだって。大丈夫なのか?」
「よっB、元気だったか。Aはアレだ。また潔癖症が出たんだよ」
「またか。昔からだよな、あいつも」
「ああ、最初は俺がAに夜、寝ているときに虫が口の中に侵入して卵を植え付けて腹から食い破ってくるというホラー話をしてやったからだが」
「ホラ話だろ、それ。それで口を閉じて寝るようになったみたいであいつのイビキで寝れないということがなくなったんだからCには助かったんだけどよ」
「それだけじゃないだろ。みんなで叱られて罰として便所掃除させられたとき、あいつにトイレの菌の話をしてピカピカに磨き上げてしまうように仕向けたのは俺だぞ」
「ああ、一か月トイレ掃除は辛かったよな。途中からする必要が無くなったのは元はお前かよ」
「校庭の掃除のときもだぞ」
「ってあれは奴が除草剤持ってきて枯らしまくって更に叱られただろうが」
「そうだっけ。でもプール掃除は役立っただろ」
「あれにもお前が関与してたんかよっ!?」
「そうだぞ、ちゃんと感謝しろよな」
「もう時効だよ。それより今回は何なんだ?」
「ああ、腸内細菌や胃のピロリ菌の映像を見て衝動的に胃腸の切除を希望してな」
「はぁ? 切ったのか、それで!?」
「切った切った。おかげで今は点滴暮らしだよハハハ」
「おいおい、笑いごとか。大丈夫かよ、まったく。それで話は変わるがお前は今何を調べているんだ」
「ああ、これか。性転換手術の資料集めだよ。モロッコとかそういう手術してくれそうな国とか調べてるんだよ。手術費用やら移動費とか、な」
「何!? おまえ、女になるつもりか? ホモだったのか」
「いやいや、俺じゃないよ。Aに見せるためのものだよ。そういうのは差別だぞ」
「わりぃ。でAは女になるのか? どういうことだよ、説明しろよ」
「ああ、今度さ、この映像をAに見せるんだよ」
「これって、精子の映像か……」
「そうだよ。これ見たらさ、絶対Aは気持ち悪がってあそこ取っちゃうと言い出すだろうからね」
「……」
BはCがすべての黒幕だったと知り、恐怖で金◯が縮みあがって突き上げるような痛みを感じるのだった……