CASE.6 最弱は狡猾で悲劇的で
ブクマがもう六件Σ(・□・;)
本当にありがとうございますm(__)m
予告通り戦闘パートですね(^-^)
相手は緑色のアイツだっ!!
神様から、本当に色々な事を習った。時には生活には全く必要の無い事まで覚えさせられ、その中には地球で流行っているらしいゲームの事もあった。
今思えば、俺がこの世界に来る事を見越しての勉強だったのかもしれない。神様ならやりかねない。
「ギャギャッ!!」
俺を取り囲む奴らは、そのゲームの勉強の時に習った”ゴブリン”と全く同じ姿形をしていた。
ゴブリン。小鬼とも言われるソイツは緑色の肌を持ち耳が長く、体長は子供程の大きさしかない。よく最弱のモンスターだと言われるがその実、ソイツ等は中々頭の回転が良く、狡猾な行動を取るらしい。ぼろ布の様な腰巻に引っ提げられた泥の塊や、手に持っている小剣と盾がそれを示している。
単体だけで考えれば確かに最弱なのだろう。しかし、これが複数体同時であれば恐らく人一人軽く殺めるだけの力を有しているだろう。
数にして十。それが、俺の初戦闘を飾る相手だった。
「……俺が丸腰だって分かってるのか」
全員の手には小剣や槍が握られている事から、俺の装備の薄さを見て襲ってきたのだろう。
中々ずる賢い。手荷物の所為で片手が塞がっている現状を考えれば、一瞬にして窮地に追い込まれているのである。
「ギャギャギャッ!!」
「っ!!」
状況を確認しつつ打開策を練ろうとするも、やはりそんな暇は与えてくれないらしい。背後にいたゴブリンの一体が、俺の頭目掛けて槍を突き出して来た。
聞こえて来た足音で攻撃を仕掛けて来るのは分かったので、槍の一撃はギリギリの所で躱せた。
だが、自分の顔の横を通り過ぎる鉄槍の、その穂先から感じる死の臭いに、嫌にでも身体が震えさせられる。下手をすればこの一撃で、死んでいたかも知れないのだ。
「うおっ!?」
「ギャギャッ!! ギャギャギャッ!!」
一分一秒が死と隣り合わせだと身体に刻みつけられ、思う様に頭が回らない俺に更に追撃の小剣が迫って来る。それもまた、危なっかしくも寸での所で躱せた。
──────これはマズい、完全に相手のペースに嵌ってしまっている。
ゴブリンから距離を取ろうと囲いに出来た抜け道を見ようものなら、ゴブリン達が即座に塞ぎにかかってくる。こちらに攻撃の手段が無いと見ているからか、何の警戒も無く突っ込んで来る。
「ギャギャッ!!」
「くっ!!」
「ギャギャギャッ!!」
「おっと!!」
二体に同時に突かれるのを上手く回避すれば、足元を斬られそうになる。ゴブリンは俺の予想以上に狡猾らしく、こちらの反応を見て楽しんでやがる。
だけど、この一方的な戦闘にも関わらず未だに一撃も当たってない所を見ると、俺の身体能力と反射神経はゴブリンより上回っているという事なのだろう、ならば──────
「──────うらぁっ!!」
「グギャッ!?」
槍を突き出して来た奴の腹に、半ば強引な蹴りを一発叩き込んだ。少し無理のある大勢だったせいで地面に倒れてしまったが、確かな手ごたえは感じた。
「どうだっ」
「ギャギャギャッ!?」
子供サイズだからか、ゴブリンは俺の蹴りで簡単に吹き飛んだらしい。それに仲間のゴブリン達は驚いたようで、動きを止めて吹き飛んだ奴の方に目を向けていた。
いける。たとえ決め手に欠けようとも、このまま吹き飛ばしていけば逃走経路を確保出来るかも知れない。
敵の動きが止まっている内に立ち上がり、反撃が取れるように構えた俺は、思わず目を見開いてしまった。
「おっしゃかかって──────って、え?」
吹き飛ばしたゴブリンが、消えていたのだ。それも、茂みに隠れたとかそう言う感じではなく、文字通りこの世界から消滅していた。
「グ、グギャッ……」
ゴブリン達が、驚きと恐怖の入り混じった顔で俺の方を見てくる。こいつら、本能的に俺を強敵か何かだと認識したんだろうか。
正直、俺も戸惑っている。ドロップアイテムがある、という事から倒したモンスターの死体は残らないのだろう、とは予測していたが、まさかたったの一撃、しかも腹を蹴っただけでゴブリンを倒せるなど、誰が想像出来るだろうか。
「……これは、形勢逆転なのか?」
「グ、グギャ……」
俺と視線の合ったゴブリンが、冷や汗を伝わらせながら後ずさりする。小剣や盾の握り方から見て、明らかに逃げる体制である。
こうなれば、やる事などたったの一つ。
「…………は」
「ギャギャッ……?」
「反撃だぁぁぁぁっ!!!!」
「ギャギャギャギャァッ!!?」
こうして、俺の一方的な”狩り”が幕を開けた。
ゴブリン相手に無双って、まだ無双には程遠い?
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