CASE.5 確認直後の窮地……?
筆の進む所まで進みましょう(^-^)
あ、早速ブクマしてくれた方有難うございますm(__)m
袋の口を開いて地面にばら撒くと、足元に落ちたのは臙脂色の辞書のような本とジャリジャリ音の鳴る無地の小袋、そして一通の手紙だった。
手紙を拾い内容を見ると、どうやら神様からの手紙だったらしい。
『愛しい君へ
この手紙を見ているなら、恐らく君はアストレイアに無事に行けたのでしょう。色々積もる話もあるかもしれないけど、それはまた今度聞かせて頂戴。服装もそちらの世界に馴染めるように着替えさせておいたけど、予備の服は入れられなかったから早い内に街で手に入れるのよ。
話を戻すね。恐らく説明していると思うけど、君がそっちに行った目的は”透過病に罹って世界から消えてしまっている少女を助ける”事。自分勝手なお願いだとは分かっているけど、君なら出来ると信じているから。
因みに、少女の名前はシルフィ・ランメルディ。もう既に世界から存在が消えてしまっているから、探す事は困難を極めると思うけどお願いね。
話は変わるけど、袋に入れたアイテムの説明だけさせて貰うわ。
まずは図鑑ね。これに君の魔力を注ぐと君専用の図鑑となって、倒したモンスターがそこに自動で記載されていくようになってるの。しかもモンスターの事細かな情報やドロップするアイテムも記載されるから、これを使って”虹の泉水”を手に入れて。
もう一つの方はそっちの世界のお金ね。種類としては価値の低い順に石貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨、王金貨の八種類あって、石貨十枚が鉄貨一枚と等価みたいに、貨幣十枚で一つ上の質の貨幣と等価になってるわ。今回は白金貨までをそれぞれ一枚ずつの合計六枚入れてるから、無くさない様に使ってね?
最後に、あくまでも”虹の泉水”を手に入れて彼女を救う事を目的に君を生き返らせてそちらの世界に送り込んでいるけど、基本的には自由に生きてね。そして、地球で得られなかった物を全て手にして来なさい。
あ、後、私と勉強した様に人の中には悪い奴らが居るから、そういう奴らは懲らしめるのよ。お願いだから私を悲しませる様な悪い子にはならないでね? それとそれと────────────』
「──────愛が重いわっ!?」
最後の方に大量に書かれていた、過保護すぎる文章に思わず手紙を投げてしまいそうになる。まぁ、神様らしいと言えば神様らしいんだけど。
「……自由に生きて、か。神様も結構無理難題言ってくれるよなぁ」
そう呟いた俺は、視線を上に持ち上げてみる。
青色寄りの水色の空が、不規則な形の白い雲を幾つも浮かべて、何処までも続いている。空を見るのは初めてだけど、どこか安心感があって、それでもって好奇心を駆り立ててくるような気がしてならない。
(やりたい事……もちろん神様の力になりたい、だけど神様が言いたいのはその事じゃない。だったら俺は──────)
「──────全てを見てみたい、か」
百聞は一見に如かず、習うより慣れよ。どちらも神様から教えて貰った言葉であり、今の俺にはピッタリだ。
動く事も、話す事も、見る事も、聞く事も、触る事も、食べる事も、もう何だって出来るんだ。だったら神様の言う通り、出来る事を何だってやってやろう。多少の無茶も、神様は軽く叱って許してくれるだろう。
「だったらまずは街を探そう。さすがに野宿するのは神様に怒られそうだし……あぁ、先にこれか」
そう言えば、と俺は立ち上がる前に図鑑を手に取った。
魔力の込め方は知らない、だけど随分前に神様から聞かされた話だと、確かそれに力を込めて、手の中を伝って対象に血が流れていくイメージをすればいい、って言ってたっけ。
「こう、か…………おおっ!?」
記憶を頼りに何となくでやってみると、少しして図鑑が紫色の光を放ち始めた。でもそれも一瞬の事で、すぐに治まると今度は表紙に文字が浮かびあがって来た。
「……読めないんだよなぁ」
そう、残念な事に俺の知らない言葉で綴られているので、何が書かれているのかさっぱり分からない。
中をパラパラ開いてみても白紙白紙で、どうやら本当に自動で記載されていくらしい。
「……ま、これはもうこれ以上発見はないだろ」
図鑑を閉じ、手紙と一緒に大袋の方に放り込むと、お金の入っているらしい小袋を開いてみる。中には同じ模様が彫られた、五百円ほどの大きさのコインが六枚ほど入っていた。
「あー、なるほど……材質的には教えて貰った金属のアレと一緒なんだな」
色合いでどれがどの貨幣なのかはすぐに判別がついた。
小袋の口を縛り、それも大袋の方に放り込む。そして最後に俺は、自分の着ている服に目を通した。
「これが、こっちの世界での標準服なのか」
足にフィットする皮製のブーツに、苔色の布ズボン。白い長袖シャツの上からは薄い茶色のベストを着ている。
少々おじさんクサいというか、農家のような格好に近いのだろう。まぁでも動きやすいのと安全性を考慮された格好だと思えば、納得のいく服装ではあった。
「……取り敢えず、歩いて街を探してみるか」
街の方向は何となく目星が、というより目印になる物があった。今いる場所から少し行った所で草原を横断する、明らか人の手で舗装された地面である。
腰を預けていた木から離れる様にして立ち上がり、しっかり紐を縛った大袋を肩に掛けて、歩き出そうとしたその時だった。
「グギャォォォッ!!!!」
「なっ!?」
四方八方に広がる草原から、俺を囲むように緑色のモンスターが飛び出してきたのだ。
緑色で複数体で襲い掛かって来るなんて……奴しかいないですよねぇ?笑
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