CASE.1 初めまして、神様
連続投稿しちゃいます~(^-^)
「初めまして」
意識が冴えるよりも早く目に映ったのは、白い服を着た人だった……いや、おかしい。
どうして見えている? どうして聞こえている?
「……そう、自分の状態は理解していたのね」
「っ……どうして分かっ────え、しゃ、喋れる!?」
有り得ない。俺は咄嗟に自分の喉に手を当て、喉が震えている事を確認した────手が動いている事には全く気が付かずに。
「落ち着いて、そして驚かないで聞いて頂戴」
色々な”有り得ない”がいっぱいで戸惑う俺に、前に立つ人は色々話してくれた。
まず、俺は死んだらしい。その事は薄々分かっていた、と言うよりは、すぐに死ぬんだろうな、という事が本能的に分かっていた。
次に、目の前に居てる人は神様で、俺の人生とも言えない人生を哀れんで魂を呼び寄せたらしい。そんな事が出来るのだから、本当に神様なのだろう。
最後に、今いる場所が神様の住んでいる場所らしくて、魂だけだから俺は目も見えて動けて耳も聞こえて喋れるらしい。
「……こんな事を言うのも変なのだけど、君の様な悲惨な生涯を送った人は今までで見た事が無かった。見ていて苦しくって、辛くって…………」
「神様、目から水が出てますよ?」
「うぅ……大丈夫」
服で目を擦った神様は、目を真っ赤にして言った。
「……私は、神様でありながら君をちゃんと”人”として生きさせる事が出来なかった。
だから、その罪滅ぼしをさせて欲しいの」
「えっと、どういう事ですか?」
「……そうね。まとも児童教育すら受けられていないんだものね。
君、今から私と勉強しましょう?」
「べんきょう? ……神様が、何か教えてくれるんですか?」
初めて聞いた言葉に首を傾げると、神様はまた目から水を出しそうになる。そんな神様を見てると、どうしてか身体のどこかが痛む気がした。
「ええ、私がいっぱい教えてあげる。君が知るべき事も含めて、全部ね」
「……分かった。俺、神様とべんきょう、します」
俺がそう声を出すと、神様はニッコリと笑ってくれた。そして、その時から俺は神様といつまでもべんきょうをする事になった。
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