CASE.18 雨上がりの為に
先程コナン君を映画館で見て来ました。
いや~、年に一度の楽しみですよね(^-^)
今作も面白い内容、ド迫力のシーン満載ですので、ぜひ劇場に足を運んで見て下さいな(^-^)
……何で映画の宣伝してるんだろ(^-^;
訓練場で勝利と平手を受け取ったその次の日の朝の事。
「……」
「……」
そろそろ習慣付いてきた朝食を取る為に食堂を訪れた俺は、そこで出くわしたミミちゃんと無言でテーブルに座っていた。
いや、理由は分かっている。何も言わないけど、ミミちゃんは怒っていたのだ。
「……」
「……何か、言う事はありませんか?」
「本当にすいませんでした」
「…………」
無条件反射でテーブル擦れ擦れまで頭を下げる。それでしか、反省を示す方法が思いつかなかった。
実際、怒られるのは当然だと思っていた。ミミちゃんは、こうなる事も見越して俺に忠告してくれていたのに、それを無視して強硬手段に出たのだ。
「……言いましたよね?
オルカちゃんだって自分の状況は理解している筈だから、我慢してって」
「はい……」
「……昨日の夜から、オルカちゃんは一度も部屋から出ていません。
恐らく、あんな事をしてしまった手前、外に出にくいんだと思います」
あの後の気まずい雰囲気で自然解散となってしまった中でも、ミミちゃんはオルカちゃんのアフターケアをしようとしていてくれたらしい。
本当に感謝でしかない。あの時の俺はパニックで、頭がまるで上手く機能していなかった。
「……どうするつもりなんですか」
「ど、どうするって……?」
「オルカちゃんの事ですよ。このまま放っておけないですよね?」
「そ、そりゃそうだけど……」
真剣な眼差しで少し強く迫られた俺は、そこで言葉が詰まってしまう。
こればっかりは、俺にもどうしたらいいのか分からなかった。俺の中では、あの時オルカちゃんに感謝される予定だったのだ。実際はそれと真逆の反応だったのだけど。
「……ミミちゃん、俺、どうしたらいい?」
神様と人間関係や感情の勉強はしていた、でも、この状況でそれらは役に立たない様な気がしていた。
助言を求めると、ミミちゃんは目を閉じて、そしてゆっくりと告げた。
「……そうですね、私からあげられるアドバイスは一つ。”絶対に自分から離れない事”だけですね」
「な、なるほど……?」
「大丈夫です、意味ならすぐに分かりますよ……っと、私はそろそろお仕事に戻りますねっ?」
席を立って、お盆を持つ頃には何時ものミミちゃんに戻っていた。偶に出てくる大人びたミミちゃんとこの愛らしい小動物の様なミミちゃんの、一体どっちが素なのだろうか……?
(……っと、そんな事考えてる場合じゃないよな)
ミミちゃんにここまで言われて、行動しない訳にもいかない。俺は朝食よりも先にやるべき事の為に、席を立った。
────────────────────────
「……よし」
覚悟を決めた俺は、目の前の扉を二回叩いた。しかし、それに対する返答が来る気配はない。
「……オルカちゃん、いる?
昨日君にビンタされた者だけど……」
我ながら最低な挨拶だ。しかし、それ以外に自分だと気付いてもらう言葉が思い浮かばなかった。
だけど、少しして中から声が返ってきた。
「……何よ」
「えっと、昨日の事を謝りに来たんだけど……」
「……」
「そ、その……オルカちゃんの気持ちを無視して、自分勝手に行動してごめん」
「……」
「あの時はただただオルカちゃんを助ける事しか頭に無くて……自分でも、軽率だったと反省してるよ」
「……」
「で、でも自分がやった事が間違ってるとは思ってないし、オルカちゃんがあの四人組から離れられてよかったって思ってる……ってあれ?
これじゃあ反省してない様に聞こえるな……えっと、その……あ、アハハ」
「……」
……完全に失敗した様な気がする。
廊下にはずっと俺の声や笑いが響いていて、それが余計に冷や汗を増加させていた。
「と、とにかく昨日は本当にごめん……
でも、これだけは分かって欲しい。俺はオルカちゃんを傷付けるためにしたんじゃないって事を」
「……」
「……」
どうしよう、このまま会話が終ってしまう。でも話すべき事は話した、と思うし、後はオルカちゃんが許してくれるかどうか。
と、そんな不安に駆られていると、扉の向こうから声が返ってきた。
「……アンタ、名前は」
「俺? イスミでいいよ」
「そう……じゃあイスミ、今は帰って」
「えっ……」
「……整理する時間を頂戴って言ってんのよ、察しなさいよ」
「あっ、ゴメン……」
「……」
やはりまだこういう『察する』みたいな事は上手く出来ない。
確か神様が『そういうのを鈍感っていうのよ』って言ってたっけ、なら俺は鈍感なのだろう。でも、鈍感なりには色々と考えているつもりだ。
「……オルカちゃん。今日の夕食の時間には出来たら食堂に来て欲しい……待ってるから」
「……」
言うことは言った、長居は不要だろう。そう思い、俺は扉から離れるように歩き始めた。あとは、やれるだけの事をやるだけだった。
主人公は対人能力が殆ど無いと思って下さい、どうか呆れないで(^-^;
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