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CASE.12 行き先には従順な獣人?

また長々と説明が入りますが、新キャラ登場です\(°Д° )/


……まぁ、私的に好きなキャラです(笑)









「……ここ、で合ってるよな」




 赤い煉瓦で組み立てられた、見た所三階以上ある建物の前で俺は立ち往生していた。

 先程も確認したが、もう一度左右を見てみる。右には見た事も無い薄ピンクの花壇が置かれた一軒家、左には裏路地に続く一本道がある。やはり、何度見てもここのはずだ。




「……躊躇っても仕方ないか」




 こうしてずっとまごついていれば、いつか中から人が出て来て、その流れで入れるかもしれない。だがそんな可能性を信じて気長に待つのも変な話である。


 木製の扉に取り付けられたドアノブを握り締め、ギィ、と古めかしい音を立てて引き開く。




「あっ、いらっしゃいませっ!!」


「ど、どうも……」




 入ってすぐ出迎えてくれたのは、エプロン姿の快活な少女だった。いや、厳密には犬耳を頭の上から生やした少女である。

 手にお盆を持っている事から食事処で働いているのだろうか、そんな推測をしていると向こうから話しかけて来た。




「えっと……お泊りでしょうか? それとも、何か別の用事で?」


「あ、ギルドに宿屋を聞いたらここを紹介されたので来たんですけど……」


「あぁ!! ギルドからの紹介ですね!!

では宿泊という事で、こちらへどうぞっ」




 そう言って犬耳少女は右側のカウンターの裏に回ったので、俺も対面へと移動する。




「えー、ではまず簡単な説明だけさせて貰いますね?

ここ宿屋”ラティス”は冒険者ギルドと提携を結んでいる店の一つで、駆け出しの冒険者さん達が良く利用してくれています。

他の宿屋と違って、ここでは宿泊は月単位での契約になります。その代わり朝晩の食事付きで、かなり安い金額で設定されていますので、駆け出しの方の財布にも優しいんですよ?

しかも、最長二ヶ月までなら家賃の滞納が許されています。でもこの場合ですと滞納料として銅貨一枚頂く事になりますのでご注意ください。

……ここまでで、何か質問はありますか?」


「ちょ、ちょっと待ってね整理するから……」




 一度に大量の情報を与えられ、プチパニックになりそうになる。と言うかこの子、よく噛まずに言えるものである。

 ゆっくり順を追って説明を思い出しながら、今までの話を理解し終えた俺は、彼女に向かって首を縦に振る。すると、それを理解したサインだと汲んでくれた少女は、話を再開した。




「ではここの宿屋で出来る事の説明ですが、まず何と言っても一番大事なのが、パーティーメンバーを探す事が出来ます」


「パーティーメンバー?」


「はい。最初は一人で依頼をこなすにも時間が掛かり、特に討伐系の依頼でしたら危険も付きまとうと思うんです。なので、基本的には冒険者さん達は複数人でパーティーを組むんです」


「なるほど……あ、確かにここなら同じ様な強さの人達が集まるから、そのパーティーを組みやすいって事か」


「おおっ、お兄さん中々頭が回るみたいですねっ。

そうなんです、ここが冒険者ギルドと提携を結んでいる大きな理由の一つがそれなんですよ」




 「便利ですよねっ!!」と犬耳少女が目をキラキラさせて見てくる。愛らしい事この上ないんだけど、どちらかと言うとペットを飼う飼い主の気分にさせられる。中々新鮮な感覚だ。




「で、もう一つ大事な話があって、ここの宿屋でも駆け出し冒険者用に依頼を幾つか出しているんですよ。それを達成して頂ければ、えっと、ギルドの方に連絡が行って、何でも功績として認められるらしいです」


「因みに、どんな依頼があるんですか?」


「えっと、例えば簡単なのですと、農家の収穫の手伝いやライノボアの肉の納品依頼などの、食材に関わる依頼がこちらでは受けれますね」




 つまり、この宿屋の食事は誰かの納品依頼によって賄われている訳で、そう考えれば安価で宿を提供できるのも頷ける。

 モンスターを倒せば食材が手に入る事もある、という割と貴重な情報も聞けたところで、俺は早速宿泊の手続きを取る事にした。




「分かりました。ではまずは一ヶ月で宿泊したいんですけど、幾らですか?」


「はいっ、一日当たり鉄貨二枚で、三十日計算で銅貨六枚になりますっ!!」


「ん、なら銀貨一枚で良いかな」


「ええっ!? 意外とお金持ちなんですね!?」




 一言余計な気もするが、そこはこの犬耳少女の愛嬌に免じて流す事にした。

 小銭入れと化している小袋から銀貨を一枚取り出し、それを渡してお釣りの銅貨四枚を貰うと、彼女はお釣りを取り出したレジスターの下から札の付いた鍵を取り出した。




「はいっ、これがお兄さんの部屋の鍵ですね。このまま真っ直ぐ向かって右側に階段があるので、それで三階まで上がって頂いて、そのフロアの三号室です。室番号は部屋の扉に書いてあるので、見れば分かると思いますよっ」


「そっか、丁寧にありがとうね」


「いえいえっ、これもミミの仕事ですからっ!!」




 どうやらこの犬耳少女の名前は”ミミ”と言うらしい。ミミちゃん、とでも呼ぶべきなのだろうか。

 ミミちゃんから鍵を受け取り、早速自室の確認へと行こうとすると、後ろから彼女の声が飛んで来た。




「何かあったら、ミミか他の従業員さんに声を掛けて下さいねーっ!!」


(……癒されるなぁ)




 そう言って手を振ってくれる犬耳少女に、俺は今日一番の幸福を感じた気がした。






ミミちゃん、良くないですか?笑

その内彼女の話も書く予定です(´ω`)



面白いと思ったらブクマ、感想等よろしくお願いします(*^^*)

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