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群青
この世界は生きづらいね。でも、そんなことを言う僕らも時には笑えるんだ。その微笑を忘れちゃいけないよ。
あの人も、同じ空を見て泣いているだろうか、なんて台詞があるけれど、そんなものないと思う。
この空は広すぎて、僕らが空に落とした涙なんてすぐににじんで、薄まって、消えてしまうだろう。
あの人になんて届かない。
夕暮れ前の空の脈拍。
空はそんなに便利なものじゃないよ。
でも、
空は一つの生命で、
青く笑っている。
泣いたり、あくびしたりする。
空が泣く。
空が笑う。
雨が降る。
風が吹く。
僕が君とつながっているように、僕らは空とつながっている。
空は生命だ。けんかもする。僕らを傷つけもする。
僕らがけんかした後は、傷つけ合った後は、必ず手をつなぐ。
そして笑う。
空が笑っている。
だから、
手をつなごう。
僕らがずっと澄んだ青色で居られるように。