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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第五章 フェリーと戦争
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14話 姑息な考えと交渉

再開が遅く申し訳ありません。更新再開しました。修正しましたので、話に変更点が出てきています。

変更点は活動報告に上げていますので、お手数ですがよろしくお願い致します。

 うーん、食料の輸入はもう、侯爵様の伝手がある商会に船で買いに行けば良いんだから問題無い。でも港の維持は面倒だよね。毎回ガレット号で撃退するのも嫌だしどうしようか。


「魔導士様、協力して頂けますか?」


「うーん、今の時点で家族、友人を連れての脱出は選びませんか?」


 今なら楽勝で脱出できるんだけど。まあ、ルッカが持ち堪えている現在、その選択肢は選べないだろうけど……


「出来れば、ルッカの防衛で何とかしたいと思います。別の国に移住する事は大変ですし、現在のルッカは持ち堪えていますから。お願い出来ませんか?」


 まあそうだよね。故郷を捨てないでも、王都を包囲している帝国軍を引かせる事が出来ればルッカも何とかなりそうなんだし、しょうがないか。


「分かりましたアレシアさん。食料は買いに行くだけですし。港を維持するのは、防衛面での協力に当たると思いますから。問題は防衛の方法ですね」


「船をお貸し頂ければ、私達が撃退しますが駄目ですか?」


「まあ、帝国海軍にダメージを与えてますし、直ぐに次の船が来るかどうか分かりません。ですが来た場合にジラソーレの皆さんだけで撃退していると、ルッカの軍部に妬まれませんか? 手柄を独り占めにしていると後が怖いですよ」


「後の事は考えてませんでしたが、危険なんでしょうか?」


「うーん、こっちではどうなのか分かりませんが、活躍し過ぎて足を引っ張られた人の話はありませんか?」


「……ありますね」


「まあ、面倒事を回避する為にも、ルッカの皆さんが頑張る方法を考えてみます。お2人はご家族に会いに行かなくても良いのですか? 僕の方は此処でのんびり考えていますから問題ありませんよ」


「私達は明日会いに行く予定ですので大丈夫です」


「そうですか、分かりました」


 合間に昼食を取り、他の事に気を散らしながらも考えていると、ちょっと姑息な考えを思いついてしまった。これは有りなんだろうか。


「アレシアさん、質問がありますがいいですか?」


「はい、なんでしょうか?」


「侯爵様ってお金持ちだと思うんですが、間違ってませんよね?」


「えっ? ええ、ルッカは貿易都市として栄えています。その都市の領主を長年務めている侯爵家ですから財産はあると思います」


「そうですか、ありがとうございます」


 ……豪華客船は流石にやり過ぎだよな。どうせなら自分の力で買った方が楽しめるだろうし、フェリーをもう1艘いっちゃうか。


「あの、財産がどうかしましたか?」


「いえ、作戦として、帝国軍がルッカを撤退するかルッカが落ちる時までの期間限定で、フォートレス号を貸し出すのはどうかと思いまして。でも長期間フェリーが使えないのも嫌なので、どうせならもう1艘フェリーが買える値段を要求しようかと思ってます。どうですか?」


「フォートレス号を貸し出すのは施設など色々問題がありませんか? それに貸し出しても操船は出来ないと思います」


「ええ、ドロテアさんの言う通りですが、船内の目立つ施設は全て船偽装で隠蔽します。ただのとても大きな木造船に、強力な結界が張ってあると説明します。


 動かせないのは、湾の出入り口さえ守れば、港の封鎖には大量の船が必要になります。湾の出入り口にフォートレス号を停泊させておけばフォートレス号を拠点としてルッカの軍が何とか出来ませんか?


 どうしても動かす必要がある場合は、船内なら攻撃される心配もありませんから僕が行きます。僕側のデメリットは長期間、船の召喚枠が1つ減る事ですね」


「それなら、ルッカでも防衛は可能かもしれません。ですが、都市を守る人数も減る事になりますよね。侯爵様がそこをどう判断されるかで決まると思います」


「ああ、確かにそうですね。フォートレス号に何百人か派遣する事になりそうですし、難しいかもしれませんね。まあ、話すだけ話してみてください。120白金貨で強力な結界付きの船を貸しますって、駄目なら駄目で構いませんので」


「分かりました。今から行ってきますので、船を港に付けて貰えますか?」


「今からですか?」


「はい、何が起こるか分かりませんので、少しでも早く行動したいです」


「分かりました。あっ、食料を大量に売ってくれる、海沿いの街のお店を紹介してくれるように頼んで下さい。あと必要な食料のリストがあれば助かります」


「分かりました」


 船を港に付けてアレシアさんとドロテアさんを見送る。ふーちょっとボッタクリかな? でもある意味無敵の要塞を一定期間借りられるんだから、後は侯爵様の判断次第だな。


「ふふ、ご主人様。フェリーは目立ちますよ。良かったんですか?」


「うん、ネスの言う通りだけど、もう目立ってるし、大量の食料を輸入するならフェリーが必要だからね。全力で魔導士として正体を隠しきるしかないね。ネスもシアも注意してね」


 ん? フェリーを見せるより、どんな魔法か分からないが、小さな船で食料を運んでくる魔導士の方がよかったかな?


「「はい」」


「あー、今更だけど、フェリーを見せるより、小さな船で大量の食料を運んで来た謎の魔導士の方が危険は少なかったかな?」


「どちらでも騒ぎにはなりますが。小さい船で大量の食料を運んでくる方が、目立たない分危険視されそうな気がします」


「私もシアに賛成ですね。目立たず大量の物資を運べるのはかなり魅力的な能力です。まだフェリーで強力な結界の方がマシだと思います」


「そう、それなら良かった。ありがとう」


 良かった。失敗しちゃったかなって思ったよ。確かに物資をコッソリ大量に運べるのは脅威なんだよね。目立つ分フェリーの方が安心感が持てるか。


「それと2人とも、僕達が演技してるのって、ルッカに入ってから身元がバレない為だよね? ルッカに入らないのに演技を続ける必要はあるのかな?」


「……急にルッカに入らないといけない事もあり得ますので、演技を続けた方が確実かと思います」


「シアの言う通りだと思います。フェリーまで出すのを決めたのですから、出来る事はやっておくべきです」


「分かった、じゃあ頑張ろうか」


「「はい」」


 ~アレシア視点~


 ふー、何度も城に来る事になるなんて思いもしなかったわ。門番に話を通すと、軍議は終わっていたのか執務室らしき場所に通された。


「では、魔導士との話し合いの結果を聞かせて貰おうか」


「はい、魔導士様は、監視が付くのは窮屈なので、よっぽど危険な状況になるまでは都市には入らないそうです。食料に関しましては、購入できる海沿いの街の店の紹介と必要な物のリストが必要だそうです」


「ふむ、分かった。食料は店の紹介とリストがあれば、購入してくることが可能と考えても良いのだな」


「はい、購入代金も必要だとは思いますが。店に辿り着いて購入して帰ってくることは可能だそうです」


「それだけでも助かるな。港の維持の方はどうだ?」


「魔導士様が仰るには、120白金貨で、湾の出入り口に強力な結界を張った大型船を設置する事は可能だそうです。貸出期間はルッカから帝国軍が撤退するかルッカが落ちるまでだそうです。なお船は設置すると魔導士様でなくては移動出来ないと思います」


 120白金貨の部分で、文官の方達が驚いたのだけど……侯爵様は表情が変わらないからどう考えてるのかすら分からないわ。


「ふむ……120白金貨か大金だな……それだけの価値があるのか?」


「申し訳ありませんが、契約に背く事になりますので、詳しくは話せません」


「話せる内容だけでいい、話してみろ」


「私の話せる範囲ですと、その船に遠距離攻撃が出来る人物と兵器を乗せれば、港に関しては問題が無くなると思います」


「私だけでは判断がつかんな、騎士団長を呼べ」


 文官の1人が部屋を出て行った。


「デュムンが来るまでに食料についての話を進める。どの位の量が運べるのだ」


 デュムンって、朝、ルッカの現状を説明してくれた人よね。騎士団長だったんだ。120白金貨って聞いたら怒鳴られる予感がするわ。


「大型船で運んでくると思いますので、私には大量の食料としか分かりません」


「ふむ、どの位の大きさなのだ?」


「申し訳ありませんが、話す事が出来ません。もし港に大型船を設置されるのであれば、大体の所が分かるのではと思います」


「そうか……」


 文官と共に騎士団長が入って来た。侯爵様が騎士団長に話の経緯を説明している。「120白金貨ですと!」と驚いた声が聞こえる。侯爵様が説明してくれて助かったわ。私が説明していたら間違いなく怒鳴られたわね。


「アレシアと言ったな、魔導士に身元を証明させ、ここに連れて来て説明させる事は出来んのか?」


「騎士団長様、申し訳ありません。交渉の場には出ないと言われています。無理に身元を確かめようとした場合、契約違反になり協力もして頂けなくなってしまいます」


「なぜ、そうまでして、正体を隠す。犯罪者ではあるまいな」


「煩わしい事が嫌だとしか聞いておりませんが、犯罪者等ではありません」


「その魔導士は、そんなあやふやな説明で120白金貨もの大金が用意されると思っているのか?」 


「魔導士様はどちらでも構わないのだと思います。最低限の協力はしてくださいますが、全力でルッカの為に行動するとは思いません」


「なんだと!」


「よせ、デュムン」


「しかし」


「よせと言っている」


「はっ」


 騎士団長様、物凄く怒っているわね。でもちゃんと言っておかないと。イルマも一番怖い事は、ワタルさんに見捨てられる事だって言ってたもの。何でもかんでもワタルさんに頼めないわ。


「その船に乗った事はあるのか?」


「はい」


「ふむ……よかろう。用意する」


「侯爵様! 持ち逃げされるかもしれませんぞ」


「その可能性もあるが、ルッカが落ちてしまっては金を持っていても奪われるだけだ。このまま包囲され続ければいずれ限界が来る。港が解放されていれば、持ち堪える事も、脱出する事も出来るだろう。デュムン、船に運べる兵器と兵士、冒険者を選抜しておけ」


「はっ」


「120白金貨と食料のリストと代金だな、用意するには少し時間が掛かるだろう。別室で待機しているように」


「畏まりました」


 別室に通され、2時間程まつと、朝に出迎えてくれた騎士と数名の兵士が120白金貨を持って来た。


「お持ちしました。船まで護衛します」


「騎士様、大変有り難いのですが、船の中には入る事は出来ませんよ」


「出来れば同行するように騎士団長に言われているのですが、何とかなりませんか?」


「侯爵様との話し合いで同行の話は出ていませんし、間違いなく無理です。正体を隠しているのですから、監視を近くに置くなどはありえません」


「しかし、120白金貨ですよ。監視は当然の事だと思いますが」


「私もそうは思いますが、魔導士様はそうではありません。監視が付くのなら船を用意するのを断るだけだと思います。私も監視を連れて来ましたお願いしますとは言えません。監視を諦めるか、船を諦めるか、選択をお願いします」


「ふー、分かりました。監視は諦めます。ですが船の近くまでは護衛しますね」


「ありがとうございます」


 何とか無事に交渉を終わらせられたわね。これで少しでもルッカが生き延びる可能性が上がれば良いんだけど。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
港湾都市だと数万人以上は人口いるだろうから3万人だとして1日だけの食事でも3万食。 十日なら30万食。 こんなの用意するのも積み込みするのも大変でやってられませんな。
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