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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第五章 フェリーと戦争
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9話 ダークエルフの島と村の様子

 船に戻り、昼食を済ませる。


「ふー、ご馳走様でした。この後の予定は、ダークエルフの島に顔を出そうと思ってるんだけど、どう?」


「ご主人様、父は半年は大丈夫だと言っていましたので。まだ大丈夫かと思います」


「フェリシアの言う通りだけど、村を作り始めたばかりだから。何か必要な物があるかもしれないし。それに、何処かに旅に出たら、中々戻って来れないかもしれないし、顔を出せる時に出しておこうよ」


「そうね。何があるのかなんて分かんないんですもの。行ける時に行った方がいいわね」


「ご主人様、イネス、ありがとうございます。お願いしてもいいでしょうか?」


「うん、契約の内なんだから気にしないで。じゃあ、この後は食料集めと、村作りに必要そうな物を買いに行こうか」


「「はい」」


 市場やお店で日持ちがしそうな食料と、薬、食器、衣服、大工道具等、思いついた物を買い集めて、船に届けてもらうように頼む。


「他に何か必要そうな物はあるかな?」


「どうかしら? 私は十分だと思うのだけど。フェリシア、ダークエルフって何か特別必要な物とかあるのかしら?」


「いえ、元々森の中で殆ど自給自足でしたから。これだけの支援を頂ければ、十分に生活していく事が出来ると思います」


「じゃあ、大丈夫だね。自動操縦だし、この後出発してもいいけど、1日位休もうか?」


「私はどちらでも問題無いわ。ご主人様の楽な方で大丈夫よ」


「私もです」


「じゃあ、出発しようか。商業ギルドとジラソーレには、一応伝えておいた方が良いよね。商業ギルドに寄って、海猫の宿屋に行こう」


「「はい」」


 商業ギルドでカミーユさんに10日程出かける事を伝える。よく考えたら、今日、商業ギルドに来たの3回目だったな。


 ドニーノさんと来たのは予想外だったけど。予定をきちんと立てていれば、今回は行かなくて良かったんだよね。先の事をきちんと考えて行動しないと。


 海猫の宿屋に着いて、女将さんに取り次いで貰う。もうすでに、ジラソーレが宿に戻った事が広まっているのか、前にも見た事ある男達が食堂に座っている。


 ずっと泊まっていたのか? それとも情報網が構築されてる? なんかどっちでも怖い気がするな。


「ワタルさん、どうかしたの?」


「いえアレシアさん、ちょっと10日程南方都市を出るので、お伝えしておこうかと思いまして」


「あら、そうなの? わざわざありがとう。私達はドロテアが張り切ってるから、暫く情報収集ね」


「あはははは、ドロテアさんもテイムスキル覚えたんですから、早くスライムをテイムしたいんでしょうね」


「ふふ、そうなのよ。リムちゃんとふうちゃんみたいな、可愛い子をテイムしたいって言ってるわ。今もギルドの資料室よ、何だか目的が変わっている気がするの」


「ドロテアさん、リムとふうちゃんを可愛がってくれてますからね。リムにも友達が増えると嬉しいですね」


「その時はお願いしますね」


「あっ、そうだった、クラレッタさんとカーラさんはいますか?」


「ごめんなさい。クラレッタは教会に行ってるの。カーラも出かけていて居ないし。何か用事があったのかしら? 伝言なら伝えるわよ?」


「そうですか、では伝言をお願いします。プリンとアイスなんですが、商業ギルドと契約しましたので、作るのは構いませんが、人には教えないようにと伝えておいて貰えますか?」


「分かったわ。2つとも美味しいから、人気でるでしょうね。2人には必ず伝えておくわ」


「ありがとうございます」


 軽く雑談してから宿を出る。女将さんにジラソーレファンの事を聞いてみたら。ずっと泊まってる人と、ジラソーレが戻って来た後に戻って来た人、両方いるそうだ。


 海猫の宿屋に泊まらなくて良かった。居心地の悪さが保証されてるようなものだ。船に戻り、届けられた荷物を積み込む。


「じゃあ、出発するね。外海に出てからフォートレス号に乗り換えるね」


「「はい」」


 のんびりルト号の船縁に座る。輝く太陽に青い空、白い雲に青い海、開放感のある景色と潮風を浴びながら、買っておいた缶ビールを飲む。うん、美味いなー。


「ご主人様、凄く嬉しそうだけど、どうしたの?」


「ああ、イネス。こうやって海でクルーザーに乗って、缶ビールを飲んでみたかったんだ」


「うふふ、それで、とっても嬉しそうだったのね。美味しかった?」


「うん、とても美味しかった」


 なんかクルーザーと缶ビールはセットのイメージがずっとあった。テレビの影響力は凄いよね。一本を飲み干してから満足してサロンに戻る。


「そろそろ、フォートレス号に乗り換えるね」


「「はい」」



 フォートレス号に乗りかえて展望浴場に入る。イネス、フェリシアとイチャイチャしながら体を洗いお湯に浸かる。


 ぷかぷか浮かぶリムと戯れ、十分満喫してお風呂を上がる。この日2本目のビールを飲んで、浴衣を着てマッサージチェアでウトウトする。なんか幸せだなー。


 マッサージが終わり、夕食はバイキングを堪能する。映画を観て、イチャイチャして眠りにつく。やっぱり洞窟とかに冒険に行くより、こんな感じの生活が好きだな。


 朝、日課をしっかりと熟し、朝食は作り置きで済ませて、予定を立てる。


「んー、今日は昼過ぎまでフォートレス号で過ごして、その後、ルト号に乗り換えて、そのままダークエルフの島までだね」


「「はい」」


「僕は、自販機コーナーで漫画を読んでるから。イネスとフェリシアは自由にしていて」 


「「ありがとうございます」」


「あっ、僕はあまり動かないから、またリムもお願いね」


「「はい」」


 1人で自販機コーナーに行き、読みたい漫画を机に並べる。ポテトと唐揚げとコーラを買って準備万端、漫画に没頭する。


「ご主人様、そろそろお昼ですが、どうしますか?」


「ん? もう?」


「はい」


 机の上には読み終わった漫画が積み重なっている……これだけ読んだら時間も経つよね。大好きな漫画を読んだから夢中になっちゃったよ。


「昼食は何が食べたい?」


「ご主人様、カレーが食べたいわ」


「じゃあ、レストランで食べようか」


「「はい」」


 レストランで、カレーとパスタ、コーヒーゼリーを堪能して。まだまだ食べるリムを見守る。


『わたる、かれーほしい』


「ん? 分かった、お野菜ものせるよ?」


『うん』


 時間いっぱいまでカレーやハヤシライス、パスタを堪能したリムを頭に乗せて。新たに発見したタラップを操作して降ろす。タラップは外付けだと思ってたから、船側にもあるって知らなかったな。これでルト号に乗り移りやすくなったな。


 ルト号に移りフォートレス号を送還する。フォートレス号の周りにいた魔物がルト号に集まって来る。


「やっぱり、魔物は来るけど。最初の時みたいに大群にはなってないね」


「そうね、あの時は5日間魔物を引き連れていたから、あの量になったのだと思うわ」


「そうだね、1日なら魔物の群れにでも見つからなければ、数匹で済むんだ」


「ご主人様、操船しても構わない?」


「うん、僕はサロンに居るから、2人に任せるね」


「「はい」」


 リムを抱っこしてサロンに戻る。フェリシアも操船は好きだし。まあ、楽しみがあった方がストレス解消にもなるし、久しぶりに、2人に楽しんで貰おう。


 やっぱり機嫌が良いと、夜のイチャイチャもサービスが良くなる気がするしね。


 南方都市を出発して3日目の昼過ぎ、ダークエルフの島に到着した。


「ワタルさん、お久しぶりです」


「村長さん、お久しぶりです。困った事はありませんか?」


「お陰様で順調に村の形が出来上がっております」


 うん、元気そうだし、本当に問題は起こってなさそうだね。周りの人達も笑顔だし、順調にいってるみたいだ。頑張って貰わないと、フェリシアと最後まで出来ないからね。


「そうですか、良かったです。色々買って来たので、運んでもらえますか?」


「何度もありがとうございます。感謝致します」


「気にしないでください、船から下ろしますから、後はお願いしますね」


「「「「「「はい」」」」」」


 買って来た食料や道具、お土産のワインを下ろし。村長さん達に運んでもらう。最後の荷物を担ぎ、村長さんと、丘の上の村に行く。


「うわー、本当に順調ですね。家もずいぶん増えてますし。あの木材は森から切り出したものですか?」


「はい、家はまだまだ内装などは手を加えないといけませんが。半数以上は家を持てました。あの木材は、数人に森の手入れと、木材の切り出しをやって貰ってます。川から流せば労力が掛かりませんので、木材が安定して手に入り助かります。まあ、まだ乾燥させないと使えないのですが」


「凄いですね、もう半数も家が完成したのですか。森に入っている人達は大丈夫なんですか?」


「ええ、前の村でも狩人を専門にしていた者達です。話によると、豊かな森で強い魔物も今の所見つかっておりません」


「良かったです。何とかなりそうですね」


「はい、村の者達も元気に働き。人目を気にしないで生活出来ると喜んでいます。ワタルさんの御蔭です。本当にありがとうございます」


「フェリシアに感謝してください。僕は僕の都合で援助しているだけですから」


 本当に自分の欲望の為の援助だから。真剣に感謝されると照れる以上に申し訳なくなってくるな。


 そうだ、区切りとして家が全員分建ったら、お祭りとかどうだろう。そして、フェリシアと最後まで……良いかも、すごく良いかも。


「村長さん、全員分の家が建ったら、区切りとしてお祭りをしませんか? 今のペースならそんなに先の事じゃないですよね?」


「お祭りですか、村の者も喜ぶでしょうな。今の調子なら6ヶ月もあれば全員分の家は建つでしょうし、考えておきますか」


「良いですね。じゃあ、その頃に合わせて来られたら、お酒とご馳走を沢山持って来ますよ。大いに騒ぎましょう」


「いやいや、そこまでお世話になる訳にはいきませんよ」


「移住に関わったんです、どうせなら大騒ぎしたいじゃないですか。お酒とご馳走はお祝い事なんですから気にしないでください」


「大騒ぎですか……そうですな、もう人目を気にする事も無いのです。大いに騒ぐ事も可能なのですな。ワタルさん、図々しいですがよろしくお願いします」


「ええ、任せてください」


 軽く雑談をして、村長さんと別れ。セシリアさんに会いに行く。


「まあ、ワタルさん、お久しぶりです。フェリシアはお役に立っていますでしょうか?」


「お久しぶりです。フェリシアには、とても助けて貰っていますよ」


「そうですか。ありがとうございます」


 セシリアさん、久しぶりにフェリシアと会えて嬉しそうだな。フェリシアは恥ずかしそうにしてるけど。


「フェリシアは、セシリアさんのお手伝いをして貰って。イネス、散歩にでも行こうか?」


「まって、ご主人様、前にもこんな感じで散歩に出たら、揉め事があったわよね? 誰だったかしら?」


「え? ああ、確かロマーノさんって方に絡まれたね。セシリアさん、ロマーノさんはどうしてますか?」


「ロマーノですか? ロマーノはワタルさんにご迷惑を掛けたので、父親が教育として一緒に森で生活しています」


「森でですか?」


「はい、厳しく教育しなおすそうなので、ロマーノだけは一度も森から戻って来てません」


「そうですか、ありがとうございます」


 それなら安心だよね。 


「では、僕とイネスは村を散歩させて貰いますね」


「はい」


 村を観て回ると、少ない人数なのに、そこかしこでトンカン金槌の音がする。家が増え、広場もある。今テントを張っている人達の家が完成すれば、小さな村になる。


 でも人が足りないよね、ダークエルフと出会えたら良いんだけど。考えてみたら、隠れて生活しているダークエルフと、海で生活している僕が、出会う事ってあるのか?


「「「「「「あー、ワタル様だー」」」」」」」


「お? 久しぶりだね。元気だった?」


「「「「「「げんきー」」」」」」


「ねえ、ワタル様、お話聞かせて?」


「うん、いいけどワタルさんとか、ワタルにーちゃんとかにしてくれる?」


「なんでー? お母さん達はワタル様っていってるよ?」


 いやまあ、美人にご主人様とか言われるのは、最高に嬉しいんだけど。子供とおじさんに様呼びされると、なんか引くんだよね。


「うーん、まあワタルさんとかワタルにーちゃんとか、言われる方が嬉しいからかな」


「「「「「「わかったー」」」」」」


 うん、元気がいいな。でもお話なー。僕は基本的に子供が喜びそうな話の時には、後ろで隠れてるからな話すネタが無い。


 しょうがないので洞窟の話を膨らまして話そう。


「ワタルにーちゃん、戦ってないじゃん」


「僕は商人だから戦わないの。でもイネスとフェリシア、ジラソーレが強いからいいでしょ?」


「そうだけどー」


「それにこれからが凄いんだよ?」


「戦うの?」


「戦わないよ」


「ぶー」


 話が終わり、子供達と別れて村長の家に戻る。


「ご主人様も戦った事にすれば、子供達ももっと喜んだわよ?」


「そうかもしれないけど。そんな話を作ると、この村で一生語り継がれそうなので駄目だね」


「うふふ、そうね。きっと凄い英雄になってるわね」


「恥ずかしくてこの村に来れなくなるよ」


 村長の家に戻り、夕食を共にして、船に戻る。


「村は問題無さそうだね。フェリシアは何か気になる事はあった?」


「いえ、父と母の話でも、村の様子を見ても問題は無さそうでした」


「良かった。それなら、村が落ち着いた頃に、ダークエルフの移住者を連れて来られれば良いんだけど……」


「そうですね。何処かで出会えれば良いんですが」


「隠れて住んでいるから、あまり派手にも探せないし、機会を見つけたら説得を頑張ろうか」


「はい」


「フェリシア、6ヶ月後のお祭りでこの村の移住計画の一つの区切りにしても良い? もちろん、ダークエルフの移住は今後も継続するんだけど」


「はい、ご主人様には十分に契約を果たして頂いていると思います。その、よろしくお願いします」


 うはっ、恥ずかしそうに頷いてるフェリシア、可愛い。これで問題が起こらなければ6ヶ月後にはフェリシアと最後まで……異世界サイコー。


「あら、6ヶ月後までに豪華客船は流石に無理よね……フェリシアに先を越されちゃうのね。ご主人様、フェリシアで満足して、私を忘れたら駄目よ」


「大丈夫です。ここまで頑張ったのにイネスを諦める事は絶対にありません」


「ふふ、なら良いわ」


 絶対に3人でムフフな事をするんだ。諦められるわけがない。


 それから3日間、村作りのお手伝いをしたり、子供と遊んだり。島の探索をしたり。楽しく過ごした。お祭りの話も村中に広がり、6ヶ月後のお祭りを楽しみに更に村に活気が出て来た。


 次にこの村に来る時には……いや、さすがに6ヶ月も放置は無いだろうから、あと1回か2回は来るな。そんな事を考えながら、たっぷりイチャイチャしながら南方都市に戻って来た。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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久しぶりに飽きずに読み続けれる物語に出会えた。 最近は、読み進めると直ぐに内政チート武力チート、最弱かと思ったら最強でした!!俺なんかやっちゃいました!?系の似たり寄ったりで長編も同じようなストーリー…
え?ここまでダークエルフの村が発展してきてるのに未だにフェリシアともやってないの? アリシア達もそうだけど、ここまで衣食住、移動、その他娯楽まで至れり尽くせり提供されてるのにほぼ何一つワタルに返して…
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