6話 ポッチャリ対策と映画
なんとか、アレシアさん達、操船大好き組に、操船していない時は攻撃に参加する事を約束してもらえた。ちょっと不安は残るけど、様子見だね。
「それでワタルさん、残りの相談はなんですか?」
「ああ、そうでしたね。その前にまた一つ言っておくことが増えました。南方都市の1日前にルト号に乗り換えようと思ってたんですが。南方都市近くの海まで魔物を連れて行くのは不味いので、2日前、つまり明後日にはルト号に乗り換えますね」
2日前に移動するなら、ハイダウェイ号も利用できるな。無駄にならなくて良かった。
「そうね、あんな数の魔物を都市の周辺に引き連れて行く訳にはいかないわよね。分かったわ」
「次は、相談と言うか注意喚起なんですが。皆さん食べ過ぎで、飲み過ぎです、体に悪過ぎますよ」
「……そうかしら? でも私達、毎日訓練しているから、沢山食べないと持たないのよ?」
「それは分かっていますが、皆さんバイキングを頻繁に利用されているのに、更に、お菓子、ジュース、アイス、お酒、自販機の軽食も食べてますよね? 売店の商品もいつも持ってますし。いくら何でも食べすぎです」
「そう言われると、そんな気もするわね……」
始めは気にしてなかったんだけど。自販機コーナーに行くと、常に誰かが飲み食いしている。気になって様子を見ていると、暴飲暴食に歯止めがかかってなかったよ。
「アレシアさん、ドロテアさん、マリーナさん、イルマさんは、ほぼ毎日、夜は自販機コーナーで飲んでますよね? 今まではそれ程飲んでなかったのに、いきなり毎日飲みだしたら、体を壊します。さらに御菓子やジュースも沢山飲み食いしてるんですから」
「ワタルさん、私とクラレッタはそんなに飲んでないよ」
「クラレッタさんは大丈夫ですが、カーラさんは飲んでないだけで、バイキングにフル参加で、合間も自販機コーナーか売店で、ずっと何か飲み食いしてますよね? 食べ過ぎです」
ガーンって顔でカーラさんが俯いた。うう、心が痛む。でも僕の所為で、ジラソーレのメンバーがポッチャリさんになったら、悔やんでも悔やみきれない。
あと本気でジラソーレのメンバーのファン達に命を狙われかねない。一緒に旅をしたのは知られていると思うから、ただでさえ危険なのに、ポッチャリさんになって戻ってきたら……僕に責任が無くても、恐ろしい事になりそうだ。
「でも、せっかくあるのに食べないのは勿体ないわ。美味しい物が沢山あるんですもの」
「ええ、僕も皆さんが喜んでくれるのは嬉しいです。ただ毎日飲むのと、食べ過ぎるのが問題なんですよ。
飲んだ次の日は飲まないとか。カーラさんの場合は、3食以外は常に食べるのではなくて、1日に使っていい金額を決めるとかで制限してください。いいですね」
「んー、分かったわ。確かに毎日飲んでたし、私から見てもカーラは常に食べてたわ。私達も節制しましょう」
「ええ、毎日飲むのも楽しかったけど、確かに少しは節制しないとね」
「我慢する」
「分かってくださって、ありがとうございます。余計な事かと思いましたが、よろしくお願いします」
「「「「「「はい」」」」」」
「でも、ワタルさん、今日は大変だったんだから飲んでも良いわよね? 明日は飲まないから」
「……はい」
なんか、ダイエットは明日からって歌? CM? が頭の中で流れたな……大丈夫かな? 結局、毎日何かしらの理由をつけて、飲んだりしないよね?
夕食は自販機コーナーで済ませて、軽く飲んでから、マッサージチェアに行く事にした。
アレシアさん達は、明日は飲めないんだからっと言って、遅くまで飲むらしい……明日の分まで飲む気か? 節制のお願いは意味が無かったかも?
何となく不安に思いながら、マッサージチェアに向かう。
「ご主人様はマッサージチェアがお気に入りですね」
「うん、気持ちいいし、イネスとフェリシアも好きだよね?」
「好きよ」
「はい」
のんびりマッサージチェアに座っていると、クラレッタさんが大興奮で走って来た……お胸様も大興奮ですね。僕も大興奮です。
「ワタルさん、ワタルさん、ユー〇ォ―キャッチャーのぬいぐるみが入れ替えられました。お手伝いをお願い出来ませんか?」
なるほど、あの後、確認に行ってたのか。アレシアさん達が飲んでいるから僕に助っ人を頼みに来たんだな。しかし今日がぬいぐるみの入れ替え日だったのか、それとも送還したからか?
「ワタルさん、駄目ですか?」
「ん? いえ、全然大丈夫ですよ。ぬいぐるみの入れ替え条件が気になっただけです。喜んでお手伝いしますね」
「ありがとうございます。ぬいぐるみの入れ替え条件ですか? ……もしかして送還が関係しますか?」
「まだ分からないですが、送還した後に、入れ替えが起こったので関係があるのかもと思いまして」
「そうかもしれませんね。明日、試してみましょう」
うわっ、カーラさんがご飯の事を尋ねる時みたいな、キラキラした顔してる。
「そうですね。ですが時間も関係してるかもしれませんので、違っても、ガッカリしないでくださいね」
「はい」
「では、行きましょうか」
「はい、今度のぬいぐるみも可愛かったので、全種類取りますね」
クラレッタさん、張り切ってるな。本気で全種類取るまで諦めないんだろうな……
ゲームコーナーに着いて、ユー〇ォーキャッチャーを見ると、景品が妖怪で時〇のぬいぐるみに代わっていた……確かに可愛いんだけど……いいのか?
「可愛いですよね。必ず全種類取ります。ワタルさんは奥行きをお願いしますね」
「あっ、はい」
クラレッタさんが張り切って操作している。
…………結局クラレッタさんはAランク冒険者の財力に物をいわせて、ぬいぐるみを全種類手に入れた。
他のぬいぐるみが邪魔で、欲しいぬいぐるみが取れない時も、躊躇わずに銅貨を投入して、取るか移動させて、諦めずに手に入れる。クラレッタさんは、今回も両替に走って行った……
クラレッタさんってゲームセンター側からしたら、神様みたいなお客様だよね。いや女神様か……その女神様は全種類のぬいぐるみを抱えて、ニコニコしている。
「ワタルさん、私はお部屋にぬいぐるみを並べに戻りますね。今日はありがとうございました、おやすみなさい」
「うふふ、ご主人様、このままぬいぐるみの入れ替えが続いたら、クラレッタさんのお部屋はぬいぐるみで埋まりそうね……」
「そうだね。入れ替えのペースしだいでは、直ぐに部屋が埋まりそうだよね。まあ部屋は余っているので、一部屋位なら、ぬいぐるみ部屋にしても良いから、問題は無いかな」
「一部屋で済めば良いのだけど……」
「……まあ、大丈夫だよ……たぶん」
取り合えず、一部屋が埋まってしまった時に考えよう。
「ご主人様、この後は如何されますか?」
「んー、マッサージが中途半端だったし、もう一度マッサージチェアに行って、その後、映画を観に行こうか」
「映画ですか?」
「うん、大雑把に言うと劇のような物かな? まあ、大分違うけど、観たら分かるよ」
「「はい」」
じっくり体を解して、ミニシアターに向かう。
何を観ようかな? イネスもフェリシアも初めてだし、取っつきやすいのが良いよね。……またジ〇リに頼るか、カリ〇ストロの城にしよう。
映画が始まると、イネスとフェリシアが驚きで息を呑む。
「イネス、フェリシア、言葉は分かる?」
「え? 普段の言葉と同じですけど?」
「私も普段の言葉に聞こえるわ」
「あー僕には故郷の言葉に聞こえるんだけど……問題無いなら続きを見ようか」
映像に言語理解でも付いているのか? ユニークスキル……高性能だよね。
映画を再開すると、イネスもフェリシアもリムも、大興奮だ。車やオートジャイロ、拳銃等、理解出来ない事は沢山あったみたいだが。何となく理解は出来ているようで、画面に集中している。
花嫁衣装に興味を示し、塔ジャンプに興奮し、歯車の戦いで笑い、時計の針の上ではハラハラして、最後の警部の言葉に……
イネスもフェリシアもリムも十分満喫したようだ。
「凄く面白かったわ。これは絵なの?」
「うん、沢山の絵を凄い速さで連続で映すとあんな風に観えるらしいよ」
「凄いわ」
「ご主人様、あのような物語が沢山あるんですか?」
「ええ、今日観たのはアニメと言って、沢山の絵で作られてるんだけど。他にも人間が演じた映画も沢山あるよ」
「凄いです、また観せて頂けますか?」
「うん。僕も観たいし、時間が出来たら沢山見よう」
「「はい」」
『りむ、あにめすき』
「リムはアニメが気に入ったんだね。楽しかったなら良かったよ」
『うん』
言葉も分かるみたいだし、みんなも楽しめたみたいだな。これからのフォートレス号での生活が楽しみだ。
「じゃあ、今日はもう部屋に戻って休もうか」
「「はい」」
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。
現在修正中です。1/27日までには終わらせて再開したいと思いますので、よろしくお願いします。