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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第五章 フェリーと戦争
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5話 魔物の集団との対決と反省会

 話がまとまったので魔物の討伐の為に、エレベーターで駐車場に下りる。ここから乗車口を下す。


 船召喚の能力で、簡単に扉を下せるけど、本当なら安全チェックとか大変なんだろうな……そもそも陸地が近くに無いのに扉は開けられるんだろうか? ゆっくりと扉が下りて行き、光が差し込んでくるなか、考えても分からない事を考える。


「へー、凄いわね、こんな感じで開くとは思わなかったわ。結構スペースが出来るのね」


「ええ、では、魔法を撃ち込んで魔物を散らして貰えますか? そこにルト号を召喚します」


「「「「「「「「はい」」」」」」」」


 魔法を使えるメンバーが指定しているスペースに魔法を撃ち込む。魔物が散った瞬間にルト号を召喚して乗り込む。


「ああ、こんなに魔物が寄って来てたら、進めないわ。ワタルさん無理やり突っ込んでも良い? 魔物にぶつかっても傷はつかないわよね」


「ちょ、ちょっと待ってください。みなさん、前方の魔物に魔法をお願いします。アレシアさんはその後に突っ込んでください」


「分かったわ」


 確かにぶつかっても傷はつかないし構わないんだけど。テンションが上がって、抑えが効いてないみたいなのがひたすら不安だ。周りの2人も更に煽ってるし、走り出したら止まらないんじゃないか?


 なんでこの3人は操船の時になると性格が変わるんだろう? 車のハンドルを握ると性格が変わる人と同じタイプか? 日本では出会った事も無いのに、この世界で3人も出会うとは……


 前方の魔物の集団に魔法が撃ち込まれると、水蒸気も晴れない内に、船が急発進して突っ込んで行く。マーマンが水蒸気の中から弾き飛ばされる。


 うわー魔物を弾き飛ばして進んでるよ。フライングブリッジからは、楽しそうな笑い声が聞こえて来るし、もうこれは止めても無駄だな。船で倒したら経験値はどうなるんだろう?


 後ろを見ると、集まって来ていた魔物が、追いかけて来る。シーサーペントが5、いや6匹。グラトニーシャークは10以上、マーマンは数えきれないな、偶にグラトニーシャークに食べられてるし。逃げれば良いのに。


 ん? クラーケンは何処に行った? 確か上から見た時は居たんだけど……船のスピードに付いてこれなかったかな?


 後方デッキに陣取り、追いかけて来る魔物に弓を撃ち込む。マーマンは新しい弓の御蔭でアッサリ貫ける。角兎、ゴブリン、に続いてやっと新しく倒した魔物が増えた。弓を買って良かった。


 シーサーペントやグラトニーシャークには、ダメージは与えられるが、行動を鈍らせる事も出来ないな。何か攻撃方法を考えないと。


 あとフライングブリッジで騒いでいる、操船していない2人は攻撃に参加して欲しい。僕とリムはマーマンを狙い、ふうちゃんは石投げ。他のジラソーレのメンバーが大物を倒している。


 操船していない2人は、楽しそうに笑っているだけだ……なんか理不尽だよね? みんな頑張ってるのに……相談の時に議題にあげてやる。


 フォートレス号をぐるっと一周しているから、反対側に居た魔物や、追いかけて来なかった魔物が、前方から襲撃してくる。ここでクラーケンが出て来た。スピードに付いて来れなかっただけみたいだ。


 前方から襲ってくる魔物を避ける度に、フライングブリッジからの笑い声が大きくなる。また喉が枯れるんじゃなかろうか?


 結構倒しているんだけど、あんまり減った気がしないな。しかしAランクパーティーの実力は凄いな。魔物の数が凄いから、普段使わない技を使っている。


 ドロテアさんが槍を突き出すと、槍が届いていないのに魔物に穴があく。スキルなのかな? レベルが上がっても、あんな攻撃、僕では見切れない。やっぱり、陸の上では注意を怠らない様にしないと。


 カーラさんも剣を振る度に、届いていないのに魔物が切り刻まれる。カーラさんは普段大楯を装備しているから、防御専門かなって思ってたんだけど、剣でも凄いんだな。


 イルマさんとクラレッタさんも、魔術を放ち、ドンドン魔物を倒している。


 イルマさんは火の魔法で……狐火かな? あと、イルマさんが何かの魔法を使うと魔物が同士討ちしたりしてる……幻覚魔法とか?


 なんかキツネっぽい。イルマさんが偶々そうなのか、それともキツネの獣人は、火魔法と幻覚魔法が得意とかあるのかもな。


 クラレッタさんはリムに教えてくれた、ホーリースピアの大きいのを、複数浮かべてドンドン射出して魔物を倒している。リムも成長すれば、あんな魔法が使えるようになるんだったら凄いよね。


 光り輝く槍が切れたら、魔法陣から槍が補充されてる……自動補給? 魔法陣が消えずに残ってるし、こんな魔法もあるんだ。


 出来るようになったら凄いよねっと思ってリムを見ると、いつの間にかクラレッタさんの側に移動して、プルプルしている。リムも覚えたいんだろう。リムってアグレッシブ。


 大きな光り輝く魔法の槍を、乱射するリム……ロマン……かな?


 しかし、結構疲れてきた。そろそろ休憩を提案しよう。


「ドロテアさん、結構疲れてきたんで、少し休憩しませんか?」


「そうですか? うーん、魔物に囲まれる中で休憩するのは落ち着きませんが……まだ時間が掛かりそうですね、休憩しましょうか」


「「「「はい」」」」 


 攻撃組はサロンに戻って紅茶を入れる。一応、操船組にも声を掛けたが、休憩の必要はないそうだ。揺れる船内で紅茶をこぼさないように慎重に一服する。


 あの3人は終わるまでフライングブリッジから下りてこないつもりか? 疲労も感じないほど楽しいのかな?


「ふー、しかし、あんまり魔物が減った気がしませんね」


 窓の外を見ると、何処を見ても魔物の姿が見える。ルト号の時は此処まで魔物は寄って来なかったんだけど、やっぱり大きいと目立つんだろうな。


 前日位までは、フェリーで南方都市に近づこうと思ったけど。2日前位からルト号に切り替えた方がいいかもな。


「大丈夫よ。アレシア達がフェリーの周りを走り回ってるから、ルト号にドンドン魔物が集まって、減った様に見えないだけね」


「ああ、そういうことですか、ドンドン補充されてるんですね。コツコツ倒して行くしかないですね」


「そうね、ドロテア、カーラ、クラレッタもまだまだ余裕があるんだし、大丈夫よ」


「あっ、リムとふうちゃんは疲れてない? 大丈夫?」


『りむ、へいき』


『……げんき……』


「そっかー、リムとふうちゃんも大丈夫なんだね。一緒に頑張ろうね」


『りむ、がんばる』


『……うん……』


 僕はリムを、ドロテアさんはふうちゃんを撫でまわす。そういえば前回もマリーナさんはふうちゃんを放っておいて、後から謝ってたのに、今回も放置してるな。


 ドロテアさんの方にふうちゃんが懐いたらどうするつもりなんだろう? 僕だったら立ち直れない程のショックを受けるな。


「じゃあ、ワタルさん、そろそろ再開しましょうか」


「そうですね、ドロテアさん」


 後方デッキに出ると、相変わらず魔物が集団で追いかけてきている。そして相変わらずフライングブリッジは賑やかだ。脳内麻薬をガンガン分泌してそうだな。


 魔物の数を減らす為に攻撃を再開する。何度か休憩を挟みながら、コツコツと魔物を倒して行く。数時間後には魔物の数も減って来て、落ち着いた操船組も攻撃に合流した。


「ふー、楽しかったわ、魔物の数が多いと、スリル倍増ね」


「楽しかったわ」


「でもアレシアとマリーナは途中から、避けるんじゃなくて、魔物に当てに行ってたわよね? あれは駄目よ」


「イネスも当ててたじゃない」


「アレシアとマリーナが楽しそうだったから、少し試しただけよ」


 会話を聞いていると、エスカレートしていた。避けるんじゃなくて、当てにいってたんだ……魔物が偶に弾き飛ばされてたから、数が多いと難しいんだなっと思ってたら、物騒な事をしてたな。


 アレシアさん達も合流して、止まった船に群がって来る魔物をドンドン討伐する。やっぱり走ってる船より、止まってる船の方が倒しやすいし、隙があれば魔物の回収も出来るから、いいよね。


 日が沈む前には、魔物を倒し終わり。フォートレス号を送還、再召喚し、魔法陣に飛び乗って、フォートレス号に戻る。


「ふー、なかなか大変だったわね」


「アレシアは最後の方だけでしょ、あとは、はしゃいでいただけじゃない」


「そうね」


「あはははは、まあいいじゃない、それより、展望浴場に行きましょうよ。ドロテアもイルマもお風呂に入りたいでしょ?」


「ふう、しょうがないわね。ワタルさん、先にお風呂で構いませんか? 上がってから自販機コーナーで残りの話し合いをしませんか?」


「そうですね、疲れましたし、ゆっくりお風呂に浸かってから話し合いましょう」


「じゃあ、行きましょうか」


 ぞろぞろとお風呂に入っていく女性陣……


 こう、なんて言ったらいいのか。アレシアさんが仕切ると、僕の奴隷のはずの2人も違和感なく付いて行っちゃうんだよな……考えたくはないんだけど、忘れられてる?


 しかもリムまでふうちゃんと一緒にマリーナさんに抱えられて、連れて行かれてしまった……何かおかしい気がする。


 まあいい、数時間も弓を引いていたんだ、僕も展望浴場でゆっくりしよう。女性陣はお風呂が長いから、先に上がったらマッサージチェアでのんびりしよう。


 展望浴場の広いお風呂に、ゆっくりと浸かり、疲れた腕を揉む。お風呂からあがり、ビールをイッキする。


 湯上りの体にビールが沁み込む、軽い疲れと、湯上りのせいか、軽く酔いが回りクラッとする。美味しいな。


 マッサージチェアに座り、1銅貨を投入し、ウトウトしながらマッサージチェアに身を任せる。


「ご主人様、ご主人様、皆さんお風呂から上がられました」


「ん? ああ、フェリシア、ありがとう」


「いえ、皆さん自販機コーナーでお待ちです」


「そう、急ぐね」


「はい」


 いかんな、寝てしまった。急いで自販機コーナーに向かう。


「みなさん、すみません。お待たせしました」


「いいのよ、じゃあ始めましょうか。ワタルさんのもう一つの相談だったかしら?」


「ええ、それと今回の戦いでの問題なんかも話し合いたいですね」


「今回の戦いで? ワタルさん、何か問題があったの?」


「いえ、アレシアさん、問題と言うより、要求ですね。また同じような事があった時、操船を止めろとは言いませんが、フライングブリッジに3人で詰めるんじゃなくて、操船していない2人は攻撃に参加してください」


「ああ、なるほど。ワタルさんの意見に賛成です。呼んでも下りて来なかったら、即、操船を禁止にしましょうか」


「ドロテア、ちょっと待って、フライングブリッジに居たら、呼ばれても気が付かない時があるの、いきなり操船禁止は困るわ」


「そう? でもフライングブリッジまで呼びに行くから、気が付かない事は無いわ。呼ばれたら直ぐに下りてくれば問題無いわよ」


「分かったわ」


「イネスもアレシアさん達と同じ条件だから。注意してね」


「はい」


 うーん、この約束がきちんと守られれば良いんだけど……操船の時のテンションは異常だからな。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] これ、主人公はスキル使うだけの集られ装置でしかないな
[一言] 漫画版の3巻を読んで、また読み返してしまった。 読み返して気になった点として、 ワタルが渡界してきた当初は戦乱好きの神とかが暇潰しにならないとボヤいていた感じだが、現状(最新話)だと大人…
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