21話 フェリーの購入と船召喚のレベルアップ
朝か……毎朝の日課をしっかりじっくり済ませて、身支度を整え食堂に向かう。
「おはよう、ワタルさん。外にグラトニーシャークがいるわ。だいぶ疲れてるみたいだけど……」
外に出てみるとグラトニーシャークが船尾に突撃して来た。動きに切れが無いな、ルト号にではなくてハイダウェイ号に攻撃してくるのは、こっちに人が乗っているのが分かるのか?
船を結構な時間攻撃してたのか、確かに疲れているみたいだ……何で諦めないんだろう? 魔物だからか?
「とりあえず、僕とリムとふうちゃんが攻撃してから、討伐お願いします」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
あっさり討伐されたグラトニーシャークを送還する。船に乗ってると魔物の恐ろしさが薄れるな、慣れてしまわない様に気を付けないとな。
「それでは、朝食にしましょうか」
サロンに戻り、食事を並べる。
「いただきます」
軽く運動もしたし朝食も美味しいな。朝食を済ませ、ルト号に移りハイダウェイ号を送還して、思い思いにサロンでくつろぐ。
「マリーナさん、レベルアップしてから、ふうちゃんの様子はどうですか?」
「うん、意思がよく分かるようになった。ふうちゃんも喜んでる」
「そうですか、テイムスキルが上がると、もっと話せるようになりますよ」
「ふふ、楽しみ、頑張るわ。ワタルさん、リムちゃんはいつ頃魔法を覚えたの?」
「確か、クラレッタさんの浄化を見て、出来るって言いだしたので、ミックスフライを作った時ですね。魔法を見せてあげると、興味を持つかもしれません」
「クラレッタに頼んでみる」
さっそくクラレッタさんをつかまえてお願いしている。行動が早いな。
のんびりとソファーで考え事をする。うーん、フェリーを買うか、豪華客船まで我慢か、どうしようかな? 買えるお金が出来たから余計に悩むな。
お米を食べたい、醤油が恋しい、味噌汁が飲みたい……イネスの最後まで契約が無ければ、フェリーを即買いなんだけどな。
カップ麺にスナック菓子、ビールにワンカップ、缶コーヒーに炭酸飲料……あああああ、悩ましい……
「ご主人様、ご主人様!」
「ん? イネス、どうしたの?」
「どうしたのって、ご主人様が突然悶えだしたから、心配で声を掛けたのよ」
周りを見てみると、なんか引いた眼で見られている……恥ずかしい……
「それで、ご主人様は大丈夫なの?」
「え? ええ、大丈夫です、お騒がせしました」
「ワタルさんは何を考えてたのかしら? 午前中から妄想に浸ってたら駄目よ?」
「違いますよ、イルマさん、妄想なんかしてません。次に買う船の事を考えてたんです」
「あら、船を買うの?」
「まだ、悩んでるんです。欲しい船が2艘ありまして、安い方は買えるお金が貯まったんですが。高い方を先に買うために我慢するか、それとも買ってしまうのか……」
「結局、両方買うのなら、安い方を先に買っても問題無いんじゃないの?」
「まあ、そうなんですが、高い方には特典があるんで、早く欲しいかなっと……」
「うふふ、特典ね……」
ええ、そうですよ、イネスが思ってる通りですよ。
「あら、イネスさんは特典の内容を知ってるのかしら?」
「うふふ、知ってるけど秘密よ。イルマさんにも教えられないわ」
「あら、気になるわ。ねえ、ワタルさん、私には教えてくれないの? 私、悲しいわ」
あっ、そんなにしな垂れかからないで、当たってるから。言いたくなるけど、でもイネスと最後までするのが特典です。なんて言えないよ。全員が注目してるのに。
「だ、駄目です、秘密です」
「あら、残念。ユニークスキルを教えてくれたワタルさんが、内緒にする事って何かしら? とっても気になるわ」
「イルマ、詮索しては駄目よ」
「うふふ、そうね、分かったわ」
助かったな、アレシアさんが止めてくれなかったら、どうなっていたか……
「ご主人様、高い船を買うのはまだ時間が掛かるわ。それまでずっと悩むよりは、買ってしまった方が楽なんじゃない?」
あーそうかも、豪華客船を買うまで延々と悩んでる気がするな。もうすぐ豪華客船が買えるって時でも悩んでそうで嫌だな……買っちゃうか。
ジラソーレのメンバーにも異世界人ってバレそうだけど……ユニークスキルを話した時点で、バレたら引き籠るんだから変わらないよね。
なにより、イネス、フェリシアに加えて、ジラソーレのメンバーとフェリーで生活できたら楽しそうだ。
創造神様がいった通り、欲望に負けて力を使ってしまうな。
「そうですね、買っちゃいますか。頑張って稼げば、高い方の船も買えるんですから」
「そうね」
「ねえ、ワタルさん、私達も乗せてくれるの?」
「もちろんです、ジラソーレの皆さんも、珍しい物が沢山あると思うので、楽しんでくださいね」
「「「「「「はい」」」」」」
「じゃあさっそく買っちゃいますか」
欲しいフェリーは決まっているから問題は無い。正直、船の事はよく分からないので、船内施設が好みなのを選んだ。
取り合えず貯金船を召喚して、100白金貨を取り出す。船購入画面でフェリーを選択して、コイン突入口に白金貨を1枚1枚入れていく……なんか自販機に小銭を入れてる感覚だな……100億円なんだけど……
「なんだか地味ね」
「アレシア、よく見なさい。あれ、白金貨を入れてるわよ」
「えっ? ……本当ね。安い方の船って言ってたわよね?」
「ええ……」
「「「「「「……………」」」」」」
「ご主人様が安い方を買うと仰っていても、安い方が、安い船だとは言ってませんよ?」
「フェリシアさん、聞いていて混乱するわ。まあ、相当良い船を買う事は理解したわ。ルト号もハイダウェイ号も凄いのにどんな船なのかしら?」
「見てからのお楽しみね。アレシアも驚くと思うわよ」
「イネスはどんな船か知ってるの?」
「実物を見た事はないわ。少しだけ情報を見せて貰っただけね。それでも驚いたわ」
「たのしみね」
これで良いな、よし購入……今、僕、ボタン1つで100億円の買い物したんだよね……冷静に考えるとビビる……確認しよう。
「みなさん、購入はしましたが、内容の確認をしますので、少し待っていてください」
「ええ、でもドキドキするわね」
船召喚 レベル 4 (NEW)
購入した船を召喚することができる。+3 (NEW)
購入した船に限り最善の状態に保ち、自由に操船することができる。
購入画面から新しく船を購入することができる。
自動操縦
地図作成と連動していて、地図が出来ている場所なら、水上限定だが目的地を設定すれば自動で到達できる。
地図作成
自分が行った事の有る場所がオートマッピングされる。
船偽装
性能を変えずに船の姿を質感も再現して思った通りに変更できる。
乗船チケット発行 (NEW)
所有している船を選択し、期限を決めてチケット発行できる。期限内であれば何度でも乗船可能になる。発行者が任意で取り消し可能。人物指定をした場合その人しか使用できない。また、部屋を指定した場合は共有スペース以外はその部屋しか使用できなくなる。
スタッフ任命 (NEW)
スタッフを任命すると、任命した場所の仕事を熟せるようになる。
料金設定 (NEW)
部屋代を設定する事が出来る。船内の施設の基本料金に船主が料金を上乗せ出来る。部屋代とその上乗せ分は船主の物になる。
初期 手漕ぎボート(木製) 定員2
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 ゴムボート 人数制限2
(お風呂船)×1 (食糧庫船)×12 (貿易品倉庫船)×515 (龍素材)×1
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 ビッグ フィッシング ゴム ボート 定員4~5
(小屋船)×3 (倉庫船)×1
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 和船 定員12
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 イ〇ザルト45 (ルト号) 定員15
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 オル〇ス (ハイダウェイ号)
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 フェリー 定員632
特性 不沈・不壊 乗船拒否
うん、購入されてるな。船召喚のレベルも上がった。船を同時に召喚できるのが、1艘増えて全部で4艘になったのと。乗船チケット発行……これは便利だな。チケットを発行すれば毎回乗船許可を出さなくてもいいのか。
フェリーに大勢の人を乗せる時使うのだろう。毎回乗船許可をださなくてもいいし。まあ乗るのは僕達とジラソーレ位だけどね。
試してみるか……うん、僕が持ってる船が全部対象になってるな。なら食糧庫船、ゴムボート、小屋船、お風呂船、ルト号、ハイダウェイ号、フェリー、これを人物指定して、部屋指定なし、無期限でチケット発行、10枚。光と共に10枚のチケットが出て来た。
「おお、なんか凄いな」
「ご主人様、それはなんですか?」
「これはレベルアップした船召喚で、新しく使えるようになった能力だよ。このチケットを持っていると、いつでも指定されてる船なら出入り出来るんだ」
「それなら、船から出ても、チケットを持っていれば、ワタルさんにお手間を取らせずに戻れるんですね」
「ええ、クラレッタさんの言う通りです。街でも船が召喚してあれば、自由に使って構いません。あっ、操船も出来るのかな? 後で試してみましょうか」
「便利ね、シャワーも自由に使わせてもらってもいいの?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「ありがとう。とっても助かるわ」
「これがチケットです、自分の名前が書いてあるのを取ってくださいね。ふうちゃんのも発行してますから、マリーナさんが持っておいてください」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
『りむは?』
「もちろんリムのもあるよ。ほら、これは僕が持っておくね」
『うん』
「このチケットは、食糧庫船、ゴムボート、小屋船、お風呂船、ルト号、ハイダウェイ号、フェリー、に無期限で自由に出入り出来ます、無くしたりしたら言ってくださいね。直ぐ発行できますから」
「でも無くしてしまったら、拾った人が勝手に入れるって事になるの?」
「ああ、大丈夫ですよアレシアさん。名前が書いてある人しか使えませんから」
「そうなの、でも、無くさないように気を付けるわね」
「ええ、お願いします」
「……でもご主人様、お風呂船にチケットを持って入るのはどうなんでしょう?」
「……それもそうだね。まあ、お風呂の時は僕が許可を出すよ」
「はい」
「まだ確認があるので、もう少し待っていてくださいね」
さて次は、スタッフ任命か、これは……なるほど、僕は自由に操船出来るけど。他の人が動かす場合は、動かすのに必要な場所に全部スタッフを任命すれば、船が動かせるのか……フェリーとか何人の人が必要なんだ?
任命できるのは……沢山あり過ぎるな。あとどんな仕事か分からないスタッフも沢山必要なんだ……まあこれは、とうぶん使わない能力だろう……使う事があるのか疑問だ。
次は、料金設定か、チケット発行の時に部屋代を相手から取るのか。施設の基本料金に上乗せ? そういえば創造神様が言ってたな、食事とかお金が掛かるって。
そのお金に、僕が決めた金額が上乗せされて、上乗せ分は僕の利益になるのか。これも乗るのは僕達とジラソーレだけだからな……ジラソーレのメンバーからボったくるのは、さすがに無いな。
今回増えた能力は、基本的にフェリーを商売に使った場合に必要になる能力だな。チケット発行は使えるけど、他のは使う機会が有るのか疑問だ。
これでだいたい確認できたよね。次はいよいよフェリーの召喚だ。なんかドキドキするな。
「みなさん、お待たせしました、確認が終わりました」
「結構時間がかかったわね、新しい能力が沢山増えたの?」
「確かに増えたには増えたんですが、船で人を運ぶ商売をする時用の能力ばかりで。正直、使う機会があるのかも疑問ですね」
「あら、そうなの、残念ね」
「ええ、でも、新しい船が召喚できるようになったんですから、大満足ですよ」
お米が食べられる、醤油もソースもあるはずだ。カップ麺にお酒にジュース、DVDにミニシアター、楽しみ過ぎる。今夜は眠れないな。
「では、召喚しますね。前方デッキに行きましょうか」
みんなワクワクした表情で前方デッキに集まる。
「いよいよね」
「どんな船なのかしら?」
「沢山白金貨を入れてましたから、きっと凄い船ですよ」
「そうよね、たのしみだわ」
ハードルがグングン上がっているな。普段ならビビッてハードルを下げにいくけど、ハイダウェイ号同様に今回も自信がある。みんなの度肝をぬいてやる。
「船召喚」
えっ? なに? このバカデカイ光の魔法陣は、僕がいきなり度肝を抜かれたんですけど……
目の前には巨大としか言えない、巨大な船が浮かんでいる……え? フェリーってこんなに大きいの? 周りをみると全員が呆然としている。まあ、みんなの度肝も抜けたから成功で良いか。
「わ、ワタルさん、何よあれ、何なのよ、船を買うんじゃなかったの? ねえ、ワタルさん」
「ちょ、ちょっとアレシアさん落ち着てください。あれは船なんです」
「本当ですか? 大型の船の何倍もある様に見えますよ? それに材質も木材じゃありませんし」
「ええ、ドロテアさんの言った通り、木材じゃなくて金属で出来た船なんです」
「金属は浮かない、沈む」
「マリーナさん、僕も理屈はよく分かりませんが、浮くから大丈夫です」
「うふふ、凄いわ、自分の目で見ても信じられないなんて初めてよ」
「すごい」
「本当に凄いですね、夢ではありませんよね?」
『おっきい』
「うふふ、ご主人様、思ってた以上に凄いわ。私、この船でも契約してたわよ」
「イネス、そんな事いまさら言われても、へこむだけなんでやめてよ」
「ご主人様、本当に凄いです」
思った以上の反応だな。これで中に入ったらどうなるんだ?
「では、そろそろ乗り込みましょうか」
「はい」
「……これって、どこから乗り込むのかな?」
資金 手持ち 5金貨 13銀貨 36銅貨 ギルド口座 33白金貨 70金貨 貯金船 53白金貨 胡椒船 485艘
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