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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第四章 胡椒の行商?とジラソーレとの旅
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12話 商談と装備とラザニア

 朝か、毎朝の日課を済ませ、身支度を整え食堂に行く。ジラソーレのメンバーと朝食を食べながら今日の予定の再確認をする。ちなみにクラレッタさんは別行動で大聖堂だそうだ。寂しい。


 部屋に胡椒を出しておいて、商業ギルドで荷車を1台借りて来て積み込んで、チリアーコ商会に向かう。4白金貨50金貨で卸せるかな?


 フィリッポさんは高値を付けたと言っていたから、少し値切られるかな。値段を聞かれたら最初は4白金貨60金貨で勝負しよう。


 チリアーコ商会に到着し、掃除をしている従業員に話しかける。


「おはようございます、売りたい物があるんですが、お話を聞いてもらえますか?」


「おはようございます。よろしければ商品を教えて頂けますか?」


「はい、商品は胡椒になります」


「かしこまりました。番頭を呼んでまいりますので少々お待ちいただけますか?」


「はい」


 従業員は少しだけ驚いた顔をした後、店内に案内してくれて、お茶を出してくれた。うーん、やっぱり胡椒って貴重なんだね。扱いが丁寧になった。少しすると従業員が年配の男性を連れて戻って来た。


「はじめまして。私、チリアーコ商会で番頭をしています、ライモンドと申します」


「はじめまして、突然の訪問、申し訳ありません。ラティーナ王国から参りました、ワタルと申します。よろしくお願いします」


「早速ですが、胡椒を卸して頂けるとの事ですが、確認させて頂いても宜しいですか?」


「はい、荷車に積んである荷物は、すべて胡椒ですのでご確認ください」


 荷車の所に移動してライモンドさんが真剣に胡椒を確認している。なんか前にも見た事ある光景なんだよな、胡椒を全部捌くまで、あと何回もこんな光景をみるんだろうな。


「素晴らしい胡椒ですね全部卸して頂けますか?」


「はい、これと後荷車4台分の胡椒を卸す事が出来ます」


「この胡椒と同じ品質ですか?」


「はい、同じ所で仕入れた物ですから、品質に違いは無いと思います」


「素晴らしいですね」


 部屋に戻って交渉を再開する。


「ワタルさん、荷車1台分の胡椒をお幾らで卸して頂けますか?」


「4白金貨60金貨で如何でしょうか?」


「ふむ、少しお高めではないですか?」


「そうでしょうか? ベルガモでは4白金貨50金貨の値が付きました。首都ならばもう少し値が上がると思うのですが」


「ふむ、確かに首都の方が高値が付くのは間違いないのですが、ベルガモからここまで安全な道で3日で着きます。荷車1台分で10金貨は上げすぎではありませんかな?」


 3日で10金貨つまり約1千万円の値上げかー、確かにボってる気がするな。


「では、お幾らならば納得してくださいますか?」


「一級品の胡椒ですからね、高値を付ける価値は有りますが……4白金貨53金貨で如何でしょうか?」


「うーん、もう1枚金貨を上乗せして頂ければ私は満足できるのですが」


「分かりました、では4白金貨54金貨でお願いします」


「はい、ありがとうございます。あと4台分はどうされますか?」


「確認させて頂いて、一級品であればすべて卸して頂きたいですな」


「分かりました」


 荷車と人手を借りて、荷車4台分の胡椒を運んでくる。ライモンドさんが一つ一つを丹念に調べている。


「ワタルさん、すべて一級品である事を確認しました。全部で22白金貨70金貨で構いませんか?」


「はい、お支払いは出来るだけ白金貨でお願いしたいです。足りない分はギルド口座に入金お願いします」


「かしこまりました。本日ご用意出来ますのは8白金貨です。残りはギルド口座に入金で構いませんか?」


「はい、お願いします。あとこの国のお勧めのワインを仕入れたいのですが、お願い出来ますか?」


「ワインですか? チリアーコ商会でも扱っておりますが、どのようなワインをお求めですか?」


「お勧めでお願いします、中級以上の人気の物で種類を多く、5金貨分お願いします」


「かしこまりました、相当な量になりますが、いかがなさいますか?」


「でしたらソレーヌの宿屋まで運んでもらえますか?」


「かしこまりました」 


 うーん、なんか今回は商談っぽい事が出来た気がするな。まあ掌で転がされていた可能性の方が高そうだけど、金貨20枚儲けが増えたのなら、やらないよりマシだったんだろう。


 商談にかなり有利な胡椒という商品を持ってるのに、このドキドキ感……普通に商売してる人達はもっと厳しく、もっと熾烈に交渉してるんだろうな……


 チリアーコ商会を出て荷車返却の為に商業ギルドに向かう。荷車を返却して、ついでに30白金貨を下ろせるように頼む。明日には下ろせるそうだ、なんか順調だな。


「次は装備の買い替えですね……誰かお店知ってますか?」


「ふふ、大丈夫よ。冒険者ギルドで評判の良い武器屋と防具屋は聞いておいたわ」


「助かります、アレシアさん」


 アレシアさんの案内で、まずは武器屋に入る。


 並べてある弓を一つ一つ手に取って引いてみる……なんか楽に引けるな。


「ワタルさん、気に入ったのはありましたか?」


「あっ、マリーナさん、どれも軽く感じるんですよね。どんな感じの弓を探せば良いのか、困ります」


「? ワタルさん、レベルは幾つなの?」 


「レベルですか? この前見た時は182でした」


「それなら、ここには無いと思う。店主に聞いてみる」


 マリーナさんが少し驚いた顔をしていた。意外と高レベルで驚いたんだろう。海に居る間はパワーレベリング状態だからレベルだけは上がってるんだよな……まだ角兎とゴブリンしか直接倒したこと無いけど。


 マリーナさんに連れられて、店主の所に行く。


「店主、強い弓を出して欲しい」


「ん? 悪いが、この店には、あんたが持ってる弓より良い物はないぞ?」


「私じゃなくて、彼の弓」


「ん? こいつのか? 初心者用の弓を使ってたんなら、次はあそこに並べた奴を使わせろよ。初心者にあれ以上の弓は無駄だぞ?」


「あーすいません、あそこに並んでいる物は軽く感じたので、もう少し強いのをお願いします」


「うーん、あそこにも強めの弓は置いてあったんだがな、まあいい、ちょっと待ってろ」


 言いたい事は分かる、初心者セットを装備した、冴えない男にそんな力がある様に見えないんだろう。


 弓を幾つか持って店主が戻って来た、とりあえずこれを引いてみろ。順番に弓を引かされた……


「ん? これが丁度いいかな?」


「こいつ初心者じゃないのか? 命のやり取りを潜り抜けてきた様には見えねえんだが、高レベルなのか? よく分からん奴だな」


 ほぼ正解です、ほぼ初心者の、命のやり取りをしたことが無い、高レベルです。


 いくつか弓を試させてもらい気に入った物を選ぶ。12金貨、高いな。イネスとフェリシアも剣と弓、小杖を新しくした。全部で58金貨……5千8百万円だよ怖い。


 その後は防具屋に向かい、防具を選ぶ。正直よくわからない間に僕の防具が決まった、女性陣がサクサクと魔物の革で出来た革鎧に決定して。イネスとフェリシアの革鎧を楽しそうに選んでいる。


 僕の3倍位の時間を掛けてイネスとフェリシアの防具を買った……なんか納得がいかないな。


 武器屋と防具屋で1白金貨13金貨掛かった。日本円で1億1千3百万だ……吐きそうだな、有り得ない金額に一般人の魂が拒否反応を起こしている。


「みんな、装備を更新して凄腕の冒険者に見えるわ」


「アレシアさん、僕は商人なんですが」


「ワタルさん、マリーナに聞いたわ。凄い高レベルじゃない、冒険者も再開したら?」


「レベルが上がっても戦いは苦手なままなんですよ。レベルもイネスとフェリシアのおこぼれで上がっただけですから」


「実戦経験が少ないのは危険だけど、レベルが高いのはかなりのアドバンテージよ。実戦経験はこれから慎重に経験していけば良いんだし。海での生活で私達もレベルが上がったんだもの。これからもレベルは上がるでしょ」


「うーん、性格的に向いてなさそうなんですよね。無理せず訓練と、実戦の機会があればその時に少しずつ経験を積みます」


「そう? もったいない気がするけど……ワタルさんの場合、無理して戦う必要も無いのよね」


「まあ、護衛の2人にリムも居ますし、機会があれば頑張ります」


「ふふ、そうね、無理して戦うワタルさんも想像できないし、それで良いのかもね」


 ふー、なんか、情けない男と思われてそうだけど……戦闘頑張りますとか言ったら「手伝うわ」とか言って、とんでもない所に連れて行かれそうだし、これで良かったと考えよう。


 装備も購入したので、とりあえず、屋台で買い食いしながら宿に戻る。みんなは部屋に戻って休憩するそうだ。時間も昼過ぎで食堂も空いているので、僕はチーズの布教を試そうと思う。


「女将さん、この宿のコックさんに会いたいんですが、いらっしゃいますか?」


「ええ、いますよ。少々お待ちください」


「あなたーお客さんが会いたいんだってー」と声が聞こえる……宿の女将さんは、コックさんと結婚するのが決まりなのか? 殆どの宿が女将さんの旦那さんはコックさんな気がする。


「お待たせいたしました。ジーノと申します、どういった御用でしょうか?」


 すらりとしたカッコいいお兄さんが出て来た……なんかやる気が急速に萎んでいく。いや、リア充に嫉妬するほど、今の僕は悪い状況ではないはずだ。切り替えよう。


「いくつか、料理について聞きたい事があるのと。話を聞いて興味が湧いたら、その料理を作って欲しいんです」


「興味深いですね、ぜひお聞かせください」


 チーズとついでにミルクも布教しておいた。この国でもチーズは保存食、携帯食で、野営時等にあぶって食べる位だそうだ。


 食べてみないと分からないと、チーズとミルクを提供して。ピザトースト、カルボナーラを作ってもらい試食してもらう。


「驚きました……こんなに簡単な料理なのに、これだけの味になるなんて……ピザトーストでしたか? パンにトマトソースを塗ってチーズをのせて焼くだけでこの味ですか」


「簡単ですが美味しいですよね。それで作って頂きたい物があるんですが、お願い出来ますか?」


 ミートソースはあったので、ホワイトソースの作り方を教えて。ラザニアのレシピを渡して丸投げした。ラザニアは手間がかかりそうなので作った事がない、上手に説明できないのでしょうがないよね。


 でもチーズを広める為の料理を考えていたら、どうしてもラザニアが食べたくなってしまった。プロに期待だ。上手く出来たら夕食に出してくれるそうだ。


 いまから試行錯誤してみるそうなので部屋に戻った……夕食にラザニア、出て来るかな? チリアーコ商会からワインが届いたので部屋に運んで送還する。


「イネス、フェリシア、取り合えず胡椒の商談は終わったし、装備も買ったので、洞窟にスライムを探しに行くの付いて行ってみる?」


「うふふ、ご主人様はどうしたいの?」


「うーん、スライムには会いたいけど、行き先が洞窟なのが気になるんだよね。気持ち悪い魔物が出て来そうな気がするんだよね」


「虫の魔物とかが出ますね。でもご主人様はジラソーレの皆さんのお願いを断れるんですか?」


「フェリシアの言う通りね」


「そうなんだよね、一緒に行ってって言われたら、行きますって答える気がするね。イネス、フェリシアは洞窟でも平気?」


「ご主人様、私は元冒険者よ、慣れているわ」


「私は森にも洞窟は有りましたし、ゴブリン等の駆除の為に中に入っていたので平気です」


「そうなんだ。なら、新しくなった装備を試しに行こうか」


「「はい」」


 夕食の時間になったので、食堂に向かう。ラザニアが出来てるといいな。ジラソーレと席に着き、ジーノさんに伝えてもらう。


 暫くするとジーノさん自らがラザニアを持って出て来た。ラザニアの入った大きなお皿をテーブルに置き目の前で切り分けてくれるようだ。


 断面は何層にもミートソースとホワイトソース、パスタが重ねられ、上から垂れて来るトロトロのチーズがもはや視覚の暴力だ。


 僕達もジラソーレのメンバー達も、切り分けられるラザニアに釘付けだ。一つ一つを女性陣の前に取り分け配膳される。


『「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」』


 全員がラザニアに夢中だ。トロっとしたチーズにカリッとしたパン粉の歯ごたえ、濃厚なミートソースとホワイトソースがパスタに絡まる……美味しい。


「ワタルさん、どうですか?」


「ジーノさん、とっても美味しいです。昼間レシピを渡したのに、夜にこの完成度で出て来るなんて驚きです」


「私も試作品を食べた時はこの料理の美味しさに驚きました。妻や従業員達にも大好評でしたし、これからも研究したいと思います」


「ホワイトソースもチーズも色々な美味しい料理が作れます。色々試してくださいね」


「はい、ありがとうございます」


 話している間に、女性陣とリムはおかわりに取り掛かっていた。急いで自分のラザニアを食べて、なんとかおかわりを確保する。


 食事が終わってジラソーレの部屋に集まる。途中、ジーノさんが他のお客さんに、あの料理を出すように迫られて困っているのを見て、イケメンざまあっと思ったのは内緒だ。


 資金 手持ち 7金貨 53銀貨 76銅貨 ギルド口座 63白金貨 70金貨 貯金船 73白金貨 胡椒船 485艘

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
胡椒船へらねーw
[一言] あんまり異世界の料理が遅れてる的な表現は好きぢゃないんだよなぁ…美食の神さんいらっしゃるのに発展してない筈がないんよねぇ…主人公以外の異世界人も来てたっていうのに有り得なくない?って思う…。…
[気になる点] 装備を買った時の感想で吐きそうとか 有り得ないて感想がありますが その少し前に20倍近い稼ぎの時には 全く金銭感覚についてはなかったのに おかしくないですか? 稼ぐのと使うのでは違う…
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