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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第三章 胡椒貿易とダークエルフの島
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20話 従業員さん再びと船内案内

 目の前に立ちふさがった殺気ビンビンの男が大声をあげる……あの宿の従業員さんだ……


 うわー、もう間違いなく面倒事がおこるよ。大観衆の中で羞恥プレイだよ、荷車を放っておいて走って逃げるか?


 ……なんでだろう? レベルの関係で体力はこっちが上だろうけど、逃げられる気がしない。従業員さんは何処まででも追いかけて来るだろう、彼は諦めない男だ。


「カーラさん、クラレッタさん、まだそんな男と一緒に居るんですか。荷物持ちだとしてもあなた達の側に居てもいい人間じゃありませんよ」


 しょっぱなから全力でディスられてるな。荷物持ちでも許されないのか……。


「あのーあなたは、宿の従業員さんですよね。あなたがお2人に何か言う立場ではないと思いますが」


「いいですか? あなた達はAランクパーティーのジラソーレなんですよ。あんな中級宿屋も相応しくないですし、そこの男もあなた達に集る害虫と同じなんです。僕の宿に戻ってきてください」


 えっ? 無視なの? えっ? 害虫? ここは怒る所だよね? でもなー、人が集まって来てるなかで僕が怒って言い返すの? 恥ずかしいよね? ここは冷静に大人の対応がカッコいいと思うな。


「あのー従業員さん、ここは大通りですし、宿の問題もあなたが口出しする事ではありません。騒ぎをおこさないで帰ってくれませんか?」


「もちろん戻って来て頂けたなら、私が最高のサービスをお約束します。最高の部屋に最高の食事、私が専属でお仕えします。今も不自由なさっているのでしょう? 私の宿なら買い物など行かなくていいのです。言って頂ければ直ぐにご用意いたしますよ」


 無視……そうだった、僕が話しかけても従業員さんの耳には届かないんだった。やめてイネス、なぐさめないで、涙がでそう。


(えーっと、イネス、僕の言葉が届かないんだけど、どうしたら良いと思う?)


(うふふ、黙って見てればいいと思うわよ)


(でも、それはそれで情けないような)


(大丈夫ですよ、ワタルさん。もう慣れましたし対策も出来ていますから暫く見ていてください)


(えっ? クラレッタさん、大丈夫なんですか?)


(はい、問題ありません)


(分かりました)


 ひそひそ話に、事態の中心人物が参加していていいのかな? 従業員さんは? ……ああ、トリップしてらっしゃるのですね。こちらも見ないで自分と自分の宿の素晴らしさを大声で語っている。気持ちよさそうだな。


「それで、これからどうなるんでしょうか?」


「ええ、もう直ぐ来るとは思うんですが、あっ来ましたよ」


 男の人達が急いで走って来てる。あっ、従業員さんに飛びついた……うーん、従業員さん素晴らしい暴れっぷりだな。バタバタと取っ組み合いの末に従業員さんが引きずられていった……


「何がどうなっているのですか?」


「はい、あの人達はあの宿屋の従業員です。それで抜け出しては騒ぎを起こす、あの人の回収係ですね」


「よくこんなに早く駆けつけて来られますね?」


「ええ、あの宿屋は老舗ですので、この辺りには知り合いが沢山いるんです。それであの人を見つけたら知らせるようになっているんです」


 毎回あのパターンなのか? 僕が話しかけたのは完全に無駄だったんだね……。


「そうなんですか……買い物を続けましょうか」


「はい」


 買い物を終えて海猫の宿屋に戻る。なんか結構疲れたな。ジラソーレの他のメンバーも、もう戻っていたので船まで案内する。


「どうぞ、中に入ってください」


 乗船許可をだして全員を中に入れる。ジラソーレのメンバーは興味津々だね。


「いまお茶を用意しますので、座って待っていてください」


 サロンのソファーとスツールに6人で座ってもらう。


「どうぞ」


「ワタルさん、凄く変わった魔導船ね。外側はちょっと変わった魔導船にしか見えないのに、船内は綺麗でなんて言っていいのか分からないけど、とにかく凄いわ」


「ありがとうございますアレシアさん、それでですね、秘密をお話しします」


「えっ? ああそうだったわね、この船の秘密を教えてくれるのだったわね」


「まあ、船と言うより僕の秘密なんですが、見た方が分かりやすいかな? 見ていてくださいね、船召喚」


 船内に魔法陣が現れゴムボートが出て来る。


「これが僕のユニークスキルの船召喚です。この船も僕のスキルで召喚した物なんですよ」


「ユ、ユニークスキルなの……秘密にするわけね」


 ジラソーレの皆も驚いてポカンとしてる……ポカンとした顔まで美人だなんて……美人ってずるいよね。


「ええ、それで、この召喚したボートに買って来た食料を積みます」


 イネスとフェリシアに手伝ってもらって食料を積み込む。そういえばリムは? リムはスカイラウンジでポヨンポヨンして遊んでました。


「そして船送還、これで中に入っていた食料は時間が止まったまま保存されるんです。ね、大丈夫でしょクラレッタさん」


「え、ええ、ワタルさん、驚き過ぎてどう答えたら良いのか分かりませんが、分かりました」


「とりあえず食料は全部積み込みますね」


 新たに2艘ボートを召喚して、残っていた食料を全部積み込み送還する。


「秘密はまだありますけど、ここでは説明し辛いので航海に出てから説明します。こんなスキルなのでバレたら面倒なんです。皆さん秘密は守ってくださいね」


「え、ええ、確かに面倒事が起こるわね。分かったわ、秘密は必ず守ります。ねえ皆」


「「「「「はい」」」」」


「よろしくお願いします。では、船内の案内をしますね。まずはここがキッチンです。この蛇口を捻るといつでも水が出ます。これが冷蔵庫と冷凍庫で、飲み物や食材を冷やす事が出来ます。


 果物のジュースが入っているので好きな時に飲んで構いません。それでこれがコンロです。鍋をのせると煮炊きができます」


「なんだか凄いのは分かるんだけど、どうしたらいいのかよく分からないわ」


「問題無いですよ、使っていたら直ぐに覚えます。イネスもフェリシアも直ぐに慣れましたし。分からなくなったら何度でも質問してください。次は、ここがゲストルームです。2人しか寝られませ「うわー、凄いわ、なにこれふかふかね」んけど」


「ああ、アレシアずるい。私も」


「こら、アレシア、カーラ、ワタルさんが説明中よ」


「「ごめんなさい」」


「ははは、まあ、航海に出たら幾らでも楽しめますから、今は説明を聞いてください」


「「はーい」」


「ここがトイレです。僕が説明するのも変な感じなので、後でイネスとフェリシアに聞いてください。あとこの洗面台も捻れば水が出ます」


 おう、いつの間にかリムがドロテアさんの腕の中に納まってる。


「ここがオーナーズルームです、普段、僕達が利用している部屋ですね」


「うわー大きなベッドね、しかもふかふか」


「ええ、お気に入りなんですよ」


「そしてここがシャワールームです。身を清める場所です。結構気持ちがいいので皆さんも使ってみてください。説明はイネスとフェリシアに任せますね」


「うふふ、身を清めるのね、どうして汚れたのかしらね?」


 イルマさんそんな目で見ないでください。言いたい事は分かりますが誤解です。


「ま、まあ、航海してると海の潮風で体がベタつきますから、頻繁に使うと思います。これで一通りの案内が済みました。何か質問はありますか?」


「はい」


「なんでしょうかドロテアさん」


「使い方の分からない物は、イネスさんとフェリシアさんに聞きますが、この船で守らなければいけないルールを教えて貰えますか?」


「ルールですか……特に決め事は無いんで。あっ後で説明しますが船内では殺傷行為が禁止されています。訓練をする場合は、組手等はしないでください」


「分かりました。みんなも良いわね」


「「「「「はい」」」」」


 他には……特には思いつかないから追々で良いか。


「あの、ワタルさん、図々しいお願いですが、リムちゃんと一緒に寝てみたいんですが、お願い出来ませんか?」


 普段キリッとしているドロテアさんが恥ずかしそうにしている……いい。


「あの、ワタルさん?」


「え? あっ、リムと一緒に寝てみたいんですね」


「はい」


「リムが良いなら構わないと思いますよ、今聞いてみますね」


 リムが羨ましいな、テイムスキルに五感の共有とかそんな技ないかなー


「リム、今度ねジラソーレのお姉さん達と航海に出るんだよ。その時にドロテアさんがリムと一緒に寝てみたいんだって。リムはドロテアさんと一緒に寝てもいいかな?」


『どろてあ? りむすき』


「そっかーリムはドロテアさんが好きなんだね。一緒に寝るのはどう?」


『いっしょ?』


「そうだよ、一緒に寝るの」


『りむ、どろてあ、いっしょねる』


「じゃあ今度、ドロテアさんと一緒にお休みだね」


『いっしょ』


「ドロテアさん、リムは一緒に寝るの構わないみたいですよ」


「ありがとう、ワタルさん、リムちゃん今度一緒ね、楽しみね」


 僕も一緒に寝たいなー、頼んだら変態確定だから頼まないけど。


 ドロテアさんとリムが楽しそうにイチャイチャしている……うらやましい。


「ワタルさん、明日出航で大丈夫?」


「あっ、はい、アレシアさん大丈夫です。何時に出ますか?」


「そうね、6時だと早い?」


「僕達は大丈夫ですよ」


「なら6時でお願いね。じゃあそろそろお暇するわ」


 帰るジラソーレのメンバーを見送り、お酒と玩具のルールを書いた紙を持ってドニーノさんの所に向かう。そういえば、最初の小屋も置いて来てるから3つの小屋を運ばないと駄目なんだ、ドニーノさんに人を借りよう。


「ドニーノさんこんばんは」


「おう、ワタル、出来てるぞ。酒は持って来たんだろうな?」


「はい、ちゃんと持ってきてますよ、これは玩具のルールです」


「おう、玩具の方は今度試してみる」


 ああ、駄目だな、今はお酒しか見えてない。もう帰れって雰囲気が清々しい位にまき散らされてる。


「ドニーノさん、僕達では全部運べないので、人手を貸してもらえませんか?」


「ん? そうだな、そこら辺の若い奴らを勝手に連れてけ」


 若い職人さん達が苦笑いしながらも船まで運んでくれた。なんか申し訳なかったので1銀貨渡しておいた。


 小屋をビッグ フィッシング ゴム ボートに括り付ける。人手があるし簡単に終わる。これで小屋船が3艘だ、1つはボロいけど。新しい小屋船の中はどうなってるのかな?


 うん、全部板張りになっていて、安心感が増した気がする。ゴムボートで船底が柔らかいから毛布を敷けば十分快適に過ごせそうだ。


 ランタン、小型の机、棚等を設置する。寝るだけなら十分だ、次は作ってもらった玩具を試して見よう。


「イネス、フェリシア、これがリバーシとジェンガです。ルールを教えるから、今から遊んでみよう」


「「はい」」


 手始めはジェンガだ、単純なルールなので初めてでも十分楽しめる。慎重に棒を引き抜き上にのせる、倒れそうになる度にキャイキャイ騒ぐ2人が可愛い。


 倒れる度に悲鳴と歓声が起こり、負けた者がもう1回と騒ぐ。だいぶ楽しめるけど、重大な欠点も見つかった。船で遊ぶには不向きな玩具だった、走行中や、波の大きい時は遊べない。作る前に気が付きたかった。


 リバーシも好感触だ、2人とも初めは多くひっくり返る所に釣られていて簡単に勝てたが、次第に角や端の重要性に気付き勝負が面白くなって来た。


 驚いたのはリムがリバーシに興味を持ったのでルールを教えてみると、2人と良い勝負をするようになった事だ。ポヨンと動き、張り付いた石を上手に盤におき、ひっくり返すのもお手の物だ。


 リムとはいえ、スライムに負けたくない2人は必死で戦い何とか辛勝していた。大人げないよね。


 リムも負けが続いて悲しそうにしていたので、僕が勝負をして、負けてあげた。八百長だけどリムが喜んでくれるのが一番だよね。ポヨンポヨンと体を弾ませて喜ぶリムは可愛すぎます。


「さて、明日も早いし夕食を食べて寝ようか」


「「えー」」


「いや、子供じゃないんだから、我慢してよ。明日からジラソーレとも沢山勝負できるし、寝坊するわけにはいかないんだから、今日はもう終わりだよ」


「「はーい」」


 明日からジラソーレと一緒だから、今日は思いっきりイチャイチャしておこう。お休みなさい。


 ん……朝か。日課を済ませて、ボーっとした頭がハッキリする。


 そうだ今日からジラソーレと船旅だ……頑張って仲良くなりたい。正直ラッキースケベにも期待している。よし、楽しい船旅にするぞ。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公本人も変態で女にだらしなくてキモイところあるから従業員を出して主人公ageしてる風なのがちょっと嫌やな 主人公本人は文句言わないけど作者が主人公ageしようとしてる感が漂ってる
[一言] オルソス気になってぐぐってみました。想像してなかった形状といいますか、すごいものがあるものですね、、、、!
[一言] 数字札でトランプもどきとか 絵札作って神経衰弱とかいけるかも…。
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