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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
二十三章
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1話 サポラビ達の休日の始まり

 創造神様の妨害付き神様方の招待イベントをなんだかんだいい感じで乗り越え、アクアマリン王国に戻ってきた。獣人の村でカミーユさん達と合流し。なんだかとんでもない印章と、獣人の町と水路や溜池の平行工事がほぼ決定した。追加投資が可能なようなので、安心して船が買えそうだ。



「それでご主人様、どうして外海に戻ってきたの?」


 そう、獣人の町にマリーナさん達とカミーユさんを置いて、僕達は再び外海に移動してきた。


 まだカミーユさんに仕事が残っており、その間は周辺でのんびりする予定だと伝えていたから、イネスも疑問に思ったのだろう。


 僕も当初はそうする予定だった。でも、気になって色々なことに集中できなくなったから、その原因を解決するために外海に出てきた。


「この前、僕だけで出かけたことがあったでしょ? その時にとある方から、サポラビは飲食や娯楽を楽しむことができるって教えてもらったんだ」


 イネスとフェリシアなら極小とはいえ加護を貰っているし、神様って直接言葉にしても問題ない……と言いたいところだけど、フェリシアはともかく、イネスも神様という存在に言葉だけでも結構緊張してしまう。


 遠回しにだけど、結構色々な愚痴をこぼしているにもかかわらずだ。


 地球では神様を信じる信じないはそれぞれだったし、信じている人もその存在を実際に証明できてはいなかった。


 それに比べるとこの世界では神様の存在は実際に確認されているので、神様に対する信仰と敬意がとても強い。


 ……そんな神様方と一緒にお風呂に入ったり、創造神様をハメてブラック契約を結ばせたりしたとか言ったらどういう反応をするのか、実は少しだけ興味がある。


 大騒ぎになりそうだから言わないけど。


 もしクラレッタさんに光の神様にマイクロビキニを着せたことがバレたら、洒落にならないことになりそうだ。


「なるほど、つまりご主人様はサポラビちゃんにご褒美をあげたいと考えたんですね」


「フェリシア、正解」


「なるほど、色々と働かせていたのに、何も報いていなかったのが気になってしょうがなかったのね」


「イネスも正解」


 どちらかというとイネスの方が正解に近いが満点にはならない。あとは、殺した角兎への供養と、賄賂を贈って恨みを逸らす目的もある。というか、そちらの方がメインの目的ですらある。


「まあ、そういう訳で、今回、クリス号とシャトー号のサポラビに休暇と飲食の許可を与えるつもりだから、イネスとフェリシアもフォローをよろしく」


 休暇を与えたからって襲い掛かってくることはないと信じたいが、念のために二人には傍に居てほしい。


 船内では暴力行為は禁止されているのだけど、サポラビってなんか船の備品みたいな感じがあるから断言できなくて怖い。


 アレシアさん達も警備スタッフに任命しているから、普通に訓練で戦うこともできているからね。


「分かったわ」


「分かりました」


「フェリシア、なんだかちょっと嬉しそうだね」


「分かりますか? サポラビちゃん達ともっと仲良くなれるかもと思うと、ちょっと楽しくなってきました。実は子供の頃に兎を飼っていたこともあるんです」


 なんと、フェリシアは兎が好きだったようだ。そういえば何度かサポラビを撫でている姿を見たことがあるな。


 でも、兎は狩りの獲物だって話も聞いたことがある気がするが……僕達に気を遣わせないようにしていたのかな?


 キャッスル号ではカミーユさん達に専属のサポラビを配置しているし、どうせだったら、イネスやフェリシア、アレシアさん達にも専属の……駄目だ。そうなると僕の周りにサポラビが溢れる。 


 サポラビにはまだ罪悪感があるから、そのような事態は避けたい。


「そうなんだ。飲食を許可するから、一緒にご飯や甘味を食べることができるかもね」


「ふふ、そうなったらとても楽しそうですね」


 フェリシアがサポラビと良い関係を築いて、僕への怨念を減らしてくれるととても嬉しい。


 都合の良いことを考えながら、クリス号とシャトー号を召喚する。


 何度か見たことがあるが、やはり豪華客船が並ぶ光景は迫力がある。


「そういえばご主人様、キャッスル号のサポラビ達の休暇はどうするの?」


 イネスの疑問は僕も考えた。


 サポラビも召喚している存在なのだから、入れ替えたり休暇交代制にしたりと色々とできそうではあるが、仕事や場所、人に慣れる可能性を考えると適当に入れ替える訳にはいかないかもしれない。


 それに、それができたとしても、キャッスル号は僕から離れた場所で活動しているので細かなケアは難しい。


「キャッスル号のことはカミーユさんに相談して、休暇や飲食の許可を出してもらうようにするつもり。まあ、今はカミーユさんが忙しいから相談するのは帰りの船の中でかな」 


 仕事を丸投げしまくっている状況で更に手間を増やすのは申し訳ない。


 まあ、丸投げした仕事に一段落ついたら、また丸投げするんだけど……。 


「ああ、向こうのお客との兼ね合いもあるものね」


 イネスが真っ当な意見を言うと、ちょっとビックリするよね。でも、そのとおりで、お客様のお手伝いをしている最中のサポラビに突然休暇を与えられても困るだろう。


「じゃあ、とりあえず、サポラビを集めるね」


 広いシャトー号のホールに移動し、サポラビに集合を掛ける。まあ、単にシャトー号とクリス号に配置されているサポラビを再召喚するだけなんだけどね。


「うわ……」


「ご主人様、凄いです! サポラビちゃん達が沢山です!」


「へー、こんなに居たのね」


 兎好きをカミングアウトしたからかいつも大人しいフェリシアのテンションが上がり、イネスが感心したように頷く。


 でもそれも仕方がない。


 配置場所によって違うさまざまな衣装を着た、メルヘンな二足歩行の白い兎が豪華客船のホールを白いモコモコで埋め尽くしている光景は、大抵の人がホッコリすると思う。


 僕はホッコリしないけどね。


 相手から襲い掛かってくるし魔物だし狩ったことは悪いことではないのだが、この数を見るととても悪いことをした気分になる。


 創造神様がメルヘンで可愛らしい存在に変化させたからなおさらだ。


 お仕事とはいえ、毎日毎日飽きもせずにコツコツと狩り続けたもんな……そりゃあこの数も当然だ。


 他にもキャッスル号にもサポラビが居るし、まだまだ召喚できるようだから召喚すらされていないサポラビも沢山居るはず……想像するだけで怖くなってくるな。


「えー、君達に集まってもらったのは、とある方に君達が飲食や娯楽を楽しむことができると聞いたからです」


 サポラビたちの表情は変わらないが、空気がザワっとした感じがする。喜んでいるのかな?


「ですから、この後から明日の日付が変わるまで、君達に飲食の許可と休暇を与えます。お給料というかお小遣いも配りますので、クリス号とシャトー号を節度を持って楽しんでください」


 普通なら自由に楽しんでと言うところだが、自由にさせると怖いので節度という言葉を付け加えた。


 学校の先生が節度という言葉を偶に使う気持ちが少し分かった気がする。自由にさせるには強い信頼が必要ということだ。


 ちなみに、お小遣いは銀貨五枚。地味に高額だが、賄賂も兼ねているのでこれくらいが妥当だろう。


 それに追加投資が現実味を帯びているので、サポラビが使ったお金が慈善事業費に回っても問題がないのが安心材料だ。


「では、現在より休暇の開始です。お給料はあちらでフェリシアが配るので、並んで受け取るように」


 僕の言葉と同時にサポラビの無感情な目に光が灯り、ソワソワと動き出す。


 兎の目って元々が無感情な感じだったと思っていたから、感情が生まれたことに少しビックリする。


 そして、瞳から伝わってくる感情が、悪いものではなく明るい雰囲気なので少しホッとする。


 今までもヒョコヒョコと歩いてメルヘンだったが、何もしていないのにフスフスと鼻を鳴らしたり左右に首をフリフリしたりと可愛らしい仕草が増えた。


 正直に言おう、少しモフりたい。


 大丈夫そうだな。念のためにイネスには傍に残ってもらい、フェリシアには予告通りお給料を配ってもらおう。


「フェリシア、お願い」


「畏まりました」


 フェリシアが嬉しそうに移動していく。サポラビと仲良くなりたがっているようだからお給料を配ってもらうことにしたが正解だったようだ。


 フェリシアが移動すると、それに釣られてサポラビたちもヒョコヒョコと移動していく。


「みなさん、この机の前に並んでください。順番にですよ」


 フェリシアの言葉に従い、大人しく列をつくるサポラビ達。ちゃんと節度を持って行動しているようなので安心だ。


「プー」


 フェリシアから銀貨五枚を受け取ったサポラビが、鼻を鳴らしてピョコっと頭を下げる。


 兎には声帯がないと聞いたことがあるが、サポラビは音が出せるようだ。あれ? 前から出せたかな? できるだけ関わらないようにしていたから分からない。


「……結構可愛いわね」


 フェリシアはお礼を言われて感動しているし、まさかのイネスがサポラビに少し心を動かされている。僕も生き生きとしだしたサポラビに魅了されかけている。


 これ、他の女性陣の注目も全部持って行ってしまうんじゃ?


 幸いなことにリムとペントはそれほどサポラビに興味がないようで僕の傍に居てくれるが、女性陣とのコミュニケーションがサポラビのせいで減るのは辛い。


 ……まさか、これがサポラビの復讐……なんてことはないか。復讐にしてもくだらなすぎるし、考えすぎだな。


 まあ、天然で僕と女性陣とのコミュニケーションを減らしそうなので余計に質が悪い気もするけど。


「プー」


 お給料をもらったサポラビが僕のところに来て、一礼してホールの奥に消えていく。


 おそらく、休暇とお給料のお礼を言ってくれたのだろう。


 そんなにサポラビのことを怖がらなくて良い気がしてきたが、一応、もうしばらくは警戒心を忘れないようにしよう。僕は基本的にビビリなんだ。


 気を引き締めていると、次にお給料をもらったサポラビが僕のところに一礼に来る。


 あれ? もしかしなくても全てのサポラビがお礼に来るんじゃ? 数が多いから地味に大変な気がするが、罪滅ぼしということで大人しく待機しておこう。


 ……休暇中のサポラビの行動、不安なような楽しみなような、複雑な気持ちだ。


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
基本この世界のモンスターってコボルトの所で言明があったように、謎の力で凶暴化してるんすよね。 どうせ創造sうわなにをするやmくぁwせdrftgyふじこlp; 角兎さんたちも望まぬ謎の力で凶暴化したと…
サポラビフェスティバル…!
嫉妬するなよw
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