21話 最高の幸せと痛恨のミス
今回も下ネタ成分多めです、苦手な方はご注意ください。申し訳ありません。
実は特定の下ネタが苦手だった創造神様を撃退し、その状況を利用して光の神様がご褒美の休暇に加えて、減ってしまった神様方の賃金の補填までも勝ち取って戻ってきた。そして、そんな状況に感謝してくれたのか三女神様方から思わぬご褒美を提案される。
美食神様の追及をなんとか誤魔化し、ジェットバスに誘導する。
「海を見ながらの泡が出る不思議なお風呂、しかもお湯は温泉だなんてとても贅沢です」
「喜んでいただけたなら僕も嬉しいです。さ、どうぞ温泉の中に」
「ありがとうございます。お先に失礼しますね」
…………こう、なんて言えばいいのだろう? 駄目だ、考えたが僕に詩的で上品な表現は無理だ。
端的に言えば、マイクロビキニを着た美女がお風呂に足を踏み入れる姿がとてもエロい。
母性の象徴も大好きだが、桃だって大好きだ。こう、屈んだり足を上げたりする後ろ姿が最高でしかない。
「で、では、僕も失礼します」
ちょっと緊張しながら僕もジェットバスに入る。
ジェットバスに入ると視界に飛び込んでくるのは、三女神様方の豊かな母性がプカリと浮く光景。布面積が少ないから、その光景は最高というほかない。
なんか僕、最高としか言っていない気がする。でもしょうがないじゃん、だって最高なんだもん。
ただ、この最高な状況でも悩ましい問題がある。それは……ジェットバスを起動させるか、させないかという問題だ。
起動させると噴出される泡により、プカプカと浮かんだ母性に動きが生まれる。だが、同時に泡によって視認性が下がってしまうことにもなる。
……焦るな。何事もいきなりアイテムを使うのは邪道。まずはノーマルを堪能し、その後、アイテムに頼るのが王道だろう。
「皆様、お酒のお代わりはいかがですか?」
沢山飲んでお風呂で温まって酔いを回して少しでも乱れてほしい。
「そうね、私はビールをお願いします」
「私もビールを貰おうかしら」
「では、私も同じ物を」
全員ビールか。この次辺り強めのお酒をお勧めしたいな。日本酒は流石に強すぎるから、飲み口が軽くアルコール度数がちょっと強めのカクテルなんかを勧めてみよう。
***
作戦がビックリするほど上手くいった。
女神様方に勧めるのではなく、僕がサポラビに注文する形で警戒を解いた。
ホワイトレディやキールロワイヤル、ジントニックにスクリュードライバー、何が目的とは言わないが、とある願望の為に覚えていたカクテルをここぞとばかりに注文する。
それに興味を持った三女神様方もお付き合いくださり、僕の酔いも回ったが三女神様方も確実に酔いが回っている。
身を切る作戦ではあるが、お風呂とアルコールでホカホカになった三女神様方は最高で、頑張った甲斐は間違いなくあった。
「ふーー。気持ちいいですね。本当に航さんにはいくら感謝してもしきれません」
「そうよね。今回のこともそうだけど、創造神様を契約で縛れたのが大きいわ」
「ええ、私の周囲の神々も本気で喜んでいます。航さん、改めてありがとうございます」
ふわふわした気分で少しまったりしていると、三女神様方から突然お礼を言われる。どちらかというと僕の方がお礼を言いたい状況なんだけどね。
「僕は光の神様、美食神様、森女神様のお役に立てただけで、本当に幸せなんです」
そして一緒にお風呂に入ってもらえれば、大抵の苦労は報われる。だって僕、単純なスケベだから……。
「航さんは無欲……という訳ではありませんが、控えめで遠慮深いですね」
光の神様には僕の内心までお見通しのようだ。
「そうね、でも、創造神様のように傲慢すぎるのも困るけど、少しくらい欲をかいても罰は当たらないわよ?」
「あら? 美食神は欲をかいた航さんにどう対応するのかしら?」
森の女神様、とても良い質問です。
「そうね、座る位置くらいなら、要望に応える用意はあるわね」
ん? どういうこと?
「航さん、美食神がああ言っていますよ。どうしますか?」
美食神様も森の女神様もかなり酔っているな。もちろん、答えは決まっている。
「美食神様、僕の隣にお願いします」
「あら、隣ってどのくらいの距離の隣なの?」
「美食神様が許せる限界まで近くでお願いいたします」
なんだこのキャバクラ、最高か?
「じゃあ、このくらいかしら?」
「ふわっ……」
ピタリと……美食神様が僕の隣にピタリと……美食神様はマイクロビキニで僕は短パン。つまり皮膚と皮膚の接触が……幸せです。
「とっても幸せそうですね。航さん、私もお願いを聞く用意はありますよ?」
森の女神様った酔ったら大胆になるタイプなんだな。大好きです。
「も、森の女神様も僕の隣に、できる限り近くでお願いします」
「うふふ、しょうがないですね」
「ふわーー」
女神様から両サイドでサンドイッチされている。しかもお二人とも母性の象徴がかなり豊かだから、柔らかいのがポヨンポヨンと……特に森の女神様のが凄い。
「いえ、そんなに期待した目で見られても困ります」
最後は光の神様ということで期待した視線を向けてしまったが、どうやら酔っても冷静さをそこまで失うタイプではないようで、苦笑いで躱されてしまった。
「でも、何もしないというのも不義理ですし、美食神と森の女神を利用する形にはなりますが、ご褒美にこのスイッチを押してあげましょう。ポチっと」
冷静だけど光の神様も酔っているな。そうでなければポチっとなんて絶対に言わないはずだ。
ん? スイッチ?
うなりを上げて本領を発揮するジェットバス。お湯がバブルで攪拌され、そして両サイドの母性の象徴が暴れはじめる。
なんて最高のご褒美なんだ。さすが光の神様、創造神様を苦労してコントロールしているだけあって、状況判断が最高に冴えている。好きです。
ああ、両サイドから柔らかさの暴力が押し寄せてくる。
まさに天に上りそうな心地良さ……あれ? なんだか頭がふわふわを通り越してグラグラと…………。
「航さん? 航さん、大丈夫ですか?」
「航、ちょっとどうしたの?」
「航さん、きゃ、航さんが白目を……」
ヤバい。三女神様を酔わせる目的があったとしても少し呑み過ぎて興奮しすぎてしまったようだ。
だが、こんなところで終われない……まだまだ楽しい時間を……あ、両サイドから挟まれた……もしかして抱きしめ……られて……る……?
***
「うーん……頭が……あれ? 僕、いつ眠ったっけ?」
なんだか酷い後悔が胸の中で渦巻いているのだけど……マイクロビキニ!
「え? あの幸せな時間は全部夢だったの?」
……いや、ここは僕が使っている部屋じゃない。ジェットバスを使った部屋……そういえば幸せな時間の最後に頭がふわふわし……気を失ったのか。
何をしているんだ僕は。あの夢のような状況で気を失うなんて。死ぬ気で意識を保てよ僕。
まあ、あの時の視覚と感触を脳に刻むように集中していたから、意識がハッキリするにつれて実感と共にしっかり思い出せたのは幸いだった。
今からでもお風呂の時の記憶に耽溺したいところなのだが……その前にとても気になることがある。僕、ノーパンでバスローブなんですけど?
もしかして、三女神様方に着替えさせてもらったりした? それはそれで凄まじく恥ずかしいけど少しだけ興奮する。
微妙に変態チックなことを考えていると、部屋がノックされた。
「あ、光の神様、美食神様、森の女神様、その、昨日は御迷惑をおかけしたようで、申し訳ありません」
「いえ、私達も少しはしゃぎ過ぎました。体調はいかがですか?」
「少し頭が重いくらいで、体調は大丈夫です。あ、すみません、中にどうぞ」
三女神様方を部屋に招き入れ、テーブルにお茶を用意する。
「かなりご迷惑をおかけしたようで……それに着替えまで……」
「着替えですか? それはそこのサポラビちゃんにお願いしましたから迷惑は掛かっていませんよ。その後の容態の確認もそこのサポラビちゃんにお願いしましたので、あとでお礼を言ってあげてください」
「そ、そうですか、ホッとしました」
ホッとすると同時にちょっと残念に思えた。そうか、サポラビが面倒をみてくれたのか。
ぶっちゃけると今までサポラビの存在に気が付いてすらいなかったが、ベッドの近くの壁際にちゃんと立っていた。
サポラビには苦手意識があるが、感謝するべきことはちゃんと感謝しなければならない。
そういえばサポラビってなんなんだろう?
いや、角兎の魂が入ったサポートキャラということは知っている。今までそのことから苦手意識があり深く考えなかったが、彼らに報酬や休暇は必要なのだろうか?
そんな素朴な疑問を光の神様に質問してみる。
「基本的にサポートをするのが存在意義ですから、報酬も休暇も必要ありません。ですが、魔物とはいえ魂を持つ存在ですので、航さんが許可を出せば報酬や休暇を楽しむこともできます」
……あ、楽しむことができるんだ。
できるとなると、何も与えていないことがとたんに気になってくる。
「教えてくださりありがとうございます。あとでしっかり考えてサポラビたちにも楽しめる時間を用意したいと思います」
キャッスル号のサポラビのことを考えると、結構大変かもしれないな。とりあえず今は神様方の接待に全力を尽くして、終わってからしっかり考えよう。
「ふふ、そうやって弱い立場の者を大切にできるのは良いことですよ」
「あはは、ありがとうございます」
大切にするのではなく、待遇を良くして殺した恨みを少しでも薄められないかという目論見だ。
せっかく褒められたのだから否定はしないけどね。
「それで、光の神様、美食神様、森の神様、今日はどうしますか?」
体調も戻ってきたし、できれば耳かきと美食神様への奉納兼自慢などの楽しい時間を過ごしたい。
「そうですね、航さんには昨日も無理をさせてしまいましたし、今日は私達でのんびりとこの船を楽しませてもらおうかと思います。航さんはゆっくり休んでくださいね」
「そうね、それが良いわ。航は昨日白目をむいて倒れたのだから、安静にしていなさい」
「ええ、私達は大丈夫ですから、航さんはゆっくり休んでください」
…………僕の野望は潰えた。
全然元気ですよとアピールしたくもあるが、女神様方の善意を袖にするのは心苦しい。
あと、今、元気アピールすると、そこまでして耳かきをしてもらいたいのかと誤解されそうだ。
誤解ではなくそこまでして耳かきをしてもらいたくもあるのだが……昨日の失態に続けてのそれは流石に恥ずかしい。
……悲しいがお楽しみは次回に持ち越しということにしよう。
その後、女神様方と少し話して解散。夜までゆっくりして、神様方の招待は終了ということになった。
でも、その話の中で、美食神様と森の女神様が酔いで暴走して、ちょっと調子に乗ったことを恥ずかしがっていることが分かり、僕もちょっとだけホッコリした。
ふふ、創造神様の撃退に成功し、幸せを堪能できた。終わってみれば悪くないイベントだったかもしれない。
読んでいただき、ありがとうございます。