14話 テイムスキルレベルアップとイネスとフェリシアの休日
「んちゅ、おはよう、ご主人様」
「ちゅ、ご主人様おはようございます」
朝の日課に力を貰い、サロンに向かう。朝食を取り今日の予定を話し合う。そう言えば2人にお休みをあげないとって思ってたんだよな。今日は予定も無いし、2人にお休みをあげて、僕は船に引き籠ってリムと遊ぼうかな……うん良い考えかも。
「イネス、フェリシア、今日は休みにするね。1日、船に引き籠ってるから、2人も久しぶりに自由に過ごしたらいいよ」
「うふふ、お休みをくれるの? でも何をしようかしら?」
「私も思いつきません、村に居た時から特に考えた事がなかったです」
「そうなの? まあ特に考えなくても、護衛の役目を忘れて街を散策するだけでも、息抜きになるんじゃないかな?」
「そうね、冒険者の頃はのんびり出歩いてたんだし、楽しんでくるわ」
「気楽な観光という事ですか? ……試してみます」
「お金も無いと楽しめないしね。はいお小遣い」
「1人10銀貨ですか? 多すぎますよご主人様」
「まあ、遊びに行くのに10銀貨は多いけど、久しぶりの単独行動だし、欲しい物や必要な物も見つかるだろうから、色々買い揃えて息抜きするといいよ」
「わかったわ、ありがとうご主人様」
「ありがとうございますご主人様」
「いってらっしゃい」
「「いってきます」」
出かける2人を見送る。初めは困惑していたみたいだけど、出かける頃にはウキウキしてたな、楽しんでくれると良いんだけど。
ふうあぁー何か落ち着くなー、やっぱりあんな美人が2人も側に居ると緊張しちゃうよね。普段から常に見栄を張って、行動には気を付けてるから微妙に疲れる。
でも嫌われたくないから頑張っちゃうんだよ。もちろん美人が側に居てくれるのは嬉しいんだけど、元々アニメや漫画、ラノベが大好きな僕には、力を入れないだらけた生活が合ってるしね。
『……? ……』
「ああ、リム、今日は1日お船でお留守番だよ。沢山遊ぼうね」
『……すき……』
「うはっ、リムはかわいいね」
だらけた格好でソファーに寝そべり、リムを抱きしめる。うーん、なんかアニメでも見ながらハンバーガーを食べてコーラを飲みたい。豪華客船を手に入れたら出来るかな?
リムのお気に入りの遊びを一緒に楽しむ。まずはたかいたかいだ。ポーンと天井手前までリムを放り投げる、落ちて来るリムは『……♪……』ご機嫌だ何度も繰り返す。
『……そと……』
「外に行きたいの?」
『……そと…とぶ……』
「ああ、外でもっと上までたかいたかいして欲しいんだね。でもイネスほど高く投げられないよ、それでもいい?」
『……うん……』
偶にイネスが心配になるぐらい高く放り投げて遊んでるんだよね。レベルが上がってるからこれ位平気だって言ってるけど心配でたまらない。でもリムにおねだりされると許可しちゃうんだよね。
一度結界を越えちゃって、戻って来る時に乗船拒否で弾かれた事も有った。リムは平気でポヨンポヨンしてたけど本気で焦った。
「じゃあいくよー、それっ」
フライングブリッジよりも高く上空に放り投げる。落ちて来るリムを慎重にキャッチする。ふードキドキする、でもリムは『……♪♪♪……』とっても楽しそうだ。何度か繰り返し疲れたので次の遊びに移る。
暫く遊んで昼食を取る。
「リム、美味しいかい?」
『……おいしい……』
リムと2人でご飯なんてテント筏以来かな? なんか懐かしいな。
「リム、次は宝探しゲームをしようか?」
『……する……』
「じゃあこの布に包んだ干し肉を探すんだよ。今から隠すからフライングブリッジで待っててね」
『……うん……』
ふむ、最近リムはベットの下とか簡単な所は直ぐに見つけるからな、何処に隠そう……流石に天井の照明の中は駄目だよね、リムじゃ開けられないし。おっ、あの壁の上部に設置されているスピーカーの上がいいな、見つけられるかな?
「リム、準備出来たよー、今回は難しいよ、見つけられるかな?」
『……りむ…みつける……』
もっちもっち移動しながら今まで隠したことのある場所を探していくリム。隠し場所を覚えてるんだから、リムって頭がいいよね。
そう言えば、宝探しの時はもっちもっちしながら探すな? 普段の移動はポヨンポヨン跳ねて移動するのに、何か理由があるのかな?
探し回るリムを観察してみる……駄目だ、可愛いって事しかわからない。なかなか見つからない宝物にも、リムは諦めずに探索範囲を広げる。
おっ壁に張り付いて、スピーカーに向かってもっちもっちと進んでいく、どうやって気が付いたんだろう?
『……りむ…みつけた……』
「おおー、凄いね。難しい所に隠したのによく見つけたね、リムは偉いね」
『りむ、うれしい。わたる、好き』
喜ぶリムの意思が今までに無いほど伝わって来て驚く。いや今はリムを褒める時間だ、考えるのは後だ。
「リム、凄いね。とっても良く意思が分かったよ、もう一回僕の名前を言ってくれる?」
『わたる』
「おー、リムはドンドン凄くなるね。これからはもっとお話し出来るね」
『りむ、わたるとおはなし』
「そうだねー、沢山お話しようね」
リムを抱きしめながらもっちもっちを楽しむ。自分のステータスを見てみると、テイムスキルがレベル2に上がっていた。テイムスキルが更に上がれば、もっとリムと話せるようになるのかな?
のんびりリムとお話をする。腕の中でプルプルしながら、頑張って話すリムに心の底から癒される。
~イネス、フェリシア視点~
うーん、どうしようかしら? 冒険者の頃だったら美味しい物を食べて、後は賭け事だけど。うーん、ご主人様に貰ったお金でギャンブルはなんか嫌よね。
美味しい物も食べられるし海外にも行ける。結構満足して、何もやりたい事が思い浮かばないのよね。屋台で買い食いもいいんだけど、この街の殆どの屋台は食料集めの時に回ってるし、意外と難題ね。
「ねえフェリシアはやりたい事ある?」
「私ですか? 考えてはいるんですが……思いつかなくて」
ダークエルフの村にいた頃はどうしてたかな? 普段は父と母のお手伝いと、狩りね。それ以外に……魔法の練習、うーん、お休みと言われても、この街はご主人様達と散策しましたし、他に何も思いつきません。
「駄目ですね、まったく思いつきません。イネスは何かないんですか?」
「私も思いつかないのよ、困ったわね」
フェリシアもやりたい事がないのね、どうしようかしら? 普通にすることと言ったらお買い物かしら、ご主人様にお金も貰ったし何か買いに行くのも良さそうね。
私達に必要な物が何かあるかしら? ……服、そうね、服を買いに行きましょう。
「ねえ、フェリシア、服を買いに行かない?」
「服ですか?」
「ええ、街に出る時は護衛だから装備でしょ。船内ではご主人様に買ってもらった装備の下に身に着ける服だし、船内でちゃんとした普段着を着た方がご主人様も嬉しいんじゃないかしら?」
「……いいかもしれませんね、見に行ってみましょう」
……………
「イネス、その服は露出が大きいのではありませんか?」
「そう? 船内で着るんだし、この位のほうがご主人様も喜ぶと思うわよ?」
「そうでしょうか?」
「別に一着だけ買う訳じゃないんだし、普通の服と露出が大きいのと両方を買えばいいんじゃないかしら」
「刺激が強すぎる気もします。ご主人様に嫌がられませんか?」
「大丈夫よ、奴隷商館で着ていた布切れみたいな服の時、ご主人様は喜んでたわよ」
「そういえばそんな気がしますね」
「ええ、面白そうな服もあるし、色々買っていきましょう」
途中で昼食を取り、船内で過ごしやすい服や、露出の多目な服を選んで買っていく。
「ふー、結構買ったわね、なかなか楽しかったわ」
「そうですね、さすがに高級生地には手が出ませんでしたが、色んな種類があって面白かったです」
「うふふ、これを着たらご主人様はどんな反応をするのかしら? 喜ぶと思うんだけど」
「どうでしょう? 普段は欲望に正直な方ですが、偶にカッコつけますよね?」
「ええ、その後、物凄く後悔してるわね、面白いわ」
「カッコつけるなら、後悔する所も隠して頂けると助かるのですが……」
「隠せてると思っているみたいよ?」
「そうなのですか……」
「まあいいじゃない、そろそろ暗くなるし戻りましょうか」
「そうですね」
~イネス、フェリシア視点終了~
沢山遊んで、沢山話したので疲れたのか、リムが眠ってしまった。毛布の上に乗せて起こさないようにそっと離れる。
うーん、十分癒されたし、偶にはこんな時間も作らないとな。でも今から何をしようかな……やる事がない。
無理にやる事を探す必要も無いか、今日はもうだらけて過ごそう。ソファーに寝転がって、ボーっとした時間を楽しむ。
……ん? イネスとフェリシアの声が聞こえるな、帰って来たのか。乗船許可を出して迎え入れる。
「お帰りなさい、楽しかった?」
「ええ、楽しかったわ」
「有意義な時間を過ごせました」
「それは良かった」
うん、なかなか機嫌も良さそうだし、休日にして良かったな。
「ねえ、ご主人様、着替えて来るからちょっと待っててくれるかしら?」
「え? 着替え? 構わないよ」
着替えか、服でも買って来たのかな? そういえば殆ど服なんて買ってない……悪いことしたな、もうちょっと気を配らないといけないよね。
反省しながら待っていると、イネスとフェリシアが戻って来た。うわっ、なにそれ、フェリシアの方はいいよ、清潔で女性らしい綺麗な格好だ。よく似合ってる美人だ……
イネスは……薄い布じゃん、胸元パッカリで突起が薄っすらで、太ももムッチリなお色気満載な格好だ。
「ご主人様はどっちの格好がお好みかしら? 選んだ方をよく着る様にするわよ」
「それならイネスのほうでおねが……ちょっと考えさせて……」
どうする? 僕としてはイネスの格好が最高だ。でも1日あの格好をした美女が身近にいて、僕は冷静でいられるのか? 最後まで出来ないこの状況で、僕の理性は大丈夫なのか?
「あ、あの、普段はフェリシアの格好で、夜、お願いしたらイネスの格好に着替えてもらう事は可能?」
「ええ、構わないわよ、でも普段にこの格好は嫌なの?」
「いえ、嫌じゃないけど、イネスの格好で側に居られると、他に何も手がつかないので困っちゃうよ」
「うふふ、そうなのね、分かったわ」
イネス、完全に悪乗りしてるな。フェリシアもあきれた目で見てるし。でもイネスのこう、男の欲望を刺激してくれるところって大好きだ。最後まで出来るようになれば……話を変えよう、でも、ご馳走様です。
「あ、今日、リムと遊んでいたらテイムスキルのレベルが上がったんだ。そしたらリムの意思がより分かるようになったよ」
「うふふ、良かったわね」
「おめでとうございますご主人様」
「うん、ありがとう。じゃあ、夕食にしようか」
ご飯を食べた後にシャワーを浴びて、さっそく2人に薄い布の服を着てもらった……素晴らしかったです。おやすみなさい。
日課のキスで目を覚まし……おうふ、朝から薄い布の服は刺激が強い……嬉しいんだけど、今からまたイチャイチャしたくなる。我慢してさあ、朝ごはんだ。
「今日は商業ギルドに顔を出して、報酬の受け取りと、パレルモの場所の確認、海猫の宿屋に行ってジラソーレのメンバーが居たらお土産を渡す、それから食料調達だね」
「「はい」」
商業ギルドに向かい、カミーユさんを探す……あ、いた、なんか常に商業ギルドにいるイメージがあるけど、休みの時ぐらいあるよね?
「カミーユさん、おはようございます」
「おはようございます、ワタルさん。報酬ですよね、少々お待ちください」
「はい」
うーん、カミーユさんは話が早い、仕事のできる綺麗な巨乳のキツネミミなお姉さん。属性山盛りだね。
「お待たせいたしました、報酬の30白金貨です、お確かめください」
「はい」
しかし30白金貨って物凄い大金だよ、普通にカウンターで受け渡しでいいの? 商業ギルドでは日常茶飯事とか? ある意味怖いな。
「確かに、あとパレルモの詳しい場所が知りたいのですが、お教え願えますか?」
「はい、構いませんよ、船で行かれるのですよね?」
「はい」
「でしたら、南方都市から東に魔導船で10日程でパレルモに到達できます。そこから大聖堂のある首都バルレッタまで馬車で20日ほどかかります」
「うわー、ちょっと厳しいですね」
ちょっとどころではないな、パレルモ諦めるか……
「ええ、ですので、上陸せずに更に7日間大陸にそって進めば、パレルモ東部の港町ベルガモに着きます。そこからなら馬車で3日で到着するそうです」
「そうですか、思ってた以上に時間が掛かりそうなので、もう少しよく考えてみます。ありがとうございました」
うーん、船の期間は問題ないけど、馬車で20日は無いな。後は、馬車で3日のルートか、その位なら行くのも有りだな、商業ギルドを出ながら考える。
「ベルガモ経由なら行ってもいいかなって思うけど、2人はどう?」
「馬車で3日位ならいいんじゃないかしら」
「はい、問題無いと思います」
「じゃあ、船に戻ったら予定を立てようか、次は海猫の宿屋だね。ジラソーレが戻ってると良いんだけど」
「「はい」」
ジラソーレのメンバーは戻ってるかな? お土産を喜んでくれると良いな。せっかく繋がった美人パーティーとの縁、大事にしないと。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。