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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第三章 胡椒貿易とダークエルフの島
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4話 ダークエルフの村とご両親

 朝か……悶々としてたからあんまり眠れた気がしないな。2日連続で寝不足だ。


 でも、2人と朝のキスをすると、パッチリ目が覚める……僕って簡単だよね。これだけで元気になる自分の単純さに恐怖すら覚える、こんなんで大丈夫なのか?


 朝食を終えて、川を和船でくだる。草原に着けばあとは飛ばしても大丈夫なので、あっという間に海に着いた。そこからルト号に乗り換えて南方都市を目指す。


 そういえば自動操縦があったな。試してみよう。えーっと、マップと連動してるんだよね。南方都市を設定して自動操縦開始、これでいいのかな? おっ、船が走り出した、サロンに行くか。


「あれ? ご主人様、船が動いてますよ、大丈夫ですか?」


「あら、本当ね、大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。スキルの自動操縦を試してみたんだ。一度行った事のある場所なら目的地として設定すると自動で操縦してくれるみたいで。これで寝ている間も船が進むから、今までの2~3倍速く目的地に着くよ」


「まあ、凄いわね、それって南方都市からヨーテボリまで、10日ぐらいで着くようになったって事よね」


「うん、そうだよ、休憩や食事中も進むから、もっと早いかも」


「凄いですね、一度行けばどこでも2~3倍速く目的地に着くなんて凄いです」


「いままで使う機会が無かったから試してなかったけど、これからはドンドン使って移住に貿易、大活躍だね」


「豪華客船が早く買えるようになるのね、楽しみだわ」


「僕もとっても楽しみだよ。それじゃあこれからの予定を決めておこうか」


「「はい」」


「まず僕が考えている事は、南方都市に着く前に胡椒をこの船に積んでおかないといけない事と、今は5銀貨しか無いので胡椒を早く換金する事、お土産を配る事、開拓の為の道具を集める事、フェリシアの故郷に行く事、うーん、他に何かあるかな?」


「私は思いつかないわ、しいて言えば、フェリシアの故郷までの道のりの確認位かしら?」


「私の故郷は南方都市から徒歩で西に7日ぐらい歩いたら着く森の中にあります。船で海から行けば1~2日で着くと思います。それでこの方向ならラティーナ王国が見えてくれば、私の故郷に近い所を通ると思うのですが」


「そうなんだ? なら帰りに寄って、移住の話し合いと準備をして貰って、その間に南方都市で用事を済ませよう」


「そのほうが手間は少なそうね。フェリシア、私達が直接行っても問題は起こらないのかしら?」


「閉鎖的な村ですのでいきなり中に入る事は出来ないと思います。ですが父が村長なので呼んできてもらって説明すれば大丈夫です。商売の神様の誓いもありますので、信用は問題無いですし」


「問題無いなら決定だね、お土産は余分に買ってあるお酒で大丈夫かな?」


「お土産なんてそんな、気を使わないでください」


「そうは言っても、お世話になってるフェリシアのお父さんに会うんだから、何か持って行かないと気分が落ち着かないよ」


「お世話になっているのは私の方なんですが……」


「うふふ、良いんじゃないかしら、ご主人様がしたいようにするのが一番だと思うわ」


「お酒も話の切っ掛けになるし、問題ないよ。僕も話す切っ掛けがある方が助かるし」


 よく考えたら娘を奴隷にした男が奴隷の娘の父親に会いに行く……あれっ? 修羅場? 自分、物凄い所に自ら飛び込もうとしてる? お酒位で足りるの?


「申し訳ありませんご主人様、よろしくお願いいたします」


「う、うん、大丈夫、あまり難しく考えずに気楽に行こう」


 こうなったら出たとこ勝負だよね。考えれば考えるほど胃が痛くなりそうだから、現実逃避しておこう。


「うふふ、そうね、あら、ご主人様、いまグラトニーシャークがぶつかった様に見えたけど、気のせいかしら?」


「あっ、本当だ、襲われてるね」


 なんだか襲撃に対する緊張感がまるでないな。陸地でもこの調子だと困るから気を引き締めないと。


 グラトニーシャークを撃退した後、2日間も体を拭いただけだったのでお風呂に入る事にした。


「うふふ、走る船の上でお風呂に入るのも気持ち良いわね」


「ええ、一面海なので景色はあまり変わらないのですが、風と揺れの影響でしょうか? 新鮮な感覚ですね、ご主人様はどう思われますか?」


「うん、風が強くなるから、変わった感覚だけど僕は好き」


 はい大好きです。お風呂に浮かぶお胸様が、普段より波立つお風呂で、あっちへプルン、こっちへタプンともうどうしたものか。


 島をでて2日後、大陸が見えて来た。


「うーん、島を出て2日で大陸に到着か。大陸と島の距離が近すぎるよね」


「大丈夫だと思うわよ。この船は丸2日間走り続けていたし、速度も速いわ。普通の魔導船でも5日はかかる距離ね。


 その間に何度も魔物の襲撃を受けたでしょう。危険な外海で5日間の航海は簡単な事ではないわ、十分に安全だと思うわよ」


「ええ、私もそう思います。魔導船を失う危険と防衛準備が整えば私達も反撃、逃走も考えますので割に合わないと思います」


「問題が無いのなら良いか、先に進むね」 


「ご主人様、あの森の中に私の故郷があります。森の半分ほどの所で上陸出来ると、2時間ほどで村に着けると思います」


「分かった、ちょうどいい場所に来たら言ってね、最低でも和船に乗り換えれば、問題無く上陸出来ると思うし」


 いよいよか、あと数時間でお宅訪問、胃が痛いな。


「ご主人様、あの場所に上陸お願いします」


「うん」


「こっちですご主人様、魔物も出ますので注意してください。イネスは後方の警戒をお願いします」


「分かったわ」


 2時間ほど歩くと遠目に村が見えて来た。警戒が厳重なのか、こちらを発見して警戒態勢を取っているようで、門に人が集まってきている。


「そこで止まれ、妙な動きをするなよ、何の用だ」


「私はフェリシアです、危害を加える事はありません。村長を呼んできてください」


「フェリシアか、だが見慣れぬ者もいる、村長が許可を出すまで近づく許可は出せん。そこで待機していてくれ」


「分かりました」


「ご主人様、ここで少々お待ちいただけますか?」


「うん、大丈夫だよ」


 前に襲われてるらしいし、警戒が厳しいのはしょうがないよね。暫く待っていると、2人の男が近づいて来た。


「フェリシア、久しぶりだね。こちらの方々を紹介願えるかな?」


「はい、こちらは私のご主人様のワタル様です。頭の上に居るのがリムちゃん、ご主人様の従魔ですね。そちらの女性はイネス、私と同じくワタル様の奴隷です」


「ワタル様、こちらがこの村の村長のフェデリコです。私の父でもあります。そちらが警備隊長のエドガルドです」


「ワタルと言います、よろしくお願いします」


 うん、ダークエルフは男も顔が良いんだね。まあ何となく分かっていたけど、嫉妬の炎が燃え上がりそうだ。でも今の所、相手から敵意は感じないな。


「村長のフェデリコです、こちらこそよろしくお願いします。それでご用件をお伺いしてもよろしいですかな?」


「ええ、でもフェリシアの口から聞いた方が良いでしょう、フェリシア、お願いね」


「はい」 


 フェリシアがフェデリコさんに島の発見を報告している。奴隷契約の条件にも島の発見と移住の手伝いが盛り込まれている事、島の環境を話している。


「ふー、話は分かりました。私達にとっては夢のような話です。とりあえず私の家にご案内いたします」


 家に案内される間に村の様子を見る、打ち壊された家や壊された壁、いまだに襲撃された被害は完全には復旧してないようだ。


「家内のセシリアです、今お茶の用意をさせますので少々お待ちください」


 フェリシアのお母さんか、話したそうにしてたが、後で時間が取れるかな? カッコつけるのなら今か?


 ここでフェリシアにお茶を入れるお手伝いをしてきなさい。とか命令したら好感度が上がりそうな気がするな、試してみるか……考え事をしている間にお茶が運ばれて来た……無念。


「詳しくお話をお伺いしてもよろしいですか?」


「はい、大元は先ほどフェリシアが話した通りですね。あとは、村人の移動のお手伝いにこの村の家財道具の運搬、軌道に乗るまでの食料の援助と開拓道具の寄付、僕が出来るのはこの位ですかね。後は村の方々で話し合って決断してください」


「そこまでして下さるのですか、大変ありがたい事なのですが、なぜそこまでして下さるのですか?」


「まあ理由の殆どはフェリシアとの契約内容で決まった事を守るためですね」


 残りの理由は少しでも早く移住を終わらせて楽しい事がしたいだけなんだが、さすがにここでは言えないよね。


「そうですか、村人全員での話し合いも必要なので、お時間を頂けますか?」


「分かりました、私も南方都市で仕事がありますので、それが終わったらまた来ます。どの位の時間が必要ですか?」


「そうですね、3日もあれば意見はまとまると思います。それ以降でお願い出来ますか」


「分かりました、私の仕事はどの位時間がかかるか分からないので、7日後を目途にお伺いします。それでよろしいですか?」


「はい、よろしくお願いします。夕食をご用意いたしますので、今日はお泊り頂けますか?」


 今から戻っても良いんだけど、ここは泊まらせて貰うべきだよね。フェリシアもお母さんと話したいだろうし。


「はい、お世話になります」


「では、客室にご案内致します。食事が出来ましたらお呼びしますので、しばらくお待ちください」


「はい、ありがとうございます」


「フェリシア、久しぶりなんだしお手伝いしながらお話ししてくると良いよ。お母さんとはまだまともに話してないでしょ、あっお土産のお酒を渡すの忘れた、これも持って行ってね」


「いえ、でも私は護衛ですので」


「大丈夫、イネスもいるし、出歩くつもりも無いから」


「はい、ではお言葉に甘えさせて頂きます。イネス、あとの事はよろしくお願いします」


「ふふ、任せてちょうだい」


「イネス、この村は襲撃跡もまだ残ってたし、人数も少なかった、移住しても大丈夫かな?」


「そうね、でも人族に対する警戒をしないで済むようになるのなら、初めは苦しくても移住を決断すると思うわ。この国では危険は少ないけど獣人も人族至上主義の国では捕まえられて奴隷にされるし、警戒は大変だもの」


「人族至上主義か、たしかこの大陸の北の帝国がそうなんだっけ?」


「ええ、獣人は見つけたらすべて奴隷にされているわ。隣の獣王国と延々と小競り合いを続けているわね」

 

「人族至上主義の帝国の隣に獣人の国が在るんだ、争う理由しか見つからないね」


「その通りよ」


 イネスと雑談をしながら、リムと遊んでいると、フェリシアが夕食の準備が出来たと呼びに来た。色々話せて楽しかったのかニコニコしている、案内されて夕食の席に着く。


「お待たせしました、粗末な物ですがどうぞお召し上がりください」


「「「いただきます」」」


 鳥の丸焼きにキノコスープにパン、なんか頑張ってもらった気がするな、心して頂こう。


「このキノコスープとっても美味しいですね。食べた事のないキノコが入ってますが、色んな旨みがでてとっても美味しいです」


「このスープは家内の得意料理なんです。気にいって頂けたのなら嬉しいですな」


「ええ、とても美味しいです」

 

「ワタルさん、娘から聞きましたが、とても大切に扱って下さっているそうで、本当にありがとうございます」


 和やかな食事会が終わると、フェデリコさんとセシリアさんにお礼を言われた。


「頭を上げてください、僕の方こそフェリシアには大変お世話になっています、大切にするのは当然の事なんです」



「お料理をしている時に、あなたとの生活がとても楽しいと教えてくれました。私達の力が及ばず、私達の為にその身を犠牲にさせてしまった親ですので、本来なら合わせる顔が無いのですが、笑顔で話し合える機会を下さった事、本当に感謝しております」


「いえいえ、これからも、何度でも会う機会はあります。今夜も泊めていただくのですから、もっと沢山話してください。私達はそろそろ休ませてもらいますね、フェリシアは今日はご両親と過ごしてください」


「え、でも」


「いいんですよ、久しぶりなんですから沢山話してください、お休みなさい」


 なんだか真面目で真剣な雰囲気に思わず逃げ出してしまった。ああいう、雰囲気苦手なんだよな。


「うふふふ、良いご両親ね」


「うん、そういえばイネスの家族は?」


「ええ、いるわよ、両親と弟が1人」


「会いたいのなら行くけど、何処に住んでるの?」


「いやよ、会いたくないわ」


「仲が悪かったの?」


「いいえ、普通の家庭よ、嫌いじゃないけど会ったら奴隷になった理由を説明しないといけないじゃない」


「あー、フェリシアみたいに感動的な感じはなさそうだね」


「そうよね、あんなのを見た後に会いに行くのは嫌よ」


 うん、まあさすがにギャンブルにハマって借金して奴隷になりました……感動の再会は無理っぽいな。


 もう寝よう、おやすみなさい。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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