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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十六章
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20話 スマートな解決

 アレシアさん達を連れて全員でトイエンの港町に到着。事前に予想していた通りに門でモメたが、その結果、兵士が同行してくれることになった。身分証ゲットの為に傭兵ギルドに入るとガラの悪い男達の注目を集めてしまったが、兵士のおかげで平和に登録が終わった。




「ついて来ていますよね? どういうつもりなんでしょう?」


 従魔登録で少し手間取ったが僕以外のメンバーの傭兵登録も無事に終わり、モメることなく傭兵ギルドから出ることができた。


 従魔の証である目印もちゃんともらえたし、モメごとを覚悟していた傭兵ギルド訪問は最高の結果で終わったと思う。傭兵ギルド内では……。


 傭兵ギルドを出て商業ギルドに向かっているが、素人の僕でも分かるくらい露骨につけられている。というか向こうはつけていることを隠すつもりもないようで、賑やかに僕達の後についてきている。


 チラッと確認すると、酒瓶片手の人達も居て正直とても怖い。


 本来であれば傭兵ギルドで登録が終わったら別れるはずだった兵士さんが、このままだと確実に騒ぎになるし、あいつらは素行が悪い要注意人物達だからと同行継続してくれるくらい物騒な雰囲気だ。


「兵士さんが離れたら絡むつもりか、私達が泊まる宿を知りたいのでしょうね」


 僕の言葉にイルマさんがこちらの言葉で流調に答えてくれる。その言語の滑らかさは素晴らしいと思うが、内容が面倒ごとにしか思えなくて悲しい。


 兵士さんが僕達から離れたら、絶対にテンプレが連続で起きる。


 あの人達にイネスやフェリシア、アレシアさん達がどうこうされるとは微塵も思わないが、僕は無視されたり罵倒されたり邪魔にされるんだろうなー。


「兵士さん、後ろの人達、どうにかなりませんか?」


 要注意人物なんですよね?


「今はただ道を歩いているだけですから……」


 僕の言葉に兵士さんが困った顔で答える。まあそうだよね、ガラが悪かろうが要注意人物だろうが道を歩いているだけで捕まえるのは難しいだろう。


 尾行するなって言っても、してないって言われて終わりだよね。


「このままだとどうなると思います?」


「ある程度高級な宿に泊まれば諦めると思いますが、普通の宿屋ではあいつらも一緒に泊まろうとするでしょうね」


 あとは分かりますね? 兵士さんの目がそう言っている。分かりすぎるぐらい分かるのが切ない。


 そして、高級宿屋に泊れるほど財布に余裕はない。


 兵士さんもいつまでも同行してくれないだろうし、今後の行動を手早く決めなくてはいけない。


 まず一番無難なのは、このまま兵士さんと一緒に門まで行ってそのまま旅にでる。


 この選択肢はトイエンに来る前からヤバかったら即日旅に出ようと決めてあるから問題はない。


 ただ、今日初めてトイエンを訪れたアレシアさん達がほとんど観光できないのが申し訳ない。


 次の選択肢は、商業ギルドでがっつり財宝を換金して、高級宿に泊まって問題をやり過ごす。


 トイエンではなんとかなるかもしれないが、商業ギルドと傭兵ギルドに登録したばかりの商人と美女達&スライム&シーサーペントが財宝を換金。事案でしかない。


 トイエンを脱出したら終わり、では済まなくなり各地の商業ギルドや傭兵ギルドに情報が出回ってしまいそうだ。


 この選択肢はできないことはないが選ばないのが無難だな。


 今思いつく最後の選択肢は……兵士さんに離れてもらって、モメたところを一網打尽。上手くいけば今日明日くらいはトイエンを観光できる余裕が生まれるかもしれない。でも、少し騒ぎになりそう。


 ふむ、商業ギルドでみんなに相談してみるか。




 ***




「面白そうね!」


 商業ギルドで小粒の宝石を再び換金し少し憐れみの表情で見られた後、先程考えた計画を説明するとアレシアさんがとても楽しそうに賛成した。


「でも、私達に襲い掛かってくるかしら? こんな格好をしていても高レベルよ。戦闘経験があれば油断できない相手くらいには警戒するんじゃない?」


 ドロテアさんがそう上手くいくのかしら? と疑問をのべるが、僕はあまり心配していない。


 ある程度腕が立つ相手なら装備に惑わされずに本質を見抜くかもしれないが、僕達についてきた男達は昼間っから酒を呑んでいる傭兵で、しかもゾロゾロと身も隠さずについてくるような不用心な男達だ。


 そんな敵の力量を見抜く眼力を所持しているとは思えない。


 ついでに言うと、美女達に目を奪われまくって欲望で目が濁っているので、万が一見抜く力量があったとしても、今の状況でその力が発揮できるとは思えない。


「じゃあ兵士さんが協力してくれるなら試してみましょうか。失敗しても旅に出れば良いだけだもの、気楽にいきましょう」


 僕の説明を聞いたアレシアさんが決断を下す。もともと乗り気だったし、久しぶりの荒事で凄く楽しそうだ。


 結論が出たので、商業ギルドの入口で待機している兵士さんのところに相談に向かう。この人が無理だと言ったら、そのまま旅に出よう。




「……なるほど、私達としても素行の悪い者達の引き締めが図れますし、罰金や労働力が手に入るので悪い話ではありません。しかし、喧嘩程度では数日しか拘束はできません。その後、困ったことになるかもしれませんよ?」


 兵士さんにとっても悪くない提案だったようだ。かなりガラが悪いし要注意人物だって言っていたから渡りに船だったのだろう。


「明日明後日には旅に出ますから、その間に絡まれなければ十分です」


 ガラが悪くて面倒くさそうな相手とはいえ、ほぼ無関係な相手にそこまで厳罰を求めるつもりはないし、あいつら全員捕まえたとしても絡んでくる奴等がゼロになる訳でもない。


 数日豚箱で頭を冷やしてもらって、労働力やら罰金やらで少し損をするくらいがちょうどいいだろう。


「そういうことならこちらも問題ありません。隊長も喜ぶでしょう」


 満足げに頷く兵士さんと細かい打ち合わせをして商業ギルドで待機することになった。


 ……それにしても治安ってやっぱり大切だな。


 傭兵ギルドだといつガラの悪い男達に絡まれるか不安だったけど、商業ギルドだと興味の視線を向けられはするものの、絡まれそうな様子はない。


 まあ、アレシアさん達やペントに熱い視線を向ける商人はいるが、男ならそれはしょうがないだろう。兵士さんと一緒に居たからか、話しかけてくることはなかったしそれだけで十分に安心だ。




「そろそろ行きましょうか」


 兵士さん達が準備を整える時間、約一時間ほど待機した後に商業ギルドを出る。


 これであの男達が居なくなっていれば無駄骨なのだが……商業ギルドから離れた物陰でこちらを見ている男が居た。


 無駄骨にはならないようだ。


 すぐに絡んでくるかと思ったが、さすがに商業ギルドの真ん前で絡む度胸はないらしい。


 兵士さんに教えてもらった場所に向かってそそくさと早足で歩く。物価が安く少し治安が悪い場所。つまり襲われやすいが、安宿が軒を連ねるので向かっても罠とも疑われ辛く、なおかつあいつらにとって都合の良い場所に向かう。


 人通りが少ない道に入り少し進むと先の方に小さな広場が見える。大人数で絡んでくるならあの広場だろうと兵士さんに言われていた場所だ。


 その広場に到着するかしないかのタイミングで、背後から沢山の足音が聞こえてくる。


 凄いな、兵士さんの予想がドンピシャだ。海上貿易の拠点だけあって、トイエンの兵士さんはかなり優秀なようだ。


 広場に入ると追いかけてきた男達に囲まれる。


「な、なんなんですか、あなた達は!」


 準備していたセリフを、できるだけ迫真に迫るように放つ。


「お前はどうでもいいから大人しくしてろ。その蛇で余計な事をしたら殺すからな」


 ……予想はしていたけど、相手にされないのは結構悲しい。 


「うひょー。やっぱりいい女だぜ!」


「すげー、こんな美人が集まってるの初めて見たぜ!」


「クク、おい、女ども、傭兵の先輩として、俺達が面倒見てやるよ」


「おう、手取り足取り、ベッドの中までしっかり面倒見てやるから感謝しろや!」


 うわー。凄まじく欲望に正直で少し共感できる部分があるのが悲しい。僕だって手取り足取りベッドの中まで面倒見たい。


 そう思いつつも、怯えたように固まるふりをする。


 アレシアさん達が僕を囲むように位置を変えた。


「おっ、いっちょ前に護衛のつもりか?」


「ギャハハ、なら武器くらい抜けよ。いや、嬢ちゃん達が武器を抜いても怪我するだけだし、いい判断かもな。ギャハ」


 美女の集団とのあれやこれやを想像しているのか、要注意人物な傭兵たちのテンションがとても高い。


「な、なによ、あんた達に面倒みられるのなんて、ゴゴ、ゴメンよ!」


 イルマさんが怯えつつも反抗するフリをする。


 そう、今回の作戦は、『か弱い初心者女傭兵、危機一髪。兵士さん、早く助けて!』大作戦、なのでみんな怯えたふりをしているのだ。


 なんか大人な動画のタイトルみたいだが、作戦名は深く気にしないことにしよう。


 みんな普段と違うスタイルが面白いらしく、作戦を説明した時点で素晴らしくノリノリで、女優バリに演技をしている。女の子っぽい演技が楽しいのかもしれない。


 僕は空気だけどね。


「キャー。離してー」


 おっ、イルマさんが腕を掴まれた。でもあの男、イルマさんの胸をめがけて手を伸ばしていたように見えた。


 おそらく不自然にならないように腕を差し込んで、捕まったフリをしたのだろう。かなり余裕があるようだし、実力差が相当あるんだろうな。


「「「キャー誰か助けてー」」」


「オラ、しっかり可愛がってやるから、おとなしくしろや」


 うわー。男ってエロが目前に迫ると、あんなにだらしない顔になるのか。僕も気をつけないと、普通にあのくらいの下卑た顔をしていそうだ。


 やはりムッツリに徹するのが正解だな。見た目だけでも取り繕おう。


 人の振り見て我が振りを直していると、僕達が入ってきた通路から再び沢山の足音が聞こえてきた。


 ガラの悪い男達はイネス、フェリシア、アレシアさん達に夢中でまったく気がついていない。さすがに不注意すぎないか?


「助けてー」


「捕らえろ!」


 アレシアさんの叫びを合図に、油断しまくっているガラの悪い男達に飛び掛かる兵士さん達。


 女性陣の誰一人として人質にとられることもなく、ガラの悪い男達はあっさり鎮圧された。


 濡れ衣だなんだと騒いでいるが、兵士さん達はバッチリ現状を把握しているし、要注意人物達だと認識しているからギリギリまでしっかり絞られるだろう。


 今回の面倒事は随分とスマートに片づけられた気がする。僕も少しは成長したのかもしれない。


読んでくださってありがとうございます。

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[気になる点] 迫真がそもそも真に迫るを意味しているので迫真に迫るだと真に迫るに迫るとなります 分かりやすく言うと頭痛が痛いと同じです ワタルが誤解しているでも構わないですが前書きか後書きに一文ない…
[一言] キャーキャー言いながら高レベルの膂力で若干力任せの合気道的な投げ飛ばし位すればいいのにと思ったけど、次話でカワイイ感じの自分を演出していたとか言われたら高レベル詐欺過ぎてジラソーレが怖くなり…
[良い点] 商業ギルドの対応(少し憐れみの表情で見られた)って 親の遺産をよくわからないまま安売りして女に貢いでいるボンボン に見えているのか…
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