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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第三章 胡椒貿易とダークエルフの島
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1話 南の大陸に到着と最初の村

 快適な船旅、日本で住んでいた部屋よりも豪華な生活空間。でも生活が快適になったが故に目覚める欲望がある。そうキンキンに冷えたビールが飲みたい。


 テレビで何度も見たよ、クルーザーに乗ってる人はほとんどビールを飲んでた。やっぱり美味しいんだろうな。


 豪華客船ならビールも買えるはずだ。美味しい物と冷えたビール。太陽の下、豪華客船のプールサイドで乾杯したいなー。


 実際に豪華客船に乗った事なんてないから、想像でしかないけど夢が広がるよねー。ボーっとリムを撫でながら幸せな未来を想像していると、イネスとフェリシアがフライングブリッジに上がって来た。


 薄手の服にブラが無いからプルンプルンのお胸に目が釘付けになってしまう。夜に見せて貰っているんだけど、こういう日常でのエロは別腹だよね。


「ご主人様、海の魔物、おそらくですがグラトニーシャークが近づいて来ます」


 グラトニーシャークって何? 暴食ザメって事? 怖いんですけど。


「逃げるのが無理そうなら撃退するしかないんだけど、逃げられそう?」


「うーん、逃げるのは無理そうかしら? グラトニーシャークは一直線に向かって来てるから逃げても何処までも追いかけて来そうよ」


「それなら戦うしかないね。迎撃準備をお願い」


「「はい」」


 この船の特性があれば問題無いだろうけど、この世界の外海ってやっぱり危険なんだな。胡椒貿易の成功率が30分の1ってのも納得だよね。リムを頭に乗せて弓を用意して後方デッキに向かう。


「うわー、凄い勢いで突っ込んで来ますね。大丈夫って分かっていても怖い」


「大丈夫よ、シーサーペントと比べるとずいぶん格下ですもの、余裕を持って対処できるわ。ご主人様とリムちゃんがグラトニーシャークに一撃くわえたら、私達が魔法で攻撃するわ」


「了解、リム頑張ろうね」


『……りむ、頑張る……』


 レベルが上がってからリムとの意思疎通がかなりスムーズになった。大きな口で噛みついて来て乗船拒否に弾かれたグラトニーシャークに僕は弓をリムは石をぶつける。うん、全然効いてないな、本当に経験値ドロボーだね。


「次に飛びついて来たら撃つわよ。フェリシア準備できてる?」


「ええ、いつでも大丈夫です」


 再び飛びついて来たグラトニーシャークが炎と雷に包まれる。余波で発生した水蒸気が晴れるとプカリと海面にグラトニーシャークが浮いていた。


「このサメ引き揚げる? なんだかコンガリ焼けてるんだけど?」


「そうですね、素材は駄目かもしれませんが、魔石には価値があると思うので引き揚げた方が良いと思います」


「なら試してみたい事があるから、ちょっと待ってね、船召喚」


 グラトニーシャークの下にゴムボートを召喚して、うん、グラトニーシャークが上に載ったので送還してみる。


 うん? 送還出来ないな? ああ、頭と尻尾がはみ出してるから送還出来ないのか。ゴムボートを引き寄せて頭と尻尾をイネスに切り取ってもらう。もう一度船送還、よし出来た。


「うん、はみ出てると船送還出来ないけど、これで魔物の引き揚げは楽にできるね」


「凄いわね、海の魔物は大きいから余分な部分を切り取れば本当に楽に回収できるわ」


「ええ、これでこの前のようにシーサーペントを回収できない、なんて事は無くなりますね。凄いですご主人様」


「あははは、ありがとう、ちょうどいい時間だから、昼食を取ってから出発しよう」


『……りむ、ごはん……』


「「はい」」


 ゆっくり雑談をしながら昼食を食べる。


「リム、ご飯、美味しいね」


『……りむ、おいしい……』


「そうだね、沢山食べようね」


『……たべる……』


「ねえ、ご主人様、この船に名前は付けたの?」


「ん? 名前?」


「ええ、船には名前を付けるでしょう?」


 常識でしょって顔してるな……この場合イ○ザルト45は違うんだよね。何とか丸とか何とか号みたいな名前だよね。


「名前って付けてないと不味いの?」


「不味いって事も無いんだけど、みんな付けてるみたいだし、付ける理由があると思うわ。フェリシアは知ってる?」


「私は村から出た事が無かったので、船の常識は分からないです」


「ああ、そうだったわね」


「うーん、でも皆が名付けてるのなら名付けておいた方が良さそうだよね。考えてみるよ」


 うーん、名前とか考えるの苦手だな、豊海丸で良いか? いや、さすがに無いな、中世ヨーロッパな感じの世界で、豊海丸は無い。


イ○ザルトから取ってルトはどうだろう? ルトだけだと短いかな? ルト丸、ルト号……うん、ルト号に決めた。


「決まりました。この船の名前はルト号です」


「ルト号? 何か意味はあるの?」


「いえ、この船のテーマのイ〇ザルトから取りました」


「分かりやすくて良いと思いますよ、ご主人様」


「そ、そうね、分かりやすいのは良い事ね」


 なんか、困った感じで褒められてるな、まあ自分でもどうかと思わないでもない。


「では、これからこの船の名前はルト号です」


 昼食を済ませ再びルト号を出発させる。


「そういえばあのグラトニーシャークは普通の魔導船でも勝てるのかな?」


「そうね、飛び掛かって来るグラトニーシャークが、魔導船に到達するまでに魔法が当たれば撃退出来るかしら? フェリシアはどう思う?」


「そうですね、イネスの言うとおりに魔法が当たればなんとかなると思いますが、発見が遅れた場合、発見前に奇襲された場合は対応は不可能だと思います。ですが何度か攻撃に耐えられる結界が張れれば何とかなる可能性はあると思います」


「そうなんだ、やっぱり外海は危険なんだ。まあ、今日は頑張ったし夜はお風呂に入る?」


「それなら、暗くなる前に入ってみたいんだけど駄目? 海を見ながらお風呂に入ったらもっと気持ちが良いと思うの」


「良い考えだね。早めにお風呂を入れて、夕日が沈む海を見ながらお風呂にしよう」


「ありがとう、ご主人様。うふふ、楽しみねフェリシア」


「ええ、久しぶりですものね。ありがとうございますご主人様」


 嬉しそうに話す彼女達を見ながら最初にお風呂に入った時の事を思い出す。狭い浴槽、密着する肌、揺れる胸……最高に幸せだったな。こんなに喜ぶならシャワーで満足せずにもう少しお風呂に入る頻度を増やそう。


 夕日が沈む絶景も見ずに、プルンプルンしている物体に目を奪われつつ、久々のお風呂を堪能した。シャワーでもベットでも毎日拝ませてもらっているのに、シチュエーションが変わると新しい魅力が更に引き出されるんだな。


 毎日リムと遊びながら操船して、暗くなったら訓練してイチャイチャして眠る。偶に魔物に襲われると撃退する。


 朝起きたら結界にクラーケンがへばりついていた時は物凄く驚いた。そんな航海をしながら出発して25日目でついに南の大陸が見えた。


 あっレベルも沢山上がった、世界一安全なパワーレベリングだと思う。


 名前  豊海 航 とようみ わたる

 年齢  20

 職業  船長 

 レベル 67


 体力  1420

 魔力  140

 力   144

 知力  154

 器用  150

 運   15


 スキル 言語理解    (ユニーク)

     船召喚レベル3 (ユニーク)

     槍術レベル1

     弓術レベル1

     生活魔法レベル1

     テイムレベル1



 名前  リム

 種族  ホーリースライム

 年齢  0

 職業  ワタルの従魔 

 レベル 73


 体力  1450

 魔力  194 

 力   147

 知力  159

 器用  151

 運   30


 スキル 聖属性魔法レベル1

     回復魔法レベル1

     消化・吸収

     物理耐性



 名前  イネス

 年齢  19

 種族  炎虎族

 職業  ワタルの奴隷

 レベル 95


 体力  1900

 魔力  614

 力   414

 知力  102

 器用  146

 運   25


 スキル 炎属性魔法レベル3

     剣術レベル3

     体術レベル2

     気配察知レベル3

     身体強化レベル4



 名前  フェリシア

 年齢  62

 種族  ダークエルフ

 職業  ワタルの奴隷 

 レベル 102


 体力  1220

 魔力  1870

 力   122

 知力  298

 器用  208

 運   18


 スキル 雷属性魔法レベル3

     結界術レベル3

     弓術レベル3 

     短剣術レベル2

     気配察知レベル2



 自分もだいぶレベルが上がったので少しは戦える様になったのか聞いてみたら、基礎能力が上がるからマシにはなるけど、戦いに慣れてないので、ある程度戦闘経験が有る相手だとアッサリやられるそうだ。


 怖い思いをしてまで戦闘経験を積みたくないので、これからも守られて出来るだけ危険からは逃げる事に決めた。


「みんなー南の大陸が見えたよー」


 大声で叫ぶと、昼食の用意をしていた2人がフライングブリッジに上って来た。


「どこどこ?」


「どこですか? ご主人様?」


「ほら、ここからならよく見えるよ。あそこ」


「ああ、ほんとね、陸地が見えるわ」


「あっ見えました、ついに到着ですね」


「うん、25日で到着。予定より5日はやかったね。到着前に昼食を食べて、お茶でも飲みながら南の大陸でどう行動するか決めよう」


「「はい」」


 サロンに移動して紅茶を飲みながら話し合う。決まった事は。


 大陸沿いに走って人が住んでる場所を見つける。

 小さな村だったら海沿いにある大きな街の場所を聞く。

 この大陸の情報を聞く。

 胡椒の相場も調べる。

 フェリシアの結界魔法を常に掛けておく。


「うーん、とりあえずこんな所かな?」


「あっ、ご主人様、私この大陸の言葉が分からないわ」


「あっ私もです」


「あっ、そうだった。大陸が変われば言葉も変わるよね。僕は言語理解のユニークスキルが有るので大丈夫だから、僕が交渉して、2人は護衛に専念してね」


「「はい」」


『……りむは……?』


「あっそうか、ホーリースライムがこの大陸で狙われるかもしれないから。信用できそうな人に会えるまで鞄の中で隠れていてもらった方がよさそうだよね。リムは鞄の中で我慢できる?」


『……ん、りむ、がまん……』


「偉いねリム、レベルが上がってどんどん賢くなるね」


『……りむ、かしこい……』


「そうだね、リムは賢いよ」


 リムとの語らいを終えて、全員でフライングブリッジに上がり、南の大陸に向かって出発する。


 暫く走って南の大陸に近づいたので勘で右側に舵を切り進む。数時間走ると小さな村が見つかった。


「もう暗くなって来たし、村に行くのは明日にして今日はゆっくり休もうか」


「そうですね、小さい村のようですし、暗くなって行くと警戒されてしまうかもしれません」


「そうね、それに村に泊まるよりも、この船に泊まる方が絶対に居心地が良いわ」 


「確かにルト号は居心地が良いよね。僕は訓練をしてくるから、夕食の準備をお願いね?」


「「はい」」   


 訓練を終えて全員で夕食を取り、シャワーを浴びてイチャイチャして寝る。


 朝、目が覚めてボーっとしていると、イネス、フェリシアの優しいキスで目が一気に覚める。


「今日はいよいよ南の大陸に上陸して村に行くよ。朝食を食べたらさっそく出発しよう」


「「はい」」


 朝食を食べ終え、船を岸に寄せる。あれ? 水面から岩が所々顔を出している、和船で行った方が良いな、和船を召喚して乗り込みルト号を送還する。


「ふーやっと上陸出来た。さっさと村に行こう」


「「はい」」


 村に向かって歩いて行くと、畑の世話をしている人がいたので声をかけてみる。


「おはようございます、旅の商人なのですが村に入っても大丈夫でしょうか?」


「ん? 旅の商人さんか、こんな所まで珍しいな。門番に挨拶して大丈夫だったら入れると思うぞ? 馴染みの商人ぐらいしか来ないからどうしたら良いのか分からん、悪いな」


「いえ、ありがとうございます」


 かなり小さな村みたいだ。殆ど人が来ないのなら、情報が貰えるかな? 少し不安になりながら、村に向かって歩き、粗末な木の門の前に立つ2人の門番に話しかける。


「おはようございます、旅の商人なのですが中に入る事は出来ますか?」


「旅の商人さんか、こんな所に珍しいな。今村長の家にいって水晶を取って来るからちょっと待っててくれ。なにしろ人が殆ど来ないもんで水晶は村長の家に置いてあるんだ」


「いえいえ、朝からお騒がせしてしまって、すいません」


「あはははは、問題ねえよ客が来るのは大歓迎だ。何もない村だが見てやってくれ」


 話していると鑑定の水晶を持って門番が戻って来た。全員が犯罪者でないと証明すると、村長の家に案内された。


「おはようございます、私は商人のワタルと申します。この者達は護衛のイネスとフェリシアです。よろしくお願いします」


「これはご丁寧に、私は村長のグラウコと申します。どのようなご用件でこの村に? この国の方ではないようにお見受けしますが」 


「ええ、私共は北の大陸から貿易の為にこの南の大陸に着いたばかりなのです。大きな港町をご存じでしたらお教え願いたいのですが」


「おお、それは大変な航海をなされて来たのですな。大きな港街と言えばここより10日ほど西に歩けばヨーテボリという大きな港町に着きます。


 しかし他国の方にこんな話は恥ずかしいのですが。この国は2ヶ月ほど前に国王様が亡くなって後継者争いが起こっております。


 この村に来る行商人の話によると、ヨーテボリも治安が悪化しているそうなので向かわれるのならば十分にお気を付けください」

 

「治安の悪化ですか、それは他国の人間が向かっても大丈夫なのでしょうか?」


「申し訳ありませんが、商人が世間話で話した内容ですので、詳しい事は分かりません」


「そうですか、分かりました、ありがとうございます」


 少し世間話をした後で宿も無いそうなので船に戻った。しかし治安の悪化に下手したら内乱になる可能性もあるんだよね。どうしよう?


「治安が悪化しているみたいだし、どうしようか?」 


「そうね、詳しい事が分からないから行ってみるしかないんじゃないかしら? 私達ならある程度の危険に対処できるしフェリシアの結界もあるわ。いざとなったらご主人様が船召喚をするまで持ちこたえれば良いのだから大丈夫だと思うわ」


「私もそう思います。治安が悪化していても逃げ出すぐらいの実力はあると思います。慎重に行動すれば何とかなるかと」


「分かりました。みんなレベルも上がったし、危なくなったらすぐ逃げるのを前提に、慎重に行動して胡椒貿易に挑戦します」


「「はい」」


 うーん、せっかく来たのに後継者争いで治安悪化か、面倒事が起こらないと良いんだけど、そう思いながらヨーテボリに向かって出発する。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
シーサーペントやグラ何とかやその他の海のAランククラスの魔物を何度も倒して、ワタルは毎回弓1発当てるだけかもしれないけどそれだけでレベルが50以上上がってるのに弓術スキルがL1のままなのはおかしいと思…
[一言] 只今周回中! 本当はここら辺でイネスとフェリシアに格闘術とか短剣術とか習ってた方がワタル単独でも時間を稼ぐ程度には鍛える方に向かうのが一般人やヘタレでも考えて進むよな。 だって危険が満載な世…
[気になる点] たむたむ 先生へ! コショウ貿易の為の船「ルト号」 Gファンタジー連載の漫画では「クルー号」に改名。理由は 活動報告やコミックス内で明かされるのでしょうか!?  細かい事ですが他の方も…
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