表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十四章
345/576

28話 移住と悪魔

 平和なダークエルフの村の引っ越しが決定し僕も頑張って手伝おうと決意したが、力加減の無能が発覚して妖精達の面倒をみつつ作業の邪魔にならないように隔離する係りに回された。不要な役目ではないが、あきらかな左遷人事なので少し悲しい。




 ダークエルフの村の引っ越しが決定してから二日、驚異的なスピードで引っ越し準備が完了した。


 穏やかなで安全な村だったこともあり、今までのダークエルフの村と比べても家の数も荷物も多かった。


 だが、イネス、フェリシア、アレシアさん達の体力とパワー、そして僕の船召喚の力があれば、本当にあっという間に村が消えた。


 定点撮影で町の発展を動画化したものを見たことがあるが、それの逆再生を見ているような勢いだった。


 そして僕も頑張った。


 集まった木材を収納するのは無論だが、可愛らしい妖精達の心を抉るような無邪気な言葉にもめげずに頑張った。


 悪意があるのかないのか分からないが、可愛らしい生物の心に突き刺さる言葉と行動はとても危険だ。


 特に、二頭身の漫画キャラみたいな妖精のくせに、余計な事に興味を持って悪戯してくる妖精。あいつらは悪魔と言っても過言ではないだろう。


『ねえねえ、あれしあはわたるのことすきー?』


 とか


『わたるがくられったのおっぱいみてるー』


 とか


『わたるがおかしくれないの、ごぶりんなの!』


 とか、他にも綺麗なダークエルフのお姉さんに見とれていたらチクられたし、数えきれないほど余計なことを言って、僕のことを追い詰めようとする悪魔共。


 特に、アレシアさん達の前で僕のズボンを引きずりおろした奴等は許さない。


 ズボンの後にパンツにまで手を出してくる極悪っぷりで、その時に僕は妖精の真の恐ろしさを理解した。舐められたら社会的に殺されると……。


 だいたい、僕はムッツリにクラスチェンジしたんだ。クラレッタさんの豊かな母性は見ていない……こともないが不可抗力だ。


 あれはたまたま、クラレッタさんの豊かな母性がブルンと大暴れした時に、偶然目のピントが合わさっただけで見ようと思った訳じゃない。


 たしかに、偶然ピントが合った後に目を逸らすまで少し時間はかかったが、それはしょうがないことだと思う。


 あんな素敵な映像、オープンだろうがムッツリだろうが、異性に興味津々な男であれば抗えないのも当然のことだ。


 あと、性欲はゴブリン並みかもしれないが、僕は人間だ。


 でもまあ、悪魔共にはちゃんとお仕置きしたから問題はない。


 余計な事をする悪魔は揃って好奇心が強く、すぐに待機場所であるハイダウェイ号から抜け出した。


 僕はそのタイミングでおやつタイムを実行し、慌てて戻ってきて結界に阻まれた悪魔共の前で、他の良い子の妖精達とお菓子を貪り食ってやった。


 よだれを垂らしながら中に入れろと結界を叩く悪魔達。ドンドンと減っていくお菓子を前に、悪魔達は最後には泣きながら中に入れてと訴えかけてきた。


 普通であれば心が痛む光景だし、見た目だけは可愛らしい妖精(悪魔)を泣かせている光景は、下手をすれば人格を疑われただろう。


 でも僕は構わず鬼畜の所業を実行し続けた。すべてのお菓子がなくなるまで……。


 普段の僕なら妖精の涙にヘタレて結界の中に入れてしまっただろう。だが、事前に根回しを完璧に済ませていた僕は強気で行動できた。


 村の人達やアレシアさん達に航海中に結界の外に出てしまう危険を訴え、妖精の行動が心配だから少し酷いことをするが、すべては妖精の為なんだと許可を貰った。


 だから、すべてのお菓子を見せびらかしながらむさぼるように食べつくした。


 正直、お菓子を大量に食べるのは辛かったが、泣く悪魔共をみるとなぜか暗い喜びが湧き上がり、僕にお菓子を食べつくすパワーを与えてくれた。


 悪魔共を懲らしめるパワーを得られたのは助かったが、暗い喜びは人として危険な方向に突っ走りそうなので、今後は自粛しようと思う。


 でもまあ、この件が切っ掛けで妖精達にも悪魔共にも上下関係を叩き込めたのは良かったと思う。


 相手の胃袋を掴んでいると、とても楽だ。


「ご主人様、そろそろ出発の時間ですが、どうかされましたか? もしかして体調を崩されましたか?」


「ん? いや、体調は万全だよ。心配ないからフェリシアは段取りをお願い。僕はただついていくだけだから気にしなくていいよ」


 悪魔共に勝利した喜びを思いだし、表に出さないように耐えていたら体調が悪いのかと勘違いされてしまった。


 いつまでも小さな勝利で悦にいるのは趣味が悪いし、もうこのことは忘れよう。


 小学生みたいな悪戯に本気で反撃したのがバレたら、本気で人格を疑われてしまう。


「分かりました。では、先頭のアレシアに伝えて出発します。イネス。ご主人様をお願いね」


「まあ、問題ないでしょうけど、分かったわ」


 フェリシアがペコリと頭を下げて集団の先頭に走っていき、少し経つと集団が動き出した。


 いよいよ移住開始だ。


 先頭はアレシアさんとマリーナさん。後方はドロテアさんとイルマさん。左右をクラレッタさんとカーラさんが警戒する。


 戦えるダークエルフも警戒に当たるし、働き者の妖精が魔物を惑わす予定なので比較的魔物が弱いこの山なら徒歩でも無事に麓まで辿り着けるだろう。


 先頭集団が村から出ていく。


 ダークエルフ達は村を出ると振り返り、目に焼き付けるように村の跡地を見てから再び歩き出す。


 移住が決まってから三日、村の人達にとって怒涛の日々だっただろう。


 いきなり人間が現れて、森の女神様の手紙と妖精をお菓子で釣っての移住。急展開過ぎて現実が呑み込めてない村の人達も沢山居るのだろう。


 今更だけど、とても申し訳ないことをしているな。妖精達にマウントが取れて暗い愉悦に浸っている場合じゃなかった気がする。


 進んでいく集団。今は女性達と子供達が村を出ている。


 この村の子達は少しおっとりとした性格をしている。お菓子をあげると可愛らしく笑って喜ぶが、ダークエルフの島の子供達のように大はしゃぎはしない。


 走り回る元気がない訳でもないから、最初は平和な村で育ったからだと思っていた。


 そのことを村長に伝えると、苦笑いしながら否定された。


 子供達が悪戯するよりも先に妖精達が悪戯をするので、子供達がフォローに回ることが多いから、性格が穏やかになったのだそうだ。


 妖精め! と思うと同時に、なんだかとっても嫌な予感がする。


 ダークエルフの島の元気が良すぎる子供達と、悪戯大好きな妖精達が出会ったら……どうなるのだろう? 


 ……今から妖精だけ移住拒否……はさすがに無理か。


 この村の子達がダークエルフの島の子達に毒されないように注意だけはしておこう。


 女性達と子供達が村を出ると、村の男達が家畜と一緒に出発する。


 家畜は鶏と豚……なのかな?


 地球の鶏と豚と少し違って、鶏は飛ぶので羽を減らし、豚は気性が荒いので牙を切り落としたり、去勢したりしているらしい。


 もしかしたら、鶏も豚も、地球のように家畜化される途中の段階なのかもしれない。


 家畜達が村を出ると、最後は僕達と村長の出発だ。


 村長は当然村に思い入れがあるだろうし、少し時間を取ったほうがいいかな?


「妖精達、集合!」


 僕の声に働いていない妖精達がワラワラと集まってくる。


 お菓子事件をみんな知っているから、今は比較的言うことを聞いてくれるが、たぶん豪華客船に乗せたら大騒ぎするんだろうな。


 ……まあいい。シャトー号に乗せたら後はなんとでもなる。この移動だけ頑張れば大丈夫だと思いこもう。


 ……でも、道中を楽に移動するために、お菓子を見せびらかしつつ少し脅しておこう。




 ***




「……ようやく一息つける……」


 リムの感触が疲れた心を、とても癒してくれる。


「ふふ。大変だったわね」


 アレシアさんが笑って僕の言葉に応えてくれるが、その顔には若干の疲労を漂わせている。


「ええ、本当に大変でした。でも、無事にたどり着けて良かったです。ありがとうございました」


 今回はアレシアさん達が本当に頑張ってくれたから、全員がシャトー号に乗船できたんだと思う。怪我人は出ちゃったけど……。


「いいのよ。でも、予想外の探索だから少し疲れちゃったわ」


 アレシアさんが疲れるのも無理はない。報酬は当然として、落ち着いたら慰労会でも開催しよう。


 しかし、本当に疲れた。


 魔物は出なかったし、お菓子で脅した妖精達はなんの問題も起こさなかった。ダークエルフ達も慎重に行動してくれたから、本来であれば怪我人なんか出ずにシャトー号まで辿り着けるはずだった。


 ……問題は僕の目の前で起こった。


 原因は毒すらない一匹の蛇。こいつが木の上からポタリと落ちてきた。鶏を抱えた男の上に。


 鶏は蛇に驚き大暴れして男の腕から飛び出したが、ひもで繋いでいたので遠くまで逃げ出すことはできなかった。


 でも、隣を歩いていた豚の上までは届いてしまった。いきなり背中に飛び乗られ爪を立てられた豚が暴走。


 こちらもちゃんとひもで繋いでいたのだが、ダークエルフを引きずりながら前方に突進。


 集団は大混乱し、家畜達が四方八方に逃走。豚に突進されたり鶏に突かれたり転んだりしたダークエルフだけが取り残された。


 なんて言えばいいのか……朝の教育番組で放送される、ピタっとしてゴラとした感じのスイッチみたいな出来事が目の前で展開されてしまった。


 ドロテアさんとイルマさんが素早く何匹かの家畜を捕らえてくれたが、残りは山の中に解き放たれてしまった。


 怪我人はクラレッタさんにお願いし、急遽家畜捜索班を結成。


 山の中を走り回り、鶏と豚の大捜索を開始することになった。


 幸い妖精達が協力してくれたことですべての家畜を捕獲できたが、それでも疲れる出来事だったのは間違いがない。


 ……ふー、もう眠りたいけど、一息ついたらもう少し頑張るか。


 ダークエルフ達の部屋割りはフェリシアとイネスに任せるとして、妖精は僕が担当しないといけないだろう。


 とりあえず、美味しいお菓子をたらふくご馳走するって約束して家畜を探してもらったし、その報酬を支払わないとな。


 ……あと、妖精の登場に大興奮のベラさんとフローラさんもなんとかしないと……あの二人はカルロさんとダリオ君になんとかしてもらおう。


 シャトー号に大興奮して飛び回っている妖精達を落ち着かせるだけで手いっぱいだ。


 今夜は眠れるのだろうか?


読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 妖精とシャトー号 何も起こらないはずもなく…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ