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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第二章 モーターボートで荒稼ぎ!!
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14話 ホーリースライムと従魔契約

 ん? 朝? ……どうやらホーリースライムをめでながら、一晩過ごしてしまったみたいだ。


 いかんな朝食の用意をしよう。その前にホーリースライムにも朝食を食べさせないと。干し肉と……野菜も食べさせておこう。小さいんだし栄養バランスは大切だよな。よし、今度こそみんなの朝食の用意をしよう。


「みなさん、おはようございます」


「おはよう、ワタルさん」


 朝食の準備が終わる頃、タイミングよくアレシアさん達が起きてきたので、朝の挨拶を交わす。


「朝食の用意はできてますよ」


「ワタルさん目が赤い。ちゃんと寝た?」


「……ええ、カーラさんはよく眠れましたか?」


「話をそらそうとしてる?」


 カーラさん、ご飯の時以外はのんびりしているのに、意外と鋭い。


「はは、そんなことありませんよ。ああ、昨日はブルースライムとグリーンスライムを残したままで、すいませんでした。ご迷惑おかけしませんでしたか?」


「うん、徹夜な事を絶対に認めない気ね。なんで認めたくないのかすら分からないけど、カーラ、そっとしておいてあげなさい」


「うん」


 アレシアさんから微妙な救いの手が入った。助かったけど、確実に信じてもらえてないよな。まあ、いいや。さっさと朝食を食べよう。


「御馳走様でした」


「お粗末様でした」


 なんとなく徹夜の話題を避けつつ、楽しい朝食が終わる。


「ワタルさん、今回は最終日の朝に戻ってくると思います。ですのでお風呂に入ってから南方都市に戻りたいんですが、お願いできますか?」


 アレシアさん達、完全にお風呂を中心に予定を立ててるよな。最初の頃は帰る日は昼過ぎまでしっかり探索してたのに、いつ頃からか毎回きっちりお風呂に入って帰るようになった。まあ、僕としても眼福だから何の問題もないんだけどね。


「分かりました。準備しておきますね」


 しっかりと準備を約束し、アレシアさん達を森に送り出す。ふー、眠たいけど我慢して後片付けをするか。日本じゃないんだし生活リズムを崩してもいい事なんて一つもない。


 しかし気が付いたら朝とかヤバいよな。好きなゲームを徹夜でやる事はあったけど、一晩中スライムを可愛がって、気が付いたら朝ってのはどうなんだ? 正常なのか? ……まあ、スライムは可愛いからしょうがないか。早く訓練を終えてスライム達と遊ぼう。


 訓練をサボってスライム達と遊びたい気持ちを抑え、予定通りに訓練を済ませる。よし、あとは自由時間だ。いそいそとテントに入ると3匹のスライムが、ポヨンポヨンと体をぶつけ合っている。とても可愛い。


 小さいホーリースライムが偶に弾かれて転がっているが、そうなると2匹スライムがもっちもっちと近づき、一緒に部屋の中央まで戻っていく。ほのぼのした光景にうっとりだな。3匹に干し肉を与えて撫でまくる。


 思う存分スライム達を可愛がり、暗くなってきたので夕食の準備をする。料理には使わない野菜の皮なんかを与えるとプルプルと喜ぶので、とても楽しい。夕食の準備が終わると、スライム達と楽しみながら夕食を取り、お風呂に入る。


 いかんな、徹夜だったから頭がグラングランしてきた。もう寝よう。ホーリースライムは籠に戻し、ブルースライムとグリーンスライムは森に放して眠りにつく。


 ***


 うう……朝か? テントから出てみるとすっかり日が登っている。昨日結構早く寝たのに徹夜してたからか、だいぶ寝過ごしちゃったな。


 ホーリースライムの様子を確認して朝食兼昼食の用意をする。ホーリースライム、長時間ほったらかしにしてたからお腹空いてるよな。急いで準備しないと。


 少し手抜きだが、素早く準備を終えてホーリースライムと朝食兼昼食を食べる。なんかスライムとご飯を食べるのも楽しいよね。見ているだけで癒される。


 うーん、このままホーリースライムと遊びたいけど、やる事はやっておかないとね。後片付けをして訓練だ。


 ……どうもホーリースライムがきてから、訓練に集中できないな。普通の大きさのスライムならすぐに捕まえられるから我慢できるけど、ホーリースライムは生まれたばかりで小さいから、ついつい構いたくなってしまう。


 なんとか自制心を働かせて訓練を終える。よし、ホーリースライムと遊ぼう。テントに戻りホーリースライムと戯れる。この子を連れて行きたいなー。結構な期間スライムと戯れてるから、テイムスキルが取れてもいいと思うんだけどな。


 なんとかテイムしたいと思いながら、ホーリースライムと戯れる。


『…………たべる…………』


 あれ? 夕方までしっかりとホーリースライムと戯れていると、なにか違和感を感じた。


「なんとなくだけど……ホーリースライムの意思が分かった気がする……もしかして」


 あわててステータスを確認する。


  名前  豊海 航 とようみ わたる

  年齢  20

  種族  人間

  職業  船長 

  レベル 20


  体力  480

  魔力  46

  力   50 

  知力  60

  器用  56

  運   15


  スキル 言語理解    (ユニーク)

      船召喚レベル2 (ユニーク)

      槍術レベル1

      弓術レベル1

      生活魔法レベル1

      テイムレベル1


 ……ある、テイムスキルがある。他のスキルが取れた時も嬉しかったけど、今回が一番嬉しいかも。アレシアさん達に頼んで、ホーリースライムを譲ってもらおう。


 あっ、テイムスキルの内容も確認しておかないと。


 テイム

 動物や魔物と意思の疎通ができるようになる。

 精度はレベル依存でレベル1はなんとなく動物・魔物の意思を感じる程度。


 動物や魔物と契約し従魔にする事ができる。

 契約の仕方は友好的になり魔法陣を展開して受け入れてもらうか、もしくは戦い服従させて魔法陣を受け入れさせる事で契約する。


 うーん、ホーリースライムが受け入れてくれなかったら、戦って無理やり契約しないといけないの? ……無理だな。ホーリースライムに攻撃できる気がしない。受け入れてもらえるように願うしかないな。


 なんか告白する前の気分みたいだ。こんなところに恋愛要素が隠れてるなんて、まったく予想してなかったよ。異世界って奥が深い。


 なんとなく感じられるようになったホーリースライムの意思を尊重しながら、ホーリースライムと戯れる。明日はアレシアさん達が朝には戻ってくる予定だったな。早く起きて準備しないと。完璧におもてなしして、絶対にホーリースライムを譲ってもらうんだ。


 ホーリースライムを籠に戻そうとすると『……ごはん……』とお願いされたので、籠に干し肉とお野菜を一緒に入れて籠に戻す。テイムスキルって便利だな。では、お休みなさい。


 ***


 目が覚めてすぐに、ホーリースライムの籠を確認すると、プルプルしながら眠っている。可愛い。普通の大きさのスライムも可愛いけど、ちっちゃいスライムもとても可愛い。


 今の内に朝食の用意とお風呂の準備をしておくか。ジラソーレがいつ戻ってくるか分からないし、目的があるんだから今回は特に気合を入れて準備しよう。


 完璧に準備を整え、籠を覗くとホーリースライムは起きているみたいだ。『……ごはん……』の意思が送られてくる。もう、あれだね、可愛すぎる。


 一緒に朝食を食べて、テーブルの上で遊んでいるホーリースライムを見守る。もっちもっちと移動したりプルプルしてたり、ポヨンポヨンと跳ねたり、何時までも見守っていられる。


 まったりと幸せな時間を過ごしていると、ジラソーレが戻ってきた。なんか大きな熊を担いでいるな。……熊を担いでいる女性を見ても、最近驚かなくなった。僕もだいぶ異世界に馴染んできたっぽい。おっと、迎えに行かないと。


「お帰りなさい。みなさん、大丈夫ですか?」


「ただいまワタルさん。みんな無事よ」


 そういえばアレシアさん達がケガして帰ってきた事ってないよな。この島で活動する実力は十分って事なんだろう。アレシアさん達を和船に乗せてテント筏に戻り、いつものようにおしぼりと紅茶を出す。疲れているところ悪いけど、さっそくホーリースライムの事を頼んでおこう。


「お疲れのところすみませんが、アレシアさん達にお願いがあるんですが聞いてもらえますか?」


「ワタルさんがお願いなんて珍しいわね。なにかしら? お世話になってるからできそうなお願いなら頑張るわよ」


 アレシアさんが珍しいと少し驚いている。そんなにお願いしたことなかったか? ……ないな、巨乳美人の側にいられるだけで十分満足してた……もう少し野心を持たないといけない気がする。


 でもできそうな事ってどこまで大丈夫なんだろう……うん、試すような事は止めておこう。一緒にお風呂に入りたいですとかは、間違いなくできない事だろうし、今後、目も合わせてくれない未来がみえる。


「えーっとですね、ついにテイムスキルが取れたので、ぜひこのホーリースライムを譲って頂きたいんです。お願いできますか?」


「あら、テイムスキルが取れたのね。おめでとうワタルさん」


 アレシアさん達が次々にお祝いしてくれる。みんなすごい人達なのに、偉ぶらないいい人達だよね。


「譲るも何もお土産だって言ったでしょ。ワタルさんの好きにしたらいいわ」


 あれ? アッサリとアレシアさんが嬉しい事を言ってくれる。


「ですがこの子の価値はとても高いですよね? それをタダで受け取る訳にもいきませんよ。できる限りお支払いしたいです」


「そんな事言われても、ホーリースライムを渡した時にそう言ったわよ。聞こえてるか分からなかったけどワタルさんもしっかり頷いてたわ。今更お金はもらえないわね」


 きっぱりと言うアレシアさん。そんな事言われてたのか。


「はは、そうだったんですか。すみません、ホーリースライムに夢中で聞き逃してました」


「ふふ、あの時のワタルさんはホーリースライムしか見えてなかったのね。それにタダなんかじゃないわよ。お風呂や食べたことがないご飯。この島での仕事がみんなの楽しみになったんだもの。そのお礼だから気にしないで受け取ってちょうだい。まあ、テイムスキルが取れるとは思わなかったから、ここで飼うか、放すかだと思ってたんだけどね」


 お礼って感じだったのか。アレシアさん達が喜んでくれると僕も嬉しかったから気にしてなかったけど、恩を感じてくれてたんだな。


「……そう言って頂けるととても嬉しいです。ずうずうしいですが、ありがたく頂いておきます。みなさん、本当にありがとうございます」 


「どういたしまして。さて、そろそろお風呂をお願いします。みんながあがってから朝食にして、そのあと、従魔契約を私達にも見せてね」


「分かりました。すぐに準備しますね」


 アレシアさん達がお風呂を済まし(きちんと全員の湯上り姿は堪能しました)朝食を食べる。いよいよテイムの時間だ。


「ここで大丈夫なの?」


「ええ、お願いするだけですから、このテーブルの上で大丈夫です。戦う方法もあるんですが、この子と戦うなんてできませんからね。駄目だったら森に放します」


 森に放す事になったら……僕は泣く自信がある。


「分かったわ、頑張ってね」


「はい、頑張ります」


 テーブルの上でプルプルしているホーリースライムに話しかける。


「僕と従魔契約を結んで一緒にきてくれない? きてくれるのなら魔法陣を受け入れてね」


 テイムスキルを発動させて、ホーリースライムの前に魔法陣を浮かべる。ホーリースライムはプルプルしながらなにかを考えているようだ。


 しばらくプルプルしているホーリースライムを固唾を呑んで見守っていると、突然『……好き……』と言う思念と共に魔法陣を受け入れてくれた。嬉し過ぎて鼻血がでそうだ。


「やったー、ありがとうホーリースライム。これからよろしくね」


 テーブルの上のホーリースライムを抱っこして撫でまくる。本気で嬉しい。


「ワタルさん、おめでとうございます。この子の名前は何にするんですか?」


「ドロテアさん、ありがとうございます。……名前ですか?」


 そういえば名前って必要だよな。いつまでもホーリースライムって呼ぶのは味気ない。今までは別れる時の事を考えてスライムに名前を付けた事はなかったけど、この子は僕の契約スライムだ。名前を付けても問題ない。むしろ名前を付けないと駄目だ。


 名前……ス○太郎、ス○美、ス○リン、プル、プニ、ポヨ、駄目だ。なにか問題になりそうな気がする。


「うーん、決めました。ホーリースライムからリとムを取ってリムにします」


「リムですか、なぜリとムを取ったのか分かりませんが、可愛い名前ですね」


「ありがとうございます」


 ドロテアさんが褒めてくれた。うん、リム、意味はないけどなんか可愛い名前だよね。


「ホーリースライム。きみの名前はリムだよ、これからよろしくね」


『……りむ……?』


「そうだよ、リムだ」


『……ごはん……』


「あはは、お腹すいたんだね。はい、干し肉だよ」


 リムをテーブルに戻し、干し肉を食べさせる。まだ名前がよく分かってないみたいだ。まあ、これからどんどん仲良くなれるように頑張ろう。


「みなさんお待たせしました。このとおり無事契約を済ませ名前を付ける事ができました。ありがとうございます」


「おめでとうございます」


 アレシアさん達も契約の完了を喜んでくれた。なんか感動してしまう。ジーンと感動に浸っていると、干し肉を食べ終わったリムが僕に飛びついてきた。契約するまでなかった行動だよな。膝の上に乗ってもらうのに干し肉を並べた過去が思い出される。


 おお、抱っこしていると安心したのか眠ってしまったようだ。可愛すぎるぞリム。


「ワタルさん、リムちゃんのステータスはどうなってますか?」


「ステータス……ドロテアさん、僕がリムのステータスを見られるんですか?」


「ええ、たしか従魔になった動物・魔物は、契約者がステータスを見る事ができるはずです」


「試してみますね。ステータス」


 寝ているリムにステータスと唱えながら視線を向ける。


 名前  リム

 種族  ホーリースライム

 年齢  0

 職業  ワタルの従魔 

 レベル 1


 体力  10

 魔力  50

 力   3

 知力  15

 器用  7

 運   30


 スキル 聖属性魔法 レベル1

     回復魔法  レベル1

     消化・吸収

     物理耐性


「えーっと、リム、0歳でレベル1ですね。運が僕の倍あります……スキルがすごいですね。聖属性魔法、回復魔法があります。でもリムに魔法陣覚えられるのかな?」


 それにさっき名前を付けたばかりなのに、もうステータスに反映されている。地味にすごいよな。  


「ホーリースライムはすごいですね。聖属性魔法と回復魔法は貴重なんですよ。それに魔法は大丈夫だと思います。魔物は魔法陣ではなくて、本能で魔法を使うと言われています。ですからリムちゃんも魔法が使えるようになると思いますよ。レベルが上がれば進化してもっとすごい魔法が使えるようになるかもしれませんね」


「クラレッタさん、魔物って進化するんですか?」


「ええ、進化しますよ。例えばゴブリンはゴブリンリーダーに進化して、最終的にゴブリンキングになります」


 ゴブリンキング……何段階進化すればキングになれるんだろう?


「そうだったんですか。リムはどんな子になるんでしょうね。楽しみです」


 リムの事だからものすごく可愛いスライムに進化するはずだ。


「ホーリースライムは特殊な個体ですからね。どんな進化をするのか私も楽しみです。では、ワタルさん、そろそろ南方都市に戻りましょうか」


 アレシアさんの〆の言葉で綺麗に場がまとまったな。暗くなって南方都市に到着すると面倒ではあるし、さっさと出発するか。


「分かりました。みなさん、ありがとうございました」


「ふふ、いいのよ。私達も従魔と契約する場面なんて初めてなんだから、とても楽しかったわ」


 従魔との契約って結構珍しい事らしい。眠っているリムを籠の中に戻し、大きな熊を和船に乗せて布をかけてから南方都市に向かって出発する。テイムスキルも覚えたし、リムとも契約できた。今回の仕事は最高だったな。 

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「……そう言って頂けるととても嬉しいです。ずうずうしいですが、ありがたく頂いておきます。みなさん、本当にありがとうございます」  ずうずうしいよりお言葉に甘えての方が良さそう
[一言] あと一文字追加したら最強スライム魔王様になったなw
[良い点] テンプレだけどスライムを仲間にする展開はやっぱり面白いよなぁ
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