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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十三章 ダークエルフの島の発展
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19話 女神様!

 足手まといになるので人魚達の村作りは一時離脱し、前からの約束であった創造神様の特別おもてなしの準備をすることにした。途中から微妙に本来の目的から逸れてしまった気がしないでもないが、僕は全力で頑張ろうと思っている。


「ここが天国だったのか……」


「ここは航さんの船の教会で、天国ではありませんよ?」


 僕が感無量で天を仰いでいると、光の神様が心配そうに声を掛けてきた。


 おっと、ゲストに気を使わせてしまうとはなんたる不覚。


 目の前に降臨されたのは光の神様、美食神様、森の女神様という、僕の中で女神様トップスリーの方達で、見ただけで幸せな気持ちになってしまう存在。


 もちろん、他の女神様方もとてもお美しいから是非とも仲良くなりたいんだけど、まずは目の前に集中するべきだ。


 だからこそ油断なく全力でおもてなししなければならないのに、目の前の光景が美し過ぎて脳がここを天国と誤認してしまった。


 いままでも何度もお会いしているし、デートのような行為もさせてもらっている。だから耐性はできているはずなんだけど、今回は三柱だけの滞在で他の邪魔な神々も居ない夢のような時間だと考えると、思わずたぎってしまうな。


「いえ、ちょっと、嬉し過ぎて言動がおかしくなってしまっただけです。光の神様、美食神様、森の女神様、この度はご足労頂き、本当にありがとうございます」


 喜びに満ち溢れる心を意志の力で抑えつけ、できる限り礼儀正しく降臨のお礼をする。目の前の三柱は言葉通り女神様。いくらお優しい方達でも礼儀は大切にしなければならない。


 そして、船での生活を気に入ってもらって、どうにかこうにかしてプライベートでも遊びに来てもらえるようにするんだ。絶対!


 ***


 女神様方とのご挨拶を終えて、滞在するお部屋にご案内する。もろん、クリス号で最高のペントハウスタイプのお部屋だ。


 創造神様達が来る時はもちろん創造神様が宿泊するんだけど、創造神様のおもてなしの為には体験してもらわないと意味がないもんね。


「それでワタルさん。三日間滞在して私達が手伝うとのことですが、なにをすればいいのですか?」


 部屋のリビングでソファーに座り紅茶を出すと、光の神様がさっそく仕事の話を始めた。真面目な光の神様らしいんだけど、僕としてはもう少し肩の力を抜いてほしいと思う。


 まあ、それを露骨に言っても真面目な光の神様は受け付けてくれないだろから、ここからは僕の腕の見せ所だろう。


 具体的には、仕事の時間とプライベートな時間をしっかり区切って、真面目な光の神様だからこそ、真面目にプライベートを満喫するだろう計画を発動だ。


 そのためにも、真面目な仕事の時間は真面目に働かないとね。


「はい。神界でもお話した通りなのですが、光の神様には総合的な監修をお願いしたいと思います。創造神様の性格や好みに合わせてご意見を頂けましたら、できる限り対応したいと思っています」


「分かりました。では、後で一通り船内を視察し、意見をまとめておきますね」


「はい。よろしくお願いします。あぁ、それでお仕事についてなのですが、この船の時計で17時には終了でお願いしますね」


「17時ですか? まだ日も落ちていない時間に仕事を終えるのは……」


 光の神様が社畜のようなことを言う。ファンタジーの世界なのにとても世知辛いよね。だいたい創造神様のせいだけど。


 でも、社畜な光の神様に引きずられて、美食神様や森の女神様まで仕事漬けになられては困る。特に美食神様なんか放っておいたら一日中料理をしていそうだ。


 プライベートな時間に僕も参加させてもらうつもりだから、そんなことは絶対にさせない。


「僕がお願いして光の神様方にお仕事をお願いしました。ですから、皆様が働いていらっしゃる間は僕も休めません。良い仕事をするためにも、人間には十分な休息が必要なのです」


「……そうですね。航さんに無理はさせられませんし、では、17時までに仕事を終えられるように調整しましょう。航さん、全員の仕事はそれでも間に合う仕事なんですよね?」


「はい。それでも十分に良い仕事ができると思います」


 美食神様が拘ったらギリな気もするけど、料理の神様なんだから大丈夫だろう。


「分かりました。美食神も森の女神もそれでいいですね?」


「ええ、構わないわ」


「私もそれで大丈夫です」


 よし、女神様方の言質は取った。美食神様あたりは趣味で仕事じゃないとかいって料理を続けそうな気もするが、言質を取ったからにはしっかり休息してもらうぞ。


「じゃあ、次は私でいいかしら? 森の女神も大丈夫?」


「ええ、私は急ぎませんから、美食神からで大丈夫ですよ。ですが、話を聞いてすぐに取り掛かるのではなく、話し合いが終わるまではちゃんと待機していてくださいね?」


「分かっているわよ。大丈夫、ちゃんと話し合いには最後まで参加するわ」


 穏やかな森の女神様が釘を刺してくれたように、今の美食神様は少し暴走気味でお色気が凄まじいことになっている。


 娯楽神様が言うには、美食神様も光の神様同様にまじめな性格なんだそうだ。でも、美食神の名の通り、美味しい料理が大好きで、その料理のこととなると暴走してなぜか色気を放出してしまうらしい。


 異世界の料理に美食神様がお色気を放出しない訳もなく、報酬のデートと膝枕で耳かきの時には、濃厚な色気をクラクラするまで堪能させてもらっている。


「それで、航さん。神界で少し話は聞いたのだけど、創造神様の為に特別な料理を作るのが依頼と考えていいのよね?」


 その美食神様が熱っぽい目で僕を見つめている。ただでさえお色気タイプのセクシーダイナマイツなお姉さんにしか見えないのに、お色気満載で熱っぽく見つめられたら洒落にならない破壊力がある。


 まあ、考えているのは料理のことばかりで、僕のことなんかこれっぽっちも意識していないんだけどね。今回の滞在の間に少しは意識してもらえるように頑張りたい。


「はい。特別です。今回は特別ですので、材料にも拘りたいと思います」


「特別な材料?」


 興味津々なのか、ズズイッと美食神様の顔が近づいてくる。良い匂いだし吐息も感じられるし、もったいぶってこの時間を長く味わいたいのだけれど……凄まじいお色気に匂いや吐息まで加えられてしまうと、僕の繊細な心臓が洒落にならないくらいに不規則に波打ちだしてしまった。


 このままだと心臓が破裂して死にそうなので素直に計画を話す。まあ、難しいことじゃ無いんだけどね。


「はい、特別な材料です。今まで美食神様はこの船の材料で、この船のレシピで料理を作っていました」


 まずは基本を理解して異世界の調味料を理解するためらしく、多少のアレンジはあっても美食神様の料理は基本から大きく逸れることはなかった。それでもとても美味しいんだけどね。


 美食神様の手料理ってだけで、美味さが200%くらいアップしている気がする。


「そうね。まだすべてを理解しきれないくらいの沢山のレシピと調味料が有って幸せだわ」


 ……美食神様が沢山の料理のレシピを思い浮かべたのか、頬を上気させてとっても素敵です。僕の心臓が更にヤバいことになっているけど……。


「ですが、それは地球の料理を再現しているにすぎません。それでも美食神様の作る料理はとても美味しいのですが、創造神様をおもてなしする特別な料理と考えると、足りないものがあると僕は考えています」


「足りないもの?」


 キョトンとする美食神様もとっても素敵です。


「はい。この世界の創造神様をおもてなしするのですから、この世界の素材。それも、地球には存在しない魔物を使い、地球とこの世界の味を融合させた料理こそふさわしいのではと考えます」


 カッコつけたけど、単純に僕が食べてみたいだけなんだよね。


 むぎゅっときた。とっても柔らかい。あれ? 僕、美食神様に抱きしめられてる? とても幸せなんだけど、あれ? 心臓がちょっと……苦しい……かも。


「素敵、素敵よ航さん。異世界の料理をマスターすることに集中していたけど、そうよね。とうぜんこの世界の素材を使った料理も必要よね。異世界の技術と調味料を使って作る、魔物を使った独自の料理。美食神としての腕が鳴るわ!」


 美食神様の楽しそうな声が聞こえるけど、もう意識が……。


 ***


「美食神。航さんを離して少し落ち着きなさい」


 発展しないこの世界の料理に不満を持っていた美食神ですから、異なる世界との料理の融合と聞いて歓喜するのは理解できますが、抱きしめるのはやり過ぎです。あなたは神なのですよ?


「あら? ちょっと興奮しちゃったかしら? ……光の神、航さんが動かないわ……」


 そうですね。とてもだらしない顔で気絶していますね。


「まったく。航さんが女性に弱いのはあなたも知っているでしょ? まだ森の女神の仕事内容も聞いていないのですから、迂闊な行動は慎んでください」


 まあ、女神に興奮できる航さんも航さんなのですが……普通の人間だと興奮以前に神の存在に畏縮してしまいます。異世界人というのは本当に特異な存在ですね。


「悪かったわ。森の女神もごめんね。……で、航さんはどうしたらいいのかしら?」


「見たところ頭に血が上っての気絶のようですから、ソファーに寝かせて休ませれば目が覚めるでしょう。お茶のお代わりを頼んで、少し休憩しましょうか」


 美食神が悲しそうに航さんをソファーに寝かせています。おそらく、今すぐにでも料理を始めたいのに、肝心の航さんが気絶してしまって行動できないのが悲しいのでしょう。


 あら? 森の女神が優しく航さんの頭を撫でていますね。森の女神はダークエルフのことで航さんにとても感謝していますが、自らスキンシップを取る程だとは思いませんでした。


 もしかして、デートや耳かき等でそのあたりの境界が曖昧になっているのでしょうか?


 そういえば、美食神もためらいなく航さんを抱きしめていました。


 ……もしかして、航さんが本当に神を口説き落とす未来が……いえいえ、さすがにありえませんよね。だって、お風呂を覗きたいがために透視能力を望む航さんですもの。ありえないでしょう。


 ……私も航さんに一つ借りがあるんですよね……油断せずに気を引き締めておくべきかもしれません。


読んでくださってありがとうございます。

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ワタル自身がダークエルフの村の発展をライフワークの如く目に掛けてる上に、保護の為の政策を思い付いたが吉日とばかりにこれでもかと打ち続けるし。 ダークエルフの延長上で考えればタダでさえ義理堅い森の女神か…
[気になる点] 記憶違いかもですが 完結から更新された際に透視能力を神様に真摯に願って思いが届くエピソードって無くなりませんでしたっけ? 好きなシーンだっただけに残念に思った記憶がうっすらとあるような…
[良い点] ワタルのこの軽さ 好き好き大好き
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