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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十三章 ダークエルフの島の発展
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17話 とってもカラフル

 今回は会ってもいないのにアレシアさんの弟君相手に妙なフラグを構築してしまった気がしないでもないが、無事に建築資材を購入してダークエルフの島に戻ってくることができた。久しぶりのフェリーの旅だったけど、結構楽しかったからまたやるのも良いだろう。財宝も手に入れたし、新しいフェリーでも買っちゃうかな?


「これをご覧ください!」


 ふんすと気合が入った様子でテーブルにノートを差し出すアンネマリー王女。よく分からないが、見ろというのなら見てみよう。


 ……ふむ、なるほど、とてもカラフルだ。


 ノートもクリス号で売っている物だし、様々な色もこの船で買った蛍光ペンを利用したんだろう。アンネマリー王女の手元を見ると、可愛らしいペンケースが置かれている。


 しっかりとクリス号の設備を使いこなしているようで、結構なことだ。


「綺麗な絵ですね。アンネマリーが描いたんですか?」


 海中に並ぶ彩り様々な建物。蛍光ペンが多用されていて派手ではあるが、建物は繊細に描かれ、色の配置もちゃんと考えているのかケバケバしい印象は受けない。


 遊園地、いや、童話に出てくる妖精の村といった雰囲気の絵だ。可愛らしくてホッコリする。かなり上手な絵だけど、アンネマリー王女が描いたのなら、素晴らしい才能だな。


「いえ、描いたのはレーアです。でも、色は私が塗ったんですよ」


 なるほど、描いたのはレーアさんだったのか。


 アンネマリー王女は優秀だから絵の才能も凄いのかと思ったんだけど、さすがにこれだけ繊細な絵を描くのは子供には難しいか。


 でも、描いたと思わせるだけの優秀さがあるだけでも凄いことだよね。


「へー。レーアさんは絵が上手だったんですね。アンネマリーの配色も素晴らしいと思います」


 僕達が建築資材を仕入れに行っている間に描いたんだろう。アンネマリー王女との合作なのも仲良しって感じで微笑ましい。


「絵は趣味なんです」


「レーアの絵はお母様も好きなんですよ。でも、このペンも凄いです。これだけ綺麗な色のインクは初めてです」


 ちょっと照れくさそうなレーアさんと、ペンケースから蛍光ペンを取り出して喜ぶアンネマリー王女。この光景も絵にしてほしいくらいに温かい雰囲気だ。


 それにしても、人魚も絵を描くんだな。紙は海水でボロボロになりそうだし、インクは海水に溶けそうなんだけど、どうやって絵を描いているんだろう。


 ちょっと面白そうだし、どんな道具を使うのか聞いてみようかな?


 いや、最初から脱線してしまったが今は荷下ろしの会議の時間だし、プライベートな質問は後回しの方が良いだろう。


 会議に参加していない人魚さん達も、準備の方針が決まり次第荷運びをする気満々だから、待たせるのも申し訳ない。


「レーア。ワタル様が褒めてくれました! 村づくりは頑張らないといけませんね」


「はい姫様。実物を見てガッカリされる訳にはまいりません。全力を尽くしましょう」


「ん?」


 なんだか不思議な会話を聞いた気がする。村づくり? 実物?


 ……まさか。


「もしかしてこの絵は、これから作る海中の村の完成予想図なんですか?」


 いやいやいや、そんな訳ないよね。だって、めちゃくちゃカラフルだもん。


「はい、そうですが?」


 アンネマリー王女が、それがどうかしましたかとでも言いたげに首を傾げる。


 いやいやいや、なんで首を傾げているの? 完成予想図って基本的にその予想図を再現するんだよね?


「この家の色も再現するんですか?」


「はい。みんなが住みたい色の家と場所でバランスを取るのに苦労しました」


 ……どうにも僕の質問の意図がアンネマリー王女に伝わっていない気がする。


 どうしたものかとアンネマリー王女の背後に控えているレーアさんの顔を見るが、普通に微笑んで立っているだけで、こちらにも僕の意図は伝わっていないようだ。


 一緒にノートをのぞき込んでいたアレシアさんも、この絵の村が出来たら素敵ねとのほほんとしていて頼りにならない。


 アレシアさんってリーダーなのに細かいことを気にしないタイプだよね。いや、リーダーはそういった器が大きいタイプの方がいいのか? 細かい部分はドロテアさんが担当だし……。


 せめて、フェリシアとドロテアさんには会議に参加してもらうべきだったな。最低でも僕の困惑は理解してくれたと思う。


「えーっと、どうやって色を付けるつもりなんですか? 僕は普通の建築資材しか購入していませんよ? 基本的に灰色ばかりです」


 石ごとに模様や色の濃淡の違いはあるが、購入した建築資材の大半が灰色なのは間違いない。どうやってカラフルにするつもりなんだ? 


 あれ? 僕、何か頼まれた建築資材を購入し忘れた?


 いや、購入してきてほしい建築資材のリストも貰ったし、間違ってはいないはずだ。だって、昨日フェリーの駐車場に積み込んだ建築資材を確認してもらった時、なんの文句も言われなかったもん。


「そういえばワタルが購入した建築資材に、色石もペンキもなかったわよね? どうやって色を付けるつもりなのかしら?」


 アレシアさん、気がつくのが遅いです。


「ああ、そういうことでしたか。申し訳ありません。説明不足でした」


 レーアさんもようやく僕の言いたいことに気がついてくれたようだ。


「色の変化は、家の外壁に根付かせた珊瑚でおこなうんです」


 珊瑚? あぁ、そういえば南の大陸で珊瑚のアクセサリーを購入したな。偶にアレシアさん達も付けてくれているし、良い買い物をしたと思う。


 そういえば、地球の珊瑚礁の写真もカラフルだった。あれだけ色があるのなら、この絵みたいにカラフルな村を作ることができるのかもしれない。


 そういうことなら納得だ。珊瑚ならわざわざ買わなくても、人魚なら自力で手に入れられるよね。


「あれ? 珊瑚は管理が難しいイメージがあるのですが、手間は大丈夫なんですか?」


 珊瑚ってたしか動物なんだよね。それに、沖縄とかグレートバリアリーフとかで、珊瑚が白くなってなんたらとか聞いた覚えがあるから、手入れが大変そうな気がする。


 でも、あれは環境破壊の影響が大きいらしいから、この世界なら大丈夫なのかな?


「たしかに深海では珊瑚は育てづらいのですが、ここなら環境が素晴らしくてしっかりと根付かせることができますので、それほど手間はかかりません」


 レーアさんの言い方だと、観葉植物の世話くらいの認識みたいだな。


 環境が破壊されてなくて人魚が管理するのなら、素晴らしい珊瑚の村が完成しそうだ。今更楽しみになってきた。


 ダークエルフの島に温泉以外の新たな名所が生まれるな。まあ、観光できるのはこの島の住人だけだけどね。


「それにしても、ずいぶんと嬉しそうに話すわね。人魚にとって珊瑚の家って特別なのかしら?」


 たしかにアレシアさんの言う通り、珊瑚のことを話すレーアさんはウキウキしているように見える。


 昨日の建築資材の確認の時もそうだったけど、村を作ることが楽しくてしょうがないみたいだ。


 見透かされたことが恥ずかしかったのか、レーアさんの頬に赤みがさす。これはこれで素晴らしいな。珊瑚の宝石にも負けない美しさだ。


「昔の、まだ人から人魚が襲われることがなかった時代には、家を珊瑚で飾って楽しんでいたと伝承が残っているんです。今の人魚にとって憧れみたいなものですね。その機会が私達に巡ってきたのも、この島に連れてきてくださったワタル様達と、迎え入れてくださったダークエルフの皆様のおかげですね。ありがとうございます」


「ど、どういたしまして?」


 レーアさんが頬を染めて黙った後を、アンネマリー王女が引き継いでくれたんだけど、幼女が笑顔でさらっと暗い話題を話すのは止めてほしい。


 なんだかいたたまれなくなる。


「ま、まあ、楽しいのは良いことよね。ね、ワタル」


「そ、そうですね。アレシアの言う通りだと思います」


 アレシアさんも自分が振った話題が暗い話に繋がって焦ったのか、妙に高い声で僕に話を振ってくる。空気を換えたいのは理解できるけど、僕を巻き込まないでほしい。


 その、なんとかしてって目はなんですか? 


 ……なんで僕がと思わないでも無いが、まあ、本題に入れば話題変更は難しくないし、ここはアレシアさんに頼りになるところを見せておこう。


 小さなことからコツコツとだよね。


「こんなに綺麗な村を作るのなら張り切らないといけませんね。荷運びも頑張りましょうか」


「そうでした。この村を作るためには、まずは荷運びでしたね」


 アンネマリー王女もこの空気を読んでくれたのか、簡単に話題の変更に乗ってくれた。助かります。


 ***


「気合入れろー!」


「「「ウイース!」」」


 人魚の男達が四人一組でごつい石材を次々にゴムボートに載せる。力を入れる度にムキっとなる力こぶがとても暑苦しい。


 人魚でも兵士で荷運びとなると、体育会系になってしまうのか。僕の押し付けでしかないが、もう少しくらい人魚のイメージを大切にしても良いと思う。ムキムキでマッスルな人魚の需要は少ないと思うよ?


 荷運びの手順を考える会議は、話題変更の後にあっさりと終わった。


 建築資材の運び出しは人魚の男性兵士が担当。ある程度の数の建築資材をゴムボートに載せると、外に移動して海にドボン。


 海中で待機している女性人魚達が、空気で物を浮かせる道具を使い、大まかに位置を調整する。


 全部の荷運びが終わったら、全員が一丸となって村を作るそうだ。とてもシンプルな作戦で、会議の必要があったのか疑問に思った。


 でも、まったく無意味だった訳でもない。


 まず、人数が少ないからダークエルフのみんなに応援を頼むことを提案したが、やっぱり迷惑は掛けられないからと断られる。


 そこで、僕が脳ミソを素晴らしく回転させ、共同で作業することで人魚とダークエルフの親交が深まると言うと、エンシェントタートルの巣穴に作る2種族の交流場所は共同で作成することになった。


 それにしても、みんなきつい肉体労働をしているのに笑顔だな。


船内の移動はゴムボートの召喚と送還で対応しているにしても、かなりきつい筋トレレベルの苦行なんだけど……まあ、それでもエンシェントタートルの骨を運ぶ時の方がきつかったから大丈夫か。


 女性陣もかなりウキウキで作業しているし、アンネマリー王女が言った通り、家を珊瑚で飾るのがかなり楽しみなのかもしれない。


 とりあえず、荷運びは今日明日には終わりそうだ。


読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 資材を小分けに乗船拒否で海にドボンで良くない?
[一言] 家づくりも楽しくやってくれそうです。 これは人魚国からも移住が増えると見た。 女王も引退して嫁ズに加わりに来るんですよ。
[一言] 男性人魚がムキムキマッチョなのはむしろ想像できる気もする リト〇マーメイドに確か人魚王出てきたよね あれ、壮年の男性人魚だけど、まぁまぁマッシヴだったような覚えがあるし あのイメージで行くと…
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