表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十三章 ダークエルフの島の発展
289/613

2話 大きな勝利

 無事にダークエルフの島に到着し、事前にアポを取らずに村長達にアンネマリー王女を紹介するという、意図しないサプライズをおこなってしまった。ちょっと焦ってはいたが、大人なダークエルフの村長さん達が呑み込んで話を進めてくれたので、無事に話し合いが終わった。


「じゃあ、出発します」


 話し合いから3日が経ったので、改めてルト号でダークエルフの島に向かう。


 まあ、この3日の間にもルト号で物資を運んだり、鉱山で採掘したインゴットを代金として貰ったりしたりと、普通に行き来をしていたから特別感は何もない。


 アンネマリー王女なんて、ダークエルフの子供達と仲良くなって一緒に遊びまわっていたからな。


 まだ受け入れの話し合いも終わっていないのに、ダークエルフの村人達は受け入れが決まったかのように家の資材を準備してくれているし、結果を聞いてないのに受け入れられる臭いがプンプンする。


 今回も一応人数は絞っているけど、別に人魚全員を連れて上陸しても問題ない気がするよね。


「ねえ、ワタルさん」


 アレシアさんが話しかけてきた。


「……何?」


「それよそれ。ワタルさん、最近私達との会話をできるだけしないようにして、話す時も名前を呼ばずに、単語だけで済まそうとしているでしょ」


 バレた! 一生懸命考えてこっそり実行していた秘策が見抜かれてしまった。


「いや、そんなに驚いた顔をしないでよ。態度がぎこちないからみんな気がついていたわよ?」


 ……ウソ……だよね?


 信頼する仲間達の顔を順番に見ると、真面目な仲間達(ドロテアさん、マリーナさん、クラレッタさん)はそっと目を逸らし、不真面目な仲間達(イネス、イルマさん)はニヤニヤしている。


 カーラさんは話を聞いていなかったようでキョトンとしている。


 カーラさんの場合は純真無垢枠で、気がついていなかった可能性もあるから判断は難しいが、他のみんなの反応を見ると僕の秘策が見抜かれていたのは確かなようだ。


「恥ずかしいのは理解できるけど、そんなにショックを受けるようなことなの? っていうか、何か話しなさいよ。顔だけで感情を表現しないでちょうだい」


 秘策第二弾も見抜かれてしまった。


「もう!」


 ちょっと怒った感じのアレシアさんが可愛い。


 呼び捨てやタメ口を意識しだしてから、アレシアさん達も前よりももっと感情を表してくれるようになった。これは素直に嬉しい。だけど、恥ずかしいものは恥ずかしいんだ。


「はぁー。まあ、敬称禁止や敬語禁止のせいでコミュニケーションが取れなくなるのは問題だから、私達で会議をして少し妥協することにしました。敬称禁止は継続で、敬語は努力目標です。ワタルさん、頑張ってね」


 妥協以前に、その会議に僕も呼んでほしかったのですが? あと、敬語禁止よりも敬称禁止の方がハードルが高いです。


「あの、敬称禁止の方を努力目標にしてもらえませんか?」  


「そっちにしようかって会議の議題にも上がったのだけど、イネスが先に名前を呼び捨てにした方が敬語も外れやすいって言うから、敬称禁止がメインになりました」


 ……奴隷がなぜかご主人様を追い詰めてきます。


「あと、私達とイネス、フェリシアの間でも敬語や敬称は無しにしましょうってことに決まったわ。フェリシアにはまだ伝えてないけど、会ったら伝えておくわね」


 えっ? 初耳なんですけど? あっ、会議に呼ばれていないから当然か。疎外感が凄いです。


「ご主人様。頑張らないとご主人様だけ堅苦しくて浮くことになるわよ」


 奴隷が嬉々としてご主人様を追い詰めてきます。僕はどこで間違ったのでしょうか?


「えーっと、イネス。僕としてはね、イネスが楽しんで生活してくれているのは嬉しいんだけど、こう、なんていうか、一応奴隷の立場なんだから、決め事や会議のこととか、僕に報告なんかしてくれると嬉しかったりするんだけど?」


 ほうれんそう。


 報告。連絡。相談。は、ビジネスだけじゃなくて奴隷にも当てはまると思うんだ。


「ご主人様の言いたいことは理解できるけど、言ったら会議でなんとかして敬称禁止や敬語禁止を撤廃させようとするでしょ? 私はご主人様の奴隷。だからこそ、ご主人様の為になることなら報告を握りつぶしたりするわ。たとえそれで罰を受けようとも受け入れる覚悟よ」


 イネスがキリッと、良い話風に話をまとめてしまった。


 こういう風に話をまとめられると、ご主人様への報告を握りつぶしちゃ駄目っていう、当たり前のことにすら反論し辛くなる。これだからイネスは質が悪い。


 罰を受ける覚悟って言うけど、どうせHな罰だって読み切られているんだろうな。


 図星だと言いたいけど、なんだか女性陣の団結が強くなっている気がするから、ここで引いたら後々怖いことになりそうな気がする。


 僕の為を思ってっていう気持ちが無いとは言わないが、たぶん8割くらいは面白そうだって気持ちだと思う。


 罰も、今までは禁酒やギャンブルの短期間禁止、Hな罰だったから、イネスも油断しているんだろうな。


 ここらへんでご主人様を怒らせると危険なこともあると認識してもらうことにしよう。


「イネスの気持ちはとても嬉しい。でも、報告は握りつぶされたら困るから、1週間くらいの罰を与えようと思う。ごめんね」


「うふふ。ご主人様の為だもの。構わないわ」


 イネスはまだまだ余裕があるようだ。だが、次の言葉でその余裕も崩れ去ることになるだろう。覚悟するがいい。


「じゃあ、半年後になるけど、ベラさん達をキャッスル号に連れていく時に、ベラさんからの再教育を1週間受けること。これをイネスの罰とします。親孝行にもなるし一石二鳥だよね」


 必殺のお母さんに言いつけてやる攻撃。油断していたイネスの瞳が驚愕で見開いている。


 ふはは。今までの僕と同じにしてもらっては困る。


 僕はアクアマリン王国でイネスに対する最強のカードを手に入れたのだよ。そう、イネスのお母さんの雇い主という立場をだ!


「ちょ、ちょっと、ねえ、ご主人様。冗談よね?」


 イネスが慌てている。


 勝った。勝利だ。文句なしの僕の勝利だ。


 ふふ。この勝利は人類にとって小さな勝利でしかないが、僕にとっては大きな勝利だ。


 僕が祝日を制定できるのなら、ワタルの勝利の日って祝日にしたいくらいに嬉しい。 


「本気です」


 罰を認識して震えるイネスに、ご主人様の威厳をもってキッパリと答える。


 フェリシアは大丈夫だと思うけど、このまま女性陣の団結をそのままにしておくのは不味い。だからこそ、ここで強力な楔を打ち込ませてもらいます。


「い、いやよ。ご主人様、なんでもするからそれだけは許して」


 おうふ。普段はひょうひょうとしたイネスが、顔を蒼ざめさせてすがりついてくる。しかも、手までブルブル震えている。


 本気で怖がっているようだ。


 ……強力なカードを手に入れたけど、そのカードが強力過ぎたかもしれない。


 このカードは簡単に使っていいカードじゃないな。気軽にこのカードを使うと、イネスとの悪くない関係が壊れてしまいそうだ。


「……反省してる?」


「反省してるわ! もう海よりも深く反省してるわ!」


 すごい勢いでイネスが反省している。


 そこまで嫌なの……嫌だろうな。前回の再教育の時には死にそうになっていたもん。


「じゃあ、今回は許してあげるよ。でも、何かある時はちゃんと報告すること。いい?」


「分かったわ」


 首をがくがくと縦に振るイネス。


 ベラさんを使った脅しになっちゃったけど、まあ、楔は打ち込めたと思うからOKってことにしておこう。


「ふふ。ねえ、ワタルさん。イネスとは普通に話せているわよね? フェリシア相手でも普通に話しているわ。なんで私達だと無理なのかしら? イネスは照れているだけだって言うけど、ずっと一緒に居るんだし、ワタルさんが雇い主でもあるんだから敬称も敬語もいらないのよ?」


 あっ、その話、終わってなかったんだ。


 その普通に話せているはずのイネスは今、罰を逃れた安堵でへたり込んでいるけどね。


 普通にスルーするあたり、アレシアさんも良い性格をしている。


 リムとか優しいから、へたり込んだイネスの膝に乗って癒しをプレゼントしてるよ?


「えーっと……イネスとフェリシアは初日で敬語も敬称も無しって話になりましたから、最初はちょっと照れましたけど、平気になりました。アレシアさん達は、最初に守ってもらいましたし、敬語も敬称も当然の認識になっていて、今更変えるのはとても照れくさいです」


 普通の男友達や女友達なら途中で変えるのも問題ないんだけど、アレシアさんクラスの美女が相手だと、違う世界の生き物な気がしてヘタレな僕はビビってしまう。


「なら大丈夫ね。呼んでいればすぐに慣れるわ。じゃあ呼んでみて」


「へ?」


「だから私の名前を呼ぶの」


 ……アレシアさん達だけじゃなくて、アンネマリー王女やレーアさん、護衛の人魚さんも居るんですが、なんの罰ゲームですか?


「さあ早く!」


「……ア、アレシア」


「もう一回!」


「……アレシア」


「……なんだか照れくさいわね」


 頬を赤らめるアレシアさん。じゃあやらせないでほしい。


「次はドロテアね」


 この地獄はまだ終わらないらしい。


 ***


 ダークエルフの島に到着し丘の上の村に行くが……今の僕の精神は死んでいると自信をもって言える。


 アレシアさん達だけじゃなくて、アンネマリー王女やレーアさんまで呼び捨てにしちゃった。国際問題の可能性とか気にしてほしい。


 ゲッソリとしたまま村に入ると村の中はかなり騒がしく、村人達が忙しそうに動き回っている。


「あっ、ワタルさん。この騒ぎですか? せっかくなので人魚さん達の歓迎のお祭りをしようってことになったんです。その準備ですね」


 第一村人に話を聞くと、笑顔でこんな言葉が返ってきた。


 村長さんに話を聞く前に分かった。


 人魚達の移住は、なんの問題もなく受け入れられたんだろう。


 最初からほとんど問題は無いと思っていたけど、お祭りまで開いてくれる大歓迎なら、ダークエルフ達と人魚さん達の関係は上手くいきそうだな。


読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「僕が女性を呼び捨てにする条件は基本的に恋人だけです。なので皆さんを呼び捨てにする=僕の恋人ってことになるからです。」と言って欲しかったな。 そしてアレシアさん達全員から「じゃあさん付けでいいわ。」…
[良い点] やっとジラソーレとの仲も進んだかな [一言] 10章の削除の時に一旦読むのやめて最近また1から読み始めたけどやっぱり削除前と削除後の話で違和感を感じます 9章まではしっかりジラソーレを攻略…
[良い点] おお! ようやくジラソーレとの仲が進展しましたね♪ 幻の10章(私が命名)の再現とはならず、安堵しました♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ