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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十二章 人魚の国
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17話 値千金?

 謁見の後も色々とあったが、少しだけ他の人に迷惑を掛けつつやり過ごせた。その後、無事に人魚の国に行くために海に出て、アンネマリー王女と合流することができた。いよいよ人魚の国に出発だと思っていたが、その前に素晴らしくも悩ましい難問が表れてしまった。


「みなさんはどうします?」


 僕が選ぶのが普通に海中に適応できる神器なのは決定だけど、それは今は言わない。僕の選択に引っ張られて同じ神器を選ばれたら最悪だ。


 まあ、イネスとフェリシアは人魚に変化するのは確定だけどね。嫌だと言ってもご主人様として、土下座してでも人魚に変化してもらうつもりだ。


「んー、人魚に変化するのは面白そうよね」


「でも、人魚に変化してすぐに問題なく行動できるようになるのかしら? 海中だから行動が制限されるのはしょうがないにしても、ワタルさんの護衛として戦えなくなるのは困るわ」


 好奇心が強いアリシアさんは人魚に変化するのに乗り気なようだけど、冷静なドロテアさんが不安を覚えているようだ。余計な事を考えないでと言いたくなるけど、僕の護衛の為の心配だから何も言えない。困った。


「問題ありません。神器を身に着けると、自然にどう動けばいいか分かるようになります。私達が人に変化してすぐに歩けるのと同じですね」


 ドロテアさんの疑問にレーアさんが素晴らしい情報を教えてくれた。この美女人魚さん、アンネマリー王女の補助だけあってとても優秀だな。


「なるほど、人の足に変化したら普通はすぐに歩けませんよね。さすが海神様の神器です。そうなると、海の中で素早く動けそうな人魚に変化する神器の方が良さそうではありますね」


 レーアさんの意見に乗っかって、不自然にならないように人魚形態を褒めておく。


「そうね、万が一何かが起こった場合、素早く避難してもらうためにも、ワタルさんは人魚に変化する神器の方が良さそうね」


 おっと、余計な事を言ってしまったようで、アレシアさんが厄介な結論を出してしまった。この状況から意見を覆せるのか?


「そうなると、ワタルさんと行動を共にする私達も人魚に変化する神器を選んだ方がいいわね」


 いやん、ドロテアさんが結論を出してしまった。あれ? これって決定事項? このままだと、女性陣全員の人魚姿は見ることができるけど、僕も人魚になっちゃうよ?


 うーん、でも僕が拒否したら、ジラソーレの何人かは僕と同じ姿を選びそうな気がする。それはそれでもったいないよな。


 ……まあ、僕の人魚姿は僕には見えないんだから問題ないか。そんなことよりも女性陣全員の人魚姿の方が大切だ。


『……りむは?……』


 予想していないところから予想していない質問が飛んできた。アンネマリー王女と戯れながらも、しっかり話は聞いていたらしい。


 ペントはアンネマリー王女に巻き付いたまま無反応だけど、まあ、ペントは海中で息ができるもんね。


「あー、リムは水中で息ができないよね?」


 あれ? そもそもリムって息をしているの? お風呂の時は……プカプカ浮かんでいてお湯に潜ったりはしていなかったよな。


『……できない……』


 できないってことはスライムでも空気は必要ってことらしい。


「えーっと、レーアさん……スライムは神器を使えるのでしょうか?」


「は?」 


 そうだよね。こんな質問をされたら、ハトが豆鉄砲をくらったような顔になるのもしょうがないよね。ハトが豆鉄砲をくらう顔ってどんな顔だよって思っていたけど、異世界で正解を見るとは思わなかったよ。


「あの、僕達の仲間には従魔のスライムがいるんです」


 レーアさんはアンネマリー王女の方を見た後、ドロテアさんとマリーナさんの頭の上を確認した。リム達の姿を確認したんだろう。


「……申し訳ありません。私では判断がつきかねます」


 レーアさんに深々と頭を下げられて謝られてしまった。どちらかと言うと無茶を言っているのはこちらなので、とても申し訳ない。


 とはいえ、どうしたものか。今からクリス号を召喚して海神様に聞きに行くのはありなのか? さすがに神様を便利使いしすぎな気もする。


「アレシアさん、スライムって神器は使えるんでしょうか?」


「イルマ、どうなの?」


 僕の質問がそのままイルマさんに回された。公爵城で手に入れた資料も研究していたし、こういう話題はイルマさんの担当なようだ。


「そうね、従魔が魔道具を使うのは聞いたことがあるんだけど……神器は聞いたことが無いわね」


 悩むイルマさんも色っぽくて素敵なんだけど、神器を使うスライムについては知らなかったようだ。まあ、当たり前だよね。


『……ちょうせん……』


「あっ、リム!」


 どうしたものかと悩んでいると、リムが神器の入った箱にジャンプして神器を体内に収めてしまった。リム、アグレッシブが過ぎるよ。


「リ、リム。大丈夫? 痛くない? ペッてしなさい!」


『……へいき……』


 あたふたする僕に対して、リムがのんびりとした思念を飛ばしてくる。大丈夫なようだ。


「リム、神器は使えているの?」


『……わかんない……』


「そっか、分かんないのか」


 とても可愛らしいんだけど、不安になる思念が飛んできた。


「レーアさん。リムが取り込んだ神器はどちらの神器ですか?」


 人魚に変化する方の神器なら、使用できていたらリムが人魚に変化しているはずだよね? リムが人魚とか、激プリティーなのは間違いないけど、人魚に変化していない様子だから、人魚変化の神器を取り込んでいれば、神器が稼働していないことになる。


「えー……こちら側の神器は、人魚に変化しない方の神器ですね」


 なるほど、今のままだと判断がつかないってことになるな。こうなったら試してみるしかないだろう。デッキに出てバケツに海水を汲んでこよう。   



「リム。このバケツの中に入って、息ができるかどうか確認してみて」


『……うん……』


 全員が見守る中、モッチモッチとバケツを登るリム。飛び跳ねれば一発で中に入れるのに、わざわざモッチモッチするのは、飛び込んで海水をまき散らさないためだよね。リム、最高に良い子だ。


 ぽちょんとバケツに入ったリムが、プカプカしたままプルプルしている。


「えーっと、リム、どうしたの?」


『……しずまない……』


 とても悲しそうな思念が飛んできた。リムは沈まないらしい。


『……おして……』


 えっ? 僕が押してリムを海水の中に沈めるの? そんな残酷な事は僕にはできないよ。


『はやく!』


 普段はのんびりしているリムから、ワクワクが止まらない感じの思念が飛んできた。うーん、リムにお願いされてしまったら……僕には逆らえない。


「……じゃ、じゃあ、僕が上からリムを押すね。苦しくなったらすぐに思念を飛ばしてね」


 ヤバい、手が震える。もう、リムはお留守番ってことにしたいけど、たぶん納得してくれないだろうな。


 ドキドキしながらリムのモッチりした体を押し込む。意外と強い抵抗を感じて心配になりすぐに手を離すと、ポコンと浮かび上がってきた。


「リム、どうだった?」


『……もういっかい……』


「えっ、もう一回?」


『うん』


 僕は押すのが怖いんだけど、リムは問題ないようだ。離すのが早すぎたのなら、確かめるためにもう一回押さないと駄目……だよね。


 今度は途中で離さないように覚悟を決めて、リムを沈める。



 …………もうそろそろ良いよね? 手を離すと、再びリムがポコンと浮かび上がってくる。


「リム、どうだった?」


『……へいきだった……』


「息ができたってこと?」


『……うん……』


 おぉ、スライムでも神器が使えるんだ。心配だったけど、試してみて良かった。


「とりあえず、リムも問題ないようなので、神器を選んで出発しましょうか」


 心配事が無くなったなら、あとは女性陣の人魚姿を堪能するだけだ。


 ***


「可愛らしいですね」


「うん。すごく可愛い」


 ドロテアさんとマリーナさんが並んでうっとりしている。そして、僕も一緒にうっとりしている。


 何あれ、鼻血が出そうな可愛らしさなんですけど……。


 リム、ふうちゃん、べにちゃんが並んでいる姿は当然可愛い。だが、いつも一緒に居た僕達にとっては見慣れた光景でもある。そんな僕達が魅入られている原因は、リム達のお尻だ。


 丸っこい体からピョコンと生えた、小さくて可愛らしいお魚の尻尾。


 人魚のように下半身が魚になるんじゃなくて、リム達の可愛らしいフォルムを崩さずにシッポだけを生やす神器に、海神様の素晴らしいセンスを感じる。


 なんだあれ、リム、ふうちゃん、べにちゃんが船縁で並んでシッポをピルピル振るなんて、萌えるに決まっているじゃないか。


 リムが人魚に変化する方の神器も試したいって言うからかなり渋ったけど、許可を出して良かった。この光景は値千金の価値、いや万金、万々金の価値があるぞ。




「ワタルさん、ドロテア、マリーナ、そろそろ出発するわよ」


 ん? なんで海からアレシアさんの声が?


 あれ? なんで僕とドロテアさんとマリーナさん以外のメンバーが泳いでいるの?


「ご主人様、凄いわよ! 見て!」


 スイスイと泳ぎだしたイネスが、バシャンとイルカのようにジャンプした。その姿は太陽の光をキラキラと反射する人魚の姿で……見逃した?


 もしかしてリム達に見惚れている間に、イネス達が人魚に変化する姿を見逃した?


 フェリシアのもアレシアさんのもイルマさんのもカーラさんのもクラレッタさんのも?


「に、人魚に変化するのであれば、できれば一声掛けて頂きたかったのですが?」


 ちょっと僕、怒っちゃっているよ? 激おこでプンプンだよ!


「何度も声を掛けたわよ。でもワタルさん達がリムちゃん達に見とれて動かないから、先に試したの。ふふ、この神器、とっても楽しいからワタルさんも早く海に入るといいわ」


 何度も声を掛けられていたらしい。そういうことなら僕が怒るのは筋違いってことになる。残念だけどこの怒りと悔しさは自分にぶつけよう。そして、ドロテアさんとマリーナさんの変化シーンだけでも目に焼き付けるんだ。


「僕は最後で良いので、ドロテアさんとマリーナさんからどうぞ」


 じっくりと観察するために順番を譲る。あれ? まだ変化していないのに、なんで海に入るの?


 ……あっ、そうか。船上で人魚に変化したら、移動がしづらいもんね。


 えっ、もう変化が終わったの?


 あはは、船上からだとほとんど見えないね。先に変化して海から観察するべきだった。畜生……。


読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 少し前からリムが話す時前後に「……」がつくようになっている レベルが上がり不要になっているはず 違和感がすごい
[気になる点] 〉好奇心が強いイネスさんは人魚に変化するのに乗り気なようだけど、 アレシアかな?
[一言] > リム、ふうちゃん、べにちゃんが並んでいる姿は当然可愛い。だが、いつも一緒に居た僕達にとっては見慣れた光景でもある。そんな僕達が魅入られている原因は、ベル達のお尻だ。 ×ベル達のお尻だ …
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