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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十二章 人魚の国
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16話 ぱーどぅん?

 パレードで僕はなんちゃっての英雄になり、財宝の献上で謁見してアクアマリン王国東部の未開地を開発する許可を得た。利益的には問題は無かったが、精神的には大幅マイナスの謁見で辛かったけど、商売の神様との約束を果たすきっかけになりそうだから、トータルではプラスだと自分を慰めたい。


「自由だー」


 どこまでも透き通るような青い海の上で、僕は大空に向かって魂からの叫びを上げた。


 日本に居た頃の僕はたいして海に興味がなかったけど、この世界での海への関わりの深さから、立派な海の男になったのかもしれない。ルト号から海を見ていると、とても落ち着く。


「ふふ。大変だったものね」


 僕の魂の叫びを隣で聞いていたイネスが、笑いながらも同情のこもった言葉をくれる。


「うん。大変だった。しばらくアクアマリン王国には近づかないから、そのつもりでお願いね」


 謁見のあとに子爵と会って、ブチブチ文句を言いつつもブレシア王国の豪華客船について説明した。それと一緒に豪華客船の美容セットなんかも渡した。


 子爵との話し合いが終わると、アクアマリン王国の貴族から面会の申し込みが殺到。謁見で緊張して寝込んだことにしてもらって、面会をなんとか回避。


 晩餐の席では、献上した美容セットのことで王妃様とお姫様に褒められた。化粧品も気に入ったようだけど、お風呂セットが衝撃的だったらしい。


 王妃様とかお姫様に褒められるのは、男としては光栄な事だよね。キャッスル号への紹介状を書かされることになったけど……本当に疲れたな。


 晩餐の料理は、まあ、まあまあだった。食材とコックは一流だったんだろうけど、調味料の多彩さで豪華客船の方に軍配が上がった感じだ。


「でも、私の家族とフローラを迎えには行くのよね? まあ、私としては放置でも構わないのだけど……」


 イネスは未だにベラさんと会う回数が増えそうなのが嫌なようだ。クリス号でだいぶ関係は修復できたはずなんだけど、まだ苦手意識の方が強いらしい。自業自得だよね。


「約束だから迎えには行くよ。そのころには王都も落ち着いているはずだから、大丈夫なはず……だよね?」


 人の噂も75日。謁見の次の日に冒険者ギルドに行った時は大騒ぎだったけど、半年後なら大丈夫なはずだ。


 もう、英雄だなんだと純粋に称えられたり、どうにかこうにか僕を誉めそやして財宝を騙し取ろうとされたりするのはごめんだ。


 騙そうとする奴は拒否すればいいから簡単だったけど、純粋に尊敬の目で見られるのはなんだか申し訳なくて辛かった。日本に居た頃は平凡だったから、尊敬の目が辛いってことは初めて知った事実だ。


「うーん……その場は落ち着いても、ご主人様が戻ってきたら再燃するんじゃない? そういえば未開地の開発はどうするの? フローラに色々と頼んでいたみたいだけど、商売の神様の許可が必要だって言ってなかった?」


 ……再燃は勘弁してほしいな。半年後にアクアマリン王国に行く時は、コッソリと行ってササっと退散できるように予定を組もう。


「商売の神様に許可をもらうための先行調査だから大丈夫だよ。駄目でも自分の資金から費用を出すことにするから、怒られることは無いよ」


 未開地の開発のために冒険者ギルドに調査のお仕事を発注した。地形の把握から魔物の間引きまでお願いしたから、調査と言っていいのか疑問ではあるが、たぶん大丈夫だと思う。


 調査報酬を割高にして、白金貨を大量に預けてきたから、経費と認められたら商売の神様との約束が一歩前進するよね。


 その時にフローラさんに開発の責任者にならないかって頼んだら、真顔で拒否されたのが怖かった。


 未開地の開発の責任者をどうするのかが今後の課題だ。カルロさんやダリオ君にお願いするのも手だけど、家族がバラバラになるからベラさんを敵に回す可能性が怖い。


 僕が何かをされた訳じゃないけどイネスの怯えようを見ているから、あの人は敵に回したら駄目だって勝手に心に刻まれている。


 責任者は、押し付けられそうな人が見つかったら、その人に押し付けるしかないな。ダークエルフの島の村長みたいな人に出会えることを祈ろう。


「怒られないのなら問題は無いわね。ご主人様は気軽に神様に会えるから分からないかもしれないけど、怒らせたら怖い存在なんだから、細心の注意を払うのよ」


 普段適当なイネスに真顔で忠告された。イネスでも、神様という存在は恐怖の対象なんだな。


「大丈夫。実際に会えるからこそ、神様の怖さは身に染みているよ」


 だいたい、こちらが細心の注意を払っているのに、勝手に別のことに怒って喧嘩して僕を巻き込んでくる存在だ。調子に乗る気持ちなんて微塵も起こらない。


 Hな部分が少しだけ暴走気味な気もするけど、それ以外は細心の注意と、大きな敬意を払って行動している。僕は絶対に光の神様の逆鱗には触れない。創造神様がどうしようもないから、光の神様が僕の命綱だ。


「ご主人様。あちらにいらっしゃるのは、アンネマリー王女ではありませんか?」


 光の神様への信仰を強固にしていると、穏やかに微笑みながら話を聞いていたフェリシアがアンネマリー王女の発見を知らせてきた。


「たしかに待ち合わせの海域に近いけど、僕には見えないな」


 フェリシアが指をさす方向を確認しても何も見えない。僕とフェリシアでは視力がかなり違うようだ。


 フェリシアの指示に従ってルト号を進ませると、しばらくしてアンネマリー王女の姿が僕にも発見できた。ダークエルフの視力、半端ないな。



 アンネマリー王女を発見して船を寄せると、アンネマリー王女と美女人魚さんのレーアさんが近づいてきたので慌てて乗船許可を出す。


 しばらくすると、神器で人間に変化した2人が船に上がってきた。


「お待たせして申し訳ありません」


 約束の時間にはまだ余裕があったけど、王女様を待たせてしまったので頭を下げる。女性を待たせるのは男として駄目な行為らしいし、王女様を待たせるのはもっと駄目な行為だろう。外交問題に発展したりしないよね?


「いえ、お約束の時間にはまだ十分な時間があります。こちらが早く来すぎただけなので気にしないでください。キャッ!」


 アンネマリー王女が笑って許してくれた。ロリっ子な人魚姫様はとてもできたお方だ。そのできたお方に、僕の従魔達が飛びついた。


 僕の頭の上に居たリムがポヨンとアンネマリー王女の胸元にダイブし、ペントはスルスルとアンネマリー王女に近づいて巻き付く。


「えーっと……本当に申し訳ありません」


 目が合ったレーアさんに謝る。うーん、今までリム達はノビノビとしていればいいって思っていたけど、少しは礼儀作法を教えるべきか?


 リムとペントは仲良くなったけど、その間を取り持ってくれたアンネマリー王女とも、とても仲良くなった。そのこと自体はとても素晴らしいことだ。


 でも、さすがに公の場で王女様に飛びついちゃうのはまずいよね?


「いえ、姫様もお友達に会えて喜んでいますので、お気になさらないでください」


「ありがとうございます」


 たしかにアンネマリー王女はキャッキャとリム達と戯れている。今回は問題にならなかったが、リム達にはパブリックな時とプライベートな時の違いを教えておこう。


「ワタル様。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」


 リム達の教育について考えていると、リムを抱っこしてペントに巻き付かれたアンネマリー王女が僕に話しかけてきた。


「いえ、こちらこそリムとペントがご迷惑をお掛けして申し訳ありません」


「そんなことありません。私もリム様とペント様と会えて嬉しいです。迷惑なんかじゃありません!」


 強めに反論された。アンネマリー王女にとって、リムとペントは大切な存在になっているようだ。


 レーアさんも苦笑い気味だけど認めてくれているようだし、この場は流す方が正解なようだ。


「そうでしたか。リムとペントと仲良くしてくれて、ありがとうございます」


 僕がお礼を言うと、嬉しそうにリムとペント抱きしめて笑うアンネマリー王女。


 スライムとウミヘビとロリっ子人魚の組み合わせ……言葉にするととても倒錯的なのに、目の前の光景はとても微笑ましい。なんだか癒される。


「あっ、そうでした。ワタル様、本日は人魚の国のために、ご足労頂きありがとうございます」


 癒される光景を見ていると、ハッとした顔をしたアンネマリー王女が真面目な顔でお礼を言ってきた。


 たぶん、王女として立派にお勤めを果たすつもりだったんだろうけど、リムとペントにペースを乱されちゃったんだろう。なんだかとても申し訳ない。


 真面目な顔をしてもリムを抱っこしてペントに巻き付かれているので、まったく様になっていないところが更に申し訳ない。


 ……なし崩し的に気楽にいきたい気分だけど、真面目に頑張ろうとしているアンネマリー王女に、気楽にってのも違うよね。真面目に対応をしよう。




「……それで、僕達が人魚の国に行くための神器があるそうですが、どうすればいいですか?」


 なんとか真面目に挨拶を終え、アンネマリー王女とレーアさんを船内に招き入れて、お茶をしながら話を聞く。


 隣に座っているアレシアさんも人魚の国と神器について興味津々なので、少しソワソワしている。


「あっ、はい。そうでした。レーア」


「かしこまりました」


 お茶を飲んでいたアンネマリー王女が少し慌て気味にレーアさんに呼びかけると、レーアさんが厳重に封印された箱を取り出し、テーブルの上に置いた。この中に神器が入っているようだ。


 アンネマリー王女がはめている指輪を箱に押し当てると、ひとりでに箱が開いていく。指輪がカギになっているのか。ちょっとカッコいいな。


「このアクセサリーが海神様から授かった神器です。人魚に変化する神器と、人間の姿のまま海中で行動できるようになる神器がありますので、お好きな方をお選びください」


「……ぱーどぅん?」


「えっ、なんですか?」


「いえ、なんでもありません」


 ……人魚に変化って聞いていませんよ? どういうことですか? あれ? イネス達とアレシアさん達の人魚な姿が見られるってこと? もしかして僕も人魚になるべきですか?


 いや、少し混乱してしまった。さすがに僕の人魚姿はキモイ。えーっと、なんとかみんなには人魚に変化する神器を選んでもらって、僕は普通の神器を選ぶべきだな。


 とりあえず、海神様の人魚達への甘やかしが半端ないことは理解した。


comicブースト様にて、『精霊達の楽園と理想の異世界生活』のコミックス19話が公開中です。

今回は裕太も活躍していますので、よろしくお願いいたします。


読んでくださってありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎回、前話の要約が入るのがいいね。読みやすい
[気になる点] >ダークエルフの視力、半端ないな。 異常なほど高い視力を持つサバンナの遊牧民も 都会で生活するとちょっと良い程度の視力に下がるらしい。 一緒に生活してだいぶ経つのにフェリシアの視力が落…
[気になる点] イネスが指をさす方向を確認しても何も見えない。僕とイネスでは視力がかなり違うようだ。 イネスの指示に従ってルト号を進ませると、 上全部フェリシアでは? [一言] スライムとウミヘビと…
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