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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第二章 モーターボートで荒稼ぎ!!
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9話 テント筏とサーベルタイガー

 朝、ぱっちり目が覚める。この世界にきて完全に朝方生活に体が順応したな。6時には出発なんだし、早めに準備しよう。身支度を整えて朝食を食べ、護衛の2人と係留所に向かう。少し早いからアレシアさん達はまだきてないみたいだな。


 届けられていた筏を海に浮かべて和船に結びつける。うん、結構大きい……曳いていけるか? 駄目だったら何回かに分けて運べばいいか。碇とロープを船に積み込む。


 ディーノさんとエンリコさんの護衛依頼書に、日数とサインを書き込む。これをギルドに提出すれば、口座から引かれる仕組みだそうだ。


 しばらくするとジラソーレのメンバーがやってきた。朝が早いのに、フル装備でキリっとした美人集団だな。なんかこの人達の側にいると自分の場違い感がハンパない。


「みなさんおはようございます。またよろしくお願いします」


「「おはようございます」」


 元気に挨拶してくれるアレシアさん達。美人で強いのに礼儀正しい。好感度が高いのも理解できるな。


「いつでも出発できますので、準備ができたら言ってください。あと、船で木材を曳いて行くので到着が少し遅くなるかもしれません」


「少しくらいなら問題ないわ。準備はできてるからもう出発しましょうか」


 怒られないとは思ってたけど、普通に木材を運ぶのを受け入れてくれた。


「分かりました。では、みなさん船に乗ってください。出航します」


 ディーノさんとエンリコさんに手を振って出航する。


 うん、筏を曳いても十分に進めるな。しばらく操船しているとアレシアさんが話しかけてきた。


「ワタルさん魔導船の運搬量が、他の魔導船の5倍もあるって聞きましたよ。すごいですね」


「あはは、アレシアさんから話を聞いて、僕も興味があったので、商業ギルドに調べてもらったんです。そうしたら運搬量が5倍もあって、サーベルタイガーの亜種をジラソーレのみなさんに頼もうと、話が進んでいきました。島から戻ったばかりなのに申し訳ありません」


「いいんですよ。島の依頼は資金が稼げますし、今回は特別にサーベルタイガーの亜種も上乗せして買い取ってくれるそうなんです。みんな張り切ってますよ。ところであの木材は何に使うんですか?」


「あれですか。実験なので上手く行くか分からないんですが。あの木材で湾内に筏を組んで、大きなテントを張ってみようかと思っています。ずっと魔導船の中だと気が滅入りますしね」


「あら、上手く行ったら素敵ですね」


 アレシアさんが興味深げに褒めてくれる。テントだけど水上コテージって感じになる予定だからな。たしかに上手くいったら素敵な感じになるはずだ。


「ええ、成功したらみなさんも使ってください。ずっと島の中だと大変ですからね」


「私達も使っていいんですか? 助かりますけど、ご迷惑では?」


「全然大丈夫ですよ。昼間にのんびりしたいから、筏を作るんです。寝る時は魔導船でも十分な広さですから、疲れたらどんどん利用してください。まあ、上手く行ったらの話ですけどね」


「ふふ、そうですね。でもぜひ成功させて頂きたいです」


「ははは、頑張ってみます」


 結構期待させちゃったみたいだし、失敗したら気まずいな。ちょっと不安になってきた。


「あの、ワタルさん私からもいいですか?」


「はい、クラレッタさん、なんですか?」


「ワタルさんから教えてもらった、鳥の骨のスープをさっそく試してみたんです。普段よりは美味しいスープが完成したんですが、なんだか味に深みがないんです。残りの隠し味を教えてもらえませんか?」


 そういえばスープの作り方が途中で中断してたな。


「そうでしたね。遅くなってすいません。この前はなかったんですが、この長ネギの青い部分を一緒に煮込むといいそうです。それで味に深みを持たせたのは、おそらくですがこの昆布だと思います」


「長ネギと、この乾燥した板のような物ですか?」


「はい、僕の故郷では重要な味の決め手として使われてたんです。ちょうど南東の島で発見したんですが、効果はあったようですね。それで、この昆布を水につけておいておくと、味に深みを与える水になるんです。お湯に入れてもいいんですが、沸騰してしまうと味にエグ味が出るそうなので注意してください。お分けしますので使ってみてくださいね」


 この世界に昆布出汁が広まって好みの料理が増えたら、かなり嬉しい。


「いいんですか? 貴重な物なんじゃ?」


「いえいえ、海の中に生えてる海藻です。湾内にも結構生えてるので全然問題ないですよ。海藻を取って砂浜で干すだけで簡単にできますしね」


「ありがとうございます。試してみますね」


 嬉しそうにお礼を言ってくれるクラレッタさん。タダで手に入るもので美人の好感度が上がるのなら、かなりラッキーだよね。でも、今は好感度を稼いでも、アレシアさん達のファンが怖いから逆に辛い。のんびり雑談していると、難所に差しかかった。


「このまま難所に突入します。危なくなったら木材はすぐに切り離しますので、安心してください」


「分かりました」


 アレシアさん達に説明したあと、慎重に船を進める。木材が渦に引き込まれそうになった時は焦ったが、何とか島まで無事に木材を運べた。


「お疲れ様でした。なんとか無事到着できました。紅茶を淹れますので休憩なさいませんか?」


「ありがとう。頂きます」


 アレシアさんが承諾してくれたので、紅茶を淹れて、休憩する。


「ふう、美味しいわ。ありがとう、ワタルさん。今回は5日間の予定だけど、サーベルタイガーの亜種を狩れたら先に運んでくるから、テントができていたら休ませてもらえる?」


 テントの設置か……そこまで時間がかかりそうにないし、アクシデントがなければ問題ないだろう。


「ええ、大丈夫ですよ。まあ、失敗してたら困るので、そこまで期待しないでくださいね」


「ふふ、楽しみにしているわ。じゃあ、いってくるわね」


 期待しないでって言ったら、期待しているって言葉が返ってきた。あれ? 会話のキャッチボールが上手くいってないのか? それとも軽いプレッシャーをかけられたのかな?


 まあいいか。ジラソーレを見送り周りを確認する。……今日はグイドさん達はいないみたいだな。ちょっと寂しい。筏を組む前に鶏がらスープの準備をしておくか。鳥の骨と長ネギを鍋に入れて、炭火にかけて煮込む。


 さて、筏を組もう。アレシアさんが楽しみにしてるって言ってたもんな。単純で悲しいが、やる気が出てくる。和船から木材を取り外し、番号が書かれている箇所を合わせて組み込んでいく。大きなパズルみたいな感じだな。番号がふってあるので、簡単すぎる。


 しかし、日本にいた時は、こんな大きな木材を持ち上げるとか、確実にできなかった。レベルアップの効果ってすごいよな。力も体力も段違いだ。


 なんとか日が暮れる前に筏を組み上げ、穴が開いている部分にロープを通して、しっかりと固定する。太いロープに碇を結び付けて海に落として筏は完成だな。暗くなったしテントは明日にしよう。


 和船に戻り鍋の灰汁を取りながら、パンと干し肉を炭火であぶる。手抜きだけど疲れたし今日はこれでいいか。晩御飯を食べてさっさと寝よう。あっ、明日の為に昆布は水につけておいた方がいいな。


 ***


 早く寝たので、夜明け前に目が覚めた。身支度を整え鍋を炭火に戻し、昨晩と同じ手抜きの朝食を食べる。日が昇ったしさっそくテントを張るか。


 まずは、水が筏に上がってこないように、防水シートの様な魔獣の革を筏全体に敷く。金具の部分に穴を開けて、金具にロープで固定しながらテントを張る……できた。大きいから骨組みも丈夫だし、筏とテントもしっかりと固定できてるな。


 試さないと何とも言えないが、雰囲気的には成功しそうな気がする。テントの外にもスペースがあるから、テーブルと椅子を置けば海の上のオープンテラスになりそうだな。次に買ってくるか。


 オシャレな島生活。海の上のオープンテラスで優雅にお紅茶……建物がテントだけどギリギリ優雅な感じかも?


 和船を筏の横に着けて、テントで使う荷物を下す。炭火を入れた鍋はテントに入れるか? 寒いわけでもないしテントの外に置いておくか。あとは鍋も固定できるようにしたいな。


 テントの中に毛布を敷いて食器を置く。うーん、食料なんかはもしもの為に和船に積んでおこう。テントの準備もできたし、鶏がらスープもいい感じだ。鍋に取り分けて野菜スープを作ろう。野菜の下拵えを済ませて、昆布水と干し肉を入れて炭火にかける。


 さて、準備は終わったし、訓練をしてスライムと遊ぼう。今日から広いスペースだから、思う存分戯れられるぞ。


 訓練を終えて昼食をサクッと済ませてスライムを探しにいく。素早くブルースライムを発見し、確保する。もう一匹いないかな? ……残念ながら見当たらない。スライムを何匹も確保して、テントの中で遊び倒したかったが……諦めてテントに戻るか。


 うん、やっぱり広くなると行動がしやすい。広くなったテントの中で思う存分スライムと遊ぶ。なんだか南方都市にいるより安心する気がする。


 スライムを抱きしめながらテント内でダラダラしていると、船の音が聞こえてきた。おっ、あの魔導船はグイドさんだな。手を振ると、グイドさんも手を振り返してくれた。冒険者達を砂浜に降ろすと、反転しテントに船を寄せてきた。


「おお、ワタル。なんだこれ、凄いな。どうやって運んだんだ?」


 グイドさん、このテント筏に興味津々だな。ちょっと鼻が高い。


「南方都市で作ってもらって、分解して運んできたんですよ。自信作です」


 実際に作ったのはドニーノさんなんだけどね。


「そうなのか。だがよくこれで難所を越えられたな。中を見てもいいか?」


 グイドさんは興味津々で筏を確認している。思った以上に食い付きがいいな。


「ええ、いいですよ。といっても中は普通のテントなんですけどね」


 許可を出すとグイドさんはいそいそとテントに入る。


「うん、十分な広さだな。魔導船で待機するより断然快適そうだ。ワタル、これを作った船大工を紹介してくれないか? あとは難所の手前までは運んでくるから、難所越えを手伝ってくれ。俺もこれがほしい」


 いや、自慢したかっただけなんだけど、いきなり買うところまで話が進むとは。よっぽど魔導船で待機しているのが苦痛だったんだろうな。


「ええ、それは構いませんが、作ったばかりで1日も経ってないんです。思わぬ欠点があるかもしれないですし、しばらく様子をみてからでもいいですか?」


「そうか? 見た感じ丈夫そうだが……まあ、今回ワタルが戻るまで無事だったら紹介してくれ」


「分かりました。他の方達はどうしますかね?」


「カルロとダニエルはほしがると思うぞ。バルナバはすぐ森に入るからどうか分からんがな」


「そうですか、上手く行ったら湾内にテントが並びそうですね」


「そうだな、この広さなら過ごしやすいし快適だ。冬場も温かく過ごせそうで助かるぞ。ありがとなワタル」


「いえいえ、まだ成功したわけじゃないので、上手く行ったら誉めてください」


「おう」


「そうだグイドさん、前から気になってたんですが。大きな船で難所まできて、難所を通れる魔導船で船と島を往復すれば、もっと人も荷物も運べると思うんですけど、どうなんでしょう?」


 今のやり方って、どう考えても効率が悪いよな。


「ああ、そのやり方は昔ギルドも実行したことがあるらしい。ただ、この島は強い魔物が多くて、ランクの低い冒険者は死ぬだけでな。大怪我をしても他の冒険者をほっぽり出して、南方都市に戻る訳にもいかんし、人数が増えると島の魔物も集まってくるらしく、失敗に終わったそうだ」


「なるほど、色々あるんですね。上手く行きそうなら筏を大きくして、木造の家くらいなら建てられるかもって思ったんですが」


 テントも悪くないとは思うけど、住居はしっかりしていた方が安心するよね。


「うーん、今の季節は湾内も穏やかだが、稀に嵐がくるからな。今くらいの筏とテントなら素早く撤去できるし、失っても痛くはないが、費用をかけ過ぎると失なった時が大変だぞ。このくらいの規模で必要な物だけ追加していくのがいいんじゃないか?」


「嵐がくるんですか、それならしばらく今のままで様子をみてみます」


 嵐は危険だよね。たしかにテントなら直ぐに撤収できるから、緊急時に対処しやすい。あまり欲張らない方がよさそうだな。


 グイドさんが魔導船に戻ったので、再びスライムと戯れご飯を食べる。テイムスキルを確認するがやっぱり取れてない。いまのままでいいんだろうか?


 ***


 3日目も日課の訓練をしてスライムと遊んでいると、ダニエルさんと少し遅れてカルロさんが島にやってきた。2人ともこのテント筏をみてほしくなったようで、船大工の紹介を頼まれた。


 グイドさんに言ったように、最終日まで様子を見てもらうことにした。でも、早くほしいそうなので、僕が帰るまで筏が無事だったら、南方都市に戻ったら先に注文しておくように約束させられた。ここまでほしがってもらえると、それはそれで嬉しいな。


 グイドさん達が魔導船に戻り晩御飯の準備をしていたら、アレシアさん達がサーベルタイガーの亜種を狩って戻ってきた。お湯だけ沸かして急いで迎えにいく。


「おかえりなさい。お怪我はありませんか?」


「ただいま、みんな無事よ」


 にこやかに笑うアレシアさんの背後には、大きな魔物が……やっぱりアレシアさん達って強いんだよな。


「すごいですね。これがサーベルタイガーの亜種ですか……カッコいいです。あっ、すいません、運びます。とりあえずテントでゆっくりしてください」


「ふふ、ありがとう」


 アレシアさん達とサーベルタイガーの亜種を載せてテントに向かう。


 とりあえずテラスにサーベルタイガーの亜種を運んだあと、みんなをテントの中に案内する。


「わあ、結構広いのね。それにあんまり揺れないわ」


 アレシアさんが両手を広げてくるりと回る。美人の子供っぽい仕草……これはこれでありだ。


「昨日泊まってみたんですが、今のところ居心地はいいですね。どうぞ、おしぼりと紅茶です」


 準備していたお湯で素早くおしぼりと紅茶を用意して、みんなに配る。できる男って感じだ。


「ありがとう」


「夕食はどうしますか?」


「ありがとう。頂きたいんだけど、その前に体を拭きたいの。いいかしら?」


「あっ、はい。このお湯は自由に使ってください。船で離れますので終わったら呼んでください」


 突然で焦ってしまった。やましい気持ちが満載だから、イルマさんの「うふふ、見たい?」っと言う問いかけに、思わずうなずきそうになってしまった。


 妖艶なキツネミミの巨乳美人にそんなこと言われたら、それだけで鼻血が出そうになる。危険だ。


 なんとか冷静さを装い、和船でテントから離れた。テントからは楽しそうな声が聞こえてくる、なぜ神様は船召喚なんかより透視の力を与えてくれなかったのだろうか?


 もう一度神様に会えたら、透視スキルを頼んでみるか? 教会でお祈りの時にも真剣にお願いしておこう。もしかしたら叶えてくれるかも。


「ワタルさんお待たせしました」


 透視スキルの獲得方法を真剣に考えていたが、ドロテアさんの呼ぶ声で正気に戻る。


「はい、今戻ります」


 テントに戻ると、みんな装備を外し体を拭いてサッパリしたのか、リラックスしてくつろいでいる。


「前回と同じですが、夕食はそれでいいですか?」


「ええ、あのスープとっても美味しかったから、頂けるのなら嬉しいわ」


「では、用意しますね」


「お手伝いします」


 クラレッタさんがお手伝いを申し出てくれたので、パンを火であぶってもらう。その間に食器を用意してスープを注ぐ。


 用意が終わり「どうぞ」っと声をかけると、「ワタルさんも一緒に食べましょう」と言われた。一緒に食べていいものか悩んだが、せっかくなのでご一緒させてもらう。リラックスした美人集団との食事とか逃すには惜しすぎるイベントだ。


「やっぱりこのスープは美味しいですね。この昆布で、こんなに味に深みがでるなんて驚きです」


 クラレッタさんが昆布の素晴らしさを分かってくれたみたいだ。なんだか嬉しい。出汁は日本人の心ですから。……そんなに繊細な味覚は持ってないけど。


「ええ、本当に美味しいわね」


 みんな美味しそうに食べてくれる。今回もカーラさんが食べ終わり悲しそうにしているので、おかわりを注ぐ。嬉しそうにありがとうと言ってくれるカーラさんが可愛い。


 身長が高くスタイル抜群の美人なのに、カーラさんってなんか可愛いんだよな。見ていると癒される気がする。マイナスイオンとか出てそうだ。


「ごちそうさまでした」


 食事を終えたので、とりあえずドライフルーツと紅茶を出してくつろいでもらう。あっ、ドロテアさんがスライムをもっちもっちしてる。スライムの事すっかり忘れてた。


 えっ? ちょっと待って。あのスライム、ジラソーレが着替えてる時もテントの中にいたの? スライムは可愛い。たしかに可愛いが、何となく許せない。でも可愛い。思考が混乱している。褐色美人がスライムと戯れる姿は眼福です。ありがとうございます。


「ワタルさん、このテントもいいですね。今まで魔導船に戻っても窮屈で休めなかったので、島で野営をしていたんです。でも、ここならゆっくり休めます。本当に利用させてもらってもいいんですか?」


 アレシアさんがテントを褒めてくれる。正直、グイドさん達に褒められるよりも何倍も嬉しいな。


「はい、自由に使ってもらって構いませんよ」


 アレシアさん達も1日くらいしか使わないだろうし、寝る時なら和船で寝てもそこまで辛くない。それならお客様優先の方がいいだろう。


「ありがとうございます。偶に使わせてもらいますね」


「はい、いつでもどうぞ。あっ、アレシアさん、明日からの予定はどうするんですか? 予定では5日間でしたけど、依頼は終了してますよね?」


「そうですね、ゆっくり休めますし。あと2日森に入ってもいいんですが、サーベルタイガーの亜種も狩れましたし……少しでもいい状態の間に戻るべきかしら? みんなはどう思う?」


 パーティー会議が始まってしまった。食器を洗っておくか。


「南方伯様の依頼ですから、少しでも早く戻る事にしました。明日の朝、出発で構いませんか?」


 そうだよね。偉い人の依頼なら、できるだけ早めに処理しておいた方がいいよね。怒らせたら面倒そうだもん。


「分かりました。では、明日出発という事で、そろそろ僕は船に戻りますね。あっ、ドロテアさんスライムを」


「スライムも意外と可愛いわね」


 ドロテアさんが、スライムの魅力に気付いた。この調子でドンドン布教していきたいな。


「分かってくださる方がいて嬉しいです。では、みなさんお休みなさい」


 アレシアさん達とお休みの挨拶を交わして、テントをでる。さて、俺もスライムを森に返して寝るか……あっ、明日帰るんだし、グイドさん達と話しておくか。三人がいる小舟に寄せて声をかける。


「みなさん、明日の朝戻る事になりました。テントと筏はどうしましょう?」


「おう、注文しておいてくれ、お前らはどうする?」


「「たのむ」」


「わかりました。では、ドニーノさんに伝えておきますので、戻ったら確認してください」


「おう、ありがとな」


 テント筏、大人気だな。ドニーノさんも大喜びか? まあ、利益が出るんだし喜ぶよね。


 ***


 朝だな。身支度を整えて……うーん、アレシアさん達はまだ寝ているみたいだし、近づくのは不味いよね。起きるまで待つか。


 しばらくすると、マリーナさんがテントから出てきたので声をかける。


「マリーナさん、おはようございます」


「おはようワタルさん。みんなを起こすから少し待っててね」


「ゆっくりで大丈夫ですよ」


 1人でも起きたのなら、全員寝坊って事態は避けられる。それだけで結構気が楽になるな。


「ありがとう」


 マリーナさんがみんなを起こしてくれたのか、すぐに全員が起きてきたので朝食にする。まあ、昨日の残りの野菜スープとパンの手抜きなんだけど、アレシアさん達は喜んでくれるから、少し嬉しい。


 簡単な朝食を終えて、サーベルタイガーの亜種を和船に移し、全員で和船に乗り込む。


「では、出発します」


 ***


 無事に難所を乗り越え、南方都市に戻ってきた。この時、僕は痛恨のミスをおかしてしまった。


 日に照らされて輝く金と黒のコントラスト……サーベルタイガーの亜種が、煌めきながら堂々と南方都市に入港……目立ちすぎだよね。


 結果、港は大騒ぎになった。布ぐらい被せておけばよかったのに……僕のバカ。


 残高 0金貨 54銀貨 60銅貨 ギルド口座 2金貨 70銀貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
筏は船に乗せてあちらで組み立てるっていってたのに、船で牽いていくんですか?
[気になる点] 最後の残金の件 所持金と貯金でキチンと改行をお願いします。
2019/12/23 21:09 退会済み
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