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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第二章 モーターボートで荒稼ぎ!!
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8話 運搬量と筏

 あー、よく寝た。和船に毛布だとさすがに体がきついから、久しぶりのベッドで熟睡してしまった。


 今日はどうしよう? あっ、小屋船が使えないし、大き目のテントがほしい。それによく考えたら、島で雨が降ってたら大変な事になってた気がする。


 これから島での生活がほとんどになるんだから、水上コテージみたいなのがほしい。丈夫な木材で大きな筏を作ってもらって、分解して運べばなんとかなりそうだよな。


 島の湾内は波も穏やかだし、筏を浮かべてその上に丈夫で大きなテントを張れば、楽しい島生活がおくれる気がする。島の環境がよくなればよくなるほど、俺の生活が充実する。


 あとはジラソーレのリーダーのアレシアさんが、どのくらいの荷物が積めるか分からなかったと言ってたな。筏と一緒に商業ギルドに相談してみるか。


 護衛の2人と朝食を食べながら今日やりたいことを説明して、商業ギルドに向かう。


 ***


「カミーユさん、おはようございます。相談したい事があるんですが、お時間を頂けますか?」


 受付カウンターにカミーユさんが居たので、声をかける。


「おはようございます。ワタルさん。時間なら大丈夫ですよ。別室にご案内しますね」


「ありがとうございます」


 カウンターを他の職員に任せ、案内してくれる。このカミーユさんに案内されている時間って結構好きだな。魅惑のシッポがたまらない。すぐに部屋に到着してしまうのが、すこし残念だ。


「それでご相談とはなんでしょう?」


「いくつかあるんです。えーっとまずは、ジラソーレのリーダーのアレシアさんが、どのくらいの素材が積めるか分からなかったので、多めに素材を持ってきたそうなんですが、全部積んでもまだまだ余裕があったんです。ですので、どのくらいの荷物が積めるのか確かめたいんです」


「まあ、本当に素晴らしい船を手に入れられたんですね。運べる素材が増えるほど商業ギルドも潤いますので、ぜひともご協力させてください」


 ニコニコと喜ぶカミーユさん。カミーユさんって、商業ギルドの職員の鑑だな。ギルドの利益に敏感だ。


「ありがとうございます。それとですね、これから島での生活が長くなると思うんです」


「そうですね。島に行ける船は少ないので、依頼は詰まっていますね」


 やっぱり島の依頼は沢山あるんだな。儲かるって事はそれだけで、人が集まってくる。


「それで島での生活をよくするために、大きくて丈夫な分解できる筏を作ってもらいたいんです。それを島の湾内に浮かべて、上に大きなテントを張れば暮らしやすいと思うんです。ですので、大きな筏を作ってくれる船大工さんと、大きなテントを売っているお店を紹介してほしいんですが、可能ですか?」


「まあ、上手くいったら素敵ですね。船大工もテントのお店も紹介できます。このあとお時間がおありでしたら、私がご案内しますが、いかがですか?」


「大変ありがたいのですが、そこまでして頂いていいんですか?」


「大丈夫ですよ。貴重な素材をどのくらい運べるかは、商業ギルドにとっても大事な事ですし、商業ギルドに貢献してくださる方に、便宜をはかるのは当然の事です。準備してまいりますので少々お待ちください」


「ありがとうございます」


 島に行けるって、商業ギルドにとっても重要な事なんだな。まあ、狙われるくらいなんだから当然なのか? カミーユさんの準備ができたので、まずは和船に向かう。ガラガラと大量の麻袋をつんだ荷車がついてきている。


「あの、カミーユさん、後ろの荷車は?」


「あの荷車に積んでる麻袋には土が入っていて、いくつ積めたかで判断します」


 なるほど、分銅のような役割なのか。


 カミーユさんと話しながら歩いていると係留所に到着した。乗船許可を出して、商業ギルドの職員さんが、麻袋を和船に積み込んでいく。麻袋を全部積み込んでも、船にはまだ余裕がある。


「ワタルさん、この魔導船はすごいですね。他の魔導船の運べる量の3倍を積んだんですが、まだ余裕があります。申し訳ありませんが追加で麻袋を持ってまいりますので、少々お待ちください」


「はい、分かりました」


 そんなに運べるんだ、素材が違うからか? それとも不沈が関係しているのか? 沈まないんだから重量にも耐性があってもおかしくないよね。考え事をしていると荷車が戻ってきて、更に麻袋を積み込んでいく。


「ワタルさんの魔導船は他の魔導船の約5倍は積めます。すごいですよワタルさん。ギルドマスターに話しておきますね。報酬アップ間違いなしですよ」


「おお、報酬アップですか、嬉しいですね」


 どのくらいアップするのか楽しみだな。豪華客船まで更に近づいたかも。


「では、次は船大工さんのところに行きますね」


「はい、お願いします」


 ***


 おー、船が作られているところなんて初めて見た。働いてる人に背が小さい人が多いけど、ドワーフなのかな?


「棟梁、お話があるんですが、お時間頂けますか?」


「なんじゃ商業ギルドの嬢ちゃんか。なんか用か?」


「はい、こちらのワタルさんの注文を聞いて頂きたいんです」


「はじめまして、ワタルと言います。よろしくお願いします」


「おう、ワシはドニーノだ。聞いてやるから話してみろ」


「はい、大きくて丈夫な筏がほしいんです。でも、難所を船で曳いて運ばないといけないので、分解して運びたいんです。それで目的地に到着したら、素人でもしっかり筏が組める工夫もお願いします」


「ふむ、大きくて丈夫で素人でも組み上げられる筏がほしいんだな。噛み合わせに仕事がいるが、たいして問題にならんな。大きいといってもどのくらいの大きさなんだ?」


 どのくらいの大きさ? 具体的な大きさは考えてなかったな。


「上に大きなテントを張りたいので、大きければ大きいほど助かります。ドニーノさんが無理なく作れる最大の大きさでお願いします」


「やろうと思えば馬鹿でかい筏も作れるが、あの木の長さでどうだ? 大きいテントも張れるし、加工の手間もかからんから、早く安くできるぞ」


「これだけあれば十分ですね。お幾らくらいかかりますか?」


「そうだな、手間は噛み合わせにちょっと仕事をするだけだからな。70銀貨でやってやるぞ」


 70万円……筏に70万円ってどうなんだ? でも、カミーユさんの紹介だし、ボッタクリって事はないだろうし、決めるか。


「では、お願いします。あとできたら係留所の115番に運んでもらえますか? 運送料も払いますので」


「おう、明日の夕方にはできておるだろう。20銅貨で運んでおいてやる。あとはテントを買ったら持ってこい。テントが張りやすいように、テントに合わせて金具を打っといてやる」


 細やかな心遣いがありがたいな。


「はい、お願いします。70銀貨20銅貨です」


「次はテントですね。いい道具屋がありますよ。こちらです」


 カミーユさんの案内で道具屋に向かう。なんかカミーユさんの役割がガイドさんみたいになっているのが、申し訳ない。でも、地元の人がいると、スムーズに行動できるから助かる。道具屋に到着し、さっそく店員に声をかける。


「すみません、一番大きなテントを見せてもらえますか?」


「一番大きなテントですか? そうですね、こちらが商隊の方が使う一番大きなテントですね。寝るだけなら10人は泊まれますよ。お値段は20銀貨になります」


 ……うん、大きさは十分だな。それに筏の上にも張れそうだ。これだけ広ければ、ゆっくりできるし島での生活が楽しくなりそうだ。


「では、そのテントをください。あと、小舟に張れる小型のテントもお願いします」


「かしこまりました。小舟に張れるタイプのテントは現在、1銀貨20銅貨のこれだけなんですが、構いませんか?」


 普通の小型テントだな。別に変なところはないし、これで問題ないだろう。


「2つともお願いします。21銀貨20銅貨ですね」


 あっさり決まったな。買うべきものの種類が少ないと、迷わなくて済むからある意味楽だな。


「ありがとうございました」


 ふう、あとはテントを棟梁に届けたら終わりか? あっ、筏ができるまで休みを1日延長しないといけない。あとで、ディーノさんとエンリコさんにも延長できるか確認しないと。


「カミーユさんありがとうございました。おかげでいい買い物ができました」


「いえ、ワタルさん、このあとまだ時間は大丈夫ですか? 船の運搬量の事を商業ギルドでお話したいんです」


 運搬量の話なら、報酬アップの話に繋がるんだろうな。大事な話だ。


「別に大丈夫ですが、あっ、テントを先にドニーノさんに届けてからでもいいですか?」


「ええ、もちろん大丈夫です。では、私もご一緒させて頂きますね」


 テントを届けて商業ギルドに到着すると、カミーユさんに別室まで案内された。


「上司に話してきますので、少々お待ちください」


「分かりました」


 ちょうどいい、今のうちに護衛の延長を頼んでみよう。


「ディーノさんエンリコさん、筏ができるまで休みを1日延長したいんですが、大丈夫ですか?」


「俺は大丈夫だが、エンリコはどうだ?」


「私も大丈夫ですよ」


「では、護衛の1日延長をお願いします」


 護衛の延長を了承してもらい、安心して雑談をしていると、カミーユさんがギルドマスターを連れて戻ってきた。


「ワタル、聞いたぞ他の魔導船より5倍も荷物が積めるらしいな」


「はい、僕も驚きましたよ」


「うん、しかし他の魔導船はたいして違いのない運搬量だから問題なかったが、1艘だけ同じ値段で大量に運べるのも問題じゃな。とりあえずワタルの依頼料は5倍にする。それで様子を見て値段を調整するぞ」


「5倍ですか? 報酬が増えるのは嬉しいですけど、そんな大金出してくれますかね?」


 1人1日50銀貨……日本円にして50万円だよ?


「なに、あの島の素材は供給不足なんだ。大量に持ってきても高値で売れるから問題ないぞ。冒険者達も儲けが増えるんだ、依頼がワタルに集中することもあり得るな」


「はは、適度に休みが取れれば大丈夫ですよ」


 ジラソーレで5日間と計算すると、15金貨って事になる。それだけ払っても依頼殺到の可能性があるなんて、冒険者と商人は幾ら儲かるんだろう? かなり気になる。


「あの、ギルドマスター。サーベルタイガーの亜種の事を、ワタルさんに頼んだらどうでしょう?」


「サーベルタイガーの亜種? ああ、あの南方伯様の依頼のか……確かにそうじゃの。でかしたカミーユ。しかしサーベルタイガーの亜種は手強いからな、綺麗に狩れるパーティーがいるか?」


「ジラソーレのみなさんなら大丈夫だと思います。前回もワタルさんとご一緒して頂きましたので、問題もないと思います」


「ふむ、そうか。なあワタル、あの島にはサーベルタイガーの亜種がおってな。普通のサーベルタイガーよりも倍以上大きくて、毛皮も圧倒的に綺麗で人気があるんじゃ。それで南方伯様が剥製にしたいと言ってな。しかし重量があって運び出せんかったんじゃ。ワタルの魔導船なら運べるかもしれんから試してくれんか?」


 お偉いさんのワガママってやつですか。剥製とか貴族的だな。あっ、本物の貴族だった。


「試すのは構いませんが、剥製って皮を剥いで持ち出すのは駄目なんですか?」


「うむ、通常はそうしておるのだが、いかんせん素人仕事じゃからな。南方伯様に届けるのなら、きちんとした設備で腕の立つ者に最高の物を作ってもらいたい」


 中途半端な剥製だと逆に恥をかくって事だろうな。


「分かりました。試す分には試してみますが、失敗してもペナルティーはないですよね?」


「無論じゃ。カミーユ、さっそくジラソーレに話を通してくれ」


「分かりました」


 ドンドン話が進んでいく。大物を島から持ち出せたらセールスポイントになりそうだし、成功できたらウハウハか?


「あっ、明日は筏が完成するので、できれば出発は明後日以降でお願いします」


「はい、明後日以降で頼んでみます。明日の夜、商業ギルドに確認にきて頂いてもいいですか?」


「はい、大丈夫です。今日は色々ありがとうございました。では、失礼します」


 屋台で昼食を買って宿に戻る。市場で食料を仕入れるのは、悪くならないために明日の方がいいだろう。そうなるとやる事がないな、訓練して部屋で休むか。


 ***


 翌朝、ダラダラしてから筏の確認前に、食料を購入しにいこう。護衛の2人と市場に向かい、食料を買い込む。


 小麦粉はまだ残ってるから、パンと鳥の骨と干し肉に野菜類、他になにかあるか? うーん、あっ、長ネギ発見。これを鳥の骨と一緒に煮てたはずだ。これでまた鶏ガラスープのクオリティが上がる。うん、いい買い物をしたな。あっ、そろそろ筏はできてるかな?


 係留所に行ってみたら、まだ届いていなかった。和船に食材を積み込み、鳥の骨の下拵えをしておく。さてドニーノさんのところに行ってみよう。


「こんにちは。ドニーノさん筏はできてますか? それと気が付いたんですが、ロープと碇も必要ですよね。ここで買えますか?」


「ん? ああワタルか。筏はできてるぞ。若い奴の手が空いたら運ばせるから待ってろ。碇とロープはあるぞ。あの筏なら1銀貨の碇と50銅貨のロープで十分だが、それでいいか?」


「お願いします。1銀貨50銅貨ですね」


「おう、確かに。碇とロープも筏と一緒に運ばせるからな。あと、筏は同じ番号を振ってあるところを接続すれば完成するようになってる」


 ありがたい親切設計だな。それなら俺でも問題なく完成させられそうだ。


「分かりました、ありがとうございます」


 あとは商業ギルドだ。依頼は決まったかな?


「カミーユさん、こんばんは。依頼の確認にきました」


「こんばんは。ジラソーレのみなさんが依頼を受けて下さるそうなので、明日の朝6時に出発予定です。構いませんか?」


「問題ないです。朝6時に係留所に行けばいいんですよね?」


「はい、よろしくお願いします」


 準備も整ったし、仕事も決まった。ならば明日に備えて宿でゆっくり休もう。


 残高 0金貨 54銀貨 60銅貨 ギルド口座 3金貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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