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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十一章 海の中の公爵城
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16話 海神

 海神の神器の使い方が分からず、創造神様に使用方法を聞くためにクリス号の教会に向かった。無事に創造神様に会うことはできたものの、人魚が関わってきそうな話になったので、少しワクワクしている。


「創造神様。海神の神器には、人魚が関係しているんですか?」


「正解。元々は海神が人魚に与えた神器なんだよね。それを、ちょっと調子に乗った異世界人が奪っちゃったんだ。最悪だよね」


 人魚って海の中で生活しているよね。どういったチートがあれば、人魚の大切な神器を奪えるんだ?


 あれ? 異世界人にスキルを与えていたのって創造神様だよね? 元凶は創造神様なんじゃ? ……まあ、僕もチートを貰っているから、下手なことは言えないんだけどね。


 それにしても人魚の神器だったのか。返却しないと駄目なのかな? 返したら人魚と友好関係が築けそうだけど、ダークエルフの島が守れなくなるのは悲しい。


「創造神様。そこまでです」


 神器について質問しようとしたら、光の神様が現れた。創造神様自身があんまり話すと怒られるって言っていたのに、普通に人魚について答えちゃったもんね。まだまだ口を滑らせそうだから、光の神様が止めに入ったんだろう。


 しかし、相変わらず光の神様はお美しい。文字通り光り輝く美しさを持っているんだけど、若干陰りと疲れが見えるのは、相変わらず創造神様のフォローが大変なんだろうな。


「航さん、突然すみません。少し創造神様をお借りしますね」


「あっ、はい。ごゆっくりで大丈夫です」


 なんか変な言葉になってしまったな。まあ、気持ちは込めたから勘弁してもらおう。


「ありがとうございます」


 少し微笑んだ光の神様と、少し怯えた様子の創造神様が目の前から消えた。でも、そこまで話していないから、長時間のお説教コースではないだろう。


「航さん。お待たせしました」


 予想通り、たいして時間が掛からずに光の神様と創造神様が戻ってきた。創造神様もちょっとだけすねている様子なので、そこまで絞られなかったようだ。


「いえ、全然待っていません。それで……僕は手に入れた神器について教えてもらえればと思っているのですが、どうしたらいいですか? あんまり質問するのもまずいんですよね?」


「そうですね。創造神様が決めたルールを破ることになりますので、あんまり良いことではないのですが、神域から神界にいらしていますし、航さんには大勢の神々がお世話になっています。多少なら他の神々も騒がないでしょう」


 なるほど、創造神様の下界に干渉禁止ルールで暇をしている神々の文句を、豪華客船への招待の恩で躱す訳だな。迷惑をかけることになりそうだし、臨時でクリス号に招待した方がいいかな?


 あっ、創造神様がそれなら僕が文句を言われる必要はなかったじゃんって文句を言っている。ご機嫌を損ねるきっかけになったんだから、招待しないと駄目だな。


「お手数をお掛けして申し訳ありません。もし、ご迷惑でなければ、お詫びにクリス号で神様方をおもてなしさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?」


「あら、まだ約束まで時間があるのですが、構わないのですか?」


 光の神様がちょっと嬉しそうにしている。光の神様にとっても悪くない提案だったようだ。


「はい。僕のワガママでご迷惑をお掛けしてしまいますので、お詫びができれば僕も助かります」


 光の神様は僕が何もしなくても綺麗にことを収めてくれるだろうけど、だからこそ、少しでも光の神様の役に立っておきたい。


 まあ、光の神様が、神様方のまとめ役的な役割があるから、仕事が増えちゃうだろうけど、そこは精いっぱいのおもてなしでカバーだ。


「神々も航さんの船に遊びに行くのを楽しみにしていますので、そう言っていただけると助かります。詳細は後で詰めるとして、先に航さんの用事を済ませてしまいましょう」


 神様方もキャッスル号ではハッチャケていたもんな。元々は創造神様が付けてくれたスキルなんだから、神様の力でなんとかなりそうな気もするけど、そこらへんも色々な絡みがあって大変なんだろうな。


「僕の用事は海神の神器についてなんですが、人魚に返還した方がいいですか? できればダークエルフの島の守りに使いたいと考えていたのですが……」


「航さんが手に入れたものですから、神器の返還等に神々から要望はありません」


 言いたいことはあるけど、ルールに引っ掛かるから要望を出さないと言うのが正しい気がする。


「では、人魚に会えた時によく話し合い、お互いにメリットがあるように海神の神器を使うことは可能ですか?」


「そうしていただけるのであれば、海神も喜ぶでしょう」


 光の神様が微笑んだ。海神様も人魚を心配している状況のようだ。海で生活しているんだから、下界に干渉できないとはいえ、海神様のご機嫌を損ねるのは怖い。元々人魚とは仲良くなりたかったんだから、この方針を貫こう。


「光の神様。僕は海神様に会ったことがあるんでしょうか?」


「海神ですか? キャッスル号に遊びに行っていますので、航さんとは会っていると思います。この場に呼ぶと、人魚に関して頼みごとをしそうなので呼んでいませんが、呼びましょうか?」


 会ったことがあるのか。記憶に残っていないってことは、男の神様の可能性が高いな。呼んでもらってもあんまり嬉しくないけど、先に要望を言ってもらった方が楽ではある。その要望を参考にして人魚と話し合えば、お互いに幸せな結論が出せるだろう。


「頼み事を僕に言うのがまずいのであれば、ルールの範囲内で言えることを言ってもらえば構いません。できるだけ善処しますので、お呼びいただけますか?」


 お願いをすると、光の神様が頷いて消えた。呼びに行ってくれたんだろう。


「別にそこまで気にしなくてもいいのに、航君も気を遣うね。もっと自由にしていいんだよ?」


 光の神様が消えた瞬間に話始める創造神様。重しが取れたような顔をしているので、光の神様をどう思っているかがよく分かる。


「僕は小心者ですから、気にした方が落ち着くんです」


 チートな船の中で、相手が人間だったら気にしないけど、神様の怒りを買うとか怖すぎる。


「難儀な性格だね。もう少し強気な性格だったら面白かったのにね」


 地味に文句を言われている気がする。僕が異世界にきて地道に暮らしていたから、他の神様に文句を言われたのを根に持っているんだな。


「今は結構派手に動いていますよね?」


「うん。豪華客船にも遊びに行けるようになったし、僕の先見性が証明されたよね。ただでさえ尊敬されているのに、これでますます尊敬されちゃって困っちゃうよ」


 ……会話が繋がっているようで繋がっていないな。あと、創造神様が尊敬されてというのは初耳だ。


 よく分からない創造神様の自慢話を聞いていると、海神様を連れて光の神様が戻ってきた。


「航さん。こちらが海神です」


「うむ。俺が海神、大いなる海の神だ!」


 あっ、この神様覚えている。ガンガンお酒を飲みまくって、僕にもお酒を飲ませまくった、暑苦しいグループの一員だ。正直、苦手なタイプだったから避けていたけど、その中に海神様が居たとは……。


 この神様とは、尊敬の念を忘れないようにしつつも、適度な距離感を持ってお付き合いしていきたい。具体的に言うと、間に最低でも1人……いや、1神、これも違う。間に最低でも1柱は挟んでもらいたい。


「海神様。いつも海にはお世話になっております。この度はお呼び立てして申し訳ありません」


「なに構わん。俺が人魚に授けた神器を手に入れたそうだな。して、その力、どう利用する」


 利用する以前に使い方が分からないからここに来たんだけど、そういう話ではないんだろうな。


「私もダークエルフの島を海神の神器を使って守れたらと思っています。ただ、海神の神器が元々は人魚のものだったと聞きましたので、会えたら話し合い、お互いに納得できるようにできたらと思っています」


「ならば構わん。人魚達も困っていることがあるゆえ、力になってやってくれ。海神の神器には許可を出しておく」


 話の展開が早い神様だな。物事がスパスパと決まっていく。えーっと、許可が出されたってことは、海神の神器が使えるようになったってこと? 創造神様は悩んでいる感じだったけどいいの?


 チラッと創造神様を見ると、すでに興味を失ったような顔をしている。なんだか、大丈夫のようだ。相変わらず適当だね。


「海神の神器を使うには、海神様の許可が必要なんですか? それなら奪われても使えないのでは?」


「許可がなくとも力でねじ伏せれば使える。その神器を奪った者は莫大な魔力で強制的に神器を従えておったな。しかも血族に従うように呪いのような効果を付けておった。まあ、それでは神器本来の力は発揮できん。航には俺が許可を出したから、すべての力を発揮できるぞ」


 公爵家の元って異世界人だったのか。あと、すべての力が使えるってどうなんだ? ダークエルフの島の守りが万全になるって喜ぶべきなのかな? 過剰防衛には注意したいところだ。


「えーっと、ありがとうございます。それで、人魚にはどうやったら会えるのでしょう?」


「海で海神の神器を使えば、反応して出てくるであろう。だが、人魚が近くにいなければ時間が掛かるぞ」


 アクアマリン王国の周辺には人魚がいるらしいから、問題はないか? いや、外海で使うと、人魚が海の魔物に襲われそうだし、目立たなくて安全な場所を探して内海で海神の神器を使用しよう。


「あと、人魚に言付ことづけを頼む。失ったものをいつまでも悔やむな。俺は怒ってもいないし悲しんでもいない。いつまでも大いなる愛をもって見守っておるとな」


 言付けか。森の女神様もダークエルフに言葉を伝えられなかったように、海神様も人魚に言葉を伝えられないんだろうな。神様の声が信者に届くとか、確実にルール違反になるもんね。


 僕が伝えるのも怪しいラインだけど、光の神様も怒らないし、森の女神様の頼まれごとも大丈夫だった。ここらへんまでがグレーゾーンなのかな? そういえば神器への許可はルール違反にならないのかな? これも光の神様が怒っていなし大丈夫なんだよね? 境目がサッパリ分からないな。


「海神。航君に頼みごとをするなら、ちゃんと対価を渡さないと駄目だよ。森の女神達はデートと膝枕に耳かきを付けているんだからね」


「ふむ。航よ。俺に耳かきと膝枕をしてもらいたいか?」


 創造神様のキラーパスから、とんでもない殺人シュートが放たれたよ。報酬じゃなくて罰ゲームだよね。


「いえ、海神の神器を使えるようにしていただいただけで十分です」


「うむ。では、俺は戻る。航、また船でうまい酒を飲ませてくれ」


 海神様はサッパリタイプだな。あっさり帰っちゃったよ。僕もそろそろ……その前に光の神様と打ち合わせだな。真面目に話をしないと駄目だけど、それでも楽しい時間になりそうだ。


読んでくださってありがとうございます。

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